ヘッドライン
[CSD]2008年9月28日号《ヘッドライン》
[CSD]2008年9月28日号《ヘッドライン》= 1面 ニュース=
◎インド大迫害:教会襲撃、信徒ら殺傷——福音派、カトリックが抗議デモ
★アリスター・マクグラス博士来日——三位一体、聖餐など講演
= 2 面 ニュース=
★第5回日本伝道会議1年前——15プロジェクトで課題浮き彫り
◎インド大迫害:同盟基督が抗議声明——祈りのアピール要請も
★<教会の実情を知る:教会ルポ>[25]専任牧師がいないから自分が働かなければ——経済的理由で牧師を迎えられない
★<落ち穂>地域限定トラクトでの発見
= 3 面 =
★宣教的視点での使命と責任を——プロテスタント宣教150周年記念大会 決起大会
◎行動のない謝罪を指摘——「慰安婦」問題を考える集会
★「基本的人権の尊重を軽視」——アムネスティ日本が死刑執行に抗議声明
★中東紛争は「もう一つのアパルトヘイト」——WCCコビア総幹事が批評
★<オピニオン>伝道会議まで1年 課題すり合わせを 記・根田祥一
= 4 面 ビジネスパーソン=
★神の手にひっぱられて——三宗 司郎さん[上]([株]アトリエ ベー代表取締役社長)
★<サーバントリーダーシップ>[3]誰のために存在するか? 記・真田 茂人
= 5 面 情報 =
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★EVENT:第20回JEA信教の自由セミナー(10月31日:東京・お茶の水)
★BOOK:『バイブルカフェでひとやすみ』フォレストブック編(いのちのことば社、840円税込)
★REVIEW:『カルヴァン——歴史を生きた改革者』ベルナール・コットレ著(新教出版社、6,195円税込)評・吉田 隆
= 6・7 面 秋の宿泊特集 =
★地域の植生を生かしたキャンプ場——能勢川バイブルキャンプ場
★新体制で8月営業再開——伊豆高原桜美林クラブ
★四季折々の自然に感動——単立・みどり野聖山高原チャペル
= 8・9 面 特集/日本宣教地図 =
★大都市擁する地域での減少目立つ——21減で全国7,987教会に
★教会の「閉鎖」回答が約100件——教会員数・礼拝者数極少が要因か
= 10 面 教会学校 =
★CSは教会の「おまけ」?——教師以外の意識改革を 記・城倉 翼
★<CSもうひと味>スタッフの育成などを支援——CS活性化推進委員会
= 11 面 クリスチャンライフ =
★信仰も音楽も「自然」に——「音で個性が伝わる演奏を」 ヴァイオリニスト・川畠成道さん
★新しい日本人宣教の歴史を米国東海岸から——日本語教会合同ファミリーキャンプ
★国際:コミュニケーションの権利についてのウェブサイト設立
http://www.centreforcommunicationrights.org/
= 12 面 教会 =
★祈りの結晶、新会堂完成——同盟基督・青葉キリスト教会
◎インド大迫害:教会襲撃、信徒ら殺傷−−福音派、カトリックが抗議デモ=0809280101
[img align=right]http://jpnews.org/pc/uploads/img48d08b88cda3b.gif[/img] インド東部のオリッサ州カンダマール地区で8月25日、ヒンズー原理主義者の武装集団によるキリスト教迫害が起きた。暴徒化したヒンズー原理主義者らは教会堂や修道院、信徒宅に火をつけ、牧師や信徒を拷問し、十数人を殺害するなどエスカレート。牧師、信徒らは難を逃れるためジャングルに逃げ込んでいるという。迫害は事件発生後3週間たった今も続いており、沈静どころかその火種は他州へも広がりそうな模様だ。日本国際飢餓対策機構(JIFH)キングダム・コンソーシアム・スタッフとしてインド・デリー市で活動する陣内 俊スタッフが、現地のパートナー団体でありインド福音協議会(EFI)に所属する超教派団体「SALTイニシアティブ」から得た情報によると、事件の発端と経緯は次の通り。
8月23日、ヒンズー教聖職者の原理主義組織「世界ヒンズー協会(VHP)」リーダー、スワミ・ラクシュマナンダ・サラスワチ氏ら4人が殺害された。オリッサ州政府は、犯人は毛沢東信奉者(極左の共産主義者グループ)による襲撃と発表しているが、サラスワチ氏が過去20年間、クリスチャンの宣教活動を批判、反対してきたこともあり、VHPメンバーは「クリスチャンが暗殺した」と主張。同氏の火葬後、25日午前1時半、700人の群衆がアシュラム(ヒンズー教の修行道場)前に集合。クリスチャンに反対するかけ声と共に暴徒化し、バルガー地区にある孤児院を襲撃。この事件で、20歳の女性が生きたまま火をつけられ殺されたという。
[img align=left]http://jpnews.org/pc/uploads/img48d08b99b391c.gif[/img] さらに同日午後4時半、千人のヒンズー原理主義者らがカンダマール地区に集まり、4人のクリスチャンを追いかけ剣で斬りつけて殺害。武装した暴徒はその後村から村へと移動し、クリスチャンの家々や礼拝堂、修道院を焼く、女性をレイプしてから殺すなど、殺戮を繰り返したという。
1週間後の9月1日、オリッサ州政府は、16人が殺され35人が負傷、185人が身柄を拘束され、558の信徒の家と17の礼拝堂および修道院が燃やされ、1万2千539人がジャングルの難民キャンプに逃れたため24の小隊を派遣したと発表した。だが統計は発信源によって異なり、また時間がたつごとに急増しているという。インドのクリスチャン弁護士、裁判官の集い「クリスチャン・リーガル・アソシエイション」は9月16日、死者100人、難民5万人で、他州でも教会が燃やされていると発表した。陣内氏は「デリーのクリスチャンたちはみな、事態は報道されている以上に深刻だと思っている」と語る。
またこの事態に対し、「政府の対応が不十分だ」とも。カンダマール地区にクリスチャンの援助団体が入るのは州の許可が必要だが、許可を得られることは滅多にない。また内政干渉の要素を含むとして、海外からの援助団体も受け入れを拒んでいる状態だ。その背景には、インド政府にはヒンズー教寄りの政党の発言権が強いことと、カンダマールの統治者が今回の暴力を擁護する立場をとっていることがあるという。
[img align=right]http://jpnews.org/pc/uploads/img48d08baa84c83.gif[/img] この事件を受け8月29日、総理官邸前でカトリック、福音派などプロテスタントの各教派からの代表者が集まり、千500人規模のデモが行われた。また同日、クリスチャンスクール、大学など、インド全土にあるキリスト教系教育機関が休業し、オリッサ州でのキリスト教迫害に抗議した。
陣内氏は「現在も迫害は続いており、犠牲者も増え続けている。今もジャングルで身を隠しているクリスチャンたちは伝染病や毒蛇の脅威にもさらされている。この暴動が、他の地域に広がる危険性も秘めている。一刻も早くこの迫害がやむよう祈ってほしい」と祈りを要請している。
(写真上:インド・オリッサ州の位置。写真中:焼討ちされた教会。写真下:キリスト教迫害に抗議しデリー市をデモ行進する人たち)
◎インド大迫害:同盟基督が抗議声明−−祈りのアピール要請も=0809280202
日本同盟基督教団は、インド・オリッサ州で起きているキリスト教迫害に対し9月14日、「オリッサ州、インドのクリスチャンに向けた暴力に対する抗議」文を、同教団理事長・中谷美津雄、社会局長・水草修治の連名で、在インド大使館のヘマント・クリシャン・シン特命全権大使あてに送った。抗議文では、国内外の複数のニュースから「ヒンズー教原理主義者の武装勢力が相次いで教会とクリスチャンの家に放火、人々を陵辱・虐殺し」、300以上の教会が破壊され、数十人が殺害され、約5万の人々は野獣と毒蛇の住む危険な森に避難していること。しかも「インド政府と警察はその惨状を傍観していた」とし、「このような野蛮な状況を放置すれば、偉大な文明の伝統ある貴国の品位と国際的信用にかかわります」と警告。すみやかに政府と警察が逃れたオリッサ市民を保護するよう強く勧告した。一方、インドのマンモハン・シン首相がオリッサでの暴力解決を始めたことを高く評価し、「その迅速で適切な動きのため祈ります」と結んだ。
同教団では、(1)一日も早く迫害がやむように、(2)インド政府・警察がすみやかに暴徒を鎮圧するように、(3)クリスチャンたちが暴力の連鎖に巻き込まれず、悪に対し善をもって勝利できるように、と祈りを呼びかけている。
◎行動のない謝罪を指摘−−「慰安婦」問題を考える集会=0809280302
神戸市の神戸国際キリスト教会のクリスチャンたちが中心となって、9月6日(土)午後2時から、明石市松が丘ビルで「日本軍『慰安婦』問題をみんなで考える集会」を開催。テーマが政治的にもかかわらず、兵庫県、兵庫県教育委員会、神戸市、神戸市教育委員会や、各マスコミが後援する異例の集会であった。約80名が出席したが、ほとんどが新聞などの告知によって会を知った。講師は韓国の慰安婦問題研究の第一人者である姜恵さん。彼女は、社会学者の視点から、日本と韓国の謝罪についてのすれ違いについて訴えた。日本は何度も謝ったと言うが、韓国側にしてみれば、ぜんぜん謝罪された意識がないのはどうしてかを分析。1993年に河野洋平氏、翌年、村山前首相がアジア諸国の戦争中の女性に対する戦争責任を明確に語った。2007年米国下院議会は旧日本軍の慰安婦について日本政府に謝罪を求める決議。オランダ、カナダ、欧州諸国も同様の決議をした。にもかかわらず、安部晋三元首相や、麻生元外相は、昨年、「強制的に女性を連行した証拠はない」と発言。一般の日本人が「そんなのは客観的事実はない」と言うのは問題はないが、一国の責任者が発するなら、海外からは二枚舌に聞こえると、講師は夫婦げんかのたとえを織り交ぜながら語った。「謝ったと言うけれど、ちっとも行動が伴っていない」と。
引っ越ししたくても、できない両国だから、これからも仲良くしていくための努力が必要である。とりわけ第2次世界大戦中の真相究明が大切だ。被害者の側からではなく、加害者である日本が誠意をもって資料を明らかにすべきである。たとえば、日本の国会図書館の中にある手がかりをオープンにすることや、聞き取り調査を実施する専門委員会をつくり上げることが、日本が謝罪している証しになろうと訴えた。
出席者のひとりの女性は次のように語った。「だれにも語れない心の闇の部分を50年以上も隠してきた慰安婦女性たちの悲しみをどうして放っておけましょう。加害者である私たちが、証拠がないと開き直るなんて恥ずかしい。10代前半に無理やり拉致され、大人兵士を相手に青春時代の何年も踏みにじられ、戦後、結婚もできない体になり、家族にも語れなかった不幸。まだ存命しているそんな80代の女性たちにもう泣かなくてよいと、キリストの心を届けたい」
会のCDを発売中。千500円、問い合わせTel.078・782・9697。
(記・岩村義雄)