[CSD]2008年12月7日号《ヘッドライン》

[CSD]2008年12月7日号《ヘッドライン》
 = 1面 ニュース=
◎北朝鮮はなぜキリスト教許容しない?——金日成神格化が原因
★国連:「宗教間の対話促進を」——各国首脳らが特別会合に参加
★クリスマス間近に

 = 2 面 ニュース=
◎牧会、若者伝道の現場に学ぶ——第3回OCC宣教セミナー
★米国:聖公会イリノイ州クインシー教区が離脱
★<教会の実情を知る:教会ルポ>[35]青年会減少…中心メンバー不在——37.8%「若者への対応」苦慮
★<落ち穂>捨てられずにきた古新聞

 = 3 面 =
★「友愛・奉仕」精神で取り組む福祉の実践——早稲田奉仕園100周年シンポ
★「現代の貧困」に警鐘——聖学院大学創立20周年記念講演会
★<オピニオン>性的罪への対処「前もって話し、厳しく警告」 記・水谷 潔

 = 4 面 ビジネスパーソン=
★支店長時代 銀行強盗に遭遇——辻 正雄さん(高松市議会議員)
★<つながりのデザイン>[11]「正しい」ではなく「楽しい」ことを 記・小川 巧記

 = 5 面 情報 =
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★BOOK:『ただ愛すればいい——恵みによる弟子訓練』岡野俊之著(オイコス出版、2,520円税込)
★CD:「誉めたたえよイエスの御名を」ダビデの天幕(全12曲、1,000円税込)ホームページ http://wwwp.plala.or.jp/ekklesia/
★REVIEW:『教会の戦争責任・戦後責任』信州夏期宣教講座編(いのちのことば社、1,260円税込)評・朝岡 勝

 = 6・7 面 葬儀特集 =
★「信仰の証し伝える葬儀を」——白井憲保さんの最期の歩み
★バラの花咲く頃になると故人を想う——愛知・宮澤誠治さん
★遺す言葉、受け取る言葉——看取りの場から 記・宮澤誠治
★献身の思いで取り組む葬儀——愛知県春日井市・さいわい企画
★「自分の葬儀の準備している」34・4%——データで見る葬儀事情

 = 8・9 面 霊想書特集 =
★『祈りのこころ』ピーター・テイラー・フォーサイス著(一麦出版社、1,890円税込)
★『主よ、きょうも、みことばを、聞かせてください』キム・ヤンジェ著(DURANNO、1,680円税込)
★『日々の祈り』J・H・ジェット著(日本キリスト教団出版局、1,575円税込)
★寄稿:ディボーションと教訓はどう違うのか 記・丸山園子
★チャレンジ! ネットで聖書通読 http://biblestyle.com/
★月刊ディボーション誌レビュー

 = 10 面 教会学校 =
★<教会学校の実情を探る>愛と楽しさ満載 子ども礼拝——アッセンブリー・エヴァグリーン・チャペル
★<CSもうひと味>「七五三」祝福式

 = 11 面 クリスチャンライフ =
◎千葉にも吹いた「べてる」の風——べてるの家+creation HITがシンポジウム開催
★「真珠湾からゴルゴダへ」アニメ映画化へ——現代ぷろだくしょんが制作中

 = 12 面 教会 =
★互いを思いやる共同体として「輝く教会」目指す——OMF ザ・チャペル・オブ・アドレーション

 = ?—?面 韓国特集 日・韓教会連合宣教の可能性 =
★協力から連合への提言——互いの危機感を共有する
★日・韓教会連合宣教を考える——心から「良き隣人」と呼べる関係に 林 寅植氏
★日・韓教会連合宣教を考える——「伝道の種籾運動」を推進したい 崔 世雄氏
★日・韓教会連合宣教を考える——架け橋的役割を担うビジネスマン・クリスチャン 金 光石氏
★自己教会主義のエゴを超えて——趙 誠
★インタビュー:金 俊坤氏——それぞれの良さを競い、新しい文化を創造する時代
★韓国の日本語礼拝・日本人教会情報
★韓国の日本宣教関係団体

◎北朝鮮はなぜキリスト教許容しない?−−金日成神格化が原因=0812070101

 宗教の自由がない北朝鮮。クリスチャンが密告されると「知らないところ」に連れて行かれるという。東京・千代田区のお茶の水クリスチャン・センターで11月20日、脱北者のクリスチャン金泰振氏を招き、講演会「脱北クリスチャンが語る~北朝鮮の生活、宗教、強制収容所、そして伝道まで」(アジアグローバルセンター主催)を開催した。金氏は北朝鮮の生活、宗教事情について語った。

 金氏は85年に脱北。だが87年に逮捕され、88年に連れ戻された。97年、2度目の脱北後、中国で伝道を受け受洗。01年韓国に入国し、その後、総神大学で神学を学び06年卒業。現在、神学校在校生と卒業生のみを正会員とする脱北民使役者連合会宣教局長として中国で脱北者たちに福音を伝えている。韓国基督教総連合会人権委員、社団法人北韓民主化運動本部代表も務める。
 金氏は「(北でも)憲法では宗教の自由は保障されており、教会も存在し、人々は神を賛美し礼拝しているように北朝鮮当局は宣伝している。だが形だけで、現実は信仰生活を送ることができず、宗教を信じると3世代にわたり罰せられる」と語る。
 キリスト教を嫌がる理由は、「74年に金日成を神格化する党の十大原則が打ち出されたこと」だという。「キリスト教を受け入れると、国の中心がゆらぎ、体制が維持できなくなる。だから、絶対にキリスト教を許容できない」
 一つの体験を語った。「パク・ヒョンチョルという人がいた。彼は『愛の会』というキリスト教親睦団体に集っていた。だが内部告発があり、『誰が神がいるということを教えたのか』という尋問を受けた。彼は『空に太陽があるように、神様も存在している。だから、私は神様を信じる』と答えた。彼は信者と一緒に信仰生活できなくなり、信者もバラバラに収容所に連れて行かれた」
 88年に連れ戻された頃、北朝鮮には収容所が10か所あり、約30万人収容されていたという。「収容所は金日成の権威を侮辱した人が入るところ。本人に罪がなくても親が罪を犯すと収容所に入れられた。そこには17年間入っている人もいた。いつ出られるかが分からないので、みな絶望していた。食べ物も塩しか与えられず、葉や草の根などを煮て塩をふりかけて食べていた。栄養バランスが悪く、栄養失調で亡くなる人がいっぱいいた」
 97年、2度目の脱北を敢行し中国へ。そして01年に韓国に入国した。現在、韓国には1万5千人の脱北者がおり、その中には信仰している人、教会に通う人、神学校に行く人もいるという。
 金氏は中国で「あるおばあさんから聖書の話を聞いた」。「彼女は『神様がいらっしゃる』と語っていた。私は聖書をあなどっていたが、神の言葉には命があるので、読んでいくうちに神様はいると思うようになった」。翌年には、15人の脱北者を相手に説教するまでになっていた。
 「今、一番大事に思っていることは、脱北者に福音を伝えること」と金氏は言う。
 「愛を受けた私たちが、今度は私たちを必要としている脱北者に福音を伝えなければならない。中国に脱北者を保護するアジトをつくり、食糧を確保し、肉体の必要を満たしてあげながら福音を伝えている。北朝鮮は今、食糧危機だが、逆にそれが福音を伝えるチャンス。この問題は、脱北した私たちが解決しないといけない問題だ」。だが、脱北者による宣教活動は「常に逮捕される危険が伴う」とも。
 金氏らは、韓国北部の軍事境界線から気球を飛ばし、福音のメッセージが書かれたビラをまくという活動も行っている。これに対し「金正日はそういうことをする南朝鮮を火の海にすると言っている」という。金氏は、「罪のない韓国の人々に対してそういうことを言う独裁者を、民族の恥として告白せざるを得ない」と述べた。
 当日は、10年間家族とともに強制収容所で過ごした経験をもつ「朝鮮日報」北朝鮮担当記者の姜哲煥氏も講演の予定だったが、仕事の事情で来られなかった。

◎牧会、若者伝道の現場に学ぶ−−第3回OCC宣教セミナー=0812070201

 ──「『何時から何時まで』というものがない牧師の仕事の中で覚える疲れ。自分の中にも確かに『見捨てられ感』があることに気づいた」、「多くのクリスチャンがお互いのことばづかいや態度で、傷ついた人をさらに傷つけてしまう。今日の講演で、牧師として、また親としての態度を省みる機会となった」──11月7日、東京都千代田区神田のお茶の水クリスチャン・センターで開催された第3回OCC宣教セミナー(同センター宣教研究委員会主催)の参加者の声だ。同セミナーは「教会とキリスト者に役立つ」をキャッチフレーズにし、今回は現代社会の人間関係に焦点を当て、「パストラルケア」、「若者伝道」をテーマとした。

 「隣人になるために~現代におけるパストラルケア」と題して語った堀肇氏(臨床パストラルカウンセラースーパーバイザー)は、 「人とのかかわりの難しさ、希薄な人間関係の中で、人々が傷ついている。見捨てられ感をもっている」現代日本人の姿を、ルカ10章の「良きサマリヤ人のたとえ」中の強盗に遭った人物に照らして語った。
 「『強盗どもが、その着物をはぎ取り、殴りつけた』ように、現代においても力と力の衝突の中で 多くの人たちが傷つき、倒れている。『見捨てられ感』をもっている」と指摘。「目の前の宗教儀式に忙しく、予測される困難を避けたいという思い」から、見て見ぬふりをして通り過ぎてしまう祭司の姿こそ「私たちの姿」とし、「私たちは時に、働きを中断して人とかかわる『中断の訓練』を受けるもの。『見捨てられ感』はどの人の中にも普遍的に見られるものであり、これを私とは関係ないと、見過ごすべきではない」と語った。
 また、良きサマリヤ人が「相手が何者かによらず」、「単なる同情でなく切なる憐れみをもって助けた」ことを挙げ、「私たちは良きサマリヤ人のようにはなり得ないが、サマリヤ人が持っていたオリーブ油、ブドウ酒、包帯の代わりに、日常の『やさしい心』をもって倒れる人の『隣人』として寄り添うことができる」と語った。
 午後のセミナーでは、「若者への伝道は難しいのか?─今教会にきている一人の若者から伝道が始まる」と題し、安藤理恵子氏(KGK総主事)が、学生のライフスタイルが変わってきていることに言及。「クリスチャンである私たちが、世がどのようになっても『この福音に力がある』と伝ていくことが大切」、「現代の学生は、友人関係の中で、空気を読み合い、会話が重くなりすぎないように気遣い、本音を出さない」と語った。
 また、「学校のカリキュラムも増え、土曜日まで予定が入ってしまい、まじめな学生ほど忙しい。栄養・運動・睡眠不足で学生たちが疲れている」とも分析した。彼らに届くアプローチとして「大人数の集会よりも、交わりのある聖書研究」、「明るい軽さよりも、将来への恐れ・不安などを受け止めてもらえる優しい重さ」、「感情的盛り上がりより明解な論理性」などを挙げ、「強いカリスマのある人物・集会より『正直な普通の人』としての証にこそ力がある。私たち自身が真実にキリスト者として成熟を目ざしていることが、まずできること」と結んだ。

◎千葉にも吹いた「べてる」の風−−べてるの家+creation HITがシンポジウム開催=08120

 千葉県柏市の教育福祉会館で11月9日、「べてるが千葉にやってくる!」(NPO法人こころの健康を創造する会creation HIT=略・creation HIT=主催)が開かれた。第1部の座談会では「べてるの家」から向谷地生良氏(北海道医療大学教授)、川村敏明氏(浦河赤十字病院精神神経科部長)、メンバー3人、creation HITから肥田裕久氏(ひだクリニック院長)、向谷地宣明氏(creation HIT理事)、HITの会メンバー3人が出席し、第2部ではメンバーが体験を語った。 

 1978年に北海道の浦河で「回復者クラブどんぐりの会」として始まった「べてるの家」。
 座談会の前に、そこでの生活をべてるメンバーの木林美枝子さんが紹介した。「『ぶらぶらざ』で9時から15時まで昆布などを売って、時給200円をもらっています。あとは、障害者年金や仕送りなどで生活しています」と日常の様子を語った。年中行事では、べてるの祭りに700人近く来場することや、年間3千人がべてるの見学に訪れるという。「まだ町には偏見もあるかもしれないが、小さな町なので、べてるのおかげで経済効果もあると思う」とユーモアを交えて語り、会場を和ませた。
* * *
 座談会で川村氏は、浦河日赤病院で精神科ベッドを130床から60床に減らし、全員を「転院」ではなく「退院」させた経緯について語った。「精神科の病床が多いことは、病院経営の面で赤字の要因ともなり、減らさざるを得なかった。1年かけて退院に向けての準備をした」という。具体的にはべてるのメンバーに毎週、勉強会を開いてもらい、退院後の生活細部にわたって心構えやアドバイスをもらいました。病院は1銭も支援せずに退院計画したすべての人が地域に帰っていきました」。もちろん、そのための受け入れとして、「べてるの家」ではグループホームを建設し、体制を整えるなど、病院と連携をとった。不況の中でも、ホーム建設資金を借りられたことについて、「人の動きやお金の動きがあると、べてるは儲かっているのではないかという錯覚を生むようです」と向谷地氏。
 「厚生労働省の退院促進政策によって、全国の病院で精神科の患者の退院が推進される中、当事者ができることは何か」との課題で、向谷地氏も川村氏も、「体験者が体験を伝える」重要性を説く。「医療従事者だけでも、家族だけでもうまくいかない。当事者が自分の症状を把握して、対処する術を知ることが大切。それを伝授できるのは体験者だけ」と川村氏。向谷地氏は、最近べてるから再入院したメンバーを例に、「入院すると症状が良くなるのに、『べてる』にいると悪化するメンバーがいた。理由を探ると、『誰かが一緒にいる感覚』、『人がいる厚み』がもてないことだと気づいた」という。そして、「そういう役割は地域でも果たせると思う。べてるでは、そういった経験を重ね、『土づくり』をしてきた」と述べた。
 また、HITの会メンバーも、「同じ体験の人とは『そういうことあるよね』と共感できる」、「喜びも辛いことも分かり合える友だちになれるので、励まされるし、仲間の大切さに気づく」などの意見が出された。