[CSD]2009年5月10日号《ヘッドライン》

[CSD]2009年5月10日号《ヘッドライン》

 = 1面 ニュース=
◎「お雇い外国人」信教の自由獲得にも奮闘——日キ教会・改革派教会主催でプロテスタント宣教150年記念講演会
★横浜YMCA創立125周年記念でバンコクYMCAと支援交流——初めての日本「全部が楽しい」

 = 2 面 ニュース=
★「若者よ、イエスに帰れ」——2009 J+Passion Tokyo
★ウエスレアン・ホーリネス教団:信仰告白を可決——日基教団の告白を継承
★NCC:5月24日 アジア祈祷日——焦点は内戦のスリランカ
★伝道福音教団:若手教職へのサポート強化
★<落ち穂>聖霊のとりなし

 = 3 面 =
★検証:「ピースリボン」裁判から何を学ぶか——1人を無視する恐ろしさを憂う
★本紙4月19日号付オピニオン「教会成長ではなく、教会形成を」に反論 記・大橋秀夫
★取材こぼれ話:敬称と呼びかけ
★<オピニオン>教会成長と教会形成 記・藤山 勝彦

 = 4 面 ビジネスパーソン=
★無償で仕える学生の姿見て——植木 栄治さん[中](香川大学経済学部経営システム学科教授)
★<ストップ・ザ・不祥事>不祥事は霊的教師の善意から 記・山崎龍一

 = 5 面 情報 =
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★BOOK:『ハ・ヨンジョ牧師の 幸せの秘訣QT』ハ・ヨンジョ著(Duranno、1,100円税込)
★DVD:「あなたのためのセレクション~寄り添い、共に歩む~」(太平洋放送協会、10,500円税込)
★DVD:「パペットアニメ聖書物語」ライフ・エンターテイメント(ライフ企画、3,990円税込)
★REVIEW:『カルヴァン論争文書集』J・カルヴァン著(教文館、3,990円税込)評・市川康則

 = 6・7 面 インターネット特集 =
◎人、教会が行き交う「つなぎ目」——ルーク19が8月にポータルサイト起ち上げへ
★データで見るインターネットの普及——ネット利用者9千万人超す
★ホームページが教会の「窓」に——同盟基督・西大寺キリスト教会
★「動画で教会・礼拝の雰囲気を」——単立・新宿シャローム教会
★ウェッブサイト使って弟子訓練——mobile disciple

 = 8・9 面 放送伝道特集 =
★日本CGNTV:久米小百合さんを案内人に「本の旅」
★日本に合う番組心がけ——「本の旅」ディレクター キム・チャンホさん
★PBA:「ライフ・ライン」放送開始20周年——地上波で福音放送
★日本FEBC:「今、自殺と向き合う」スタート——死にたい思いに寄り添う

 = 10 面 教会学校 =
★<教会学校の実情を探る>CS教師セミナー2009 in 東京:絆がつくる生き生きCS
★矢吹氏「メッセージの作り方」——御言葉の適用を促す

 = 11 面 クリスチャンライフ =
◎身売りの危機から子を守る——横浜YMとバンコクYM共同支援の少女ら初来日
★<痛みに中に生きる>[15]若者編 教会で何気ないこばに傷ついたことも

 = 12 面 教会 =
★母娘 2代にわたる教会形成——単立・シャローム武庫川キリスト教会

◎「お雇い外国人」信教の自由獲得にも奮闘−−日キ教会・改革派教会主催でプロテスタント宣教150年記念

 日本でプロテスタント宣教が開始されてから150年にあたる今年、各地の教団、教会で記念の催しが開かれている。4月21日には、日本キリスト教会、日本キリスト改革派教会が共催で記念講演会「日本宣教の幻を受け継いで」を開催した。当日は、日本で一番最初にできたプロテスタント教会である、日キ教会・横浜海岸教会(横浜市中区)に多くの牧師、信徒が集い、150年の歴史に思いを馳せた。

 講師は、岩崎謙氏(改革派・神港教会牧師)、澤正幸氏(日キ教会・福岡城南教会牧師)。「キリストのため、福音のため、いのちを失う教会」と題して語った澤牧師はまず、W・E・グリフィス著『日本のフルベッキ』を引用。「日本でのキリスト教の歴史は、1549年のザビエルの来日からとも言われるが、そうだろうか。殉教者の信仰を忘れることはできないが、『日本で現存するキリスト教の記録や業績やなごりはあまりにも少なく、日本人の思想や知識に与えた形跡はほとんどない』。本当の福音とは、『たとえパン種に隠れていたとしても』大きな刷新力、変革の力を有している」。そう述べ、「今年は真の意味での宣教150年」と位置づけた。
 「パン種」の働きとして澤牧師は、宣教師ギドー・フルベッキを中心に講演を展開。「フルベッキは政府の『お雇い外国人』という立場で、伝道の自由のため働いた。それがなければ、信教の自由は実現されなかっただろう」と述べ、その役割について解説した。
 1869年、フルベッキは「ブリーフ・ノート」と呼ばれる岩倉使節団派遣構想を大隈重信に宛てて送り、信教の自由を認めるよう促した。76年には、オランダやベルギーの憲法を参考にした国憲第1次草案を起草。君主の権限を憲法で制限できる、自由主義的なものだった。いずれも採用はされなかったが、フルベッキの働きかけは、キリシタン禁制の高札撤去(73年)、「臣民たるの義務に背かざる限りにおいて」信教の自由を認めた帝国憲法発布(89年)と無関係ではない。
 澤牧師は、「フルベッキは、日本が天皇絶対主義の国家へと進み始めると同時に、その役割を終えていく。国家は、与えられた権威を神に仕えることで帰していくべきで、一度捨てられた預言が、やがて実ることをフルベッキの働きに見たい。国家は反省に生き、神がそのことを成されると認めなければならない」と指摘。教会に対しては、「日本が、宣教師らにどれほど愛され、覚え続けられてきたか忘れてはならない。この国の完成のため、世界に開かれる教会を目指したい」と呼びかけた。
 「宣教の情熱に溢れる信徒・働き人・神学」と題して語った岩崎牧師は、医師J・C・ヘボンを中心に講演。「ヘボンを支えたと思われる聖書のことば」から当時の宣教論について解説した。「一つはマタイ24・14。福音は『全世界に宣べ伝えられる。それから、終わりが来る』(新共同訳)とある。当時は、『再臨は私たちの働きにかかっている』とする人間的終末論が広まっていた。その点での修正は必要だが、キリストの再臨を待つ思いは、宣教の動機づけにとって大切」。ヨハネ10・17、18からは、「キリストは、神と人とを愛し、ご自身を献げ、神を礼拝された。このキリストこそ、私たちの宣教の模範である」と解説。「私たちも神を愛し、罪人を愛するなら、礼拝行為としての宣教を怠ることはできない」と呼びかけた。
 また、当時の日本の教会を振り返り、「教会の中心を占める武士階級出身者は、貧しい人への伝道は不向き。優秀な人は、外ではなく教会の中をいかに整えるかに意識が向きがち」と指摘する宣教師(視察団)の手記を紹介。「宣教200年を目指し、多くの困難が予測されるなか、私たちには根源的な悔い改めが求められる。どんなときも福音の喜びを失わず、神がご自身の宣教を進めてくださることを信じ、持てるものをお献げしていきたい」と締めくくった。

◎人、教会が行き交う「つなぎ目」−−ルーク19が8月にポータルサイト起ち上げへ

 「人と人、人と教会、教会と教会をつなぐポータルサイトを」
 こんな願いを込めて新たなプロジェクトMU1(Make Us One)を立ち上げた渡辺明日香さん(新宿シャローム教会員、〔株〕ルーク19代表取締役社長)。04年に立ち上げたルーク19では、メーカーと消費者のニーズをマッチングさせたサンプル(試供品)配布サイト事業を立ち上げ、経済各界から注目を集めている。その渡辺さんが「信仰により聖霊に押し出されるようにして」MU1プロジェクトのビジョンを与えられたのは、昨秋だった。
 昨年9月、サンデー・アデラジャ牧師の聖会で証をした渡辺さんは、アデラジャ牧師から声をかけられ、「神様はあなたにさらなる大きな計画をもっている。祈りなさい」と言われたという。「すでにルーク19がありますし、何のことかわからずにいました」。アデラジャ氏の著作を読んで「何かある」と確信は与えられたが、明確に示されたのは教会の礼拝だった。「海外のバンドが来日していて、演奏の後、献身の招きがありました。滅多に応答しないのですが、この時は自分の意志を超えて体が前へと向かっていました」
 そして祈ってもらった瞬間、「そうだ! クリスチャン、教会、クリスチャンでない人たちをつなぐ使命があるんだ」と突如示されたという。
 「日本中の教会にネットワークをもつ五十嵐さん、たまたま私の本を読んだ米留学中のユースパスター、アップル社でiphoneのエンジニアをしていたジョンさん、ベネッセなど大手企業のデザインも手がけたウェブデザイナーの富田さんなど次々と必要なメンバーとの出会いがありました。何かに導かれるようだった」と渡辺さん。そして先月、メッセージの奉仕をした教会でkirisuto.info というサイトを独自で作っていた澤崎さんに出会った。MU1のプロジェクトに賛同し「システムやデータを活用してください」と提供してくれた。「人知をはるかに超えて、神様が人も知恵も力も備えてくださっていると日々実感します」
 サイトは「クリスチャンでない人たちが入りやすく、居心地のよいもの」を意識している。
 「ろすふぁん」と名付けられたサイト名は「lostfound」のことだ。「愛、時間、友だち、お金、自殺など悩む人が多いのに相談しづらい9つのキーワードに対して答えやヒントが得られるようになっています」。具体的なコンテンツは、これらに加え、全国にある教会の所在地、連絡先、集会内容などの情報や、Q&A、ニュース、メールマガジンなど広範だ。ホームページをもたない教会でも、ろすふぁんに登録されればネット上で情報を公開することも可能になる。「1人1台以上携帯電話を持つ現代」のニーズに応え、「モバイルで閲覧しやすいことも必須条件」と五十嵐さんは語る。
 ヤフーやグーグルを始め、ポータルサイトは数多く存在する。最大の課題は「見てもらえるかどうか」だ。「開かれたものであると同時に、ネットならではの速報性も生かし、様々な意味でブリッジビルダーとしてのポータルサイトを目指しています」と渡辺さん。「サンプル百貨店は、メーカーがよりよい商品を消費者に届け、消費者は必要な情報を得る手段として有効です。ろすふぁんも同じ。迷ってる人、困ってる人の求めに応じ、その答えを届けたいと願うクリスチャンの『つなぎ目』と考えています」。
 毎週開かれる会議ではおよそ3時間、議論が続く。プロジェクトメンバーは、プランナーであると同時にネットユーザーでもある。
 ある日の会議で話し合われた「自殺」の項目では、「死なせないためのサイトで、福音を届けたいよね」というのが共通した願い。「アクセスした一人ひとりに合った御言葉を届けたい」、「藁をもすがる思いの人たちに何とか神様に愛されてると伝えたい」と議論を白熱させながら、パズルのピースを組み立てていくように内容を細やかに決めていった。一方、「愛」や「友だち」の項目では「愛とは? という哲学的なことだけでなくて、くすっと笑える小話もあってもいいね」などサイトの緩急を作り、ユーザーにとって「いかに魅力的なポータルサイトにするか」も忘れない。
 「グランドオープンは8月8日の予定です。このポータルサイトで、福音に触れ、神様に出会う魂が多く起こされるよう願っています」と渡辺さんは熱を込めて語る。
 人々の「オアシス」となるポータルサイトがまもなく立ち上がる。

◎身売りの危機から子を守る−−横浜YMとバンコクYM共同支援の少女ら初来日

 タイ・パヤオから子どもたちがやって来た。創立125周年を迎える横浜YMCA(横浜Y)が記念事業の一つとして、バンコクYMCA(バンコクY)パヤオセンターの青少年を日本に招き、日本人の同世代と交流するためだ。来日した17歳から21歳までの少女9人が、初めての日本を楽しんだ。

 タイでは、性産業などに従事させられ、エイズや貧困に苦しむ子どもたちが多くいる。バンコクYが彼らのサポートをする中で、「現状への取り組み」以上に大切なのが、「予防」と気づいた。そこで、とくに貧困が広がる北タイのパヤオに子どもたちを保護するシェルター(パヤオセンター)を開設。時期を同じくして、パートナーシップを結ぶ横浜Yが、創立110周年を迎えた機会に、バンコクYの働きを支援しようと横浜Yで「プロテクト・ア・チャイルド」のプロジェクトが発足した。以来15年。のべ千800人が奨学金を受け、シェルター、あるいは親元から学校へ通い、卒業後に大学進学や専門職を得たという。
□ ■ □
 プロジェクト内容について、横浜Yで国際地域事業を担当する村文子さんとパヤオセンターで働いていた佐藤絵里子さんに話を聞いた。
 初めは1棟10人だったというシェルター。徐々に、個人や団体、教会の支援の輪が広がり、今では40人ほどの子どもたちがここを拠点に生活している。「15年の働きの中で、だいぶ親の意識も変わりました。初めはほとんどの親が、身売りの実態やHIVの知識がなく、『身売りは親孝行だから』との認識でした。そこで、山村地域のリーダーや村長らと時間をかけて関係作りをし、子どもが教育を受ける大切さを理解してもらいました」
 そんな地道な努力を重ね、今では「預けたい」と申し出る親も多い。「コミュニティーにとっても重要な存在」と位置づけられているという。
 センターで暮らす子どもは小学校に上がる年から義務教育の終了する高校卒業までだ。「人身売買の危険は女性に多いので、シェルターで受け入れている子どもの多くが女の子」と佐藤さん。センターでは1人1列の畑をもち、有機農法や複合農業を学んでいる。「卒業後に村に戻ったとき、学校やセンターで学んだことが生活に生かせるようにと願っています」
 横浜からは毎年、ボランティアやワークキャンプ参加者がパヤオを訪れているが、横浜で交流ができないかという声があがっていた。そして今年、「125周年の記念事業として、今回の招聘プログラムが実現しました」と村さんは語る。
 到着して最初のプログラムは、障がい者の自立支援をする横浜Yワークサポートセンター(横浜市戸塚区)でのランチとパン作り、その後は明治学院大学のキャンパスツアーだった。
 今、タイは気温が40度近くまであるというが、この日はタイから来た子どもたちも「暑い、暑い」と覚えたての日本語で口々にため息をもらすほどの晴天。ワークサポートセンターの説明の後、ランチを取りながら、ここで働く障がい者のメンバーと交流した。「この日を楽しみにしていた」というメンバー。パヤオの子どもたちを目の当たりにすると、「恥ずかしい」と照れてうまく話ができなかったが、食べ進むうちに打ち解け、積極的に話かける姿が見られた。スポーツドリンクなど口に合わないものもあったようだが、ここで作られている手作りパンや日本のおかずに、子どもたちは舌鼓を打っていた。
 昼食後は実際のパン作り。生地を伸ばしたり、形にする作業に「難しい」と悲鳴をあげる場面もあったが、お互いにアドバイスしたり励まして、1人5個のパン作りに挑戦した。
 パンを焼く間に行われた明治学院大学キャンパスツアーは、同大学のボランティアセンターの学生スタッフがガイド役に。「日本はどう?」「タイに行ってみたい」などを片言のタイ語で話しかけると、にっこりと「楽しい」と日本語で返すなど、同世代の女性同士で話に花を咲かせた。まず案内されたのは、同大学チャペル。オルガニストにより、2曲演奏があり、初めて聴くパイプオルガンの音色に、静かに耳を傾けていた。
 続いてキャンパス内のカフェでグループに分かれての「おしゃべりタイム」では、日本の学校制度や、大学の勉強内容にみな興味津々。「制服はないの?」「トイレが複雑で困った」など日本とタイの違いや感想など話は尽きず、すっかり仲良しに。
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 そしてこの日一番パヤオのメンバーが顔を輝かせたのは、「八重桜」だった。「さくら、さくら!」と駆け寄り、思い思いに写真を撮ったり、花びらを手帳に挟んだり。「来る前から桜と富士山が見たいと言っていた」という横浜Yの引率スタッフが言うとおり、心から楽しみにしていたようだ。
 初めは緊張してぎこちなかったパヤオのメンバーも、パン作り体験や学校見学で、同世代の日本人と触れ合う中でほぐれたようだ。ある少女は、「何もかも楽しい! もっともっと日本を知りたい」満面の笑みで語ってくれた。
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 このほか、鎌倉観光や大学生とのキャンプやホームステイ、高校生との交流、タイの人身売買の現状についての報告会など滞在期間中、プログラムは目白押し。「タイに残っている友だちや家族に見せてあげるんだ」と思い出を一つひとつカメラに収めて、5月5日に帰国の途につく。