[CSD]2008年6月7日号《ヘッドライン》

[CSD]2008年6月7日号《ヘッドライン》

 = 1面 ニュース=
◎宗教改革者カルヴァン生誕500年——7月に東京神学大学で記念集会
★温かい家庭のイメージで庭造り——第11回国際バラとガーデニングショウ」で三井宣太郎さん準優秀賞

 = 2 面 ニュース =
★日本YMCA:北朝鮮の核実験に厳重抗議——核廃絶に逆行、対話による解決を
★WCC:総幹事が北朝鮮核実験に「大きな懸念」
★海賊対処法は派兵恒久法に?——平和ネットが中止要請
★ウェスレン・ホーリネス:教団本部ビルを奉献——神学院統一寮が実現
★日本キリスト教会:4月29日を昭和の「戦争責任を覚える日」集会——
★伝道福音:若手教職支援実施へ
★<落ち穂>賀川豊彦の『死線を越えて』復刊に

 = 3 面 教界ニュース =
★カルヴァンの熱意は一致と共同体目指す——世界改革派教会連盟議長、500周年記念で語る
★プロテスタント労働倫理「成果主義」の時代に再考
★『リフォームド神学事典』いのちのことば社から記念出版
◎カルヴァンとリフォームド神学——『綱要』訳者、渡辺信生氏が記念講演
★オランダ:カルヴァン主義の度合いテストをインターネットに掲載
★ラルフ・ウィンター氏逝去——「未伝の人々のグループ」提唱者
★<オピニオン>ビジョン危機の時代 記・小山 大三

 = 4 面 ビジネスパーソン=
★恐怖の中「イエスに救われた」——三上 勝久さん[中]([株]味工房代表取締役)
★<ストップ・ザ・不祥事>事務もしっかりした聖書観もって 記・山崎龍一

 = 5 面 牧会/神学/社会=
★第5回 日本伝道会議の論点[4]——夫婦関係から家族の問題を
★日本福音主義神学会東部部会:「日本教会史の検証」テーマに公開研究会
★<精神障害と教会>[52]依存(1)逆の立場から「声」を聴く  記・向谷地 生良

 = 6・7 面 特集/カルト問題=
★私が元カルト信者のための教会を開拓する理由——各県に1つ対応教会を 記・高山 正治
◎大学は勧誘の最前線——危険がいっぱいの新入学シーズン
★オウム事件後の対策 集大成——専門家・脱会者・家族が編んだ必携書

 = 8 面 特集/本聖書宣教会=
★日本聖書宣教会発足——全国に御国の福音を
★各氏から期待の声

 = 9 面 情報=
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★BOOK:『徳の飾りよりも——トマス金鍔次兵衛物語』宗任雅子著(ドン・ボスコ社、735円税込)
★BOOK:『野の花、野の草、空の鳥』田中光春著(ロバ通信社、1,300円税込)
★BOOK:『神に用いられた生涯』ジョン・ダラック著(CS成長センター、1,155円税込)
★REVIEW:『スカンジナビア人宣教師の日本伝道事始』日本同盟基督教団教団史編纂委員会編(いのちのことば社、3,087円税込)評・高木 寛

 = 10 面 関西だより =
★喜びに輝く牧師を養成——神戸ルーテル神学校校長に正木牧人氏
★ユーモアたっぷり「死といのち」語る——柏木哲夫・道子夫妻で出版記念講演会
★韓国のために祈り積む——大韓民国国家朝餐会が大阪支会を設立
★バックストンの信仰に触れる——神戸バイブル・ハウスで聖書展
★なにわゴスペルフェスティバル——なんばHatchで6月20日開催

 = 11 面 クリスチャンライフ =
★本紙連載マンガ「ルッちゃん」が1000回——勝間夫妻の二人三脚で22年
★<痛みに中に生きる>[17]若者編 信じて通えば就職できる?

 = 12 面 ひと=
★神様に委ねてケ・セ・ラ・セラ——露のききょうさん(落語家・女優)

◎宗教改革者カルヴァン生誕500年−−7月に東京神学大学で記念集会=0906070101

 世界の多くのプロテスタント教会の源流となった16世紀の宗教改革者、ジャン・カルヴァン(1509~1564)が生まれてから7月で500年になる。今年はカルヴァン生誕500年を記念する講演会や講座が、内外の各地で開かれている。7月6日には東京・三鷹市大沢の東京神学大学礼拝堂で、カルヴァン生誕500年記念集会実行委員会(久米あつみ委員長)主催の記念集会が開催される。

 「カルヴァン生誕500年記念集会」第1部は午後1時30分から講演で、芳賀力氏(東京神学大学教授)が「讃美と応答—この世を神の栄光の舞台とするために—」、秋山徹氏(日本基督教団上尾合同教会牧師)が「ジュネーヴ礼拝式について」の主題で語る。4時45分からの第2部では、菊地純子氏(日本キリスト教会神学校講師)が「ジュネーヴ詩編歌について」講演し、今井奈緒子氏(東北学院大学教授、オルガニスト)によるジュネーヴ詩編歌オルガン・コンサートがある。
 6時25分からの第3部では、カルヴァンの時代のジュネーヴ礼拝式・聖餐式を再現する。カルヴァンが1561年5月12日の日曜午後にジュネーヴで語った詩編46編による説教を、高砂民宣氏(青山学院大学准教授)が朗読する。司式は石田学氏(ナザレン神学校教授)、聖餐式司式は関川泰寛氏(東京神学大学教授)。

 ジャン・カルヴァンは1509年7月10日、フランスのノワヨンに弁護士の息子として生まれ、早くから優れた教育を受けた。14歳からパリ大学で人文主義と神学を学んだが、父親の意向もありオルレアンとブールジュで法学を修める。しかし父の死とともに法学を放棄し、パリに戻って古典古代の研究に打ち込んだ。この頃から福音的カトリックとの接触があり、自らの聖書研究とも相まって突然の回心を体験、明確な福音主義プロテスタントの信仰を抱くに至った。
 1533年秋、福音主義信仰のゆえにフランスから亡命を余儀なくされバーゼルで『キリスト教綱要』第1版を執筆。36年、ジュネーヴ共和国の教会改革のために迎えられ、スイス改革派教会の指導者として、また、全ヨーロッパの福音主義陣営の指導者として多大な影響を与えた。
 38年4月、教会自治権の問題から市参事会と対立しジュネーヴを追放されたが、41年9月には再びジュネーヴに迎えられ、後の長老・改革派教会政治の原型となるジュネーヴ教会規定にのっとった教会改革を推進。監督制でも会衆制でもない代表制統治形態としての長老主義を確立し、プロテスタントの有力な流れを形成した。
 明治初期、日本に入ってきたプロテスタント宣教師の多くがこの流れに属していた。
 著書『キリスト教綱要』は福音主義神学の集大成として、今日まで広く各国語で読み継がれている。
     ◇
 「カルヴァン生誕500年記念集会」の会費は2,000円(軽食有り、学生500円)。定員240人のため、実行委員会では事前の参加申し込みに協力を呼びかけている。申し込みはEmail:calvin09-tokyo@biz.nifty.jp  またはFax.047・342・5243(関口康)。会費は当日。詳しくはURL: http://calvin09.protestant.jp/

◎カルヴァンとリフォームド神学−−『綱要』訳者、渡辺信生氏が記念講演=0906070304

 カルヴァン生誕500年、日本プロテスタント宣教150年を記念して、いのちのことば社から『リフォームド神学事典』が刊行された。高名なカルヴァン・カルヴィニズム研究家ドナルド・マッキムが編集して01年に米国のウェストミンスター・ジョンノックス出版から刊行されたThe Westminster Handbook to Reformed Theology の邦訳。執筆陣にはH・ベルコフ、J・H・リース、R・ムラー、J・I・パッカー、I・J・ヘッセリンクら、福音派も含む今日の神学会をリードする著名な神学者や学者117人が参加。450ページに収録された176項目には改革派神学の系譜、改革派信仰告白文書、聖書教理、教会の政治・礼拝・生活、神学の類型はもとより、健康と医療、結婚の神学、自然科学、良心、自由、宗教的寛容、抵抗権、正義、平和、社会倫理、民族優越主義など、政治・経済・倫理の今日的課題、エキュメニズム、解放の神学、フェミニスト神学、物語神学、カイロス文書など、現代思想の潮流や動向も分かる。定価6,500円、9月まで発売特価5,985円。

◎大学は勧誘の最前線−−危険がいっぱいの新入学シーズン=0906070602

 カルト集団にとって大学は、昔も今も新規入会者獲得の収穫場である。自己のアイデンティティー形成へ向けて人生の模索をする年代の若者が、生まれ育った家族やコミュニティーを離れて都会の大学に入学する。新入生が入ってくる4月、そして孤独や不安を感じる5月連休明けから夏休み前の時期は、そうした心理にカルトがつけ込む危険ゾーンだ。「ラブシャワー」といわれる親身な(と見せかける)カルト信者の声かけで心動かされ、入信する新入生は後を絶たない。毎年この季節に勧誘が活発に行われるサークル活動の中にも、正体を隠した危険なカルト団体が紛れ込む。
 しかし、そうしたカルトの危険に対して、大学の対策は十分ではないと『カルトからの脱会と回復のための手引き』(概要左掲)の中で「キャンパスにおけるカルト問題と対策」の章を執筆した渡辺浪二・フェリス女学院大学教授(社会心理学)は指摘する。学生にカルトの危険性を訴える講義など積極的なカリキュラムが組まれているのは、カルト問題に関心のある教員がいる少数の大学でしかないという。
 宗教部などがあるキリスト教主義大学では比較的早い時期から、危険な団体の活動について学生に警戒を呼びかけるなどしていたが、今春になってようやく公立大学でもこの問題で連携を取る動きが見え始めてきた。
 やはり同書の執筆者である櫻井義秀・北海道大学大学院教授(文学)は、大学がカルト対策に消極的な原因として「原則リベラリズム」という大学教員の特徴を挙げる。原則リベラリズムとは「特定の社会問題に対して、価値判断を控え、世間に対しては体制に抗い、多数派よりは少数派の声に耳を傾けることをもって、みずからがリベラリズムであることを証明しようとする態度」のこと。渡辺氏は、この考えに従えば、教員の行動は大学内における公平・公正を守り(余計な口出しをしない)、大学生の自主性に任せ(学生へ無関心)、信教の自由には言及しない(宗教への無関心)ということになり、学内でカルト問題が生じても関わりをもとうとしない風潮になることを指摘。「勧誘のためなら手段を選ばないというカルト側の頑強さに比べ、大学側の危機意識、それに付随する予防や対策は悠長すぎる」と警告している。