全国規模で緊密に連絡、協力する仕組みを キリスト全国災害ネット発足 横田氏「一致した教会は分断された世界の希望に」

阪神淡路大震災以降、日本では東日本大震災、熊本・大分地震など震度7クラスの地震による家屋倒壊や津波被害、地球温暖化による集中豪雨や台風被害などの自然災害が続いており、今後もこのような大規模災害が起こることが予想されている。そんな中、全国のクリスチャン広域災害ネットワーク、災害支援団体及び教団教派の災害支援部門メンバー、メディア関係者41人による第2回懇談会が11月28日、東京・千代田区のお茶の水クリスチャン・センター(ОCC)で開催。大規模災害に備え協力するための全国ネットワーク「キリスト全国災害ネット」(愛称・全キ災)が立ち上がった。【中田 朗】

全キ災は、全国にあるキリスト教関連の災害支援団体によって構成されるネットワークで、①大規模災害に備えて迅速で適切に協力できるための仕組みを作っておくため、②大規模災害が起こった時に情報を迅速に分かち合うため、③災害支援について日頃から互いの経験と取り組みを分かち合うため、を目的とする。
また、規約として▽登録団体の名簿を作成する、▽少なくとも1年に一度、主にSNS等を用いて会合を行う、▽世話人を選び、会の運営に当てる=①世話人の人数は数名程度とする。任期は2年とするが、再任は妨げない、②役割はネットワーク拡大、名簿管理、会計管理、会合のための準備等を行うこととする、▽会の運営に関しては献金によって賄う、▽本部は後日決定、▽規約の変更は世話人で審議し、全体会合で決議する、などを決めた。
懇談会開催及び全キ災設立の経緯は以下の通り。2018年7月の西日本豪雨災害を機に、同年8月から四つの広域災害支援団体(岡山キリスト災害支援室〔草井琢弘室長〕、九州キリスト災害支援センター〔横田法路理事長〕、キリスト教会・広島災害対策室〔北野献慈室長〕、四国キリスト災害支援会〔万代栄嗣会長〕)が西日本キリスト災害支援連絡会を発足させ、西日本豪雨災害への支援に関し月一回、1、2時間ほどのLINEによる連絡会を行い、情報共有、協力、祈りをしてきた。
その中から、今後予想される大規模災害に備え、普段から全国規模で地域の災害支援ネットワークと災害支援関連団体等が緊密に連携を取れていれば、災害時に正確、迅速な情報交換と効果的な協力ができるのではと祈り始め、今年の6月25日にОCCで第1回目の懇談会(司会:北野、横田)を開催。全国規模での災害ネットワークの意義と役割について検討した結果、情報交換と協力のゆるやかなネットワークが必要であることを確認し、年内に次の懇談会を開くこと、そのための準備委員会を発足させること、全国を北海道・東北、関東、中部、関西、中国・四国、九州・沖縄の六つの地域に分け各地地域から準備委員1人を選出することを決定。第2回目の懇談会開催に至った。
当日は、呼びかけ人の北野氏、横田氏が司会進行し、横田氏がピリピ2章3~5節からメッセージ。「みなが一致していくのに必要なのは、まずへりくだり。へりくだりは交わりを生み、育くむ。弱さ、課題、問題よりも、互いの良いものに目を止め、そこから学び合っていけるならば、本当に素晴らしいネットワークになっていく。もう一つは思いやりの心。私たちには弱さ、欠点があるが、私たちがほかの人を顧みその必要を満たしていく。それがイエス様の歩みだったのではないか。そのへりくだりと思いやりが、ライバル心、競争心、壁を乗り越えられる。そのために、キリストにあるゴールをはっきり見据える必要がある」と語った。
また、「分断された世界に対し、分断された教会は語るべきメッセージを持っていない」という、ある台湾の指導的な牧師の言葉も紹介。「本当にそう思う。でも、私たちがキリストにあって一つとされた時に、教会は分断された世界に希望のメッセージとなる。その意味で、この集まりがその先駆けであると期待している」とエールを送った。
当日はグループディスカッションが行われ、会の通称、略称について、規約の内容や文言について、目的を達成するための具体的なアイデアについてグループごとに話し合われた。