2015年07月05日号 3面

【CJC=東京】教皇フランシスコは6月18日、「環境的回心」を呼びかける回勅『ラウダート・シ』を発表した。地球温暖化について気候変動と生態系の破壊が深刻な結末を招きかねない、と懸念する教皇が、国際社会に敏速な行動を呼びかけたことが注目される。年末にパリで開かれる国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)での論議に影響を与える意図も認められる。

教皇はこの回勅を通して、わたしたちの家である地球が上げている叫びに耳を傾け、皆の共通の家を保全し、責任をもってその美しさを守るために「方向性を変えていく」よう、「環境的回心」を呼びかけ、「統合的エコロジー」を提案した。

バチカン放送(日本語電子版URLja.radiovaticana.va)によると、回勅の表題は、アッシジの聖フランシスコの「太陽の賛歌」中の言葉「ラウダート・シ、ミ・シニョーレ」(「わたしの主よ、あなたは称えられますように」の意)から取られている。

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回勅の内容は以下の通り。

▽1章=環境問題に関する最新の科学的研究を踏まえ、気候変動・水問題・生物学的多様性の保護・環境的負債など、現在の環境危機の様相を述べる

▽2章=聖書を通して、ユダヤ教およびキリスト教的伝統の視点から、自然に対する人類の責任、すべての創造物の間にある親密な関わり、共通の財産としての環境について考える

▽3章=哲学や人間科学との対話のうちに分析。テクノロジーや人間中心主義の弊害、人間の労働や遺伝子組み換えの問題にも言及

▽4章=環境・自然は経済・政治・文化・日常生活に密接に関わるものと認識し、環境問題と社会・人間問題を切り離すことのできないとして提示

▽5章=社会・経済・政治のあらゆるレベルにおける誠実で透明性のある対話を提案

▽6章=環境的回心のために、教育と育成の重要性を強調。違う生活スタイルの選択により、政治・経済・社会に健全な影響を与えると共に、小さな日常の態度、簡素な生活から、世界に対する責任と、弱い人々への配慮を持った、「統合的エコロジー」を目指す。