4月5日号紙面:【新型コロナ関連】パンデミック WEA、WCC、ローザンヌが世界に呼びかけ 受難を覚え、光となって
パンデミック WEA、WCC、ローザンヌが世界に呼びかけ 受難を覚え、光となって
新型コロナウイルスは、世界的に深刻な感染拡大となった。国際的な教会ネットワークも、教会の対応のための資料提供、祈りの発信をしている。教会堂での活動も縮減、中止となる中、病気、高齢、障害、経済的な困難を抱える人への配慮についても勧めている。
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世界福音同盟(WEA)のエフライム・タンデロ総主事は、3月15日に公式祈祷を発表。全能の創造者に語りかけ、国や地方のリーダー、医療関係者のためとりなし、恐怖ではなく恵みと平安が与えられるよう祈った。また「キリストの似姿を反映させ、富む人が貧しい人を放置することがないように、孤独な人に慰めと助けを与えられるよう」に願った。「このパンデミックのただ中で、あなたが私たちを愛で結び、私たちの国々を平和に結びつけ、あなたの恵みとあなたの力で私たちの国に希望と癒やしをもたらす」
WEAは「祈りと断食の国際デー」(Global Day of Prayer & Fasting)を3月29日に設定。16組の祈りと聖書朗読の素材があり、合わせて8時間のプログラムを実施できる。「一人でも家族でもグループでも、日中にほんの数分または数時間祈るだけでもいい」と勧める。「お互いを励まし合う最良の方法は、私たちが問題を一緒に歩きながら信仰と希望の物語を共有すること」としてフェイスブックグループも設置した。
WEAサイト上では、アフリカ福音同盟事務局長のアイア・フォデイ・カベニー氏の祈りも紹介。受難節に触れて、「キリストの死に対する受難と勝利は、希望を与え、死の恐怖を消し去る。パンデミックの中でも、教会は立ち上がることができる」と励まし、以下のことを勧めた。①予防策を講じて、他の人を危険にさらさせず、困っている人を助けることができるように祈ること、②専門家の助言を受けた政府の指令に従うこと、③教会堂での礼拝を控えること、④高齢者や弱い人への配慮、⑤信仰による癒やしを求めつつ、警戒を怠らないこと。
5月にマレーシアで開催予定だったアジア福音同盟総会は延期し、同議長の植木英次氏の任期も延長した。
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スイス・ジュネーブに本部を置く世界教会協議会(WCC)は、3月に予定していた中央委員会を延期、様々な業務をオンラインなどで実施している。ホームページに「コロナウイルスへの
対処」(Coping with the Coronavirus)のページを特設して情報提供している。オラフ・トゥベイト総幹事は3月18日の書簡で、「命を守るためにできることは何でもすべき」と呼びかけた。「正義と平和のために祈り、働くことの中には『健康のため』も含まれる。信仰共同体は、このような時に、連帯と説明責任、知恵とケアを促進するために多くのことをすることができる。生計手段を失った人、飢餓のリスクにある人などと連帯したい」。また礼拝についても一体感を重視しつつ、「危機の時は、互いへの愛をもって、集まったり触れ合うことを避けたい」。デジタル技術や様々な手段で連絡をとるよう勧めた。21日には翌日の日曜礼拝について、WHOの基準にしたがって、教会が感染源にならないように集会を差し控えるよう勧めた。
教皇フランシスコの呼びかけに応じて、25日に全世界でそれぞれの場所で「主の祈り」を祈ることを呼びかけた。トゥベイト氏は「世界中の人々は散らばっているが、私たちは主イエス・キリストが私たちに教えた言葉で神に祈る際に私たちの声を統一する機会を持ちたい。この困難な時期に、私たちを団結させる祈りのある活動は、私たちが一つの人間の家族であることを思い出させる」と語った。
弱い立場の人たちに焦点を
国際ローザンヌ運動はホームページ「コロナウイルスのパンデミック時に希望を持って導く祈りとリソース」(Leading with Hope during the Coronavirus Pandemic)
を開設。祈りの課題として、政府と地方自治体、WHOおよびすべての医療専門家、グローバルな職場の業界リーダーと労働者、牧師、教会指導者、およびコミュニティーのリーダーのため、を挙げた。 「今こそ羊飼いの主がこの困難と苦痛のこの時代に、世界の国々に慈悲と恵みを与えてくださいますように」
同運動にかかわるリーダーたちの論考を様々な雑誌のリンクとともに紹介。精神科医パブロ・マルティネス氏は疫病のまん延の中で書かれたとされる詩篇91篇に注目。「信仰は恐怖より勝利する」ものであり、神への信頼を励ました。ビリー・グラハムセンターのエド・ステッツァー氏は正確な情報を得ることと、衝動的にならないことを勧め、脆弱(ぜいじゃく)な集団に焦点を向けた。
イタリアの牧師らの文章のリンクも紹介され、「ビデオストリームとテキストメッセージは、具体化された生活に代わるものではない。試練が終了し、春のお祭りと抱擁に取って代わられることを願う」「「この悲しい時間を利用して、別の視点から物事を見ることで恵みの時間に変える必要がある」という声があった。
被造物ケアネットワークニュースの中で、エド・ブラウン氏は、パンデミックについて「環境危機」でもあると指摘。「グローバルな社会的および経済的構造全体は、壊れやすい生態学的基盤の上に構築されている。私たちは皆、貪欲で構築された腐敗した罪深いシステムの一部」と述べた。
さらに「『正常』になったときが、また危険。自己満足とビジネスの世界に逆戻りする」と警告し、
「神の最初の命令である『園の世話』を思い出す必要がある」と語った。その上で、コミュニティーを愛し、隣人を助けること、自分自身をケアして神との時間を大切にすること、家族との時間を過ごすことを勧めた。
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米国ホィートン大学人道災害研究所は、教会のためにコロナウイルス対応マニュアル(Coronav
irus Resources for the Church)を作成した。それは六つのステップ、①整理、②保健チームを編成、③コミュニケーション戦略を策定、④教会と地域社会への働きかけ、⑤他の教会や地元の公衆衛生機関との協働、⑥変化するニーズに対応、で構成。課題やメンバーを整理するためのテンプレートも提供する。「あなたの会衆にすでに存在する知識、才能、賜物、およびリソース、コミュニティーを生かしてほしい。小さなものから始めて、学ぶにつれて発展させてほしい。ニーズに合わせて柔軟に対応して」と勧める。