第51回キリスト教功労者顕彰式 功労者に船戸氏 アジアの人々への支援活動に従事

「第51回キリスト教功労者顕彰式」(公益財団法人日本キリスト教文化協会〔近藤勝彦理事長〕主催)が10月19日、東京・中央区の教文館ウェンライトホールで開催。今年はコロナ禍ということもあり、例年、2、3人の顕彰者のところ一人に限定。日本基督教団勝沼教会牧師の船戸良隆氏(84)が顕彰された。
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船戸氏は1936年東京生まれ。高校2年生の時、米オレゴン州から来た宣教師から洗礼を受けた。船戸氏は教会の人が見ず知らずの人を「隣人」と呼び、その隣人のために祈る姿を見て感動。だが、教会にもいろいろな人がおり、気になる。ある日、祈りの中で「あの人この人の欠点をあげつらっているが、お前こそ罪人ではないか」という声を聞き、罪の赦しを体験した。
伝道者になることと生涯を貧しい人々のために捧げるという目標が明確になった船戸氏は献身し、東京神学大学に入学。神学生の時、全国のキリスト者と共に「筑豊の子どもを守る会」を設立。当時、石炭から石油への転換が急ピッチで進む中、筑豊炭田も次々に閉山に追い込まれ、炭鉱住宅の子どもたちの健康と教育がなおざりとなっていた。そういう現状を見た船戸氏は運動の先頭に立ち、61年、大学院1年の時に1年休学して炭鉱住宅に住み込んだ。

花束を受け取る船戸氏

65年、同大学院修士課程を修了し、東京・足立区の日本基督教団聖和教会の伝道師として2年間従事。その後約15年間は東南アジアの奉仕活動を行った。まず日本キリスト教協議会(NCC)から派遣され、ベトナム難民救援活動に従事(67~69年)。続いて海外協力事業団からサイゴン大学(69~71年)、国際交流基金からタイの2大学(76~79年)へ派遣され、日本研究講座の教授を務めた。
81年には、日本キリスト教海外医療協力会海外担当主事、後に総主事に就任。90年アジアキリスト教教育基金専務理事・理事長に就任。NPO、NGOの実践者としての豊富な経験と知見を買われ、外務省や国際協力機構(JICA)など政府機関の各種委員を委嘱され、そこでの講演・講義を数多く行った。現在は勝沼教会牧師、NPО法人アジアキリスト教教育基金顧問。
挨拶で船戸氏は、生涯の師と仰ぐ隅谷三喜男氏の「キリストは十字架の一部を持って歩むよう私たちを召してくださった」という言葉を引用。「喜んで十字架を背負う、という隅谷先生の教えに従っていきたいと思った。今後何年生きられるかわからないが、キリストの足跡に従って歩んでいきたい」と語った。