故・西川重則氏が残そうとしたものとは? 真理外さないため祈り欠かさず 「教会と政治」フォーラム第19回例会

2020年7月23日に92歳で亡くなった西川重則氏。生前、「靖国神社国営化反対福音主義キリスト者の集い」代表、「政教分離の侵害を監視する全国会議」事務局長などを歴任し、キリスト教会内外で、政教分離を監視し、天皇の戦争責任を問い続けた。また、国会傍聴も20年間続けた。その西川氏が残そうとしたものとは何だったのか。昨年11月27日、Zoomによって行われた「『教会と政治』フォーラム」の第19回例会では、星出卓也氏(長老教会・西武柳沢キリスト教会牧師)が「不断の警告は自由の代償 西川重則氏が継承しようとした戦没者遺族としての信仰の道」と題して発題した。【中田 朗】
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「『自衛戦争』の美名に踊らされ出征し、正しいことと信じて出ていった兄の死は何だったのか。兄を奪った戦争とは何かを知りたい。それが西川氏を動かしたものではなかったか」。星出氏はそう語る。
18年9月、キリスト者遺族の会で、西川氏が語った内容を振り返った。「西川氏にとって、求道することと真理を求めるということは一つのことだった。西川氏はアジアの視点から歴史を見直すことで、太平洋戦争が『自衛戦争』とは真逆の『侵略戦争』だったことを知った。兄の死は『天皇のために命をささげた尊い死』ではなく『侵略加害のために利用された死』との捉え直しはとてもつらく、うそを信じた悲劇、真実を隠された悔しさは計り知れなかった。同時に真実を追い求めなかった責任とその結末は悲惨な結果であったことを痛感するようになりました」

ありし日の西川重則氏

「靖国に合祀され『天皇のために命をささげた尊い死』の意味づけに慰めを見出す遺族たちに対し、『侵略加害のために利用された死』という、痛みと苦しみを二重に背負う遺族は圧倒的に少数だ。しかし、『その数がいかに少なくとも、この群れはまさに石が叫ぶべき』と、キリスト者遺族会の遺族文集に書いた。それはルカ19章40節の御言葉に立った確信に裏打ちされていると思う。『侵略加害』の戦争のために家族が動員され、失われたことを誠実に受け止める遺族たちは、戦争の罪責を心に深く刻みつつ、うそを見抜き、うそに対抗し、真実を追い求める、深い動機が与えられていったことを覚えます」
「祈祷会をどんな時でも休まない。はってでも出席する」という、教会の長老としての西川氏の一面も紹介した。「15年の安保法制の時は連日深夜にわたって国会審議が続き、西川氏も徹夜覚悟で国会傍聴に、、、、、

2021年1月31日号掲載記事