信仰決心者が多いと言われる4歳から14歳の世代への伝道と信仰成長を推進する「4/14(フォーフォーティーン)の窓運動」が関西で広がる。関西で同運動を推進する関西フォーラムサーバントチーム主催の関西フォーラム2021「会いたかった! 君に!」が、10月30日に活けるキリスト一麦西宮教会で開かれた。主題講演はhi-b.a.(高校生聖書伝道協会)関西スタッフで、武庫之荘めぐみ教会伝道師の鈴木雅也さんが務めた。(次号以降で関連記事)【藤原とみこ】

 

「これは教会を励ますムーブメント」

サーバントチームは、MB・石橋キリスト教会牧師の船橋誠さん、同副牧師の太田真実子さん、フリーメソジスト・桜井聖愛教会牧師の大澤恵太さん、大阪聖書学院教師でミニストリーつむぐを主宰する老松望さん、MB教団スタッフ小寺桃子さん、一麦西宮教会牧師の鶴岡徹也さん、MB・広島北キリスト教会牧師の竹田満さんの7人が働きを進めている。

牧師や教会学校教師、子ども伝道や次世代ミニストリーに関心のある人々に向けて、昨年第1回集会をオンライン併用で開催した。今回進行を務めた大澤さんは「これは教会を励ますムーブメント。この働きを通して、それぞれの教会で、子どもたちや青年たちを大切にしていく運動が起こればと願っています」と、語った。今年は「会いたかった!」のテーマに合わせて「ぜひ現場で共に考えよう」と、現地集会のみの参加を呼びかけた。

 

「アナログかもしれませんが、これは今でも伝わる方法です」

主題講演で鈴木さんはマルコ伝2章1~5節から、中高生たちに「会いたかった君に!」と声を掛け合う関係づくりの大切さを語った。

牧師からhi-b.a.のスタッフとなって19年のキャリアがある(内パートタイム10年)。「それでも、いまだに高校生たちにどうしたら伝えたいことが届くのか、葛藤の日々です。悩むこと、それが僕たちの仕事だろうねと、友人と話し合ったことがあります。とにかく、まずは彼らと向き合うこと。向き合って、悩む。葛藤があるのはそのフィールドに立っている人だからこそ。神様が求めておられるのは、この子たちのために、どれだけ祈り、向き合う存在となるのかということではないか。それが私たちの仕事なのだと思います」

鈴木さんは、高校時代hi-b.a.のキャンプで信仰を持った。教会生活をエンジョイしつつ、信仰成長に手を貸し「いろんなことに巻き込んでくれた」のが、教会の30~40代の大人たちだ。

「母子家庭となり、父不在の私を、教会の大人の人たちがカバーしてくれました。中高生たちは同世代がいないから教会に来ないわけではありません。彼らは温かさを求めています。向き合うことで、皆さんの関心や愛、温かさは充分伝わります」

牧師時代には「どうしたら中高生が教会に来るようになるか」を考えた。 「教会を、我慢するところではなく、いかに楽しく集える場所にするか、悩みを分かち合えるつながりをどうしたら持てるか、考えました」

教会では、公園伝道に力を入れていた。金曜日の朝、校門前で声を掛けて案内し、大人が本気で遊ばなければと、力いっぱいドッジボールをやった。ボールで鼻血を出した子からは「人殺し牧師」のあだ名が付いた。20年も前の話。でも、今だって公園で紙芝居をすれば子どもが集まり、ギターを弾けば子どもたちは喜んで周りを囲む。

「アナログかもしれませんが、これは今でも伝わる方法です」。子どもたちとの接点はこの時代にも探せばたくさん見つけることができる。その一方で、難しいのは小学高学年以降だ。

こうした以前から言われているチャレンジに、さらにコロナ状況がやって来た。集まること自体が難しくなった。hi-b.a.の働きも、集まり語り合うことを中心としてやってきたが、一変した。SNSを駆使してアプローチしてきたが、中高生に届いているという手応えはなかなか感じられない。遠方とつながれるのはオンラインならではのメリット。しかし「目の前の子たちに届き切らない」というのが実感だ。

 

礼拝だけで関係性を作るのは難しい

そうした中で、「コロナ禍は備えの時なんだとも思いました。オンライン宣教の可能性は素晴らしいけれど、限界もある。だから、多くの教会、ミニストリーの現場が常に集まれるようになるのを、この1年半待ち続け、探ってきたと思います。でもただ待っているだけではない、待ってる間に中高生、さらにその後に続く小学生らのためにどう働きかけ、どうしたら教会が彼らを活かす場所となるかを考えて備えなければ、何も変わりません」

今後集まる機会が訪れたとき「プログラムで引っ張るか。関係で引っ張るか」と考えると、優先するべきは関係性だ。教会に彼らの居場所を形成し「うっとうしがられても、彼らの中に入って」一緒にいることを選んでみたら、彼らの興味や思いを知る人になれる。

「中高生は集まることはできても羊飼いが必要な世代です。環境を整えるのは大人の仕事。ミニストリーの武器はグッズと、みことばと、神への信頼です。グッズは彼らを集め、関わりを生み出すもの。卓球台でも漫画室でも、長時間寄り会える場があればいい」

「子どもたちは礼拝だけで関係性を作るのは難しい。中高生たちと共有できる物が多ければ、話題が増え、人も寄ってくる可能性が生まれる。教会で備えられることは何か話し合い、アイディアを出し合ってほしい」と鈴木さんは呼びかけた。

「聖書の中風の人をイエス様のもとに運んだのは4人のチームでした。みんなで病人のために心と目を向け、手を差し出した。私たちも常にみことばを指針にして、どんな時も生きて働かれる神様に信頼し、子どもたちに心と目を向けて近づいて行きましょう。床に差し伸べる手となりましょう。私たち大人がチームとなって、一人一人の子どものために何ができるか考え、祈り合う関係を広げてほしいと願っています」
講演は「関西フォーラム」公式SNSで配信。