「D6」とは申命記6章の略です。この運動は、2004年に牧師、リーダー、家族を次世代育成に備えるために始まりました。世界中の教会ではたくさんの問題が起こっています。深刻なのは、どの国でも教会で育つ若者の64%が教会から離れていくことです。家庭での信仰継承がうまくいっていないのです。取り組むべき四つの課題があります。

ロン・ハンター・Jr氏

一つ目は、次世代に「聖書的な世界観」を植え付ける必要があります。若い世代が学校や友だちとの生活の中で、神の御言葉から助言を受けるようにすることです。
二つ目は、「若者の信仰離れ」の課題に取り組むことです。若者たちはたくさんの疑問を抱えています。「神様は本当にいるのか、神様がいるのなら、なぜこの世界は問題だらけなのか」などです。このような質問にきちんと聖書から答えなければ、次世代の信仰が破壊されてしまいます。
三つ目は、若い世代が「ジェンダー・アイデンティティー」の問題で苦しんでいることです。人は神のかたちに、男性と女性に造られました。今、そこに大きな問題が起こっています。家庭と教会の大人たちが裁くのではなく、真剣に若い世代の声に耳を傾け、聖書から正しい答えを得る手助けをする必要があります。
四つ目は「聖書的リテラシー」です。次世代が聖書を学び、聖書から真実と真理の違いを見極められるように助ける必要があります。
次に問題なのは168分の1という数字です。1週間は全部で168時間ですが、教会が次世代育成に費やしている時間は週に1時間なのです。礼拝やユースグループなどの時間ですが、次世代育成には十分な時間ではありません。子どもたちは、1週間168時間を、睡眠、学校(友だちや部活)、携帯やゲーム、それから家庭で過ごす時間に費やしています。私たちは子どもたちが家庭で過ごす時間(学校や部活から帰って来てから寝るまで)を大切に使って、次世代育成に取り組まなければなりません。教会と家庭が協力して次世代育成に取り組むのです。私たちは今まで、次世代育成は教会がするものと考えてきたのではないでしょうか。私たちは教会と家庭という両足を使って次世代育成ミニストリーをする必要があります。
D6運動にはもちろん、プログラム、活動、戦略があります。けれども、大事なのはむしろ使命、ビジョン、原則なのです。申命記6章(D6)の原則に従って次世代育成に取り組みましょう。1週間のうち、日曜日に教会に集まって過ごす時間だけでは不十分です。教会と家庭が協力して次世代育成に取り組むのです。D6は、イベントやプログラムではなく、生き様だと言えるでしょう。
聖書を学び、次世代に信仰を伝えましょう。教会の次世代育成の奉仕に加わりましょう。子どもたちに温かく接しましょう。すぐに教会が変わる訳ではありません。結果が見えるまで1世代はかかります。けれども今日、出発すると必ず神様は次世代を祝福してくださいます。
(この他の講演、セッション、ワークショップの一部を次週以降の号に掲載)

(クリスチャン新聞web版掲載記事)