9月10日号1面:浸水から復旧作業進む秋田中央キリスト教会 「〝受けることも大切〟知った」
7月の記録的豪雨で、教会堂と牧師館が床上浸水に遭ったルーテル同胞・秋田中央キリスト教会(若松史志〔ふみゆき〕牧師、秋田市広面樋ノ上29ノ2)=8月13日号で既報=。あれから約1か月がたったが、クリスチャン災害援助団体クラッシュジャパンのスタッフたちをはじめ、外からのボランティアたちの協力により、急ピッチで復旧作業が進められている。だが、当初は「支援を受けることに戸惑いがあった」と教会のメンバーたちは言う。その背景に、高齢化や教会経済などの問題があった。
8月24日、記者は現地を訪れた。床上浸水した会堂は、前日までに床下の泥出し作業がすべて終了。その日から根太(床下を支える補強部材)を取り外す作業に取り掛かった。
作業には、永井敏夫さん(クラッシュジャパン代表理事)、内山忠信さん(同理事)、中橋スティーブンさん(石巻クリスチャンセンター〔ICC〕フィールドディレクター)と妻のアンさん、大塚信頼さん(町田カルバリーフェローシップ牧師)と、教会員ら合わせて十数人が参加した。
あいにく、秋田はかつてないほどの連日の猛暑で、その日は最高気温38度を記録。ちょっと動くだけで玉の汗が流れ、暑さがどんどん体力を奪う。20分働いては休憩を入れ、しっかり水分補給するなど、熱中症対策に神経を使いながら作業は進められた。それでも、25日までには根太を取り外す作業はすべて完了した。
若松牧師に話を聞いた。水害に遭った直後は、「いろんな方々から『大丈夫ですか?』とメールをいただいた」。だが、メールには「お祈りありがとうございます。水で泥を洗い流したので大丈夫です。礼拝はできています」と返信した。
そう返信したのには理由があった。「3年前に借地を買い、借金もまだ残っていた。教会員の高齢化もあり、これ以上借金して再建するという発想には至らなかった。再建の結論が出るとしても、信徒会での激論を幾度も重ねなければならないだろうなと。『2年先でないと。今は答えられません』という感じだった」
7月26日に永井さん、内山さん、中橋夫妻が現地を視察。汚泥は想像以上に床下に流れ込んでいて、「このままだと健康被害が出る。泥出し、床板の張り替えが必要だ」との見立てだった。
永井さんたちと話す中で、若松牧師の心境も変化していった。「『ああ、イエス様が来てくださったのだ、御手が伸ばされたのだ』と感じた。『ただで受けなさい』というのは、意外と戸惑いのあることだなと。保証を得てから着手するのでなく、分からないけれど、御声に従って歩んでいく、その実地訓練だなと思った」。結局、支援を受けることを決断。そのことを教会員にも諮り、了承を得た。
教会員にも話を聞いた。「いのちのことば社の移動キリスト教書店『ゴスペルボックス』の販売が終了したその日の夜から大雨が降り始めた。こんな事態になるとは夢にも思わなかった」、「この教会は捧げる教会。宣教師を送り出す、他教会を生み出すなどいっぱい支援してきた。でも、初めて支援を受ける側になった時、受けていいのか戸惑いがあった。今は信じる、信頼することの大切さを教えられている」などの声が聞かれた。
当日は祈祷会も行われ、永井さんがイザヤ書30章18節から、教会員に向けこう励ました。「主は、恵みを、あわれみを与えようとしておられる。だから、喜んで受け取ってほしい。与える側にとってそれは大きな喜びだから。『お金がないのに作業するの?』と思われるかもしれない。でも、神様はその必要を必ず満たしてくださる。神様は今も生きて働いておられる」
同教会への支援金窓口は以下の通り。秋田銀行南通り支店 店番号131 口座番号201529 アキタチュウオウキリストキョウカイ