2月28日号レビュー:鈴木光著『「バカな平和主義者」と独りよがりな正義の味方』
感情的な非難合戦を超えて
本書の著者は2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ時に米国に滞在し、イラク戦争時に米国の神学校で学んでいました。日本の教会で育った彼は「戦争反対の平和主義者」であることが信仰者として当然と思っていましたが、米国の多くの信仰者が「正義の戦争」を肯定する様子にショックを受けました。評者も1980年代の東西冷戦末期に西ドイツで働いていた時、多くのドイツの信仰者が米国との同盟関係を重視し、当時あった徴兵制を当然のように受け止めていることに驚いた経験があります。安全と平和に関する意識の違いが、置かれた国の状況によって驚くほど大きいのが現実です。、、、
(評・髙橋秀典=立川福音自由教会牧師)