[CSD]2002年7月14日《ヘッドライン》

[CSD]2002年7月14日《ヘッドライン》
 = 1面 =
★コーランで伝道、アラブ語で祈り——転機に立つイスラム
◎サッカーW杯伝道、決勝戦まで全力——期間中に聖書10万部出庫
★「2005年愛知万博での宣教を考える会」結成——全国の教会に協力呼びかけ
★イスラエル:イエス時代の競技場を発掘
★<青天幕に射した光>[11]あいさつで存在価値を確認
★<落穂抄>青年宣教への取り組み

 = 2 面 =
★保守化する米神学校(上)——社会の世俗化に戦いを挑む 記・渡辺 聡
★米国:同性愛擁護者の抗議を排除——南部バプテスト連盟総会
★日本バプテスト連盟:南部バプテスト連盟の保守化に批判的見解
★<世界の出来事フラッシュ>米国、
★<神のかたち>[10]みごもりの苦しみを増す 記・稲垣 緋紗子
★<論説>熱狂のW杯を終えて——世界市民の健全なナショナリズム 記・稲垣 久和
★あかし文学賞:キャンドルの灯火[14] 作・島田 裕子

 = 3 面 全面広告=
☆JEA世界宣教青年大会
2003年8月12日(火)~15日(金)

 = 4 面 =
★第13回日本伝道協議会:21世紀の日本基督教団の使命——伝道主体の確立焦点に
◎「アメリカの政治と福音派」——政治利用で道徳再建は失敗
★サッカーW杯の「宗教」と「有事」 記・櫻井 圀郎

 = 5 面 =
★桜の下で「心」にあう——自転車で日本各地を巡る
★あらゆるジャンルを一般に紹介——衛星デジタルラジオ ゴスペルWOW!
★<北から南から>地域初の千人規模の教会堂——単立・沖縄リバイバル教会
◎パキスタンに救急車をください——田中久美子医療宣教師17年の実感
★魂に届く芸術目指して——第26回キリスト教美術展
★パキスタン:イスラム冒涜罪で死刑の上告審判決延期

 = 6 面 生活のページ=
★<あの日のメッセージ>「私は神に愛されている」ナーウェンの本から 記・杉崎 弘
★<真っ向勝負>質問:打ち上げ、飲み会、どうしよう? 回答者:小澤 由紀恵
★<今週の本棚>『この世の富に忠実に』大谷 順彦著(すぐ書房、2200円)
★<今週の本棚>『友のためにいのちを捨てる』ヘンリー・J・M・ナウウェン著(女子パウロ会社、円)
★<今週の本棚>『「父と蜜の流れる地」から』山森 みか著(新教出版社、1900円)
★<情報クリップ>催し情報ほか


サッカーW杯伝道、決勝戦まで全力−−期間中に聖書10万部出庫0207140102

1か月間続いた韓日共催ワールドカップ(W杯)と共に、期間中、韓国と日本の各地で展開されてきたW杯伝道がフィナーレを迎えた。決勝戦のブラジル対ドイツ戦が30日、神奈川県横浜市の横浜国際総合競技場で開かれ、地元の教会や海外からの伝道チームが競技場周辺や最寄りの駅でトラクトや聖書などを配布し、最後を締めくくった。  試合開始前の午後5時半ごろ、競技場周辺はすでにお祭り騒ぎだった。カナリヤ色のTシャツを来たブラジルチームサポーターやほおに三色旗をペイントしたドイツ人、様々な民族服を来た外国人観戦客が丸くなって踊っていた。  そんな騒然とした中、競技場の西口ゲート近くで約1時間半、福音キリスト教会連合・本郷台キリスト教会(池田博牧師)の伝道チームが『10か国語ルカによる福音書・よころびのおとずれ』500冊、決勝戦用に作られたオリジナルトラクト(日本語400、英語100)、ギデオン聖書やクリスチャン選手の証しが入ったCD-ROMを配布=写真。日本では競技場周辺での伝道活動は警備が厳しく難しいと言われてきたが、「実際やってみると多くの協力と神様の守りにより、問題もなく配布できた」。同教会の伝道チームは期間中、横浜国際総合競技場を中心に聖書2千500冊、教会周辺にトラクト類2万部を配布した。  単立・横浜華僑基督教会(森吉慶牧師)に滞在し、中華街やみなとみらいなどで伝道活動をしてきた台湾キャンパスクルセードのチームは、新横浜駅周辺で証しトラクトとCD|ROMのセット約4千部を配布。メンバー12人は教会員と共に期間中1万部以上を配布。  日本聖書協会によると『10か国語ルカによる福音書-よころびのおとずれ』は日韓5万冊ずつ計10万冊を印刷、出庫した。

「アメリカの政治と福音派」−−政治利用で道徳再建は失敗0207140402

アメリカの政治を理解するにはキリスト教の影響を抜きにはできないと、6月25日、東京基督教大学共立基督教研究所「キリスト教と日本文化」研究会(櫻井圀郎座長)では「アメリカの政治と福音派」という公開講座を、千葉県印西市の同大学を会場に主催した。
 講師は、時事通信社米英国特派員、解説委員、出版局長を経て、現在、恵泉女学園大学教授の蓮見博昭氏(日基教団・武蔵野教会員)。今年『宗教に揺れるアメリカ』(日本評論社)を出版している。
 蓮見氏は、はじめに福音派を「逐語霊感説や聖書無謬説を信じる保守的なファンダメンタリスト」と定義。「ヨハネの黙示録にあるハルマゲドンを信じることから戦争を肯定し、善悪二元論に立ち、アメリカは正義だから最終的には勝つ」という考えを持っていると言う。
 そのような福音派は70年代後半から、中絶反対や公立学校の宗教授業開始要求などを訴えて、政治に強く働きかけた。その「少数意見を無視し、意見を強要する姿勢」や、教会を通じての選挙活動は非民主的と批判。
 米国人の30パーセントが、福音派に対して否定的な思いを持っているとのデータを示し、「(福音派は)政治を利用して、道徳や宗教を再建しようとするのに失敗した」と述べ、「宗教のために政治を利用するのは問題」と結論づけた。
 また、「福音派の支持者が3割を占めているブッシュ現米大統領は、宗教的な装い(発言)はしているが、宗教ではなく、経済に影響されて行動している」ともコメントした。
 櫻井氏は主催の意図を「蓮見氏は聖書信仰を誤解しているが、事実無根とも言い難いものがある。米国の影響を強く受けてきた日本の福音派は米国の教会を特別視する傾向があるが、社会的な視座からの視点にも耳を傾ける必要がある。社会の少数派である日本のキリスト教は政教分離を強く主張してきたが、社会の多数派を占める米国の福音派は政治的右翼として、政治と深くかかわってきた。信仰と社会的関与のあり方を示唆するものだ」としている。

パキスタンに救急車をください−−田中久美子医療宣教師17年の実感0207140504

「どうか救急車が与えられるように祈ってください」
 パキスタンのキリスト教系病院で看護婦として働いている田中久美子宣教師は6月25日、西宮市で開かれたアンテオケ宣教会主催第8回「世界宣教セミナー」の宣教大会で聴衆に呼び掛けた。
 80パーセントの人が家庭分べんの国では、地域によっては5人に1人が出産のために死亡しているところがある。専門の助産婦ではなく素人の介助での出産と、異常があっても搬送する車を頼むお金がないことが死亡率を高めている。だいたい病院に行くお金すらない人が多い。「テロが生まれる理由のひとつは貧困です」。このことばを実感してきた宣教17年だ。
 農村部に暮らす人々の40パーセントが貧血。ナンと紅茶の食生活で、肉が食べられるのは1か月に1回程度。栄養失調が蔓延している。1995年にやっと2か所の農村にヘルスセンターを作ることができた。病院で患者を待っているだけではなく、コミュニティー・ヘルスケアの活動が可能になったのだ。最近、パキスタン政府のプロジェクトの一貫として、訪問看護婦と課題だった助産婦養成の教育プログラムが行われた。現在カリキュラムを修了した人たちが現場で働き始めている。識字率45%、女性は28%という国で、医療従事者の養成に着手できた功績は大きい。
 「イスラム教国はキリスト教に門戸を閉ざしていますが、医療の働きを通して入っていけると、チャレンジを受けました。パキスタンは信教の自由は一応認められている国です。社会福祉的働きを通して福音を伝えると同時に、患者さんに直接福音を語る機会も神様が与えてくださいます」
 信教の自由はあっても、イスラム教は改宗が禁じられている宗教。洗礼を受けたい人の多くは、近所の目を避けて遠方の教会で受洗するという状況だ。
 「看護婦は不足しています。働き人は大歓迎です。外国からのワーカーは、病院のスタッフにとっても大きな励ましになります」と田中さん。夏の平野部では摂氏52度、冬はマイナス10度になるパキスタン・クエッタの医療現場で働く54歳の女性は、砂ぼこりに洗われた聖女の風貌を保つ。
 現在再建の始まった隣国アフガニスタンでは医療、教育、農業などの技術者が必要とされており、クリスチャンの入っていけるチャンスだと田中さんは付け加えた。パキスタンからは宣教師が現状視察に訪れているという。