[CSD]2002年8月11日《ヘッドライン》

[CSD]2002年8月11日《ヘッドライン》
 = 1面 =
◎虐待の現実に目を向け——「子どもの虐待と家庭崩壊」セミナー
★統一と宣教は切り離せない——朝鮮半島のクリスチャンらが第8回東京会議
★朝鮮半島の平和統一を願う祈祷を
★英国:次期カンタベリー大主教、リベラル派を指名
★<青天幕に射した光>[15最終回]ひよこの鳴き声を耳に礼拝
★<落穂抄>繰り返してはいけない「いつか来た道」

 = 2 面 =
★会社の中で教会開拓——第2回ハウスチャーチカンファレンス
◎「アルファ・コース」伝道に効果——本場英国の講師招きカンファレンス
★<世界の出来事フラッシュ>ノルウェー
★<神のかたち>[14]女預言者ミリヤムは・・ 記・稲垣緋紗子
★<論説>未信者の目で見直す——理解できる言葉で福音の土着化 記・内川 寿造
★あかし文学賞:キャンドルの灯火[14] 作・島田 裕子

 = 3 面 =
★茶道の作法はミサの影響を受けている?——第17回日本の文化セミナー
★<公募>第21回クリスチャン写真大賞(11月末日締め切り)

 = 4 面 8・15特集=
★原爆出撃のテニアン島での戦争体験——大宮司 須磨子さん
★元特攻隊員の井手定治牧師が見た時代——半生記『泉への細きわだち』出版
★<ひと>私たちは敵が来たら逃げます——信太 正道さん(戦争屋にだまされない厭戦庶民の会代表)
◎大嘗祭違憲訴訟関係2つの最高裁合憲判決にみる天皇象徴論の解明を 記・西川 重則
★8・15集会案内

 = 5 面 =
★女性への劣悪な医療環境——赤尾さく美さんのアフガンレポート
★<召天>石谷 行さん(良心的軍事費拒否の会代表)
★ジャパン・ミッション・ミュージック・スクール第1回賛美キャラバン伝道を実践
★<北から南から>青森:みことばをラベルにりんごジュース
★レーナ・マリアさん日本テレビ系24時間テレビに出演(予定:8月18日)
★<CDの時間>「Child's Heart」HIRO&RIE

 = 6 面 生活のページ=
★<あの日のメッセージ>「そのままでいい」鞭を横に置いて 記・玉井 幸男
★<真っ向勝負>質問:短いスカートはどうしてダメ? 回答者:小澤 由紀恵
★<今週の本棚>『ヨーロッパの人間像』金子 晴勇著(知泉書館、3,800円)
★<今週の本棚>『もみの木』みやかわ としこ著(文芸社、800円)
★<今週の本棚>『いてくれて ありがとう』関根 一夫著(自費出版・CLC御茶ノ水店のみで発売、800円)
★<情報クリップ>催し情報ほか


虐待の現実に目を向け−−「子どもの虐待と家庭崩壊」セミナー0208110101

児童への虐待相談が年々増加している。最近は虐待による児童死亡の報道も珍しくない。現代の社会が抱える問題にクリスチャンはどのように取り組んだらいいのだろうか。7月29日から31日まで、長野県・恵みシャレー軽井沢(MCK)で「子どもの虐待と家庭崩壊セミナー」(MCK主催)が開催された。講師の田中哲氏(児童精神科医/福音キリスト教会連合・栄福音キリスト教会員)は「クリスチャンは現実に目を向けなければならないと同時に、神がつくられた魂のすばらしさをみなければならない。変えられた魂をみることは、(援助者を)限りなく力づけてくれる」と言う。
 厚生労働省の調べでは、2000年度は90年から16倍、99年からは1.5倍、児童虐待相談数が増加している。今年6月には、00年度に新たに起こった児童虐待が推計で3万5千件にのぼると、公表された。
 虐待は、身体的虐待、性的虐待、ネグレクト(子どもに対し、すべきことをまったくしないこと)、心理的虐待の4種に分けられるが、近年では、ネグレクトの割合が増えている。
 子どもへの虐待と家庭崩壊は、時代の流れのなかで悪循環に陥っていると田中氏は分析する。
 ほめられたことのない子は、自分を積極的に評価することや自分の将来像を見ることができず、将来に備えることがうまくできない。その子どもが親になっても、育てる方法が分からず、安定した家庭を形成することができない。そしてまた自分の子どもを虐待してしまう。その悪循環が加速している。
 さらに、核家族、都市化、定住しない家族の増加、コミュニケーション不足などで家族がより閉じられ、地域の目が届かなくなっていることも家族の成熟を難しくする。
 家庭の機能が低下し、虐待を受け、傷ついている子どもが増えつつある現実があるが、簡単な解決策はない。「実践的な知恵がもっと必要」、「人の心は人の知恵では及ばない。謙虚になった方がいい」と田中氏は、解決の方法をパターン化することを危惧する。
 欧米では地域教会が、子育てを支援していることを述べ、日本の教会でも地域の助けとなることができればと願う。
 セミナーには、援助する側だけではなく、虐待をしてしまう人、虐待を受けたことのある人が10人ほど集った。虐待と家庭の崩壊のしくみ、子どもの心の揺れなどを講義を通して学んだ。
 2日目には、参加者自身が、傷ついてきた経験や取り組むべき課題を思いめぐらした後、小グループに分かれて「感情を共有」しあった。セミナーは、互いの内側の問題と取り組むとともに、家庭崩壊の現状にどのように関われるかを考える機会となった。
 「小さな時は、本当に孤独だった。でもその孤独感を知っていることは今、虐待されている人と関わる上で重要であると改めて認識した」「子どもにひどい言葉を言ってしまうけど、それでも子どものことが好きだと分かった」「教会でなにかし始める時だと思いました」。参加者にとって、それぞれ有意義な時となったようだ。
 講演テープを1本800円で販売。全5巻。送料別。購入の問い合わせはTEL03・3353・2419(MCK)まで。

「アルファ・コース」伝道に効果−−本場英国の講師招きカンファレンス0208110202

「未信者に焦点を当てていて、福音の神髄を伝え、方法が非常に実践的」などの理由から聖公会、ルーテル、救世軍、ペンテコステ、カトリックなど多様な教団教派から支持を得ている英国生まれの伝道ツール「アルファ・コース」が、日本でも様々な教会で実施されてきている。10月24日、25日には、アルファ・ジャパン(アンディ・ゲーム=ディレクター)が、アルファ・コースが誕生したロンドンのホーリー・トリニティ・ブロンプトン教会のサンディ・ミラーとニッキー・ガンベル両牧師を主講師に招き「ジャパン・アルファ・カンファレンス」を東京・港区の聖公会・聖アンデレ教会で開催する。その準備段階として、アルファ・コースについての案内集会が7月29日、同教会で開かれた。
 アルファ・コースは1977年、ホーリー・トリニティ・ブロンプトン教会のチャールズ・マーンハム牧師が、信徒向け4週間のコースとして開始。90年に責任者になったニッキー・ガンベル氏は、アルファ・コースを教会の外にいるクリスチャンでない人々のためのコースに変更。93年最初のカンファレンスを開催し、以後多数の人がアルファ・コースを受講し広まった。
 現在は教団教派の別なく約130か国、2万以上のアルファ・コースが開かれ、そのテキストは44か国語に翻訳されている。英国国教会のジョージ・ケアリー・カンタベリー大主教は「アルファ・コースの発展は過去10年間の伝道において顕著に成長した領域の最たるもの」、ポール・マーシー氏(英国アッセンブリーズ・オブ・ゴッド教団前副理事長)は「私が知る限り、アルファはクリスチャンの基本を容易に身につけられる最高の方法」と推薦の言葉を寄せている。
 アルファ・コースは、キリスト教信仰を実践的に紹介する15のセッションからなる10週間(週1回)のプログラム。「イエス様に焦点が当てられ、様々な質問に答えられる用意のある柔軟性に富んだ信仰入門コース。どんな人も歓迎される」とアンディ氏は説明する。
 「特に刑務所でアルファが用いられている国では驚くべき変化がある」とアンディ氏。現在英国の刑務所にいる受刑者1万4千人以上がアルファ・コースを受け、その中で信仰決心に導かれる人が増えているという。
 集会では、3人がアルファ・コースについて証しをした。ジャン・レイモンド・ジラール氏(カトリック雪ノ下教会神父)の証しを代読した原秀彦氏(同教会員)は「毎週恋人に会いに行く気分で教会に通っている」と同教会で行われたアルファ・コースの参加者の声を紹介した。
 99年春にホーリー・トリニティ・ブロンプトン教会を訪問しアルファ・コースを知ったことを契機に、教会でアルファ・コースを実践している北秀樹氏(堺福音教会・東京チャペル牧師)は「これは日本で使えると思った」という。「今まで7回してきたが、いつもリラックスした雰囲気で交わりができた。一段一段ステップアップする無理のないアプローチで信仰決心者も与えられ教会自体も伝道する教会へと変わっていった」と述べた。
 アルファ・コースで信仰決心した紀理子氏(アルファ・ジャパン・スタッフ)は「自分の罪深さとそんな私を愛してくださるイエス様を知り、涙が止まらなくなった。アルファがすべてとは思わないが、私にとってアルファがなければ今の私はなかった。一人でも多くの人に同じ経験をして欲しい」と語った。
 問い合わせはTEL03・3868・8775、FAX03・3868・8776、アルファ・ジャパン。 http://www.alphajapan.jp/

大嘗祭違憲訴訟関係2つの最高裁合憲判決にみる天皇象徴論の解明を 記・西川 重則0208110404

7月9日、11日の2日にわたって、日本の最高裁判所小法廷は、政教分離問題について驚くべき判決を下した。
 7月9日は、大分抜穂の儀違憲訴訟についてであり、11日は鹿児島大嘗祭違憲訴訟にかかわる判決であったが、どちらも初めての最高裁判決として無視できない憲法判断であった。
 私たちにとっては、残念ながら、どちらも敗訴であり、今後の訴訟に少なからぬ影響を及ぼすことは否定できない。
 「抜穂の儀」が、天皇の即位儀礼の一環とされ、大分県知事が出席したことが政教分離に違反するかどうかが争われた住民訴訟であった。
 鹿児島県の住民訴訟は、天皇の即位の儀礼大嘗祭に鹿児島県知事が公費で出席したのは、同様に政教分離に反し違憲として、出張費の返還を求めたものであった。
 どちらも、最高裁小法廷において全員一致で合憲と判断され、上告は棄却となった。
 しかし、判決は矛盾に満ちており納得できない。「判決理由」を読んで改めて驚かされたが、どちらの場合も全く同じ内容であり、憲法第76条3項に明記されている「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される」という条文の精神と余りにもギャップが大きいからである。
 どちらも「宗教とかかわり合いを持つもの」とか「20条3項にいう宗教的活動とは」何かなどについて説明している。そして重要な指摘であるが、「政教分離原則は、国家が宗教的に中立であることを要求するもの」と明記している。
 ところが後半になって、主張は一変する。餮大嘗祭は皇室の重要な伝統儀式である。餽被上告人らは、宮内庁から案内を受け、参列し、拝礼したにとどまる。餾参列は公職にある者の社会的儀礼として、天皇の即位に伴う伝統儀式に際し、象徴である天皇に祝意を表する目的で行われた。
 もしも、読者が、場所と日程を除けば、全く「判決理由」が同じであることに唖然とするであろう。そしてなぜ「裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する」に至ったかについて自問自答せざるを得ないであろう。