2000年4月16日号《ヘッドライン》

2000年4月16日号
《ヘッドライン》
 = 1面 =
★[有珠山噴火]教会敷地に溶岩ドームの恐れ——近隣教会救援活動に連帯
◎キリシタン「魔鏡」発見——禁制下ひそかな信仰証す道具
★イスラエル:ソドムとゴモラの遺跡発見?
★<21世紀への対話>ペンテコステと福音派(13:最終回)万代栄嗣・内田和彦
★<落穂抄>アラブ宣教へのビジョン
 = 2 面 =
◎平和祈念館訴訟が結審——平和的生存権・宗教的人格権など主張
★平和祈念館訴訟原告・糸井玲子氏の意見陳述
★国際飢餓対策機構:モザンビーク洪水救援に現地スタッフも活動
★有珠山噴火災害救援:救世軍——簡易食堂車避難所回りで
★有珠山噴火災害救援:日本緊急援助隊——避難所で奉仕活動
★イムマヌエル:新総理に河村襄氏——合議制重視の新体制に
★近放伝:自主制作ドキュメンタリーをテレビ放映へ
★<世界の出来事フラッシュ>ユーゴスラビア、ドイツ、英国
★<論説>中東の平和を求めて 記・油井義昭
★<逆転の信仰経営>(45)生まれ変わったビジネスマン<28> 三谷康人回顧録
 = 3 面 留学特集=
◎留学を考えたとき——目的を明確にすることが第一
★東京基督教大学——短期留学を必須科目に
★アメリカン・クリスチャン・カレッジ——米国の提携大学へ
★インマヌエルエデュケーションセンター——中高生対象のホームステイ
 = 4・5 面 建築特集=
★教会堂の設計者選定を考える——今ブームのコンペ形式の功罪
★日基教団・大阪泉尾教会:光と音を大切にした礼拝堂
★野毛山キリストの教会:「丘の上の教会」意識したデザイン
★福音ルーテル・羽村教会:機を記帳にした荘厳な雰囲気
★聖公会・川越キリスト教会:レンガの会堂に鐘が鳴り響く
★教会堂建築に関する法律あれこれ 記・佐藤 丈史
 = 6面 生活のページ=
★アガペーの愛で接する——元暴走族の二人の少年と共同生活
★時空を越える天井へのいざない——松岡裕子作品展
★<投稿>ゴスペルから元気をもらう
★<投稿>三つの悲しみ
★<投稿>みことばを大きく
★<投稿>詩
★<CDの時間>「幸福」 歌・森 祐理
★<今月の試写室>「スリー・キング」 評・高梨 大
 = 7面 =
★わが県出身のハワイ宣教師知ろう——奥村多喜衛とハワイ日系移民展開催
★サックスで教会と地域の橋渡し——岸義紘さん1001か所コンサート伝道800回達成
★名曲の由来は奴隷船船長の体験——ビデオ「アメイジンググレイスストーリー」
★オーストラリア:シドニー五輪伝道へ訓練センターを開設
★米国:新ミレニアム迎えても神は変わらない方
★<声なき叫びが聞こえますか=45 最終回>「自分の命与える」自覚を主にいただこう 記・岡本富郎
 = 8 面 =
★<聖書66巻>伝道者の書 虚無に服した世界の現実から 記・森 和亮
★<書評>「聖書と日本人」鈴木範久監修、月本昭男・佐藤 研編
★<新刊書紹介>「新しい教会暦と聖書日課」日本基督教団出版局刊
★<新刊書紹介>「今日の知恵 明日の知恵」羽鳥 明著
★<情報クリップ>催し情報ほか      

キリシタン「魔鏡」発見−−禁制下ひそかな信仰証す道具

「隠れ切支丹の魔鏡」が新聞やテレビで話題を呼んだことがあった。
1987年、88年のこと。
3枚同じものがあると言われながら、3枚目は発見されず人々から忘れられていた。
その3枚目の鏡を京都で、日本バプテスト連盟・京都洛西教会の杉野栄牧師(67)が発見した。
杉野さんは九州の出身で、京都伝道38年。
伝統を誇る街、京都で伝道する困難を覚え、地元の繊維会社で10年間働くなど、京都人の心を知ろうと努力してきた。
魔鏡の発見も、そんな執念の結実。
京都キリスト教史研究会会長でもある杉野さんは、京都ではマイナーなキリスト教の歴史が、少しでも人々に知られ、証しの機会になればと願っている。
魔鏡とは、一見普通の鏡だが、鏡面に光を反射させて壁に投影すると、画像が映し出されるからくりを施した銅鏡のこと。
江戸時代盛んに作られた。
隠れ切支丹鏡は、さらに手が込んでいる。
一般の魔鏡は裏面の模様と同じ画像が壁に映るが、切支丹鏡は異なる画像が映し出される。
裏面は松、鶴、亀だが映るのは、十字架に掛けられたイエスを二人の人物が拝んでいる画像なのだ。
これは、内部が二重構造になっており、キリスト像のしかけが隠し込まれているため。
レントゲン写真で確認されている。
禁制下、キリシタンであることが知れると生命が危ない。
密かな信仰のための道具として作成されたと考えられる。 12年ぶり京都で最後の1枚 実は今回、3枚目を発見した杉野さん。
1枚目、2枚目にも深いかかわりを持っている。
1枚目は神奈川県大磯町の児童福祉施設、エリザベス・サンダース・ホームが戦前から所有していた。
その存在を世に知らせたのは、京都在住の鏡師で人間国宝の山本真治さん。
2枚目は、杉野さんの同僚で、在日宣教師のトム正木さんが京都・清水寺の古道具屋で60年ごろ購入。
二人と山本さんの出会いがあった。
奈良国立博物館を訪ねてレントゲン撮影をした結果、、3兄弟の2枚目であることが確認された。
2枚目は1枚目より画像が鮮明で、さらに着色が施されていた。
ところが、山本さんの研究目的で表面を拭いたところ、色が消えたという。
「しまった、と思いましたが、それでかえって、3枚目をどうしても見つけたい、という執念が出てきました」。
3枚目は94年、近所の天満宮の古道具市にたまたま出ているのを見つけた。
「しょっちゅう2枚目を見ていましたから、すぐにそれと分かりました」「店の主人に(どうしても入手したいと)悟られないよう、何くわぬ顔で、『これ何や』と聞いたんです」。
相手は魔鏡と知っていたが、40万円のところ7万円にまけてくれた。
ところが、3枚目は画像が映らなかった。
「がっかりしました。
表面が削られていたんです」。
再び奈良国立博物館にレントゲン撮影を依頼し、1、2枚目と寸分たがわぬ兄弟鏡であることを確認した。
「なぜ、わざわざ映らなくしたのか。
禁制下にこんなものを持っているとまずい、と思ったのか。
そう考えると、物悲しい」杉野さんのもう一つの大きな疑問は製作者。
「鏡は多くの人の手を経て作られる。
どうしてこんなリスクの高いものを作れたのか」。
これも最近、宮廷鏡師の青盛富ではないかという結論にたどりついた。
それも古道具屋通いの賜物だった。
「高度な技術。
どういう立場の人が作らせたのか。
いろんな疑問が氷解しました」
   「京都の歴史に取り組み始めたきっかけは、トム正木先生と二人で、『なぜ日本のキリスト教は1%の壁を超えられないのかなぁ』と語り合ったこと。
キリシタンや、それ以前からキリスト教が、実は京都に入っており、私たちの精神性や文化に深く影響を与えていることを知らせたい」

平和祈念館訴訟が結審−−平和的生存権・宗教的人格権など主張

靖国神社に近い東京・千代田区九段南に国が「戦没者追悼平和祈念館」(仮称)を計画したことに対し、地域住民や全国のキリスト者・市民ら34人が国を相手取り、建設差し止めと、平和的生存権・宗教的人格権・納税者基本権を侵害されたとして損害賠償を求めていた訴訟で、東京地裁民事13部は3月29日、原告2人の意見陳述をもって結審した。
判決は夏以降になるものと見られ、再び靖国神社国家護持化への動きが活発化している中で、司法の判断が注目される。
同祈念館は係争中の96年10月に反対を押し切って強行着工、99年3月に名称を「昭和館」と変えて開館した。
同訴訟はこのため途中で請求の趣旨を一部変更し、国はこの建物を名義の如何を問わず「戦没者追悼平和祈念館」として使用してはならない(第三者に使用させてはならない)とした。
同「祈念館」は、実質上靖国神社の支持団体である日本遺族会の強い要請に応じて厚生省が計画、運営を日本遺族会に託している。
都の公園用地で建物が建てられない地区に、厚生省は都と協議書を交わして建設手続きを進めた。
展示について、アジアなどの戦争被害を盛り込むべきだとする意見と、それに反発する意見が鋭く対立し、結局、戦争の本質に触れない懐古的な事物の紹介にとどまり、「鍋・釜だけの昭和館」と言われる内容になった。 原告の糸井玲子氏陳述 原告の地元住民らは、反対の意思表示をしたにもかかわらず違法な手続きで建設を進めたことを批判。
キリスト者らは、実質的に宗教団体である日本遺族会に運営を委託することの違法性などを問うている。
最後の口頭弁論となった3月29日の法廷では、地元住民で原告代表の大橋一夫氏と、キリスト者政治連盟常任委員で聖公会天皇制・靖国問題委員の糸井玲子氏(小金井教会信徒)が陳述。
糸井氏は「昭和という時代を丸ごと生きてきた者として」原告側主張の柱である平和的生存権・宗教的人格権・納税者基本権の観点から意見を述べた。

留学を考えたとき−−目的を明確にすることが第一

留学を考えたとき、最初にすべきことは情報の収集。
近くに留学経験者がいれば、手始めに、その人の話を聞くところからスタートしてみましょう。
また、インターネットで、留学体験を記した多くのホームページにアクセスすることができます。
「留学」をキーワードに検索してみると、留学に関するQ&Aや準備の進め方などたくさんの情報を手に入れることができます。
インターネットでは日本をはじめ世界中の多くの大学・大学院のホームページを見ることができますからそこから個別に情報を得ることもできます。
いろいろな情報を手に入れたところで、今度は自分自身の留学の問題点を整理してみましょう。
まず、どこの国のどのような教育機関で、どのような学びをしたいのでしょうか。
?高校留学、?大学・短期大学留学、?大学院留学、?語学留学、?専門学校留学などがあります。
また、留学する期間によっても準備や現地での過ごし方が変わってきます。
高校留学の場合、交換留学制度や海外在住者による子女教育というケースが多いようです。
数は少ないですけれども、自分から進んで海外の高校を選ぶ人もいます。
ここでは、高校以外のケースを考えてみましょう。
まずは、?留学目的=何を学び、その後どのように将来に役に立たせたいのか。
もし語学が目的なら、留学先の選択肢はいくらでもありますが、自分が専門の学びをしたいのであれば、自然その選択肢は限られてきます。
?期間=いつからいつまで留学するのか。
?予算=最も大事な要素です。
これによって留学期間も決まってきます。
留学はお金がかかるというイメージがありますが、日本での生活費を含めた授業料を考えると、それほど大きな差はありません。
同じ国でも学校や地域によって学費・生活費がかなり違いますのでよく調べましょう。
?場所=どこの国で学ぶのか。
都市がよいのか、郊外がよいのか。
ある特定の語学を学ぶためにその国に留学するのであれば、選択肢はかなり狭まります。
ヨーロッパや英語圏の国に留学するのであれば、公共施設をはじめ様々な施設がそろう都市部の学校に行くのか、それとも不便でも自然に囲まれた広大なキャンパスで過ごすのか。
?滞在=学生寮に入るのか、ホームステイするのか、自分でアパートを借りるのか。
生活の基盤となる住居は重要な問題です。
学生寮は多くの場合2人部屋ですから、そのことを考慮して暮らさなければなりませんが、友人をたくさん作りたければ学生寮が一番です。
留学生のために寮をアレンジしてくれる学校もありますが、満員で利用できないケースもあります。
?気候=多くの人は1年を通してしのぎやすい気候を望んでいます。
冬の寒さの厳しいところ、夏の暑さの厳しいところ、雨の多いところなど気候は様々です。
体質に合わないところもあるかもしれません。
事前に気候も調べましょう。
?日本人学生の占める割合=せっかく海外に留学するのだから、日本人がいない大学に行きたいと希望する人が多いようです。
日本人ばかりに出会うので転校したいと申し出る人もいます。
アメリカのある大学の集中語学コースでは、日本人学生が70%を占めることもあるそうです。
分からないことがあると日本人に日本語で聞いて、授業のあとは日本人同士で固まってしまって、留学期間中英語よりも日本語で話している時間の方が多かったなどという笑えないケースもあるようです。
反対に日本人が1人もいない大学に留学して24時間英語の生活に行き詰まって途中帰国したケースもありますから、適度に日本人がいる環境がよいかもしれません。
これらの問題を整理しながら、信頼できるカウンセラーのいる留学プログラムを持つ機関に相談し、具体化していきましょう。