[CSD]2003年7月27日《ヘッドライン》

[CSD]2003年7月27日《ヘッドライン》
 = 1面 =
★長崎幼稚園児殺害事件:教会にしかできない役割——泣く者と共に泣く
◎エリム宣教会:ケニア孤児院支援10年——施設拡充を目指す
★戦争では何も解決しない(関連記事5面)
★<恵みのどんでん返し>自信なくした牧師、一転開拓伝道 記・藤井 勇次
★<落穂抄>SARS禍の中国に「愛の実践」

 = 2 面 =
◎カトリックの聖霊刷新運動——第2バチカン公会議から世界へ拡大
★朝祷会全国大会:心は歳をとらない——仏人神父が高齢者施設での実感語る
★ミッション・バラバ会長に鈴木啓之氏
★<教界の動き>改革派・田無教会(教会設立)、バプ連盟・渋谷バプテスト教会(渡辺 聡牧師就任)
★<提言>共生社会に有事法制は必要 記・廣瀬 利男
★<神のかたち>[47]女が、女が男の創造者である、と教えることを許しません(5) 記・稲垣 緋紗子
★<今週の本棚>『家族の回復』ジョン&ポーラ・サンフォード著(マルコーシュ・パブリケーション、2980円) 評・浜崎 英一
★<今週の本棚>『大きい願いごと』ヤコブ・アルベリオーネの言葉(女子パウロ会、1000円)
★<今週の本棚>『あなたはやり直すことができる』手束 正昭著(マルコーシュ・パブリケーション、1700円)
<情報クリップ>催し情報ほか

 = 3 面 =
★世界福音同盟 宣教会議——時代の思潮とキリスト教宣教 記・竿代 照夫
◎マグラス教授 来日講演——ポスト・モダンの挑戦は宣教のチャンスでもある

 = 4 面 特集・スポーツリフレッシュ=
★野球好きの子たち全員集合——埼玉の教会少年野球チームが対抗試合
★サッカー伝道チーム相次ぎ来日——教会と地域住民の懸け橋に
★豪州ゴルフ伝道チーム来日——クリスチャン・プロゴルファーが直接指導

 = 5 面 =
★「戦争では何も解決しない」——フリー・フォトジャーナリスト親泊 健さん
★「大切なのは形ではなく心」——バーバル&A・ホーランド トークショーに観客も大爆笑
★<ひと>4か国語話せる歯医者さん、外国人に大人気——新宿歯科クリニック・星野 鴻一さん
★<今月の試写室>「夏休みのレモネード」天国への行き方について考える 評・高梨 大
★ノルウェー:強制収容所覚え追悼記念式典

 = 6 面 教会学校教師の広場=
★ミュージカルもとに賛美——東京カベナント教会 ジョイフルキッズ
★<先生☆キラッ>息の合った先生と教え子 土屋くによさん、三日市早織さん
★<本の紹介>『神さまのおはなしきかせて』松隈 玲子著(日本キリスト教団出版局、1700円)
★<ゆっくり行こう!CS教師>[11]聖書の掘り下げも大切 記・福井 誠
★<オッフーのあすすめこの1冊>[5]『光とともに ~自閉症をかかえて』1~4巻 戸部けいこ著編(秋田書店、各760円) 記・藤田 桂子
★<CSでできること できないこと>[11]大人の背中が子どもにどう映っているか 記・杉谷 乃百合


エリム宣教会:ケニア孤児院支援10年−−施設拡充を目指す0307270102

東アフリカのケニアで孤児たちへの食糧支援、教育支援活動を続けている奈良県生駒市のエリム宣教会=代表榮義之=が、新しい孤児院と教育施設建設のための献金を募っている。
 6月28日から7月4日までの1週間、今年も榮さんはケニアを訪問した。毎年夏に1度の渡航は今回で14回を数える。首都ナイロビから車で約8時間、アフリカ最大の湖ビクトリア湖の近く、ケニア第3の都市キムス。人口約60万のこの都市に榮さんが代表を務める、もう一つの宣教団体MFA(Mission for Africa)が運営する孤児院がある。「MFAパラダイス」というこの孤児院は97年に設立された。1千坪の広大な敷地に41人の子どもたちが住んでいる。高校生が15人で、そのうち2人が今年卒業する。昼間は同孤児院の建物を利用して幼稚園と小学校を開き運営費として活用している。
 榮さんが、孤児院にかかわるようになって10年がたつ。最初は現地の協力教会が運営している孤児院を支援していた。しかし、訪問するたびに支援している子どもたちの服が良くならないことに気づく。そのうち子どもたちの姿も見かけなくなった。「支援している子どもたちの必要なものに、お金が使われていないことがわかりました」。そのことが榮さんが直接、孤児院にかかわるきっかけとなった。現在、子どもたちは同孤児院の中で礼拝を守っている。
 毎年夏の訪問では、子どもたちに約7千ドルの物品を贈る。今回は、例年どおり食料3か月分とノート、教科書に加え、ドラム、キーボード、ビデオなどを購入した。すべてエリム宣教会への献金でまかなわれている。
 同孤児院を運営するMFAは、2000年から2099年までの100年間、ケニア政府から、約2万5千坪の土地を提供されている。この広大な土地は同孤児院の隣接地にある。MAFは、この土地に新しい孤児院として、120人収容の男子寮、女子寮、スタッフの家、事務所、医療センター、簡易店舗、ホールの建設を計画。総工費は600万円を予定。第一次目標として今年度中に建設に着工したいという。将来的には幼稚園、小学校、中学校も併設したいと榮さんは願っている。
 「食糧援助は、1回食べたら終わりです。本当にその国を救うためには教育が必要です。ぜひケニアの子どもたちのためにお祈り下さい」
▽エリム宣教会=郵便口座0090・5・245213。=0307270102=CSD1076=

カトリックの聖霊刷新運動−−第2バチカン公会議から世界へ拡大0307270201

東京・千代田区の上智大学市ヶ谷キャンパスで5月31日に開催された日本ペンテコステ研究学会(シュー土戸ポール代表)の2003年度学術大会で、中村友太郎氏(上智大学文学部教授)が「カトリックの聖霊刷新運動:歴史と現状」の題で基調講演をした。
 中村氏はカトリック教会の中でも聖霊刷新運動(CCR=The Catholic
Charismatic Renewal)が世界的に広がってきているとし、自身の聖霊体験を交えながら、日本での聖霊刷新運動の現状についても述べた。
 中村氏は、カトリックの中での聖霊刷新運動は、1959年の第2バチカン公会議開催の呼びかけと深く結びついているという。「教皇ヨハネ23世が、新たなペンテコステの風を送ってくださるよう聖霊に願い求めたことが、教会の現代化ないしは刷新につながる公会議の開幕に至らせた。会議に集まった約3千人の司教のうち、のちに聖霊刷新運動にかかわる人が何人もいた」
 67年、米デュケーン大学の聖書研究会による泊まりがけの黙想会で、メンバーたちが使徒行伝を読んでいる時に聖霊の満たしを受け、神の愛を実感し、異言を語るという体験をした。「それを機に、デュケーン大学とコロンビア州ボコタで、賛美と祈りと異言による、最初のカリスマ的祈りの集いが始まり、そこからCCRとして世界中に飛び火していった」
 この祈りの集いはその後、69年までに13か国、70年までに25か国、75年までに93か国、00年までに235か国に広がっていった。日本で最初のカトリック邦人信徒による祈りの集い(JCCR)は72年、東京・渋谷区の初台教会で行われた。「それはたちまち北海道、九州、沖縄へと広がっていった」と、当事者でもある中村さんは述べた。
 中村さんは、CCRの特徴は?聖霊の働き以外に創立者がいない?固有の組織がない、ことだと語る。「この刷新の実体というものがあるとすれば、それぞれの場(小教区・家庭・大学など)で定期的に集まる人々からなる?祈りの集い?にほかならない」
 中村氏自身は「66年に個人的な聖霊体験をし、73年に初めて異言を語った」。以来、聖霊刷新のムーブメントに巻き込まれて今日に至っていると語る。「21世紀は聖霊がもう一度私たちを目覚めさせている時代。教派に関係なく聖霊が働いているのを見る。これからは私たちが体験したことを正確に伝える必要がある」と結んだ。=0307270201=CSD1076=

マグラス教授 来日講演−−ポスト・モダンの挑戦は宣教のチャンスでもある030727030201

東京基督教大学共立基督教研究所(倉沢正則所長)の招きで来日したオックスフォード大学歴史神学教授アリスター・マクグラス氏は、広範な現代思想を踏まえてキリスト教信仰を語る論客として知られ、福音派から主流派まで幅広く感化を与えている。5月23日に都内で開催した公開講演会では、「ポスト・モダン世界のキリスト教」を論題に取り上げた。
 ポスト・モダンとは何か。それがキリスト教に対して意味することは何か||「私たちはポスト・モダンの世界に生きており、地図のない水域に向かっている。私たちは、過去の経験が将来への財産というより、負債になるのではないかと恐れます」。しかし、このような新しい時代への不安は歴史の中で常に存在した、とマクグラス氏は言葉を継いだ。
 同氏は、ポスト・モダン主義の高まりは、キリスト教にとって挑戦とチャンスの両方をもたらすという。福音を説くのに今までの方法が本当に最善なのか、過去においては当たり前だった方法が今や通用しない時代に生きているのでは、という挑戦がある。しかし同時に、ポスト・モダンは新しい多くの機会も与えることを同氏は強調する。
 例えば、ポスト・モダンの特徴は、「正しい主張はひとつしかない」というような合理的画一主義を否定する。それは、あらゆるものをひとつに還元しようとするモダニズムに対するアンチテーゼであり、多様性をたたえる。
 また、ポスト・モダンにおいては「物語」が強調されるという。真理はもはや論争によっては確立されない。普遍的なものより特定のものが強調される。抽象的な思惟ではなく、実際の経験に基づいたものが重視され、個々の「物語」を評価する。「このことは、キリスト教にとってかなりの重要性を意味する」とマクグラス氏は指摘する。
 そしてポスト・モダンは、コミュニケーションの形式として言葉よりもイメージを重視する。
 このような挑戦に対して、キリスト教はどのように応えることができるのか。マクグラス氏はまず、地域共同体の意義を強調する。ポスト・モダンの世界では、人は自分を特別の存在だと感じることを求めている。自分はどこかの共同体に受け入れられていると感じる必要がある。教会は共同体として、この挑戦に対し立ち上がることができるという。
 また、聖書は「イメージ」であふれている。人々に救い主を効果的に伝えようとするとき、イエスのたとえ話に代表されるイメージは、大きな助けになる。
 そして、クリスチャンはキリスト教の真理を論じるのでなく、自分の信仰体験を証しすることによって、「私の物語」として福音を告げ知らせるとがポスト・モダンの世界では有効なのだとして、マクグラス氏は自身がオックスフォード大学で自然科学を学んでいた時にキリスト教の集会に出席し、その出会いにより個人的に信仰を受け入れた「私の物語」を実例として話した。=0307270302=CSD1077=