[CSD]2004年2月8日《ヘッドライン》

[CSD]2004年2月8日《ヘッドライン》
 = 1面 =
◎韓国から夫婦そろって日本全国へトラクト伝道巡り——2007年までに踏破目指し「大通りで真の神を」
◎神戸はイラン地震を忘れない——「ノーサイド」が被災者支援バザー開催
★パキスタン:聖書協会爆破犯を逮捕
★ドイツ:福音派はセクト?
★<恵みのどんでん返し>統一協会員の救出、神からの約束 記・野口 一郎
★<落穂抄>大友宗麟の人生と女性たち

 = 2 面 =
★朝祷会全国連合:平和をつくり出す祈り——念頭集会で焦点に
★朝祷会関東ブロック:平和、リバイバル御霊の一致祈る
★在日韓国人宣教師協議会:「歴史を変えるみことばと霊性」テーマに宣教大会
★インド:不公正なグローバリゼーションに代案構築——世界社会フォーラム開催
★バチカン:一致祈祷週間に教皇「唯一の主」を強調
★<論説>国際貢献・人道支援の前提——相互理解による自己理解の必要 記・山口 譲
★<今週の本棚>『市民的抵抗——非暴力行動の歴史・理論・思想』マイケル・ランドル著(新教出版社、2,700円) 評・岡山英雄
★<今週の本棚>『五十歳からの生き方で大切なこと』佐藤綾子著(海竜社、1,400円)
★<今週の本棚>『ワンダフル』マックス・ルケード著(いのちのことば社フォレストブックス、1,200円)
<情報クリップ>催し情報ほか

 = 3 面 2・11特集=
★『心のノート』は現代の「修身」——戦争支持の心を調達する事実上の国定教科書
★教基法「改正」がめざす能力主義——1%のエリートと従順な99%で「戦争をする国づくり」
★<2・11関連集会>
★<歴史を知り時代を読む本>『青山学院と学徒出陣60年—戦争体験の継承—』青山学院プロジェクト95編(頌布価2,000円)
★<歴史を知り時代を読む本>『ブッシュの「神」と「神の国」アメリカ』栗林輝夫著(日本キリスト教団出版局、950円)
★<歴史を知り時代を読む本>『歴史を生きる教会—天皇制と日本聖公会—』佐治孝典著(神戸学生青年センター出版部、1,300円)
★<歴史を知り時代を読む本>『こころの自由を求めて 合祀はいやです。』田中伸尚著(樹花舎、1,800円)

 = 4 面 =
★平和を生きた指導者——メノー・シーモンス

 = 5 面 =
★「大きな古時計」は隠れ賛美歌?——大塚野百合さんが新著『賛美歌・唱歌物語2』で謎解き
★「しんどい方がエネルギーわく」とサポートなく単身イタリアへ——声楽家になった大嶋恵里香さん
★「滝廉太郎とキリスト教」——NHKラジオ「宗教の時間」で放送(2月29日午前8時30分~)
★<召天>レイモンド・シェルホン氏(チャーチ・オブ・ゴッド元総理)
★発見!!ビューティフルLIFE——J+Passion Tokyo 3月開催
★教会堂全焼、隣接住宅にも被害——神奈川・金沢フィラデルフィア教会
★<CDの時間>「EYES ON YOU」J-STREET(J-STREET Mission、2,096円)

 = 6 面 家族のページ=
◎育ての親になるとき——里子の養育家庭になっている2つのクリスチャン家族
★<ちいろばの心>[6]君は今、何を見るだろうか 記・榎本保郎/榎本 恵
★<カウンセリングカフェ>[10]妊娠を機に問題発生 親から自立、夫と共有域  記・丸屋 真也
★<家族診断>[17]苦しみ悩む家族に教会員は何を 記・碓井 真史

韓国から夫婦そろって日本全国へトラクト伝道巡り−−2007年までに踏破目指し「大通りで真の神を」04

 定年退職後、自費で韓国から毎年1年の半分、日本にやってきては各地の街頭でトラクト(伝道文書)を配り伝道している夫婦がいる。ソウルの南にある鳥山市に住む元公務員の李永護さん(71)と妻の金明鎬さん(67)。県庁所在地などの教会を拠点に自炊しながら、2007年までに全都道府県を踏破する計画だ。今年は2月28日和歌山市を皮切りに5月29日まで、四国、九州を回る。
 李さんは32年、大阪の教会で生まれた。両親が、大阪市此花区四貫島にあった韓国系の大阪西部教会で執事として会堂管理をしていた。小学校まで大阪で暮らしたが、空襲のため一家は疎開し韓国に戻った。
 78年のある日曜日、滞在先の横浜でタクシーに乗った。「どこか近くの教会へ」と頼んだが、運転手は30分ほど探し回ったあげく結局たどり着けなかった。最初のカトリック宣教師渡来から400年以上たつのに、日本では日曜日に礼拝に出席するのは人口のわずか0・2%程度、二十数万人しかいないという事実が、李さんの心に重くのしかかった。
 その理由を研究しようと退職後の94年、神戸の関西聖書神学校で学ぶため留学ビザ手続きに訪れた大阪入管で、職員が「神学校」を全く知らず、「わが国には八百万の神があるのですがどの神のことですか」と言ったことにショックを受けた。
 リバイバルという言葉を日本の教会でも流行語のように聞くが、今までのような状態ではこれから400年、500年たってもクリスチャンは増えないのではないか。神様が自分を日本の教会で生まれさせ、日本語ができるのは、日本で宣教するためではないか——「八百万の偽物ではなく真の神様がおいでになることを、大通りで日本国民に広く知らせよう」。李さんの決心は固まった。
 96年7月、独りで神戸で路傍伝道を始めた。年金暮らしの傍ら、最初は年に20日間ほどの短期だったが、「2001年3月、神様から『お前は何をしているのか』と御声を聞きました。これではいけないとハッとして、それから毎年、ビザを最大限使って春秋3か月ずつ2回、妻といっしょに日本で奉仕することにしました」。同年、韓国専門人宣教訓練院(GPTI)を卒業し、「宣教師」として按手を受けた。
 トラクトは、この経緯を証ししてビジョンを訴え、EHC(全国家庭文書伝道協会)やICI(国際聖書通信学院)、山形県米沢市の聖書通信協会から提供を受けた。昨年までに計8万9千500部を配った。今年はプレイズ出版が協力する話がまとまった。
 県庁所在地など主要都市の教会に1週間ずつ滞在。月曜から金曜まで中心街に立ち、路傍伝道をし、道行く人々にトラクトを渡す。教会の依頼で各戸のポストに入れて回ったり、教会で証ししたりもする。苦労するのが滞在教会の手配。自炊が李さんの方針で、「寝泊まりだけでいいので協力を」と呼びかけている。
 連絡先Tel&FAX(+82)31・372・2046。 李さん夫妻の今後の滞在計画|04年3~5月(和歌山、徳島、鳴門、高松、高知、今治、松山、大分、宮崎、鹿児島、熊本、佐賀、佐世保、長崎)04年9~10月(下関、山口、呉、福山、倉敷、松江、米子、鳥取、津、豊田、岡崎)05年3~5月(豊橋、浜松、静岡、清水、富士宮、甲府、松本、長野、富山、金沢、福井)05年9~11月(前橋、高崎、八王子、相模原、藤沢、横須賀、横浜、川崎、東京)06年3~5月(東京、川越、川口、越谷、所沢、柏、松戸、市川、船橋、千葉)06年9~10月(福島、いわき、郡山、会津若松、三条、長岡、柏崎、新潟、鶴岡、酒田)07年4~6月(秋田、盛岡、大館、弘前、青森、函館、室蘭、苫小牧、札幌)07年10月(沖縄ほか)

神戸はイラン地震を忘れない−−「ノーサイド」が被災者支援バザー開催0402080102

 阪神大震災から9年を記念するイベントが被災地で行われたが、1月17日を過ぎても世界の被災者を忘れてはならないと同24日、神戸市中央区のポートアイランドではボランティア・チーム「ノーサイド」によるイラン地震被災者支援のバザーが開催された。
 「ノーサイド」は震災時、神戸の北の篠山市から救援ボランティアに駆け付けた単立・キリスト丹波教会の山取恒夫牧師(62)が立ち上げた。大半の救援団体やボランティアが引き上げた後も復興は終わっていない、として仮設住宅の住民を訪ね、ていねいにその声を聴いて対応してきた。仮設から復興住宅に移った後も「鉄の扉にさえぎられ、かえって独居者の孤独は増した」という。
 震災後、仕事をなくしてホームレスになる人も激増した。ノーサイドでは今でも毎週2回は、独居老人を風呂に入れるなどの介護、入退院の世話、ホームレスの人たちに食料や衣類を届けたり、入院の保証人になったりといった日常活動を続けている。今年の1月17日も山取氏らは「いつもと変わりなく」神戸の復興住宅の独居老人を訪問し、メリケンパークや湊川、ポートアイランドのホームレスの人々に衣服や毛布を届けた。
 支援対象は神戸の被災者に留まらなかった。9・11テロではニューヨークの被災者救援基金に義援金1万ドルを届け、アフガン難民のためにも毎月バザーを続けた。昨年末までに集まった220万円を、アフガンの子どもたちの教育のために贈ることにしている。
 今年1月からはイランの地震被災者のために目的を切り替え、さらに毎月バザーを続けることを決めた。今後2年間は継続する予定で目標は300万円。「災害があると最初はドッと援助が来るが、そのうちフッと切れる。でも必要はまだまだ続くんです。信仰もボランティアもよく似ている。継続が大事だということ、月定献金のように約束したらするということ、そして世の価値観とは違ってくるということ…」
 次回バザーは2月28日(土)の予定。場所は神戸市中央区のトーホーストア・ポーアイ店前。ノーサイドでは引き続き、バザー用品の協力を求めている。用品は石鹸、洗剤、台所用品、タオル、シーツ、タオルケット、毛布、保存の利く食料品、衣類など(新品のみ。中古は不可)。あて先は〒651-0093神戸市中央区二宮町3ノ5ノ5、ボランティア・チーム「ノーサイド」神戸支部(午後6時以降の時間指定で)。Tel:090・3865・9899。募金(個人1口千円、教会1口5千円)も受け付けている。【郵便振替】神戸01140・5・58172、ボランティア・チーム「ノーサイド」。

育ての親になるとき−−里子の養育家庭になっている2つのクリスチャン家族0402080601

 病気、離婚、失業や虐待などさまざまな理由で、実の親と暮らすことができない子どもを一定期間預かり、里子として育てる里親制度。里子の養育家庭になっている2つのクリスチャン家族に、里子を受け入れるときの気持ち、家族の変化などを聞いた。関係が複雑化する現代日本の家族に、2つの家族の姿は何を投げかけるだろうか。
 「『若葉マーク』が突然、3歳の子の親になるんだから、それはもうどうなるかわからないと不安でした」。昨年11月、自身の里親経験をつづった『ぶどうの木』がテレビドラマ化された坂本洋子さん(めじろ台キリストの教会員)はそう語る。
 洋子さんと夫の好一さんの元に、里子の純平くんがやってきたのは1985年のこと。東京都八王子に住む坂本さん夫妻は、都の養育家庭制度の里親登録をした。「ほかの人たちが当たり前のようにやっている子育て、やっとここまで来たという喜びと不安があった」と迎えたときの気持ちを洋子さんは話す。
 純平くんはさまざまな問題を引き起こし、精神的に不安定な状態になることがあった。個性なのか、成育歴に問題があるのか、見極めるのは難しかったが、その度ごとに夫妻は真正面から純平くんと向きあった。
 しかし純平くんは、5年半を坂本さん夫妻の元で暮らした後、施設に戻ることになった。純平くんは、生きることに葛藤しつつ成長していくが、17歳のときに交通事故で亡くなる。
 「クリスマスの意味を話しているときでした。『もう一度、母さんのおなかから産まれたい』と純平がいいました。涙がこぼれて、『お母さんもそうしてあげたいけど、そうできない』と答えました。今になって思うと、本当に私の子でした」と洋子さんは純平くんの思い出を語る。
 「生んだから親とはいえないし、生んでいないから親になれないことはない」。洋子さんはクリスチャンの里親が増えることを願いながら、いまも6人の子どもの里親として日々奮闘中だ。
■■   ■■ 
 「妊婦のつわりのよう」。里子を受け入れる家族のことを、そのように例えるのは沖縄県の単立・キリスト希望教会牧師の崎原盛親さん。「つわりはね、お母さんがお腹の赤ちゃんを異質なものと思って起こる現象。それがだんだん『私の一部』だとわかってくる。同じように家族のバランスが一時期崩れて、だんだん家族になってくる」と盛親さんは語る。
 盛親さんと妻の友美子さんの間には、実子の優祈ちゃん(4)、共生ちゃん(2)がいる。そこに、里子の彩矢佳さん(17)、光喜くん(8)、栞奈ちゃん(7)がいる。
 盛親さんは神学生時代に住んでいた兵庫県西宮市で震災を経験。被災した子どもたちとかかわる中で、友美子さんと結婚する前から児童福祉に関心をもっていた。故郷の沖縄で牧師を始め、5年前から里親になり始めた。「里親の働きは、家庭に子どもを迎えるから逃げ場がない。仕事なら区切りをつけられるけど、そうはいかない。上っ面なものはどんどんはがされていく」と盛親さんは話す。
 友美子さんは「とにかく『どうしよう』と、どきどきでした」と里親を始めたころを語る。
 「子どもの成長にあわせて、関係がどんどん変わるから『安定』はしない。その中で『お父さん、お母さん』として精一杯、必死に生活している」という崎原さん夫妻。
 クリスチャンには父なる神という存在、世界で一番大きな懐の中で育てられる強さがある。がんばれ里親。
  【藤川 義】