[CSD]2004年5月2日《ヘッドライン》

[CSD]2004年5月2日《ヘッドライン》
 = 1面 =
◎シリア語聖書の写本断片、日本で発見——「6世紀のもの」と推定
★教会未設置市・富山県滑川市に教会建った——滑川一麦教会献堂
★<恵みのどんでん返し>弱さを知らされた激しい頭痛 記・高橋 真一
★<落穂抄>「この街とともに」歩む教会

 = 2 面 =
★<特別寄稿>苦境のアフリカ——神はどこに? 記・リグンダ・フォーレ
★<聖書訳語の最前線>[3]「咎を覚える」 記・木内伸嘉
★<論説>小泉首相の靖国神社参拝——福岡地裁「違憲判決」の歴史的意義 記・油井 義昭
★<今週の本棚>『使徒的共同体』芳賀 力著(教文館、2,940円税込) 評・荒瀬牧彦
★<今週の本棚>『シンポジウム第4回「地方伝道を考える」報告書』共著(北関東神学研修センター、420円税込)
★<今週の本棚>日本の説教10『植村 環』解説・久保義宣(日本基督教団出版局、2,520円税込)
<情報クリップ>催し情報ほか

 = 3 面 全面広告=
☆(財)日本聖書協会
2004年5月9日は、聖書協会世界連盟祈祷日(UBS DAY)です。
http://www.bible.or.jp
 = 4 面 関西だより=
◎児童伝道の灯掲げて55年——地域の信頼厚い神戸・熊野教会学校
★人形のゴウちゃん大活躍——腹話術で開拓伝道一直線
★牧師さんは狂言師?!——橿原ルーテル教会・山下寛牧師の創作狂言
★<この人に聞く>教会再建の召命受け開拓スタート——林田和博牧師(大阪グレイスキリスト教会)
★CS教師セミナー2004年大阪

 = 5 面 =
★映画「パッション」を見て受洗を決意——「ただ、涙が止まらない」と小川国男さん
◎VIP:映画「パッション」封切りまでにチラシ100万枚配布
★絵本「たいせつなきみ」をミュージカル上演——加古川バプテスト教会
★いのちのことば社の名著が復刊——限定復刊企画キャンペーン結果発表
★<笑顔の力>[4] 作・田島直秀(ペンライト賞佳作)

 = 6 面 チャ・チャ・チャーチ=
★「旅人をもてなしなさい」イ・チソンさんとの出会い——福島/蓮来キリスト教会
★いのちのパンを作りましょう!——埼玉/長老教会・仏子キリスト教会
★<もりべぇのへぇ~>「変わった結婚披露宴」 記・守部 喜雅
★<今月の買いどき>ガラス花瓶ピューター葡萄(シーアール企画、1,200円)
★<いいもんみっけ>インターナショナルな教会

 = ?・? 面 カラー版世界宣教地図=
☆ヨーロッパ・アフリカ日本人教会・日本語集会ガイドマップ

 = ?・? 面 世界宣教=
★在欧日本人に関心高い——日本への宣教師派遣国 記・稲垣博史・緋紗子
★毎夏の合同修養会で一体感——自給・自治・自伝になお課題 記・田辺正隆
★英国では留学生伝道が盛ん——聖書や教会に心を開く人多い  記・横山基生・好江
★駐在員にチームワークで福音届く——日本人に重荷もつ元在日宣教師ら 記・石川博之・晶子

シリア語聖書の写本断片、日本で発見−−「6世紀のもの」と推定0405020101

 シリア教会に古くから伝わり、今日も用いられているシリア語聖書、通称ペシッタ(Peshitta)のローマ書6・9b~11・4aの写本断片が、三重県津市の高等学術研究所所長藪内憲雄氏(60)の手によって、このほど日本で発見された。聖書関係の古代言語の権威でライデン大学名誉教授の村岡崇光氏=オランダ在住=は、本紙が送った同断片のコピーを見て「非常に貴重な文書。6世紀のものとみなされるだろう」と推測した。
 同断片は、キリスト教歴史美術館を作るビジョンをもつ藪内氏が、昨年の12月に古物商を通して入手したもの。7葉の羊皮紙に2欄に分けて記されている。幕末から明治期にかけて幕府、維新政府と両方で活躍した政治家大鳥圭介(1832~1911)の旧蔵品だった。
 ペシッタは、シリア語教会の伝統的な聖書で、英語でいえば欽定訳聖書に相当するという。シリア語聖書も古代において様々な翻訳、改訂が試みられたが、ペシッタが過去1千500年ぐらい前からシリア教会の公認聖書として用いられ、今日に至っている。
 村岡氏の調査によると、同断片は1922年にドイツのライプチヒ市の古物商ヒールゼマンによって競売にふされているという。その時の目録に物件36番として3万5千マルクの値で売り出されている。  「目録に出ている簡潔な内容文が、同断片の1葉に紙片に書かれて添付してある。目録には写本断片の1葉の写真が掲載されており、それと日本にある同断片の1葉と完全に一致する。大鳥圭介死後、何らかの経路を経て同家の蔵書の中に加えられたものと思われる。古物商ヒールゼマンが今もなお営業しているか、1922年の競売記録が残っていて誰が買い付けたかどうかは今後の調査を待ちたい」と村岡氏。
 同断片には紀元後7世紀のものであるという日本語の書き付けが残されているが、最近の研究ではこれより1世紀早く、6世紀のものとみなされるという。
 「ペシッタが現在のような形でほぼ定着したのは早くて4世紀であろうから、同断片の重要性がうかがえる。ほかに知られている新約聖書のペシッタ写本でローマ書を含むものでは、大英博物館所蔵のものが6世紀のものだ」と村岡氏。同断片は有名なシナイ山の聖カタリナ修道院の無数の貴重な写本の一部で、学界では「Sin syr 5」として知られているという。ドイツ・ミュンスター大学の新約聖書本文研究所から最近出版されはじめたシリア語訳新約聖書のローマ書の部分を作るにあたって使用された「Sin Syr 5」は、ローマ11・22から始まっており、同断片の発見を加えても11・4から11・22まで含んでいたとされる1葉と、1・1から6・9aまでが今なお行方不明だということが今回の村岡氏の調査で明らかになった。ミュンスター大学同研究所は、新約聖書のギリシャ語写本研究の拠点で、またネストレ版として知られるギリシャ語新約聖書の校定版を出版している。
 発見者の藪内氏は「江戸時代は鎖国制度があり、幕府にとって何の利益もないシリア語聖書を輸入する手段もなく、途中日本に輸入される理由がないので飛鳥時代から江戸、明治まで空白の時代であったと思う。大鳥圭介が景教の流れをくむ秦氏が亡命した播磨国(現兵庫県の一部)の医師の家に生まれ、景教の宣教師に医者が多かったことは、一つの手がかりになるのでは」と同断片と景教に関連性があるのではないかと考えている。
 村岡氏は「同断片がどういう経路を経たにしろ日本に到着したということはさまざまな想像をかき立てる。この貴重な発見についてはすでにミュンスター大学の担当者ユッケル博士に報告してあり、現在先方からの反応を待っているところだ。短い論文を発表することも考慮している」と述べる。  なお、今回の調査には村岡氏と親交のあるオックスフォード大学、シリア文学の世界的権威ブロック博士の貴重な援助があった。   【藤岡竜志】

児童伝道の灯掲げて55年−−地域の信頼厚い神戸・熊野教会学校0405020401

 日本イエス・キリスト教団・神戸中央教会熊野教会学校(田中光之校長)が、今年の11月で55周年を迎える。戦後の焼け跡に子どもたちを集めて始まった青空教会学校から、田中校長の自宅を開放して現在に至る半世紀以上を児童伝道に献げてきた功績は測り知れない。使命を抱いて歩み続ける田中光之・佑子夫妻の信仰から、信徒伝道者としてのあるべき姿を学ぶ。
 田中家の熊野教会学校奉仕者は3代に渡っている。親から子へ、子から孫へ、使命は確実に伝えられている。55年という歳月はそれほど長い。
 田中さんが本田弘慈牧師に導かれて信仰をもったのは1948年。まだ日本は戦後の混乱期。子どもたちが焼け跡で進駐軍の兵隊の靴を磨いていた。  「食べる物も着る物もない子どもたちがわずかなお金を家計の足しにしている姿が胸を打ちました。この子どもたちをなんとかして助けてやりたいという使命が、そのとき与えられたのです」。生涯を子どもたちのために尽くそう、田中さんは児童伝道への献身を決意した。
 「夢野ともしび会」という美しい名の教会学校が、今は病院になっている空き地で始められた。何の娯楽もない時代、聖書の話が聞けて賛美のある教会学校はすぐに子どもたちでいっぱいになった。クリスマスや運動会など、イベントがあるというと子どもたちはとんできたものだと、佑子さんは懐かしむ。青空教室から青年会館へ、また公民館へと場所を移しながら、多いときは一学年150人も160人も集まるほどになっていた。
 「結婚相手の条件はCS伝道に使命があり、歌が歌えてオルガンが弾けて、字が上手でガリ版ができる人というものでした」。このなかなかうるさい条件を満たす人が丹波柏原教会牧師の長女佑子さんだった。中学の音楽の教師をしていたから音楽も謄写版もお手のもの。本田牧師の紹介で52年に結婚して以来、自宅を開放した教会学校で田中さんのベストパートナーであり続けている。佑子さんのガリ版印刷の週報が残っているが、パソコンプリントでは出せない味わい深い美しさがある。一字一字心を込めてガリ切りをするように、教会学校は一回一回祈りを込めて開かれ続けてきたのだ。
 田中さんは元鉄道マン。休日や夕方、夜勤の後は昼間を家庭訪問にあてた。新入生が来ると欠かさず保護者にあいさつに行った。地域に根付いた教会学校であるためには、地域の人々と信頼関係を築くことが第一だ。町のイベントに協力し、近くの小学校の先生とも親しく交流した。校長室を訪ねる田中さんの姿は、小学校の中で普通の光景になった。入学式や卒業式には学校から招待状が届いた。「クリスチャンとして先生方に信頼してもらうことは、教会学校の奉仕をする上でとても大切なこと」と、田中夫妻は言う。学校前で教会学校のチラシをまいていると、手伝いましょうと言う先生がいるくらい、熊野教会学校は地域の深い信頼を得るところになって行った。
 95年の阪神大震災は熊野教会学校にも危機をもたらした。家の土台が崩れ、建て直さなければ使えなくなったのだ。仮設住宅は遠い。そんな時「ぜひ家に住んでください」と申し出てくれたのがある卒業生だった。「子どものころ両親は忙しくてどこにも連れて行ってもらえなかったけど、教会学校はキャンプや遠足、楽しいことがいっぱいあったでしょ。本当にうれしかった。ご恩返しをさせてください」
 平日でも遊びに来てオルガンを弾いていた女の子の姿が思い出された。近所の知人が経営する学習塾の一室を教会学校のために無料で提供。おかげで震災の年も1日も休まず教会学校を続けることができた。人々を通して神は奇跡を見せてくださったと、田中夫妻は言う。たゆまぬ愛の働きが、地域に浸透していたことの証しになった。
 「今は本当に子どもが少なくなりました。反対に多くなったのが一人暮らしのお年寄りです。花の日など植木鉢を持ってそういうお宅を訪ねているんです」
 世の中が変わり、教会学校の働きに、そんな新しい要素が加わった。子どもたちは物に囲まれ、ちょっとやそっとでは楽しまなくなってしまったが、「足りないものを満たしたいという思いは同じ」と、佑子さんは言う。
 「昔は教会の行事などで満足していましたが、 今は子どもたち自身何が足らないかわからないような状況です。豊かな暮らしの中で、子どもたちの心はどんどん貧しくなっています」  教会にこそ心満たすものがあることを知ってほしいと、今の子どもたちを引き付けるものを模索している。リズム感のある賛美を喜ぶ子どもたちの姿に、今風の新しい賛美が1つの鍵になるのではと考えている。そういう教会音楽に長けた息子夫婦や孫の存在が頼もしい。
 「賛美はみことばと同じように体にしみ込んでいくものです。それが信仰に結びついたらと願っています」  「協力してくれる人たちがいたから今に至っているんです」と、田中校長。「皆さんがそれぞれの賜物を生かして奉仕してきたことを神様が祝福してくださったんです」  先年体調を壊してしまい、杖を使う体だが、使命感は青年のころと変わらず、いやそれ以上に瑞々しい。

VIP:映画「パッション」封切りまでにチラシ100万枚配布0405020502

 VIPオアシス祈祷会では、映画「パッション」が5月1日に全国約150の映画館で封切られることを受け、各宣教団体、教会がこの映画を伝道に用いようと動いていることが報告された。
 同映画のキリスト教界の窓口となっている礒川道夫さん(いのちことば社ライフ企画部長)は「全国8千件の教会に同映画の配給会社・日本ヘラルド映画株式会社からダイレクトメールを打ってもらった。全国のキリスト教書店で前売り券を買えるようにした。教会がオーダーを取りまとめている段階です」と報告した。
 インターナショナルVIPクラブ(略称VIP)=市村和夫代表=は、5月ロードショーに向け、「映画館を教会に」をキャッチフレーズに「パッション」のチラシを100万枚配布する。
 日本ヘラルド映画とVIPをとりもつ中田正敏さんは「チラシは全国の上映館に50万部を発送した。各地のVIP及び教会から問い合わせがあり、4月20日現在で25万部の配布が終了している」と語った。
 「毎朝夕、近隣のマンションやアパートにチラシを配っている。封切りまでに3万枚は配りたい」と語る国際弁護士の佐々木満男さんは、「アメリカでは1か月で3千万人が見に行った。この映画は日本宣教のための千載一遇のチャンス。この時を逃したら、我々の責任だ」と述べた。  チラシの問い合わせはTel:03・3248・1165、日本ヘラルド映画(株)劇場マーケティング部・岡田まで。
 新生宣教団は、映画「パッション」を用いたトラクト「だれがイエスを十字架にかけたのか?」を制作。「キリストがわれわれの罪を償うために味わった恐ろしい苦難を目撃することで、人の心の奥深くに、希望、愛、赦しのメッセージを届けたかった」というメル・ギブソン監督の製作意図を紹介し、パッション(神の受難)の意味などについて解説している。1部9円で申し込みは千部単位。問い合わせはTel:049・296・0727、新生宣教団まで。
 全国家庭文書伝道協会(EHC)は「ヨハネの福音書」の前後に映画「パッション」にちなんだ内容を付けたトラクトを発売する。前半のテーマは「真実かうそか」で、クリスチャンでない人に向け「イエスは神の子か」「イエスは復活したのか」などの疑問に答えながら、十字架の意味を語る内容。後半のテーマは「パッションを体験して」で、「すべての人が本当に求めていること・愛・ゆるし・いやし・いのちについて、映画にふれながら語りかける」内容だ。5月初旬発行を目標に制作中。1部50円の予定で20部から購入できる。問い合わせはTel:03・3353・9349、EHCまで。