[CSD]2009年6月28日号《ヘッドライン》

[CSD]2009年6月28日号《ヘッドライン》

 = 1面 ニュース=
★東方ルートのキリスト教 景教徒は古代日本に来た——「日本景教研究会」発足
◎旧新約の名場面集 目に鮮やか——画集『巨匠が描いた聖書』

 = 2 面 ニュース=
◎切迫する東海で地震セミナー——教会ができる「心の支援」
★「この時のための信仰です」——イ・チソンさん来日講演
★「霊感商法」幹部ら逮捕——統一協会教区本部など捜査
★米国:ナチスに抵抗したジャーナリスト、B・クローカー氏死去
★<落ち穂>中国・四川大地震から1年

 = 3 面 =
★日本教会史の検証<前編>キリシタン禁令とプロテスタント100——ベッテルハイムから敗戦まで 山口陽一氏の講演から
★検証:「ピースリボン」裁判から何を学ぶか——権力が牙をむき 作られた「事件」
★<オピニオン>知りたいと思う心 記・有北 いく子

 = 4 面 ビジネスパーソン=
★昔けんか相手の企業にヘッドハンティングされ——芥川 勝行さん[中](日亜化学工業[株]取締役本部長)
★<ストップ・ザ・不祥事>[6]事務局長育てる環境づくりへ 記・楠田高久

 = 5 面 情報 =
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★CD:「ユーオーディア OnlyOneLife」ユーオーディア・アンサンブル(ミクタム、3,150円)
★BOOK:『愛に生きた証人たち』金子 晴勇・平山正実共著(聖学院大学出版会、2,520円税込)
★REVIEW:『和解を紡いだ12年「戦争責任告白」からの歩み』日本ホーリネス教団福音による和解委員会編(同教団、2,100円税込)評・戒能信生

 = 6・7 面 文書伝道特集 =
◎宣教ツール:「配り隊」が行く!——奥会津トラクト配布紀行
★Hi-b.a:第1印象をがっちり!——配り手の気持ちくんだチラシ作り
★今夏、東海道を歩こう——Walk With Jusus

 = 8・9 面 三浦綾子特集 =
★小林多喜二の母セキの姿に共感し舞台に——劇団アドック「母」
★三浦綾子メモリアルソングCD「あなたはどこで」を発売——歌詞は読売新聞北海道支局が全国公募
★今も語りかける作品——『氷点』が人生の転機となった
★三浦綾子氏召天10周年記念集会——10月17日に横浜・青葉台ナザレン教会で開催

 = 10 面 教会学校 =
★<教会学校の実情を探る>「いっしょの礼拝」体験で育む——同盟基督・知立キリスト教会
★<CSもうひと味>CSのアイデアも満載!——ジョイフルフェスティバル

 = 11 面 クリスチャンライフ =
★パン・アキモトの缶詰パン「被災地から宇宙まで」——課題はチャンスに
★<映画>「BASURA バスーラ」——私に、あなたに何ができる?
★<痛みに中に生きる>[20]団塊編 悩みを話し合える壮年会

 = 12 面 教会 =
★リトルワーシップとの連携が、教会成長を後押し——インマヌエル・深川キリスト教会

◎旧新約の名場面集 目に鮮やか−−画集『巨匠が描いた聖書』=0906280102

[img align=left]http://jpnews.org/pc/uploads/img4a3f00afd78c0.jpg[/img] 画家たちが聖書の言葉に触れたとき、そこに何を感じ、どのようなメッセージを作品に込めたのか—そんな興味に応えてくれる画集『巨匠が描いた聖書』が、いのちのことば社フォレストブックスから出版された。
 創世記の「アダムの創造」からヨハネの黙示録の「新天新地」の場面まで、ダ・ヴィンチ、デューラー、ミケランジェロ、レンブラント、ミレー、ゴッホ、ルオー、シャガールといった30人の巨匠による46点の名画で、旧新約聖書全体の歴史をたどる。各場面に対応する聖書個所とともに、町田俊之氏(バイブル・アンド・アートミニストリーズ代表)の解説から、作品に反映された聖書のテーマや画家の意匠に思いをはせることができる。
 上の絵は16世紀スペインの画家エル・グレコがトレド大聖堂の祭壇画として描いた油彩の「聖衣剥奪」。マタイの福音書27章27~31節、イエスが十字架につけられる前に嘲弄される場面だ。町田氏はこの絵に「孤高|痛みと悩みと絶望の中で、イエスはただ神に信頼した」というテーマを読み取り、次のように説く。
 「群衆の喧噪と醜さの中に、真紅の衣を着て、手を胸にあて、一心に天を見つめるイエス。…その目には一点の曇りもなく、また迷いもありません。そこには神に従おうとしている者の『意志』だけが表れ、…それはまさに『孤高』と呼ぶにふさわしい姿です」
 絵によっては、特に注目したいモチーフをクローズアップした画像も配し、美術・聖書解説者の説明を受けながら美術館を巡っている気分。美術を通しての伝道に献身した町田氏が、ここに新しい「文化宣教」が始まる、と期待する会心作だ。
 A4変型判フルカラー144ページ、定価3千990円、年内は発売記念特価3千780円。

◎切迫する東海で地震セミナー−−教会ができる「心の支援」=0906280201

 東海・東南海地震の発生が切迫していると言われる東海地域の牧師らを対象に6月1日、「東海地震セミナー」(東海福音フェローシップ〔TEF〕地震委員会主催)が在日大韓・名古屋教会(名古屋市中村区)で開かれた。講師は、07年の新潟中越沖地震を経験した片桐宣嗣氏(ホーリネス・柏崎聖光キリスト教会牧師)。会堂の倒壊に見舞われながらも再起、復興した経験を交え、「それでもイエスと」と題して語った。
 片桐氏はまず、ナチスの迫害に遭いながらも「もし生きることに意味があるとすれば、苦悩することにも意味がある」と言ったV・E・フランクルの言葉を引用し、「それは体験することに意味を見いだす『体験価値』、避けられない現実にどのような態度を取るかに価値を置く『態度価値』、主にあって目標を目指し、活動し、創造する『創造価値』の3つの方向で実現される」と前置き。
 地震発生日の7月16日、片桐氏は教団教区の聖会で妙高高原にいたが、臨時ニュースで地震を知って急きょ帰宅。柏崎は建物・道路の崩壊、ライフラインの機能不全などに陥り、自宅の倒壊・半壊に見舞われた約1万2千人の市民が、余震におびえながら避難所生活を余儀なくされた。柏崎聖光キリスト教会も、会堂全壊の被害を受けた。地震とは、「生活・生産・生業の場など日常性が一瞬で、広範囲にわたって破壊される。終息の見通しが不明で、人的、物的、精神的に被害が大きく、長期的支援が求められる」と片桐氏は言う。
 会堂倒壊後、教会では、教会員の安否確認、行政による罹災の確認・証明、次週の礼拝準備と案内、倒壊建物からの必要品搬出、専門業者による解体作業など様々な対応に追われた。片桐氏は、緊急連絡網の整備・点検、教団レベルの相談支援体制、同一地域内の教会間の相互支援協定、3日間のサバイバルの準備、会堂の代替場所の確保などを挙げて、災害時への教会の備えを参加者に促した。
 震災後の復興に際し、地域の教会が特に心を割いたのが、「地域の復興のため、教会に何ができるか」だった。片桐氏は、地域の他の2教会の牧師と共に発起人を務め、教会内外の協力者を加えて実行委員を組織。「音楽で再起支援を」と、08年から3度にわたり「中越沖地震再起支援コンサート」を開催した。「全国から多くの物資、励ましが寄せられたが、加えて、やはり心の支援が必要」と片桐氏。窮地の時こそ、教会が地の塩、世の光となっていく大切さを語った。
 セミナーでは、災害伝言ダイヤルの実演のほか、昼食時には非常食の試食も。当日は、近隣教会の牧師や信徒など22人が訪れた。今セミナーは、「被害を受けた教会に代わって支援活動を指揮・整理する機関が必要ではないかと思った。小さな教会では無理なので、大きな組織体が求められると思う」との感想が聞かれるなど、参加者にとって良い啓発の機会となったようだ。

◎宣教ツール:「配り隊」が行く!−−奥会津トラクト配布紀行=0906280601

 福島県・奥会津。会津地方の中でも山間地に位置する、国内有数の豪雪地帯だ。同時に有数の過疎地域でもあり、特に昭和町、金山町、三島町は全国の高齢化率上位を占める。教会未設置町村がほとんどで、住民が福音に触れる機会は少ない。
 この地域に、どうにかして福音を届けたいと願い、地道に活動を続けるメンバーがいる。その名も「トラクト配り隊」。年に数回、奥会津を中心に各地を巡り、トラクト(伝道文書)を配っている。

 「奥会津は自然が豊かなところで、水や空気も本当においしい。何より、住んでいる人たちがとても温かいんです」と言うのは、「配り隊」リーダーの阿部恩さん(二本松バプテスト教会員)。阿部さんには、中学校の教師として奥会津で7年過ごした経験がある。「ふるさとのようなこの地に、教会ができたらいいなあ、という思いが起こされ、ずっと祈っていました」
 その後、退職して時間ができたため、トラクト配布から始めようと計画。「初めは1人で行くつもりでしたが、アメリカから宣教チームが来日し、『チーム伝道っていいな』と。同じバプテストのグループに属する知り合いに声をかけ、『配り隊』が発足しました」
 07年8月、第1回「出動」時には3人だった隊員も、現在は臨時隊員含め17人が名を連ねる。これまで、奥会津、安達郡大玉村、宮城県丸森町などで配布。教会の伝道集会に招かれ、手伝いに行くこともある。
 「トラクト配布が苦手」という人は少なくない。しかし「配り隊」の隊員から伝わってくるのは、配布そのものを楽しむ姿だ。「苦手意識の一つには、受け取りを拒否されることへの躊躇があるのでは、と思います。ですが、奥会津では『いらない』と言われることが本当に少ない。これまででせいぜい1、2回ほどでした」。何気ないおしゃべりや食事など、現地の人との温かい交流が隊員の背中を押している。
 もう一つの秘訣が、仲間といっしょだということ。「私などは、犬にほえられたりするとひるんでしまいますが、逆に犬好きな隊員がポストまで行ってくれます。苦手、得意が様々で、メンバーのデコボコも埋めることができます」。配布終了後の温泉や食事も、大きな楽しみだ。
 「受け取ってくれる方はご高齢で、教会もすぐに行けるところにありません。それ1枚あれば福音がわかる、というトラクトを配っていきたい」と阿部さん。「隊員は女性がほとんどですが、いつか結婚して、みんなで家族いっしょに配るのが夢です。そうすれば配れる数は2倍、3倍になりますから」と願う。
 トラクト配り隊=URL http://d.hatena.ne.jp/torakutokubaritai