[CSD]2009年7月19日号《ヘッドライン》

[CSD]2009年7月19日号《ヘッドライン》

 = 1面 ニュース=
◎カルヴァン生誕500年集会で晩年のジュネーヴ礼拝式再現
★ソマリア:過激武装勢力が子ども2人を処刑

 = 2 面 ニュース =
特別寄稿:脳死臓器移植法改正論議と宗教——聖書の人間観は心身統合体 記・大和 昌平
◎「いのちの尊厳」慎重審議を——日本宗教連盟が臓器移植法改正で2次臨調に意見書
★最古の聖書 シナイ写本——大英図書館がネット公開
★<落ち穂>ベッテルハイムの沖縄宣教

 = 3 面 教界ニュース =
★講演から:日本教会史の検証 上中 栄氏<前編>ホーリネス史と日本宣教——公権力と教会
★ソドムは死海の北東部にあったか
★「英国がイスラム国家になる?」
★<オピニオン>子どもたちと共に福音の歴史を分かち合う 記・瀬底 ノリ子

 = 4 面 ビジネスパーソン=
★「君、ホンマのこと言えよ」——岩井 虔さん[中](PHP総合研究所参与)
★<ストップ・ザ・不祥事>[7]法律を守る姿勢を大事に 記・尾崎 善光

 = 5 面 牧会/神学/社会=
★第5回 日本伝道会議の論点[7]信徒活動——その役割と働き
★「敬虔」と「礼拝」は切り離せない——現代の教会にも語るカルヴァンの礼拝
★<精神障害と教会>[55]ためらい(2)——私って統合失調症  記・向谷地 生良

 = 6・7 面 全面広告=
☆日本伝道の幻を語る会

 = 8 面 全面広告=
☆浜名湖バイブルキャンプ場

 = 9 面 情報=
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★CD:「主の祈り」(いのちのことば社ライフ企画/ライフミュージック、1,260円税込)
★BOOK:『早起きクリスチャンの祝福』ムン・ボンジュ著(Duranno、1,260円税込)
★BOOK:『イエスのまなざし アイデンティティーの喪失と回復』橋めぐみ著(一粒社、1,365円税込)
★REVIEW:『ルターの霊性思想』金子晴勇著(教文館、2,940円税込)評・橋本昭夫

 = 10 面 関西だより =
★「説教はみことばの講解によるべき」——熱気あふれたオルフォード講解説教セミナー
★前OCC総主事 斎藤嗣夫氏死去
★「1人が1人を導く」テキスト——リバイバル見据え出版
★台湾から賛美と福音——台北四方教会が音楽伝道

 = 11 面 クリスチャンライフ =
★200回目の心晴れる時間——その枝キリスト教会「恵朗クラブ」
★キング牧師の伝記映画——スピルバーグ監督ら製作へ
★<痛みに中に生きる>[23]子育て編 「かわいい」のに「関われない」

 = 12 面 ひと=
◎日本人教会の特徴も宣教の利に——安藤廣之さん(在欧日本人教会牧師)

◎カルヴァン生誕500年集会で晩年のジュネーヴ礼拝式再現=0907190101

[img align=left]http://jpnews.org/pc/uploads/img4a5a86ee0949c.jpg[/img] 「民よ、手を打ちならせ、主に向かい高らかに喜びの声あげよ。げに、全地治むるは いと高き神なる主、恐るべき王なる主」―オルガン前奏に続き、ジュネーヴ詩篇歌47篇の純朴な単旋律を、参加者200人が厳粛に歌い、1562年の式文に基づくジャン・カルヴァン(1509~1564)晩年のジュネーヴ礼拝式が再現された。カルヴァンの誕生日(7月10日)に近い7月6日、東京・三鷹市の東京神学大学チャペルを会場に行われた「カルヴァン生誕500年記念集会」(同実行委員会主催=久米あつみ委員長、アジア・カルヴァン学会、日本カルヴァン研究会共催)は、「礼拝者カルヴァン」をテーマに、16世紀のスイス・ジュネーヴを舞台にした宗教改革当時の讃美とカルヴァンによる説教、祈り、聖餐式を体感する研究集会となった。

 礼拝式・聖餐式再現に先立ち、芳賀力・東京神学大学教授が「讃美と応答|この世を神の栄光の劇場とするために」、秋山徹・日本基督教団上尾合同教会牧師が「カルヴァンのジュネーヴ教会の礼拝」、菊地純子・日本キリスト教会神学校講師が「ジュネーヴ詩篇歌という世界」について講演。菊地氏の解説と今井奈緒子・東北学院大学教授のオルガン演奏で「公同の祈り」としての詩篇歌を日本語訳で歌った。
 菊地氏によるとカルヴァンは、詩篇を礼拝の中で歌うユダヤ教以来の伝統を踏襲した当時のローマカトリック教会の常識に従いつつ、その大聖堂での絢爛たる礼拝音楽の発展に対しては、「私たちの魂が歌詞の霊的な意味に傾倒する以上に、耳が旋律に注意を寄せることがあってはならない」とのアウグスチヌスの言葉を引用して警告。当時のカトリック典礼歌を、単に楽しみのため、耳を喜ばせるために作られた歌い方であり、教会の厳粛さにふさわしくないと判断し、音の上下の少ない短い単旋律を繰り返す朗読のような詩篇歌を生み出した。生涯改訂を続けた『綱要』とともに詩篇歌は、二本の杖としてカルヴァンの活動を支えるものだったという。
 「ジュネーヴ詩篇歌の世界は、練られた祈りとしての詩篇を、音の世界の力を伴わせることで礼拝の歌として出発した。だから、訓練を受けていない会衆が共に礼拝の中で一つの旋律で讃美することにより、共々に詩篇の祈りに集中することができる」と言うように、会衆は初めて歌った詩篇歌や韻律詩による十戒、使徒信条などにすぐなじみ、447年前の礼拝の世界にあずかった。
 詩篇歌47篇の後、司式者(石田学・ナザレン神学校教授)の「わたしたちの助けは天と地を造られた神の御名にあります」というはじまりのことばに続き、司式者と一同が応唱する「罪の告白」、詩篇歌51篇、「聖書の言葉による赦しの宣言、慰めと励まし」、詩篇歌46篇、「牧師による聖霊の照明、確証を求める自由祈祷」、詩篇46篇の聖書朗読と説教(高砂民宣・青山学院大学准教授)、長い説教者の執り成しの祈りへと進んだ。
 〈みことばの礼拝〉に続き〈食卓の礼拝〉が行われた。使徒信条を歌って告白し、十戒を歌って唱え、?コリント11・22~29の制定語と、偶像礼拝者、神を冒涜する者、不倫を行う者、大食漢、好色な者など20項目を並べて主の食卓にふさわしくない者に「聖なる食物を汚すことがないように、この食卓から離れるよう警告」し、自己点検を促す長い勧めを述べた。続いて司式者(関川康寛・東京神学大学教授)が掲げて割いたパンと、ぶどう液を4組8人で配餐。会衆が順に前に進み出て聖餐にあずかる間、オルガンで詩篇歌が演奏された。詩篇歌138篇、感謝祈祷、シメオンの歌、民数記6章のアロンの祝祷で締めくくり、後奏のうちに司式・説教者、配餐者、続いて会衆が前列から順に礼拝堂を退場した。

◎「いのちの尊厳」慎重審議を−−日本宗教連盟が臓器移植法改正で2次臨調に意見書=0907190202

 日本宗教連盟(岡野聖法理事長)は7月1日、臓器移植法改正案の参議院での審議に際し、宗教者の立場から、「ドナーとレシピエント双方の『いのちの尊厳』が侵害されることのないよう」慎重な審議を求める意見書を発表した。「宗教者は、この世に生を享けた一人ひとりのいのちは、どの宗教においても、すべて等しく、かけがえのないものと受けとめています」として、脳死・臓器移植は、生きている他者の重要臓器の摘出を前提としている限り、普遍的な医療行為にはなり難いとして4項目を要請した。
 1、脳死と診断された後、身長が伸び、体重も増え、いのちを刻み続けている子どもたちが数多く紹介されている。また、多くの日本人が、今なお「死の三兆候」をもって、「人の死」を受け入れていることから、「臓器移植の場合にのみ脳死を人の死」と規定すべきである。(現行法の尊重)
 2、臓器移植後、手紙や日記などで本人が移植を望んでいなかったことが判明する場合が想定される。ドナーの「いのちの尊厳」を守るためにも、「本人の書面による意思表示」を規定すべきである。(現行法の尊重) 
 3、脳死段階での小児からの臓器移植については、大人と異なり子どもが蘇生力に富んでいることから、より厳格な脳死判定の基準の導入、被虐待児を対象としないなど、脳死判定基準の検証をはじめ子どもを保護するシステムを検討すべきである。
 4、以上3点を踏まえ、わが国の脳死・臓器移植が直面している諸問題を解決していくために、「第2次脳死臨調」を早急に設置し、集中的な検討を始めるべきである。

◎日本人教会の特徴も宣教の利に−−安藤廣之さん(在欧日本人教会牧師)=0907191201

 約10年にわたる、ドイツのデュッセルドルフ日本語教会の牧会を終え、デピュテーション(働きの活動報告と次期の働きの賛同を募る)期間に入った安藤廣之牧師。来年夏から、在欧日本人宣教会からの新しい宣教師としてミュンヘンに派遣される。これまでの働きやドイツの日本人クリスチャン事情、さらなるステージへの意気込みを聞いた。

 1999年11月から仕えてきたデュッセルドルフの教会は、赴任当時、信徒が平均25~30人だったという。しかし、ピーク時には60人程になったこともあり、人数の幅はかなり大きい。ドイツは諸外国に比べ、永住目的で来る人が少ないため、流動的で高齢化の傾向もない。デュッセルドルフもまた、そんな町の一つだ。「ビジネス街の拠点でもあり、駐在員やその家族、ワーキングホリデーで来ている人が多く、あとは留学生というのが大まかな構成です」
 超教派であることも日本とは違う教会の特徴だ。「日本で信仰をもった人たちがこちらの教会に集う場合は、信仰観や教会観の違いもあります。礼拝のプログラムや賛美の歌も皆違うので、きっちりと足並みを揃えるよりも、『日本語で共に聖書を読み、伝道していきましょう』という緩やかなまとまりといった感じ」だという。この緩やかさは、個人主義的な欧米の神学や教会ともどこか通じるものがある。しかし、「日本の教会に比べ、個人主義的ですが、日本やアジアのキリスト教会に見られる家族的な面も濃くあり、ドイツの国教会からは新鮮に映っているようです」とも。近年では、礼拝堂を借りていることもあり、ドイツの教会のバザーに協力するなど関係も生まれている。また、国境が地続きという利点も生かし、同じドイツ内のオランダの日本人教会との交流も盛んになりつつあるという。

 また、海外の日本人教会ゆえの課題もある。「ドイツに来てから教会に通い出し、やっと慣れてきて信じたいと思った頃に、日本へ帰国しなければならない方も少なからずいます。通常でも芽が出た信仰を育み、養っていくことは試練もあるのに、がらりと変わった環境に置かれることは本当に大変なこと」
 それでも今年行われ、600人が集ったAll Nations Re
turnees Conferenceなど、帰国者クリスチャンへの関心も高まっており、「海外の日本人教会と日本の教会の違いを、帰国者もまた、知る機会になり、少しずつ日本の教会も目を向けてくれるようになったのでは」と期待をにじませる。これからの時代、旅行や留学、企業の進出など、ますます日本と海外の垣根は低くなるだろう。「土地のしがらみも他人の目もない開放感がある一方で、どこかで日本人同士の交わりを求めているのも現実。海外の日本人教会の役割の一つにそういった方々のニーズに応えることにもあるのでは」と語る。
 日本人が3千人ほどいるといわれるミュンヘンに今、日本人教会はない。その意味でも新しい可能性を見いだしているのがミュンヘンだという。「ミュンヘン聖書の会が20年近く続いており、今後は協力宣教師としてかかわっていく予定です」
 「ドイツでの宣教で思うことは、家庭集会は比較的、低い敷居で集えます。礼拝に足を運び、イエスを自分の救い主として信じるというのは、異国の地であっても簡単なことではありませんが、自分で、日本語で聖書を読む中でイエス・キリストに繋がり、いずれはそんな人たちと一緒に日本語礼拝もささげていきたいです」。デュッセルドルフの10年で見えてきた海外日本人教会の事情もある。「地元教会との関係、日本国内教会との関係、他の日本人教会との関係を築きながらこの働きを前進させたいですね」
 子どもの学校の関係で、妻の里佳子さんと交代で半年ずつデピュテーションをした後、来年の夏以降に本格的にミュンヘンでの宣教が始動する。