[CSD]2009年10月11日号《ヘッドライン》

[CSD]2009年10月11日号《ヘッドライン》

 = 1面 ニュース=
◎第5回日本伝道会議 危機の時代こそ宣教協力を
★コロンビア:暴漢3人が牧師を殺害

 = 2 面 ニュース=
◎フィリピン豪雨禍:ゴミ山の教会も被害深刻——家畜も衣服も流された
★フィリピン豪雨禍:NCCが緊急支援
◎「アイヌ文学の入り口」——知里幸恵記念館、登別に2010年開館へ
★韓国:プサンでWCC次期大会開催へ
★めぐみ堂 西本誠一郎社長、強制わいせつ容疑で逮捕——和解成立し 不起訴に
★<逝去>標 宮子氏(しめぎ・みやこ:聖学院大学人文学部日本文化学教授)
★<落ち穂>天国を説明するのは教会の使命

 = 3 面 =
★第5回日本伝道会議 札幌宣言(全文)
★<オピニオン>「札幌宣言」の意義 記・根田 祥一

 = 4 面 ビジネスパーソン=
★森安 正幸さん[上](プロ棋士)——将棋界発の兄弟棋士で話題に
★<未来を拓くNPO>[9]ミッションアピールで他との差別化を 記・島田 恒

 = 5 面 情報 =
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★CD:「立ち上がれ」ハレルヤミュージック(2,500円税込)
★BOOK:『あたらしい歌 CD付』福音讃美歌教会編(いのちのことば社、840円税込)
★BOOK:『医者ルカの証言』服部嘉明著(ユーオディア日本事務局、3,000円税込)
★REVIEW:『ニカイア信条・使徒信条入門』F・ヤング著(教文館、1,680円税込)評・大井 満

 = 6・7 面 特集/日本宣教地図 =
★全国の教会・伝道所8,023件に——「クリスチャン情報ブック2010」教会教勢調査から
★信徒の大都市集中化が顕著に——人口の関東近畿圏50%に対し信徒数は68%

 = 8・9 面 近畿放送伝道協力会特集 =
★TV「ライフ・ライン」放送20周年!——福音を待っている人のために
★全国に広がれ支援の輪——10月30日兵庫・ニューコミュニティ西宮チャペルで
★教会と共に前進——教会形成支援プロジェクト韓国との教会協力で推進

 = 10 面 教会学校 =
★JCE5「こども」プロジェクト[1]——子どもの「危機」を検証

 = 11 面 クリスチャンライフ =
★薬物依存からの回復[2] 「罪悪感と救いの体験」こそが支え
★<痛みに中に生きる>[31]団塊編 激動を生きた団塊世代、その先は

 = 12 面 教会 =
★日曜も平日も 教会へ——東京ホライズンチャペル世田谷

◎第5回日本伝道会議 危機の時代こそ宣教協力を=0910110101

 「危機の時代の宣教協力—もっと広く、もっと深く—」をテーマに、第5回日本伝道会議(=JCE5、原田憲夫実行委員長、中島秀一会長)が9月21~24日、札幌コンベンションセンター(北海道札幌市)で開催された。全国各地、海外から2千人を超える参加者が登録。今会議は信徒の参加を促そうと大型連休に日程を組み、参加者のうち3分の1が信徒だった。

 日本伝道会議はこれまで、日本福音同盟(JEA)を軸に、1974年の第1回から00年の第4回まで8、9年おきに開催。それぞれ時代に即したテーマを掲げてきた。00年、第4回伝道会議で採択された「沖縄宣言」は、教会と時代・社会の課題に対する認識を「和解の福音」というキーワードで表し、教会とキリスト者の使命を明確にした。しかしその後、日本および世界の情勢は変動。日本宣教も決して楽観視できる状況でなく、むしろ「危機の時代」(エレミヤ14・19)に直面しているとして、今会議ではその問題意識をもちつつ、開国に伴うプロテスタント宣教開始から150年を迎えることを意識したテーマを設定。「次世代を担う人々・青年の力を集め、先達から伝道の熱心と経験を学び、洞察する」、「現代人の魂の渇きを満たし、現代社会の問題を根本的に解決し変革するのは、キリストの福音であることを確信し、いかに生きるべきかを指し示す」、「新しい時代を拓くために、すでになされている教会協力・宣教協力をさらに広く、さらに深く進める」を基本理念に掲げた。
 今会議の特徴の一つには、既に取り組みが進められている宣教協力の各分野を、平和問題、教会教育、福祉、女性、信徒活動、ディアスポラなど15のプロジェクトとして実施。これは、今会議のコンセプトを一過性で終わらせるのでなく、会議前から会議の後まで継続して取り組み続け、具体化していくことを図ったもの。会期中はほかに、計32の分科会、9つのシンポジウムのほか、ナレンドラ・ジョン氏(インド・フリーメソジスト教会監督)を招いての聖書講解、聖会、宣教大会など充実した内容のプログラムが実施された。
 21日の基調講演で「日本開国とプロテスタント宣教150年」と題して語った山口陽一氏(東京基督神学校校長)は、プロテスタント宣教開始以前のカトリック信徒の戦い、宣教師、派遣先の教会、キリスト教を根付かせてきた信徒など、先達たちの働きについて神への感謝を述べつつ、天皇制国体に埋没したプロテスタント教会の「致命的過ち」を悔い改めとして指摘。「この危機の時代における宣教のため、聖書信仰と福音主義に立ち、戦時下の罪を悔い改めるプロテスタント教会の超教派的協力が切に願われる。時代を識別する信仰の目で刈り入れを待つ畑を見渡し、出て行きましょう」と締めくくった。
 「危機の時代における宣教協力—宣教協力の理念と実践—」と題して語ったJCE5企画推進プログラム局長・竿代照夫氏(イムマヌエル綜合伝道団代表)は、民族間対立、地球環境悪化、日本の右傾化、経済不況、キリスト教会の停滞など、「危機の時代」の今こそ宣教協力が重要、と強調。「マイチャーチイズム」(自分の教会中心主義)や「教派エゴ」(自らの教派を絶対視)、逆に教派を否定することの危険性を指摘し、「教派をキリストの肢の一つと捉え、互いの特色と強調点を認め合い、尊敬を払いながら、しかし、協力できる分野で協力していく『協』教派的伝道を模索していくべきでは。私たちが本当の意味で一つとなること(ヨハネ17・20)が、伝道の進展の鍵」と促した。
 伝道会議最終日には「札幌宣言」を採択。この危機の時代にこそ神に頼り、宣教協力を進めること、2016年の第6回日本伝道会議に向け、それぞれの分野で具体的な取り組みを進めることを確認した。
 

◎フィリピン豪雨禍:ゴミ山の教会も被害深刻−−家畜も衣服も流された=0910110201




洪水で水没した家屋の屋根に非難するパヤタスの教会の向かいの住民たち


 9月26日未明、フィリピン・ルソン島東部のメトロマニラ首都圏全域で猛威をふるい、過去40年間で最悪となる水害を引き起こした台風16号「ケッツァーナ(Ketsana)」。マニラとその周辺は9時間にわたって豪雨に襲われ、1か月間の平均降水量を超える410・6ミリの雨が降った。比政府によると、マニラ市内の約80%が浸水した。
 マニラ近郊のケソン市にあるアジア最大のゴミ処分場パヤタスでも、その被害は深刻だ。フィリピンでの犠牲者は240人を超えたといわれるが、パヤタスのような地区の被害状況は政府もつかんでいないという。





 同所で伝道活動をしているフィリピン人のジュリアス・クィニョネスさん(7月5日号1面に既報)は16日、牧会する教会前を流れる川が決壊する前に教会員を訪ねて注意を促した。
 ジュリアス牧師によると、想像していた以上に雨はひどく、避難作業中に川は決壊し、あっという間に教会の2階近く(7フィート以上)に水かさが上がったという。「ゴミ山から大量のゴミと共に汚水が流れてくるので、周囲はひどい状態になった。私たちは教会の2階に逃げたが、足もとまで水が入り始めたのでとても恐ろしかった。2階の窓から見えるコミュニティーは完全に水没し、多くの人が丘の上に逃げるか屋根の上で過ごした」。コミュニティー内の多くの家は水没。家財も水につかり、蓄えていたわずかな食料・衣服も失った。
 「私たちの地域でも複数の子どもが行方不明か亡くなったといわれ、情報が錯綜している。国の救助は私たちの地域では期待できないので、私たちが相互に力を合わせて助け合う必要がある。どうか力が与えられるよう祈ってほしい」と語った。
     ◇
 支援の振込先=ゆうちょ銀行、(口座名)グローカルギフトネット(店名)018普通預金6554462。




◎「アイヌ文学の入り口」−−知里幸恵記念館、登別に2010年開館へ=0910110203

 9月19日、NPO法人・知里森舎の主催による「知里幸恵フォーラム '09 in登別」が登別市内のホテルで開催された。1922年(大正11)9月18日に19歳の若さで、『アイヌ神謡集』を遺して急逝した知里幸恵の業績を覚えるために開かれているこのイベントも今回で10回目を数える。
 知里森舎理事長・横山むつみ氏の挨拶に続き、白老にある「アイヌ民族博物館」の学芸員・北原次郎太氏がアイヌ文学(口承文学)の特徴を解説しながら、カムイユカラ(アイヌ民族に伝わる神謡)を披露。続いて、知里幸恵記念館建設募金委員会発起人代表で作家の池澤夏樹氏が、「個人から神話へ~入り口としての知里幸恵」と題して講演した。
 池澤氏は、「『アイヌ神謡集』という小さな本の背後に膨大なアイヌ文学がある。その意味で彼女はその入り口になっている」として、「金田一京助の助けを受けながら、アイヌ語を翻訳して日本に広めたという意味で入り口。私自身についていえば、自分の世界観、人生観、生き方の入り口になっている」と知里幸恵を評価。また、北原氏のカムイユカラを実際に聞き、「語りの力」の素晴らしさを感じたと語った。
 シンポジウムでは、池澤氏と北原氏の2人に、北海道大学大学院地球環境科学研究院教授で知里幸恵記念館建設募金委員会世話人代表の小野有五氏がコーディネーターとして加わり、「語り」と文章化された「読み」の違いを確認し、そのことを踏まえて文字化と翻訳を行っている知里幸恵の力を改めて認めた。また、小野氏は、『アイヌ神謡集』では多くの神謡の中から13の叙事が選択されているが、そこにはキリスト者である幸恵の「赦し」の思想が反映していると述べた。
 この後、旭川、函館、札幌、東京、名古屋などから集った150人余の参加者らが記念館に対する期待と思いを語り、会は閉じられた。
 記念館は知里幸恵の生誕地である登別に2010年の秋に建設される予定。記念館建設に関する問い合わせ先は知里森舎事務局Tel&Fax0143・83・3677。募金振込先は郵便振替口座02740・0・16185、「知里幸恵記念館建設募金」。