[CSD]2009年10月25日号《ヘッドライン》

[CSD]2009年10月25日号《ヘッドライン》

 = 1面 ニュース=
★フィリピン豪雨被害拡大——現地教会、キリスト教支援団体が緊急支援
★米福音ルーテル保守派が新組織憲章を採択

 = 2 面 ニュース=
◎「新日本聖書刊行会」本格始動——新改訳聖書大改定へ体制整う
★記念の年こそ聖霊の注ぎを——聖霊派諸教会が日本宣教150周年フェスティバル
★<召天>八束潤一氏(日本基督教団ホーリネスの群れ委員長、62歳)
★<落ち穂>韓国の宣教史を変えたと評された金俊坤氏

 = 3 面 =
★死者千人超 スマトラ沖地震——各救援団体が現地入り
★スーダン:南部に深刻な干ばつ
★記事を読んで:「札幌宣言」を1教会・1信徒の問題にすり替えは矮小化では?
★<オピニオン>偶像につながる薬物依存の危険 記・碓井真史

 = 4 面 ビジネスパーソン=
★森安 正幸さん[下](プロ棋士)——地元での将棋普及に貢献
★<ピンチはチャンス>[9]悩み多い時代こそ力強い伝道を 記・篠 松次郎

 = 5 面 情報 =
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★BOOK:『クリスチャン・アーティスト。』町田俊之監修(燦葉出版社、1,890円税込)
★BOOK:『三浦綾子 信仰と文学』信徒の友編集部編(日本キリスト教団出版局、1,890円税込)
★REVIEW:『現代人はキリスト教を信じられるか』ピーター・L・バーガー著(教文館、2,625円税込)評・村田充八

 = 6・7 面 賛美特集 =
★郷愁の念 その先の主なる神の愛——ピアニスト・中野博誉さん
★「生きる喜び」を歌で届けたい——声楽家・鈴木道子さん
◎祈りを捧げるシンガー——シンガーソングライター・神山みささん
★ラブソングにひそめたキリストの愛——クリスチャンバンド・World OF SPY

 = 8・9 面 放送伝道特集 =
★「苦しい中にも希望」伝えたい——日本CGNTVの新番組「開拓教会を訪ねて」
★28の番組をセレクト「喜ぶ顔みたい」——PBAメディア女性委員会
★「私はFEBCに育てられている」——リスナーから職員になった長倉崇宣さん
★青森では唯一のラジオ福音放送——CRCメディア・ミニストリー

 = 10 面 教会学校 =
★<教会学校の実情を探る>JCE5「こども」プロジェクト[2]——子どもも教師も関係づくり

 = 11 面 クリスチャンライフ =
◎薬物依存からの回復[4] 覚醒剤で家庭崩壊——克服はただ神の憐れみ
★お菓子でにっこり 励まし合い——日本伝道福音教団信徒大会「賛美&スイーツフェスティバル」
★Movie:「わたし出すわ」——与えなさい。そうすれば与えられます(10月31日より新宿バルト9ほかで公開)

 = 12 面 教会 =
★地域市民も共に聖歌隊で賛美——同盟基督・川奈聖書教会

◎「新日本聖書刊行会」本格始動−−新改訳聖書大改定へ体制整う=0910250201

 新改訳聖書の改訂による新しい翻訳聖書の刊行を目指す一般社団法人「新日本聖書刊行会」(竿代照夫代表理事)は10月1日、一般社団法人「新改訳聖書刊行会」(津村俊夫代表理事)を吸収合併し一切の権利義務を継承した。新改訳聖書第三版の著作権を新改訳聖書刊行会から継承したことにより、その頒布の啓発活動をすると共に、新たな翻訳に向かって本格的な活動を開始することとなった。1970年に初版を発刊して以来、原典に忠実な日本語訳聖書として広く教会で使用され信頼を得てきた新改訳聖書が、約半世紀を経て全面的に大改訂されるための翻訳事業体としての体制が整ったことになる。
 新改訳聖書の事業はこれまで、翻訳団体・一般社団法人新改訳聖書刊行会、頒布団体・日本聖書刊行会(岡村又男理事長)の2団体で進めてきたが、日本聖書刊行会は9月末日をもって解散。今後は一般社団法人新日本聖書刊行会が翻訳と頒布の啓発の両事業を一括して行う。新改訳聖書第三版の発行は、引き続きいのちのことば社が行う。
 一般社団法人新日本聖書刊行会は、理事会の下に教会代表委員会と、翻訳編集委員会を擁する体制。今年4月に第1回教会代表委員会が開かれ、福音派を中心にこれまで新改訳を公用聖書としていない教派も含む約40の教団・教会・神学校・伝道団体が参加。広く諸教会の協力を得てこの事業を進める協力体制を確認し、教会代表委員長に藤本満氏(イムマヌエル・高津教会牧師)を選出した。11月2日に第2回委員会を開く予定でさらに参加を受け付けている。
 翻訳編集委員会は、一般社団法人新改訳聖書刊行会の翻訳改訂委員に加え、40人ほどの体制をめどとして教会代表委員会に参加した諸教会・教団・神学校に翻訳改訂委員の推薦を依頼。新約主任、旧約主任、日本語担当の専門家を中心に数人の常任委員を核とし、中間に15人ほどの拡大編集委員会を置く三層構造の体制で翻訳改訂作業に臨む。4月の第1回教会代表委員会で、新しい聖書は名称に「新改訳」が含まれ、改訂翻訳の目安を2016年頃に設定する計画を説明した。
 新しい翻訳聖書は、新改訳聖書の翻訳理念に基づく部分及び全面改訂。次の翻訳原則に従って訳業にあたることを規約にうたっている。(1)聖書を誤りなき神のことばと告白する、聖書信仰の立場に立つ。(2)特定の神学的立場を反映する訳出を避け、言語的な妥当性を尊重する委員会訳である。(3)ヘブル語及びギリシャ語本文への安易な修正を避け、原典に忠実な翻訳をする。(4)行き過ぎた意訳や敷衍訳ではなく、それぞれの文学類型(歴史、法律、預言、詩歌、ことわざ、書簡等)に相応しいものとする。(5)その時代の日本語に相応しい訳語を目指す。(6)聖書研究の進展や日本語の変化に伴う必要な改訂を行う。
 編集担当理事の津村俊夫氏は、今回の改訂の意義について「すでにある聖書(新改訳)をさらに良くしていこうという大改訂は、日本の聖書翻訳事業において初めてのこと。日本の教会が祈って100パーセント支援していく点でも画期的」と述べ、「今まで新改訳聖書のために祈り、支えてくださった諸教会の方々への感謝と共に、新しい装いで始まる団体への支援を継続してお願いしたい」と協力を呼びかけた。 

◎祈りを捧げるシンガー−−シンガーソングライター・神山みささん=0910250701



「人との自然な出会い、歌との自然な出会いの中に神様は現れてくださる」語る神山みささん

「歌が聴かれていた」と感じた神様からのしるし
 昨年6月、神奈川・藤沢駅南口とビックカメラ店を結ぶ地下道の角に「祈りを捧げるシンガー 神山みさ」の看板が掲示された。シンガーソングライター神山みさのキャッチコピーを公募したとき、応募作の中から選ばれた。ご本人の神山さんも「私自身、そうありたいというか、私の歌が祈りになっていたい」と思い、選んだと言う。クリスチャンのシンガーソングライターとして、自作の楽曲が聞き手に届いた一つの形ともいえる。

私はなぜ歌うの?

 日常的なごく自然な言葉を紡いだ歌詩と、言葉の背後に広がる心象風景を表現したメロディを寂寥感のある歌声で弾き語る神山みささん。2000年からアーティストとして本格的に音楽活動をスタート。02年1月には最初のミニアルバム「Te(手)」をリリースし、直後の初のワンマンライブは大成功。足跡だけを追えば順調そのものに見えるが、「上京から3年ぐらいはライブに5人以上のお客さんが来てくださればいい方で、お客さんを呼べないし、作品もなかなか出来ないとか、いろんなプレッシャーでネガティブな思いにもなっていた」。
 そんなスランプ状態の日々に「なぜ東京にいるのだろう。自分は何のために歌っているのかも分からなくなっていた」。その答えは聖書からもらえた。「自分のからだをもって神様の栄光を現しなさい(?コリント6・20)という言葉。その言葉を与えられたから、まず自分のからだから出てくるもので、神様のすばらしさを表現していこうと決心できた。だから歌えなくなる状況になるまでは、自分からは止められない。何かあると、そこに戻るんです」

神様からのしるし



藤沢駅の地下道に昨年掲示された神山みさの看板

 神山さんはライブハウスなどを中心に音楽活動をしている。一時期「自分の歌は、ちゃんと神様のことを伝えているだろうか。クリスチャン向けだけに歌っていこうかとも考えた」。そんな悩みをもっている頃に、渋谷で連日路上ライブしていた初期から聴いてくれていたお客さんで今は関西に住む人から「ぼくは分かった。ぼくは神様を、キリストを信じているんだ」という内容のメールが届き、驚いた。間もなく大阪でのライブで会えた時に、「信じていると聞いたのでお祈りしてもいいですか」と申し出たら、とても喜んで受け入れてくれた。その時「あー、今までの私の歌の内容でもいいのだ。私は私が歌えるものを、私から出るそのままのものをやっていいのだという神様からのしるしをもらえた感じがして、すごく勇気を与えられました」。その後、その人は教会にも行くようになり、昨年洗礼を受けた。
 ライブハウスなどで、何か1曲と言われたらアルバム「また会う日まで」からの曲が思い浮かぶという神山さん。「みささんのライブをきっかけに、また教会に戻ってきた人がいるよ」と伝え聞くと、「神様を伝えたいという、私が歌う目的の答えをもらえたようで、『まだ歌い続けて行ける』という喜びを感じます」と、前に進む力が与えられてくる。
 神山みさの最新CD「その涙が渇くとき」、独立した昨年のアルバム「また会う日まで」などは公式サイトからも発売中。

公式サイト→http://www.kamiyamamisa.com/

◎薬物依存からの回復[4] 覚醒剤で家庭崩壊−−克服はただ神の憐れみ=0910251101

 9月某日、東京地方裁判所—。大麻取締法違反の公判後、21歳の被告と保護者に、一人の男性が話しかけた。薬物を完全に断ち切らないかと、教会へ誘う。男性の名前は額田陽介さん。自身も、過去に覚醒剤にはまりこみ、ボロボロのところを金沢泰裕牧師(イエス教日本世界宣教会・東京弟子教会)を通してイエス・キリストと出会い、救われた。現在は、金沢牧師夫妻と共に、更生支援団体「親の会」として薬物問題に真正面から取り組んでいる。

 「僕は、マリファナが早かったんです。中学の頃からタバコを吸って、17、18の頃にはマリファナに手を出しました。マリファナなどのソフトドラッグは、比較的依存度がゆるやかです。そやけど、覚醒剤は依存度が高く、生活に及ぼす悪影響も大きい。自分はやらんとこと思ってました」。ところが、覚醒剤へ進むのにそう時間はかからなかった。「『踏み石理論』って言われてますけど、たばこやったらシンナー、マリファナ、そして覚醒剤。人間はより強い刺激を求めてしまうんです」
 興奮や快感を味わうことが一番になってしまって心身共に病み、フリーランスのデザイナーとしてのキャリアも、愛していた妻も家族も、すべての関係性が崩壊したと額田さんは言う。ついに逮捕され、3年半を刑務所で過ごした。
 出所後、息子を心配した母親が金沢牧師(大阪弟子教会=当時)に連絡。やがて同教会に通うようになったが、信仰をもつには至らなかった。
 ある日のこと。いつものように覚醒剤の副作用である幻聴が聞こえてきた。「『あー来たな』と思っていたら、それが突然『わしらは幻聴やないぞ、霊やぞ』と言い出したんです。『今日は、ややこしいこと言うなあ』と思ってたら、その声が予言をするんですね。それが全部当たるんです。そして『おまえが死んだら、必ず地獄に連れて行く』と」。そんなことが続き、額田さんはすっかり恐怖にとらわれた。「そこから逃れようと、ますます覚醒剤をやるようになりました。僕にとっては当時、福音はまだ単なる言葉でした。救いよりも、今すぐ感じられる安心に走ってしまったわけです」
 やがて、2度目の逮捕。約2年を刑務所で過ごした。「刑務所では、あの声は幻やと思ってました。けど出所して、再びマリファナをやった途端にまた現れた。怖くて、また薬漬けの日々でした」
 ある日、限界が来た。「『俺、何やってんねや。だんだんズタボロになっていくやないか』。不毛さと、あきらめにも近い思いが押し寄せてきて、すごく落ち込みました。そのとき、別の声を聞いたんです。『その霊的な縛りは、ドラッグと心の汚れによるもの。しかし恐れることはない。私があなたを守る』。その声で涙があふれてきて、僕は『主よ、私の主よ』と言っていました。聖霊が臨んでくださり、キリストの十字架によって、行くべきだった地獄から救われたと悟った瞬間でした」
 現在、額田さんは東京神学校で学ぶとともに、薬物依存の問題に取り組んでいる。特に、薬物関連の裁判を傍聴して当事者と知り合う「裁判所伝道」は、既に幾人かの人を教会へと招いた。「先日声を掛けた大阪の男性は、母親と共に教会に通い始めました。今後は更生支援と共に、情状証人など裁判面でも支援をしていきます。やはり、そういった関係づくりが伝道には不可欠やと思っています」と額田さん。「神を知らない人が覚醒剤をやめられたとしても、使用を中止している状態。根本的な解決には至っていないと思います。僕は、信仰によって、神様の憐れみでやめることができました。自分の力ではありません。それは主イエス・キリストの十字架の御業によって受ける魂の救いと共に与えられる、この地における恵みです」と語った。