[CSD]2009年11月22日号《ヘッドライン》

[CSD]2009年11月22日号《ヘッドライン》

 = 1面 ニュース=
◎救えるはずの命 救おう——「Child Health Now アクション!」に取り組むワールド・ビジョン
★ネパールの子どもたちと絵を描く旅——2010年3月に児童絵画教育で交流しよう

 = 2 面 ニュース=
★福音功労賞に芳賀 正氏、井上耕作氏
★相模原「富弘 花の詩画展」盛況——渇きのない時代の魂に潤い与えて
★11月26日から千葉県流山市で「星野富弘 花の詩画展」(12月23日まで)
★「日の丸・君が代」強制に苦しむ教員と祈る会——11月28日に東京新宿・牛込聖公会聖バルナバ教会で
★日本は本当に豊か?——アフリカで命の体験から講演
★アジア・アウトリーチ事務所、京都へ移転——主事に吉田 隆氏就任
★<落ち穂>波乱の人生から生まれたアメイジング・グレイスの作詞

 = 3 面 =
◎「夜来香」から賛美歌へ——胡美芳さん逝去
★日本初の「平和学」事典を発刊——関西学院大学キリスト教と文化センターが『キリスト教平和学事典』を編纂
★本紙記事を読んで:「教会は特別」との意識脱却を(11月1日号「露骨な性表現は不適切」に対して)
★<取材こぼれ話>世界のなかの「国の政治」
★<オピニオン>神学校の使命は基礎教育か、実践教育か 記・福井 誠

 = 4 面 全面広告 =
☆日本聖書協会 聖書に親しみ、聖書を読み、聖書を贈りましょう
ホームページ http://www.bible.or.jp/

 = 5 面 ビジネスパーソン =
★井上 義朗さん[上](オーサカ・ユニーク[株]取締役副社長)——突然の代表取締役解任宣告
★新連載<人生何とかなります>[1]今は絶望、でも必ず続きがある 記・佐藤 敏

 = 6・7 面 クリスマススペシャル =
広告スポンサーからのクリスマスプレゼント——応募券を貼って申し込もう

 = 8 面 クリスマス情報 =
近畿・中国・四国のクリスマス・イベント情報

 = 9 面 情報 =
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★BOOK:『三浦綾子 100の遺言』込堂一博著(いのちのことば社、1,260円税込)
★BOOK:『三つの法則』矢田幹太著(グローリーブックス、368円税込)
★REVIEW:『賀川豊彦 その政治的・社会的活動』K・H・シェル著(教文館、2,730円税込)評・後藤喜良

 = 10 面 教会学校 =
◎<教会学校の実情を探る>子どもたちのための祈祷会——子どもたちの痛みを教会の課題に
★<CSもうひと味>『子育てと子どもの問題』村上純子著(キリスト新聞社、1,575円税込)

 = 11 面 クリスチャンライフ =
★早稲田奉仕園100年[2]:学生が語るNGOの過去、現在、未来——若者、キリスト教、NGOの未来は
★<薬物依存からの回復>[8]裁判で求められる家族の力——社会復帰プログラムに司法も

 = 12 面 教会 =
★教会堂の名称が新興街区の愛称「めぐみの丘」に——JECA・四街道キリスト教会



◎救えるはずの命 救おう−−「Child Health Now アクション!」に取り組むワールド・ビ

 今年は「子どもの権利条約」採択20周年。だが、現在も年間880万人の子どもが5歳未満で死亡するなど、子どもを取り巻く現状は厳しい。この子どもたちを少しでも救おうと、キリスト教精神に立つ国際的民間援助機関、NGOワールド・ビジョン(WV)は、世界規模の取り組み「Child Health Now アクション! 救えるはずの命のために」を11月17日から開始した。

 「Child Health Now」は00年、世界の貧困問題の解決を目指して採択された8つのミレニアム開発目標の第4P「5歳未満の乳幼児死亡率を2015年までに90年の水準の3分の1に削減する」に焦点を合わせた取り組み。WVによると、この目標はまだ30%しか達成されていないという。特に99%の乳幼児が発展途上国で死亡。主な死亡原因は出産時の合併症や感染症(40%)、肺炎(19%)、下痢(18%)、マラリア(8%)で、貧困による栄養不良が深刻な影響を与えている。
 一方、先進国ではこれらの病気で死亡する子どもはほとんどなく、WVは「子どもの栄養状態の向上、妊産婦の健康、感染症対策に焦点を当てた取り組みを実行すれば、第4目標の達成と共に多くの乳幼児を救うことができる」と見る。WVは今後、保健分野への支援額を現在の3倍にする、乳幼児死亡・病気の原因に対処するための計画策定の必要性を訴える、などの働きかけを各国政府、ドナー、国際機関などにし、目標達成のため連携・協力していく。
 「Child Health Now」開始に先立ち、WVの日本事務所ワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ、榊原寛理事長、片山信彦事務局長)は11月6日、国際シンポジウム「5歳を超えて豊かないのちを」を、東京・渋谷区代々木の国立オリンピック記念青少年総合センターで開催。メスフィン・ロハ氏(WVアフリカ地域統括事務所 保健・HIV/エイズディレクター)が「アフリカの子どもたちの現状とWVの活動」と題して基調講演した。
 ロハ氏は、アフリカの現状についてこう語った。「命を失う子どもの割合が世界で最も高い。60%が慢性的な食料・栄養不足。サハラ以南の地域の未就学児の死亡率が高く、特に多くの子が下痢で亡くなっている。妊産婦の死亡率も高く、シエラレオネでは年間2千100人の妊婦が、熟練した助産婦による出産ができない、不衛生な中での出産のため、亡くなっている。マラリア発生率も高く、殺虫処理した蚊帳を使用すれば感染を防げるのに、全体の13%しか使用されていない。HIV/エイズがアフリカ南部で蔓延している」
 状況が改善しない理由に、・脆弱かつ資金不足の保健システムやサービス、・取り組みと問題の不一致、・健康の社会的決定要因への取り組み不足、・蔓延する貧困と社会的疎外、などを挙げる。だが、「妊婦、乳幼児の栄養改善と保健サービスを良くすれば未然に防げる。この分野に資金投入できれば死亡率も減少する」とも強調した。
 政府、NGO、国際機関、企業、新聞社の関係者によるパネルディスカッションも行われ、各々の立場から「日本の私たちにできること」について意見交換した。片山事務局長は「この働きは、互いのパートナーシップが必要。ODA削減の方向が明らかになる中で、WVJとしては必要な部分には資金投入してもらえるよう新政権にアピールしていきたい。世界各国のWVが連携し、5年間で880万件の署名を集めることも目標としている」と抱負を述べた。
 URL http://www.worldvision.jp/ 

◎「夜来香」から賛美歌へ−−胡美芳さん逝去=0911220301

 日本における福音歌手第1号の胡美芳さん(本名・胡朝子)が11月7日、肺炎のため都内の病院で死去。82歳。告別式は12日夜、お別れ式は13日午前、姫井雅夫牧師(日基教団・赤坂教会)の司式により、東京・品川区の品川区なぎさ会館で執り行われた。喪主は長男の西田眞氏。
 1926年、中国人の両親のもと、和歌山市で生まれた。41年、父が華僑総会会長だったため、一家は官憲からの迫害を受け、追われるように上海へ。43年、北京芸文学校入学。在学中、日本は敗戦を迎えるが、日本人と関わりがあったという理由で寄宿舎を追われ、家族と離れ離れのまま、元日本兵と偽装結婚して引き揚げ船に紛れ、日本へ。佐賀の炭鉱で窮乏生活を送った。
 51年、窮乏生活を逃れるため上京。日本劇場「服部良一・2千曲ヒットパレード」出演を機に日本コロンビア入社。翌年、歌手デビュー。代表曲は「夜来香」、「シナの夜」など。
 73年、47歳で受洗。翌年、伝道者の本田弘慈氏に「キャバレーで歌うのをやめ、福音歌手にならないか」と勧められ、日本初の福音歌手として教会、福祉施設などでコンサート活動開始。第1部はチャイナドレスを着、大きな羽の扇を持って流行歌を歌い、第2部は白いドレスを着、聖書をもって讃美歌を歌うスタイルで注目を集めた。
 07年、第76回大阪レディーズランチョンでの奉仕を最後に30年にわたる福音歌手生活にピリオドを打ち、引退した。晩年は膠原病に苦しんだ。著書に自伝『海路遙かに』、『愛、そして愛』(共に静山社)がある。
 姫井氏は、故人についてこう偲んだ。「胡美芳さんは、亡くなる直前まで中国残留孤児の支援活動に尽力していた。また、聖書を真っ黒になるくらいよく読み、5年に1回聖書を新しくしていた。遺言には『一般の斎場で葬儀をしてほしい。案内には、おいでくださいとは書かないでほしい。棺には尊敬する榎本保郎先生のサインが入った聖書を入れてほしい』と書いてあった。本当に、すべてを神様にささげ尽くした方だった」

◎<教会学校の実情を探る>子どもたちのための祈祷会−−子どもたちの痛みを教会の課題に=0911221

 子ども伝道の困難さが言われる今日。だが、家庭崩壊、教育問題、いじめ、非行、虐待など、子ども自身を取り巻く問題も年々深刻化している。こうした問題の渦中にある子どもたちを覚え、救いのために祈ろうと、毎年「子どもたちのための祈祷会」(同実行委員会主催)が開かれている。今年は11月9日、東京都千代田区のお茶の水クリスチャン・センターで開催された。

 今回は、国際NGO「ワールド・ビジョン・ジャパン」(WVJ)の片山信彦事務局長が講演。9月に北海道で開催された、第5回日本伝道会議(JCE5)「こども」プロジェクトの報告を交え、「これからの子どもたちへの働きと祈り」と題して語った。WVJは主に、貧困や飢餓、紛争などに苦しむ世界の子どもたちの支援を行っている。JCE5で子ども伝道のプロジェクトに加わったのは、「日本国内にも、子どもたちを取り巻く課題があふれていると感じたため」だ。「JCE5の前に、子どもたちのために活動している世界のキリスト教団体の会合に出席しました。多くの団体がそれぞれ様々な課題に取り組んでおり、ネットワークをつくって協力していこうとしていました」と、片山氏は振り返る。「日本の子どもたちにも多くの課題があります。そのために様々な取り組みが行われていますが、どうしても届かない部分もある。WVJでは現在、日本の子どもたちに今どういう必要があり、それに対してどういった人たちが関わっているのか、調査をしています」と語る。
 JCE5の「こども」プロジェクトでは、片山氏はネットワークの構築を提案した。子どもに重荷をもって関わる教会、団体、個人が互いに協力し、励まし合えるように、との思いからだ。祈祷会で片山氏は、このネットワークに関して・WVJが事務局を務める、・インターネットで意見交換ができるグループウェアを既に立ち上げた、・事務局からも情報発信をしていく、・将来的にはサブグループができ、より専門的な働きができれば、・定期的に全体会を開催できれば、の5点を発表した。
 「ローマ9・2にはパウロの、同胞への深い思いが描かれています。私たちは、このような思いで子どもたちのために悩み、苦しんでいるでしょうか。それが日本の教会全体の思いになっているでしょうか。『子どもたちが来ない』ということばかりにとらわれてはいないでしょうか。『外』の子どもたちを憂う、本当の地の塩、世の光になっているでしょうか。私たちは、激しく問われていると思います」と指摘した。
 「私も18年間、アフリカの子どもたちの支援を続けてきました。それでも、年間880万人の子どもたちが5歳までに命を亡くしている。いつになったら改善するのか、まさに砂地に水をまく働きです。でも、あきらめたりはしません。弱さをもった私たちだからこそ、弱い立場にある子どもたちを受け止め、ともに歩んでいくことができます。私たちには、互いに祈り、励まし合う仲間がいます。それを、ネットワークを通して示していければ」と語った。
 講演後は、中学生聖書クラブ協力会、CS成長センター、日本児童福音伝道協会がそれぞれ祈祷課題を挙げた。参加者はグループに分かれ、熱心に祈り合った。
 ネットワークに関する問い合わせはTel.03・3371・3674、Fax.03・3371・3685、Email chuo@8008amen.com (錦織寛)