[CSD]2010年3月14日号《ヘッドライン》

[CSD]2010年3月14日号《ヘッドライン》

 = 1面 ニュース=
◎日本聖書協会:カトリックと共同で「標準訳」を——2016年刊行めざし聖書新翻訳に着手
★ペンライト賞選考結果:奨励賞に殺人犯の手記
★カラーイメージが人生変える?

 = 2 面 ニュース=
◎「健康な教会」の秘訣伝授——米国から指導者来日、3ヵ年トレーニングのプロジェクト開始へ
★アキバに神の祝福を——「God Bless You」プロジェクト 都心で発売記念ライブ
★「牧会塾」2年目へプレスクール——ハウツーではなく視座与えられた
★ワールド・ヴィジョン:チリ大地震に緊急派遣
★教界:大阪バイブルチャーチが17年ぶりMB教団に復帰
★<落ち穂>キリストの愛に根ざす

 = 3 面 =
◎現場教師らの悲鳴——卒業式前に「信教の自由を求める」祈り会
★都教育委員会への「日の丸・君が代強制反対」1370人以上が署名
★神様の道具になること学んだ——ゴスペル音楽院7回目の卒業式

★<オピニオン>牧師逮捕をどう受け止めるか 記・久保木 聡

 = 4 面 ビジネスパーソン=
★秋山 いずみさん[上](BalaanSens主宰)——カラーコーディネートでその人本来の美しさ引き出す
★<人生何とかなります>[3]生き甲斐を与えてくれるのは神 記・佐藤 敏

 = 5 面 情報 =
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★EVENT:大阪コレギウム・ムジクム演奏会(http://www.collegium.or.jp)
★CD付トラクト:「God Bless You」(いのちのことば社、105円税込)
★REVIEW:『牧師とその家族のメンタルケア』窪寺俊之ほか共著(いのちのことば社、1,785円税込)評・藤掛 明

 = 6・7 面 IT・テレホン特集 =
★どう用いる?twitter——ライフスタイルを実況中継で共有
★どう用いる?twitter——ネット時代の宣教スタイルは品性
★脱出の道を共に考える——多重債務、就職難の若者の電話相談増加
★地域密着のコンテンツで分かち合う——webサイト「ゴスペルハウス」

 = 8・9 面 全面広告 =
☆第48回 首都圏イースターのつどい 4月11日(日)午後3時30分~5時
会場:ウェスレアンホーリネス教団淀橋教会

 = 10 面 教会学校 =
★何やる? 教会学校イースター——定番に創意工夫が光る
★<CSもうひと味>パネルシアター「ふしぎな12のイースターたまご」

 = 11 面 クリスチャンライフ =
★祈りに始まる共同作業所「ホサナショップ」——教会、行政、住民のコミュニティ
★アフリカ:教会成長に携帯電話の活用を模索
★<読者プレゼン>マザー・テレサ映画祭(3月19日上映のペアチケット10組)

 = 12 面 教会 =
★地域密着で世界に貢献——単立・狭山キリストの教会



◎日本聖書協会:カトリックと共同で「標準訳」を−−2016年刊行めざし聖書新翻訳に着手=100314

 聖書の翻訳、出版、頒布を中心に、伝道と聖書普及につとめる財団法人日本聖書協会(渡部信総主事、JBS)が今年6月、新たな聖書の翻訳作業に着手する。 3月2日、東京都中央区にあるJBSで開かれた記者会見では、事業の経過と翻訳の方針が発表された。

 JBSではこれまで、『明治元訳』(1887年)、『大正改訳』(1917年)、『口語訳』(1955年)を発行。1987年には、カトリック教会とプロテスタント諸教会による共同の事業として『新共同訳』を発行し頒布してきた。30年おきに改訂や新訳を行っていること、『新共同訳』の発行から20年以上が経過していることから、JBSでは新たな時代へ向けた新翻訳聖書の必要性を感じ、準備を進めてきた。
 08年6月、国内の諸教派、諸団体に対して新翻訳聖書への協力を打診。うち18の教派・団体から議員の派遣を受け、同10月以降、4回にわたり諮問会議を開催した。その中で、新翻訳の方針としてカトリック教会とプロテスタント教会による共同訳とすることを決議。日本カトリック司教協議会による承諾を受け、共同事業が決定した。
 「諮問会議で問題にしたのは、聖書が現代の若い世代、日本人に理解しうる言葉を用いているか。つまり日本の文化に合う言葉として読まれているかどうか、誰を対象とするのか、ということ」と、渡部氏。そのため、新翻訳では次の7点を方針に定め、事業を推進する。・共同訳事業の延長とし、日本の教会の標準訳聖書となること、すべてのキリスト教会での使用を目指す。・礼拝で用いることを主要な目的とする。そのため、礼拝での朗読にふさわしい、格調高く美しい日本語訳を目指す。・義務教育を終了した日本語能力を持つ人を対象とする。・言語と文化の変化に対応し、将来にわたって日本語、日本文化の形成に貢献できることを目指す。・この数十年における聖書学、翻訳学などの成果に基づき、原典に忠実な翻訳を目指す。底本として、旧約(BHQ)・新約(UBS第5版)・旧約続編(ゲッティンゲン版)など、最新の校訂本をできる限り使用する。・文学類型の違いを訳出して原典の持つ力強さを伝達する努力はするが、聖書が神のことばであることをわきまえ、統一性を保つ視点を失わないこととする。固有名詞や重要な神学用語については『新共同訳』のみならず、過去の諸翻訳も参考にして、最も適切な訳語を得るようにつとめる。・その出版に際して、異読、ならびに地理や文化背景などを説明する注、引照聖句、重要語句を解説する巻末解説、小見出し、章節、地図や年表、などの本文以外の部分は、できる限り様々な組み合わせを考え、読者のニーズに応える努力をする。
 またこれまでの事業との相違点としては、原語担当者の翻訳の後、日本語担当者がチェックするという作業ではなく、原語担当者と日本語担当者が1人ずつ入ったチームを12チーム構成し、両者が対等な立場で翻訳に取り組む。その後、聖書学の専門家や作家、学校教師などの「外部モニター」(24人)、専門家8人による「編集委員」によるチェックを受ける。各教派・団体の意見を反映しつつ、翻訳上の問題を検討する「検討委員」(18人)も設ける。
 記者会見では、「『原典に忠実』というが、逐語訳か意訳かの問題は出てくると思う。その点はどうか」などの質問が相次いだ。翻訳部主任の島先克臣氏は、「原典に忠実であることには、形式重視の流れと意味重視の流れがあり、過去に逐語訳か意訳かとの対立があったが、今回は、翻訳聖書の目的と聴衆によって翻訳方針は変わるべきという『スポコス理論』を採用している。美しい日本語で、教会で用いるにふさわしい翻訳を、というのが今回の大きな特徴」と強調した。
 新翻訳の名称は『(仮)標準訳』。6月に翻訳事業開始、16年6月に出版予定だという。

◎「健康な教会」の秘訣伝授−−米国から指導者来日、3ヵ年トレーニングのプロジェクト開始へ=10031

 「目的主導(パーパス・ドリブン)の教会」を提唱し世界的に注目されている、米国カリフォルニア州のサドルバック教会(リック・ウォレン主任牧師)から指導者が来日し、牧師と教会リーダーを対象に3ヵ年のトレーニングを提供するプロジェクトが実現する。アメリカ有数の大教会を生み出したセオリー(理論)は20~40人規模の日本の教会にも適用できるのか、注目される。指導を担当する同教会のグローバル・トレーニング・ディレクター、デイブ・ホールデン牧師を迎えての説明会が3月26日、都内で開かれる。

 「目的主導型教会」は、教会がこの世に置かれている存在目的・使命を明確にし、教会がそれによって主導されるとき健康になると考える。多くの教会が伝統や特定の人、財政、プログラム、建物、行事などに主導されている中で、「目的主導」への転換は教会の体質を変革し、教会本来の使命を力強く果たすようになり、その結果、社会にもインパクトを与える存在として健全に成長するとされる。リック・ウォレン氏(56)はこの考え方に立ちサドルバック教会を開拓から15年で1万人超に成長させた。
 日本では98年に、ウォレン氏の代表的な著書『The Purpose Driven Church』が『健康な教会のかぎ』(いのちのことば社)の邦題で河野勇一氏(日本バプテスト教会連合緑キリスト教会牧師)の翻訳により出版され、その後パーパス・ドリブン・ジャパンから『人生を導く5つの目的』など同氏の一連の著書やスモールグループ用テキストが出されている。
 ウォレン氏は若い頃、長崎で短期宣教に携わった経歴があり、日本に対しては特別な重荷があるというが、その異文化経験から、サドルバックで成功したセオリーをそのまま外国に移入するのではなく、その国の文化に合うかたちで適用するべきだと話している。「目的主導」の考え方は広く支持を集め、世界中で40万人が学び、影響を受けているといわれる。近年、世界に普遍的に見られる「5つの巨悪」として▽精神的空虚▽利己的なリーダーシップ▽極度の貧困▽病気の蔓延▽教育機会の欠如を挙げ、教会はそれらの諸問題に立ち向かうために召されていると主張。依存症の回復などにも取り組んでいる。
 こうした同氏の主張と実践は広く社会からも評価され、「USニューズ&ワールド・レポート」「タイム」誌などで最も影響力のあるトップリーダーの一人に数えられ、オバマ大統領の就任式では祈りをささげた。
 昨年7月、日本プロテスタント宣教150年記念大会にも招かれ、来日は実現しなかったがビデオレターを寄せた。その際、来日したホールデン氏と日本で目的主導型教会の形成に取り組む牧師らが懇談し、日本で3ヵ年トレーニング・プロジェクトを実施する話がまとまった。昨年11月には、超教派の「パーパス・ドリブン・フェローシップ実行委員会」を結成。説明会は同実行委員会が主催する。

◎現場教師らの悲鳴−−卒業式前に「信教の自由を求める」祈り会=1003140301

 卒業式、入学式を目前に控えた2月13日、「『日の丸・君が代』強制に反対し、信教の自由を求める超教派キリスト者の会」が第4回祈りの会を牛込聖公会聖バルナバ教会(東京都新宿区)で開いた。同会は聖公会東京教区人権委員会を中心に始まり、教派を超えた呼びかけに広がった。当日の礼拝では、牧野理恵さん(都立特別支援学校教諭)と岸田静枝さん(区立小学校音楽教員)が、教育現場の状況を話した。
 牧野さん(同盟基督・めぐみ教会員)は、「日の丸・君が代」強制は違憲だと問う「予防訴訟」原告の一人。卒業式などの式典における国旗掲揚、国歌斉唱を指示する「10・23通達」が都教委から出されたとき、「信仰上の理由から納得できない」と校長に伝えた。「校長は、『私やあなただけでなく、学校全体の責任になる』と。キリスト者として心が揺れ動きました。当日、『主よ、お許しください』と言いながら立ちました。心と体がバラバラになる思いでした」
 この春に開かれる予防訴訟の証人尋問で、牧野さんは「証人になるかもしれない」との連絡を受けた。「結局起立した私に、証言する資格があるのだろうかと思うと不安でした。しかしマタイ10・16に励まされました。神がすべて私を守り導いてくださると信じていきたい」と語った。
 岸田さん(聖公会・清瀬聖母教会員)はこれまで、戒告、減給など計3度の処分を受けた。4度目は停職。今春定年退職の岸田さんにとって、子どもたちと過ごす時間は貴重だ。「処分を避けるため、式当日は休みを取ったり、途中入場していました。しかし私が逃げている間も、子どもたちは君が代を歌わされています」。「最後の卒業式は、終始子どもたちを祝ってあげたい」と心に決めた。
 礼拝後の懇談会では、今後の会の方向性などについて様々な意見が出された。山口美紀さん(都立高校教諭)は、「これは政治や社会の問題でなく信仰の問題。信仰者は、国家斉唱時に立とうと立つまいと、皆同じ苦しみを抱えている。このことで私たちは一つとなれる」と訴えた。「信徒が皆同じではない。会の活動が政治的だという批判も教会にはある。我々が信教の自由を強調するのは、痛みを抱える人たちへの共感から。そうした認識を、広くもってもらいたい」。「『協力してください』でなく、みんなの問題という訴えをしていく必要がある」などの意見もあった。
 今後、キリスト者平和ネットワークと連携し活動を進めていくこと、リーフレットやホームページなどを通して各教派へのPR、参加呼びかけをしていくことを決めた。祈りの会は、今後も継続的に実施される。