[CSD]2012年2月12日号《ヘッドライン》

[CSD]2012年2月12日号《ヘッドライン》

 = 1面 ニュース=
◎福島住民に安全・安心を——医療・放射能など専門家派遣を要請
★被災者にメガネを無料支援——NGOオペレーション・ブレッシング・インターナショナルが実施

 = 2 面 ニュース =
◎外キ教:外登法廃止(7月)は改悪——管理教の「改定」入管法に反対——
★教会の被災地支援がつないだ小学校交流——被災した小学生ら東京・八王子で道徳授業——
★「教会さん、ありがとう」——仮設住宅で歓迎 教会ボランティア
★<落ち穂>ホロコースト記念館「名前のホール」

 = 3 面 教界ニュース =
★<竜馬をめぐる人々>[75]坂本直寛の章:34——殺人犯を変えた最初の監獄伝道 記・守部喜雅
★<召天>岩崎孝志氏(土浦キリストの教会伝道者、79歳)1202120302
★<召天>康 永燮氏(北朝鮮の政府公認教会代表)
★<オピニオン>いま、思想・信教の自由を守るとは 記・森田 美芽
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか

 = 4 面 全面広告=
☆東北・希望の祭典 キリストの愛・救い・永遠のいのち
3月2日(金)~4日(日) 会場・グランディ21 セキスイハイムスーパーアリーナ
メッセンジャー:フランクリン・グラハム
出演:カーク・フランクリン、アルフィー・サイラス、新垣 勉
URL http://fgraham-tohoku.jp/

 = 5 面 神学/災害=
★ケープタウン決意表明(16)——私たちが愛する主のために(14)
★解説:神の宣教への参画
★<小さき人々のパラダイス>[15]共働学舎の挑戦——マザー・テレサとの会談? 記・佐原俊幸

 = 6 面 仕事と信仰=
★加藤勇三さん([NPO]グリーフケア・サポートプラザ理事長)[下]——出会いから生まれる「絆」 記・清水茂則
★<定年後の挑戦>[10]有終の美をめざして 記・星野 隆三

 = 7 面 伝道・牧会を考える=
★キリスト者は震災の問題をどのようにとらえたらよいのか——聖書と神学から考える? 記・中澤啓介
◎映画「イエロー・ケーキ」ヨナヒム・チルナー監督に聞く——止め方も知らずに手を出してしまった原発

 = 8 面 全面広告=
☆第22回 ジョイジョイ キャンプ
3月29日(木)~31日(土) 会場・軽井沢恵みシャレー
Tel.03-5341-6929 





◎福島住民に安全・安心を−−医療・放射能など専門家派遣を要請=1202120101

 原発事故で高い放射線にさらされる住民たちに安全と安心をどうしたら提供できるか……東日本大震災後の福島の現状報告と提言が、1月27日、東京・千代田区のお茶の水クリスチャン・センターで開かれた東日本大震災救援キリスト者連絡会(DRCnet=中台孝雄会長、高橋和義事務局長)の会合であった。福島市の諸教会を中心とした「ふくしま教会復興支援ネットワーク(以下、支援ネット)」代表の木田恵嗣氏(東北ミッション福島聖書教会牧師)が、医療や放射能などの専門家の派遣、子ども保養プログラムの確立などの必要を訴えた。
    ◇
 福島県中央部のいわゆる「中通り」にある福島・二本松・郡山の各市は、福島第一原子力発電所に近い相馬市や南相馬市よりも放射線量が高いが、警戒区域・計画的避難区域に指定された浪江町や飯舘村からの避難者らが仮設住宅で暮らしている。支援ネットでは、15か所の仮設を訪問する「仮設住宅プロジェクト」、「声なき者の友」の輪、日本ルーテル教団、LCMS(ルーテル教会ミズーリシノッド)などの支援で子どもに思い切り遊べる場所を提供する「子ども週末保養プロジェクト」、長野県伊那市の同盟基督・伊那聖書教会(大杉至牧師)の協力で安全な野菜を供給する「信州野菜プロジェクト」、放射線の「除染プロジェクト」に取り組んできた。だが除染は危険を伴う重労働で、作業後のゴミ処理方法が未定、洗い流すことで河川や海の汚染につながるなど、効果を疑問視する声が出て挫折中だ。
 木田氏は、「福島市で1か月活動すると放射線量の年間安全基準を超えてしまう。中通りの3市がそのような事情の中で生活していることを知ってほしい。母親は子どもの健康のことで頭がいっぱいです」と話す。そうした中で、放射能汚染の正しい知識啓発や、健康診断の要望が強いとして、医療チームや放射能問題などの専門家派遣を提言した。また、安全で効果的な「スマートな除染方法の確立と普及」が課題だという。
 もう一つの要請は、子ども保養プログラムのために保養施設を確保したいということ。「毎週親子で行けるような、安全で近くて安い場所で、みんなが参加したくなるすぐれたプログラムが必要」と木田氏は訴えた。安全な食品の供給や、医療チームとの連携を図り、安全を確認することで安心につなげたいという。放射線量計の普及や線量マップ作り、ガラスバッチ、食品の放射線量を計測するベクレルモニターの設置・運用など、放射線の可視化も安心につながる。
 昨年、DRCnetは同支援ネットの要請で10台の線量計を提供した。各教会へ配置された線量計は「地域住民から喜ばれ、休まる暇がないほど活用されている」という。

◎外キ教:外登法廃止(7月)は改悪−−管理教の「改定」入管法に反対=1202120201

 1987年から在日外国人の人権に取り組んできた「外登法問題と取り組む全国キリスト教連絡協議会」(外キ協)は、7月の外登法(外国人登録法)廃止に伴い「外国人住民基本法の制定を求める全国キリスト教連絡協議会」(略称同じ)と名称を変えた。1月26028日の全国協議会では「2012年基本文書 外キ協の到達点と『今後の新たな展開』に向けて」を発表。日本の歴史責任の問題、98年に国際人権条約に基づいて作成した「外国人住民基本法(案)」実現への取り組み、活動を担う新世代育成などの目的が確認された。中長期の活動課題として、東日本大震災の被災外国人支援、日韓の共同プログラム、外登法に代わる改定法への反対運動などが挙げられている。
     ◇
 在日外国人は従来、外登法に基づき、外国人登録原票に登録され、証明書の携帯、提示が義務づけられていた。7月9日から外登法は廃止され、「改定」入管法(出入国管理及び難民認定法)、入管特例法(日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法)、住基法(住民基本台帳法)が実施される。
 改定事項として、在留期間の延長、再入国1年以内なら再入国許可がいらない、住民基本台帳に外国人も登録できるなどがあるが、権利が制限される部分が多い。
 外キ協事務局の佐藤信行さんは、「今や、在日4世、5世が生まれている。彼らについても地方自治体での参政権、地方公務員、公立学校教員などの就任権がない。日本への再入国権などを認めない。改定法はあまりに多くの問題を内在させた『改悪法』」と話す。
 佐藤さんは「神様につくられた人間に差別があってはならない。この世 のことに関わるのはイエス・キリストの生き方にならってです。カトリック教会ではすでに外国籍の信徒の方が多く、プロテスタント教会でも外国人が増えている。教会が共生社会のモデルとなって、こ の問題にも取り組めたらと思います」と語った。
 今後、改定法の問題についての小冊子配布や集会開催、自治体、 政府への働きかけを展開する。


解説
 改定入管法の問題点 01年の9・11テロ以降、世界的に外国人・民族少数者を管理・監視する傾向がある。日本もすでに、非正規滞在者を匿名通報できるウェブサイト開設、事業者が外国人(特別永住者を除 く)の雇用情報を提出する義務づけ、入国する外国人に、指紋、顔画像提供の義務づけを実施した。
 改定法では中長期在留者に在留カードの受領・携帯・提示義務を課す。特別永住者の証明書も受領、提示、更新が義務づけられる。実質的に常時携帯義務だ。非正規滞在者は、在留カードがなく、労働、生活ができない。
 刑事罰については、たとえば住居地変更の届出が遅れた場合、住基法、入管法それぞれから罰則が加重される。法務省は外国人について、個人情報管理、広範囲な事実調査権など、管理権限が強まる。 

◎映画「イエロー・ケーキ」ヨナヒム・チルナー監督に聞く−−止め方も知らずに手を出してしまった原発=1

 原子力発電の燃料として使われるウランは、その鉱石採掘段階から処理不可能な放射性物質を大量に発生させている。だが、その事実はほとんど知らされていない。ヨナヒム・チルナー監督は、2005年から2010年までの足かけ6年かけてウラン採掘地を取材しドキュメンタリー映画「イエロー・ケーキ クリーンなエネルギーという嘘」(1月28日より公開中)を完成させ、ウラン採掘地での自然破壊と汚染の現状を世界に訴えている。そのチルナー監督に話を聞いた。
 
知らされな
かった事実
 映画の冒頭に紹介される東ドイツ南部のウラン採掘会社ヴィスムート社は、1990年代まで世界第3位の生産高を誇っていた。ウランの行先は100%冷戦時代のソ連へ運ばれた。現在は閉山されて、有害な放射性物質を含む大量の汚染泥のボタ山は、健康被害を感じながらも1日4万リットルのガソリンを使って採掘坑へ埋め戻している。
 旧東ドイツ出身のチルナー監督にとって、核燃料の川上ともいえるウラン採掘での放射性汚泥や自然破壊・健康被害のテーマは、看過できない問題だった。
 「冷戦時代には軍事的目的で、冷戦後は経済的な目的のため、どこのウラン採掘会社もこの問題を隠し続けてきました」。その採掘現場の実情と被害、そして先祖からの土地と自然を守るため地道に戦い続ける人たちを追ったドキュメント映画。各地の120か所以上で開かれた試写とシンポジウム会場では、「ドイツでも日本でも、どこの国でも反応と感想はまったく同じでした。みなさん『知らなかった』と言うことに驚き。『もっと知りたい』という高い関心を向けてくださいました」。

幻想を持つの
はよくない
 22年までにドイツはすべての原子力発電所(原発)を閉鎖する「脱原発」を決定した。だが幻想を抱くのはよくないと警告する。「22年まで原発は稼働するということですし、したがってイエロー・ケーキも輸入し続けるでしょう。それに、ドイツは外国に原発のハイテクノロジーを輸出し、その信用保証をドイツ国家が与えています。その輸出まで止めるとは言っていません」。また「廃炉になった初期の原発は、20年以上経っても未だに解体工事も放射性物質の処理も終わっていません。いま稼働している7つの原発の解体処理まで、費用も年数もどれくらいかかるのか分かりません」。教育現場での脱原発への啓発はこれからの課題。次世代、次々世代に向けてもこの問題については、「われわれ映画人もジャーナリストも教育者も伝え続けなければならないと思います」。

創造の解釈が大切
 ドイツ国内の教界関係者は、このドキュメンタリーと脱原発についてどのように受け止めているのだろうか。「教界関係だけの試写会とシンポジウムは、ドイツでは開催されていないので、私の想像になりますが、脱原発の方向性は長年議論を積み重ねてきてコンセンサスを得ていることなので、教界関係でも歓迎されていると思います。もしかしたら、原発や原子力利用を推進する人たちの中にもキリスト者の方がいるかもしれません。私はクリチャンではありませんが、多分、推進するキリスト者の方々は、創造の解釈が異なっているのだろうと思います」。そして、ディズニー映画「ファンタジア」のモチーフにもなったゲーテの詩「魔法使いの弟子」を引用して、「魔法の止め方を知らず、ホウキの水汲みを止められなかった弟子のように、止め方を知らないのに、人間の手に負えないものに手を出してはいけないと思のですが、いかがでしょうか」と語っていた。
http://pandorafilms.wordpress.com/roadshow/yellow/