[CSD]2012年7月29日号《ヘッドライン》

[CSD]2012年7月29日号《ヘッドライン》

 = 1面 ニュース=
◎カルト集団「摂理」の性犯罪 脱会元幹部らが証言——教祖出獄後になお警戒を
◎同盟基督:「原発は聖書に反する」——理事会 見解を公表

 = 2 面 ニュース=
◎東北教役者会:「震災後の心のケアと宣教」テーマに——悲しみ向き合う意味学ぶ
★福音主義神学会(東部):教会は大震災にどう関わったのか——従来型の宣教論を乗り越えたい
★国際:ロンドン五輪選手村に聖書を配布
★教会あらしにご注意——名古屋、静岡に出没
★<落ち穂>渡波フェスティバルでのこと

 = 3 面 =
★<いのちへのまなざし>[20]上に向かう祈り 記・柏木哲夫
★隆盛の秘訣は涙と信仰の祈り——ムラサキスポーツ創業40年
★<オピニオン>まだ終わっていない戦後補償に最終決着を 記・渡部敬直
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか

 = 4・5 面 横浜特集/ヨコハマの食と伝道=
★食事より聖書がおいしい——単立・横浜カナン教会の給食伝道
★教会学校で朝ごはん——バプ連合・泉宣教バプテスト教会

★いのちを食べる場所に——多世代コミュニティカフェ「いのちの木」
★続くもてなしの愛——横浜中華街 北京飯店
★ホテルで結婚伝道——ローズホテル横浜 重慶飯店

 = 6 面 神学/歴史 =
★東日本大震災 国際神学シンポジウム[1]——同情する苦しみ、また不正義との対決としての十字架?
★<竜馬をめぐる人々>[82]坂本直寛の章:41——遊郭反対で政治家の出番 記・守部喜雅

 = 7 面 伝道・牧会を考える =
★教会ルポ<ここも神の御国なれば>[16]JECA・帯広栄光キリスト教会?——信徒が伝道・牧会する教会に
★ケープタウン決意表明(37)パート?解説——私たちが仕える世のために(16)

 = 8 面 レビュー =
★CD:「復活のロックンロール」サルーキ=(全7曲、yellow ribbon inc. 2,000円税込)
★CD:「to the Sky~空へ」ル・シエール(全10曲、1,700円税込)
★書籍:『人生の季節の中で』水口 洋著(いのちのことば社、1,890円税込)評・小暮修也
★書籍:『これからの福祉と教会』稲垣久和著(いのちのことば社、1,050円税込)評・児島康夫
★書籍:『この愛に捉えられて 信徒伝道者・安部 哲と霊満クルセード』野口和子著(イーグレープ、2,100円税込)
★書籍:『友愛の絆に生きて ルーファス・ジョーンズの生涯』エリザベス・G・ヴァイニング著(教文館、2,625円税込)
★書籍:『ヴィジュアルBOOK 旧約聖書の世界と時代』長谷川修一著(日本キリスト教団出版局、2,310円税込)
★MOVIE:「かぞくのくに」——縛られている家族のつながりと自由 http://kazokunokuni.com/

 = ?—?面 世界宣教・国際協力祈りと支援のガイド =
★私たちはどう祈るべきか?――緊迫状況続く「パレスチナ自治区」
★[国別]派遣宣教師一覧
★[国別]世界宣教・国際協力プロジェクト一覧
★宣教師連絡機関・団体一覧

◎カルト集団「摂理」の性犯罪 脱会元幹部らが証言−−教祖出獄後になお警戒を=1207290101

 再臨のメシアを自称する教祖・鄭明析が婦女暴行罪で服役中の韓国異端「摂理(JMS)」から脱会した元幹部と被害女性が来日し、7月7日都内で「『摂理』問題を考える日本集会」(全国霊感商法対策弁護士連絡会・日本脱カルト協会共催)が開かれた。2人は数千人に及ぶと見られる性被害を生んだ組織の手口や現状を証言、首謀者収監後の今も若い女性たちが実態を知らず巻き込まれており、今後も被害が予想されると警戒を呼びかけた。
 来日したのは30年前の最初期からの元古参幹部で日本の摂理草創期に貢献した金敬天氏と、26年間在籍した女性元幹部の趙景淑氏。2人の証言によると鄭教祖は09年裁判で「自分はメシアではない」と証言するまで30年、再臨のキリストを自称し「自分と性関係を結ぶことが最高の救い」と隠密裏に教えていた。一般信者はその事実を知らないが、鄭教祖が好みの長身の美女だけを特別組織「常緑樹」に選別し、気に入った女性を呼びつけて次々に関係を結んでいた。自分との性交によりキリストの新婦になると信じ込ませるなど?宗教的催眠?状態に陥れる。組織的に候補女性を物色し「常緑樹」に登録。その過程で抵抗して脱会した女性信者も多く、脱会後に性的被害を訴えている。だが経験があまりにも恥辱的なため、脱会後は隠遁生活を送っている被害女性も少なくないという。
 そうした中で4人の被害女性の粘り強い法廷闘争により、鄭教祖は07年に逃亡先の中国で逮捕。韓国に移送され09年に懲役10年の刑が確定した。
 教祖と関係を持った女性は「月星会」に昇格し、生涯独身を要求される。男性信者は家族より再臨主(鄭教祖)に愛を振り向けてこそ救われると洗脳し、忠僕に仕立て上げる。そのため教祖に忠誠を捧げ独身を貫く男性信者もいるという。
 脱会者らが警戒するのは、鄭教祖が今も獄中から信者に説教を送り影響力を行使していること。女性最高幹部チョン・ジョウンは、依然「鄭明析はイエスの肉体を持って6千年ぶりに現れた使者だ」などと信者を惑わせ、多額の献金を強要している。趙氏は、「20代前半や中高生ら数百人が鄭明析の性犯罪を知らないまま神と崇め、新婦になりたいと志願または推薦されて『常緑樹』で待機している。出獄すればたちまち性のオモチャとして上納されてしまう」と警鐘を鳴らす。被害女性の中には恥辱的な過去を乗り越えられずにうつ病や対人恐怖に悩まされ、結婚できないまま喪失感と無力感にさいなまれながら生きている人も多く、自殺の例もあるという。そのため、「脱会するだけでなく、回復のためには本物の主であるイエス・キリストを見いだすことが必要」と趙氏は強調した。
 カルト問題に取り組む牧師らのほか摂理脱会者の会S-tationが被害相談に応じるURL:http://station.okoshi-yasu.com/
 

◎同盟基督:「原発は聖書に反する」−−理事会 見解を公表=1207290102

 日本同盟基督教団理事会は7月9日、「みこころの天になるごとく地にも」と題した原子力発電にかんする理事会見解を発表した。福島第一原発事故が今後の日本の原発政策に関して国論を二分する状況の中で、キリスト者として原発をどう考えるべきかを整理し、聖書信仰に立つ教団理事会として、「主イエスの私たちに対する愛のご命令の観点から」考察。冒頭にキリストの最も大事な教えとしてマルコ12・29031を掲げ、「神の国(神の支配)が地に実現するために、祈り、発言、行動する」ため要約次のような見解を公にした。
 1 原発は「心を尽くし、思いを尽くし、知性を尽くし、力を尽くして、あなたの神である主を愛せよ」という教えに反している。人間には神に託された被造物を、みこころに従って管理し文化を形成する任務が与えられており、科学技術の営みも文化命令への応答として意義がある。事故は、原発は人の能力の限度を越えたものであるという事実を教える。人は「原子力の火」を消す能力も、原発によって生じる放射性廃棄物を無毒化する能力も持ち合わせていない。あたかも原子力を完全に制御できるかのように「安全神話」に浸りきって利用してきたことは、神の前に傲慢だった。
 2 原発は「あなたの隣人を自分自身のように愛せよ」という教えに反する。?労働は神の恵みへの応答だが、原発作業員は被曝を強いられ生命を危険にさらすことが不可避的。?神は、私たちが自由な愛をもって互いに仕え合うために社会を形成することを意図されたが、原発は社会を分断し、交付金によらなければ成り立たない不自由な「依存症状態」に陥れる。?神は互いのいのちを尊び合うことを命じているが、緊急避難地域では救助隊が入ることができず、本来救われるべき人々を多数放置せざるをえなくなった。?神は子孫への祝福をくださるが、原発は若い世代と未来の世代にまで大きな苦しみを与える、?主イエスは武器によっては真の平和を作り出せないことを教えたが、原発の技術は核兵器に転用の恐れがある。
 結びに、「私たちは、今回の事故が起こるまで、原発が本質的に聖書の教えに反していることに薄々気づきながら目を閉ざして、安易に便利のみを貪ってきて、その任務を怠ってきた」ことを神の前に告白し、「原子力によらない社会が実現するように、祈り、発言し、行動するものでありたい」と願いを述べている。
 見解の全文はURL:http://domei.biz/x/

◎東北教役者会:「震災後の心のケアと宣教」テーマに−−悲しみ向き合う意味学ぶ

 東北地方の教役者の研鑽と交わりの場である東北教役者会が7月9~10日に岩手県のシオン錦秋湖で開催された。今年で45回目となる同教役者会の今年の主題は、「悲しみを超えて 震災後の心のケアと宣教」。臨床パストラルスーパーバイザーの堀肇牧師(伝道福音・鶴瀬恵みキリスト教会)を講師に迎え、35人ほどの参加者は充実した学びと交流の時を過ごした。
 主題の設定に関しては、震災1年後という時期が特に意識されている。昨年の東日本大震災からの1年間、東北地方全体が様々なストレスにさらされてきたと言っていい。東北に建てられた多くの教会も同様であり、様々な課題と取り組む中で、心身ともに疲れを覚えている時でもあった。自他ともに心のケアは、東北の教会全体の課題であり、そのような必要を満たすべく、今回の主題が用意された。
 講師の堀肇氏は2日間で4回の講義を担当された。それぞれのテーマは「ストレス障害のケア」「悲嘆のケア」「孤独のケア」「悲しみに潤されて」。具体的な事例を挙げながら、人間の悲しみに向き合う意味と意義についてみことばに基づく深い洞察の下で語られた。
 その中で特に強調されていたのがセルフ・ケアの大切さについて。震災の被害者だけではなく、支援者の心にも様々なストレスが課せられており、まじめ一途で熱心な人ほどストレス障害の危険が大きいことが指摘された。
 参加者の一人は「苦しみを単に乗り越え、解決すべき対象としてではなく、そこに意味や価値を見いだす対象としてとらえる必要を教えられた」と語り、苦しみと向き合うための新たな視点を与えられたようだった。
 講義の後には参加者から「放射能汚染に苦しんでいる。園芸もできないことがつらい」「被災地で様々な罪責感に苦しんでいる人をどのように慰めたらいいのか」「自殺の問題とどう向き合ったらいいか」などの感想や質問が寄せられ、震災後の深刻な影響の中、様々な課題と取り組む東北の教会の姿が垣間見られた。参加者たちはしばし現場を離れ、1年の歩みを振り返りつつ、互いの労をねぎらい合いながら、学びと交わりを通して多くの励ましを与えられたようだった。
 ゴスペル・シンガーの横山大輔さんも参加。食事や集会の度に賛美を歌い、参加者の心を賛美のことばと歌声によって慰めた。
 東北教役者会は過去45年間、一度も途絶えることなく毎年開催されてきた。昨年は震災直後だったこともあり、開催そのものが危ぶまれたが、それを乗り越えて開催にこぎ着けた経緯がある。与えられた課題に今後とも共に取り組むために、来年度の準備もすでに始められた。(報告・若井和生=保守バプ・水沢聖書バプテスト教会牧師、東北教役者会岩手県世話人)