[CSD]2002年11月17日《ヘッドライン》

[CSD]2002年11月17日《ヘッドライン》
 = 1面 =
★書くことで仕える——『小説「聖書」』著者W・ワンゲリンさん各地で講演
◎部族抗争でコンゴ福音医療センター倒壊——石田勝子宣教師 再建活動へ帰任
★インド:反改宗法にダリット反対
★<恵みのどんでん返し>閉鎖寸前の小教会に任地が移って 記・芦名 昌利
★<落穂抄>使命に生きる文書伝道者の姿

 = 2 面 =
◎性器教育ではなく聖書的性教育を——ファミリー・フォーカス理事長が若者伝道に提言
★「青春を返せ訴訟」新潟判決の意味——元統一協会信者の被害救済に道
★<論説>教界の世代交代のあり方——シニア排除でも若者拒否でもなく 記・蔦田 公義
★<神のかたち>[24]あなはが…キリストである、と信じております 記・稲垣 緋紗子
★<今週の本棚>『宣教学リーディングス』福田 充男編(RACネットワーク、2381円)
★<今週の本棚>『新しい契約の奥義』デイビッド・ウィルカーソン著(角笛出版、1500円)
★<今週の本棚>『土の器の中の宝』藤巻 充著(日本ホーリネス教団出版局、1800円)
<情報クリップ>催し情報ほか

 = 3 面 全面広告=
☆今は恵の時、すべての人に福音を——太平洋放送協会(PBA)
http://www.pba-net.com
 = 4 面 医療特集=
★「治す」だけの場所ではない——創立70周年 長野・新生病院
★癒しの空間完成——全人医療の淀川キリスト教病院
★<書籍紹介>『心をいやす55のメッセージ』柏木哲夫著(いのちのことば社、1500円)
★チャプレンに聞く「スピリチュアルケアの実際」 医療法人アガペ会

 = 5 面 =
◎悲しみ突き抜ける——瞬きの詩人・水野源三の世界が歌曲CDに
★日本宣教の土台固め:使命を失いつつある若者へ——J+passion東北
★日本宣教の土台固め:すべてを委ね立ち上がる——東海青年宣教大会
★日本福音功労賞に大嶋常治、原登、吉本美枝氏ら受賞
★女性の価値ある賜物を生かす——神奈川でウーメンズ・カンファレンス
★映画「ふうけもんの」監督に栗山富夫氏

 = 6 面 ビジネスのページ=
★<信仰人スピリッツ>天野 潤さん(みずほアセット信託銀行主任検査役)——野の草のように立つだけ
★<クリスチャンのための経営塾>[3]「カトリックと現代企業の管理組織」イエスの集団? 記・鹿嶋 春平太
★<BUSINESS BOOK REVIEW>『「成功おじさん」の最優先ルール』チャーリー・ジョーンズ著(PHP研究所、1500円) 評・中野 雄一郎
★<私の信仰とビジネス>[3]長距離輸送への挑戦 記・小倉 昌男


部族抗争でコンゴ福音医療センター倒壊−−石田勝子宣教師 再建活動へ帰任0211170102

検査技師の石田勝子さんが医療宣教師として派遣されているコンゴ民主共和国ニャンクンデの福音医療センター(病院・250床)と医療学院が、9月に部族間抗争に巻き込まれて壊滅したが、このほど170キロ南のオイチャで医療活動の再開を目指す方針が固まった。石田さんは8月から一時帰国中のため難を逃れていたが、再建に加わるため11月14日に日本を発ち、現地へ向かう。
 石田さんによると、ニャンクンデ周辺のヘマ族とレンドゥ族の間で金や石油の利権をめぐり、数年来抗争が続いていた。そこにニャンクンデを支配するヴィラ族の族長が和平を仲介しようとして両部族から反感を買ったのが抗争激化の発端。このため、ヴィラ族が誇りにしていた評判の良い医療センターが攻撃の標的になったという。
 9月5日にレンドゥ族と反乱兵が銃を乱射して町に乱入したのを皮切りに虐殺が起こり、約2千人が殺されたと伝えられる。医療センターと学院の施設・職員住宅もほとんどが破壊され、主任チャプレンと家族など職員関係者にも死者が出たほか、入院患者多数が殺害されたもよう。同地と周辺の村から約4万人が避難民となって周辺に流出し、詳しい被害は分かっていない。石田さんは74年ニャンクンデに赴任して以来、度々騒乱を経験してきたが、「こんな激しい抗争は今まで見たことがない」という。
 抗争は続いており、医療センター・学院を経営する宣教団・教会の理事会はニャンクンデでの再建は困難と見て、多数の避難民が押し寄せ医療の必要の大きいオイチャと隣町のベニで、暫定的に活動を再開することを決めた。現在、借りられそうな現地の診療所と学校に交渉している。
 石田さんが学科長・教授を務める医療学院の検査技師科では10月が新学期だが、この騒乱で新入生は入学できなかった。在校生の授業を再開するにも、何もないところからになる。石田さんは帰任の途次、ウガンダ、ケニヤで教材などを調達する予定だ。
 現地からの情報によると、問題の続く中で医療学院の学生たちは熱心に祈りに専念し、今まで出席者が数人だった朝5時半からの自主的な早天祈祷会や日曜夜の証しと賛美の会に、毎回参加者が増えているという。
 福音医療センターは次のように祈りを要請している。?国と部族間の平和のために?どこにいても医療活動を通して証しできるように?必要な機材と資金が与えられるように。また石田さんは、学校の存続のため、特に後継者の育成のために、卒業生を検査技師短大に送る資金をセンターに期待できないため、日本の教会に祈りと協力をと願っている。
 ▽石田勝子を励ます会【郵便振替】00210・1・2615、TEL03・3717・5147。http://homepage2.nifty.com/tokyobible

性器教育ではなく聖書的性教育を−−ファミリー・フォーカス理事長が若者伝道に提言0211170201

現在全世界でわかっているだけで、毎年4千万人の胎児が人工妊娠中絶によって殺されているという。このような現実の中、現在学校などで推し進められる性教育の問題点を指摘し、聖書に土台を置いた性教育を提案するためファミリー・フォーカス・ジャパン(FFJ=テモテ・コール理事長)が、「性教育と若者への伝道」と題したワークショップを10月21日、東京・千代田区のお茶の水クリスチャンセンターで開き、学校関係者や宣教団体関係者、牧師、医師らが参加した。
 コール理事長は、若者の間でまんえんする性感染症についてデータに基づいて紹介し、その原因について述べた。2001年12月現在全世界で4千万人がHIV/AIDSに感染しており、毎日8千人以上が死亡している。さらに現在の性教育が、1850年代から現代までに至る社会的ダーウィニズムと、それに続く優生学運動に基礎を置いていると指摘。それによって性的アイデンティティーの混乱が引き起こされていると語った。現在、東京都内の高校3年生女子の45・6%が性交を経験済みだという。
 思春期保健相談員で看護師の椙井小百合さん(同盟基督・長野福音教会員)は、教育現場で性教育を進める立場から「性器教育は一生懸命やるが、生徒らに人としての価値を伝えられていない」現状を示した。「まわりにおどらされている子どもと本来の子どもの気持ちをよく見分けつつ、聖書が教える『純潔』を守ることを勧めるように」「中絶は実際には30~50代の女性に多い。親の世代への性教育も必要なのでは」と話した。
 ワークショップでの内容を踏まえFFJでは?この問題に取り組むための話し合いの場を設け、協力できる関係を整えていく?「性、その嘘と真実」の資料などを中心に教師やスタッフの訓練をし、全国の教会や学校で若者向けのワークショップを行い、聖書に基づく性倫理を養い、真の救いへと導く?日本の性的危機に関する問題を研究し、機関紙に研究結果を発表していくことを提案している。詳しくはFFJTEL&FAX045・972・3971、ホームページはhttp://www.familyfocus.gr.jp/Eメールinfo@familyfocus.gr.jp

悲しみ突き抜ける−−瞬きの詩人・水野源三の世界が歌曲CDに0211170501

重度の脳性まひのために書くことも話すこともできず、瞬きの合図によって作り続けた水野源三(1937~1984)の詩に、改革派・東京恩寵教会のオルガニスト島塚光さんが作曲した賛美歌曲集『十字架を仰いだならば』CD(2千500円)と楽譜(2千円)が、いのちのことば社ライフ企画ヴァインレコードから発刊された。自身の娘が障害を負った声楽家(バリトン)今仲幸雄さんが水野源三の詩をぜひ歌いたいと島塚さんに作曲を依頼し、4年越しで実現したもの。静けさの中に悲しみを突き抜けた明るさがある源三の世界が、本格的なリート(芸術歌曲)となって表現された。
 今仲さんは78年、一人娘が生後11か月のとき家庭内の事故で重度の障害を負った。最初は苦しんだが、やがて信仰に立ち、弱さの中に恵みがあると気づく経験をした。苦しみを乗り越える助けになったのが、バッハと共に水野源三の詩だった。
 バッハも幼くして両親と死に別れ、晩年は失明。「ところが悲しみの中に突き抜けるような明るさがある。水野源三の詩にも共通の明るさがあります。本当の救いを自分のものにした人の特徴です。これを歌で表現したいとずっと思っていました」
 8年前、島塚さんがCD『にほんの詩による賛美歌曲集 光の中で歌おうよ』を出したとき、22曲中5曲を今仲さんが歌ったのを機に、島塚さんに作曲してほしいと源三の4冊の詩集を贈った。
 詩集を読み返した島塚さんは、一見日常の他愛ないことが書かれているように思われる詩の中に、ハッとする表現があることに気づいた。「たとえば『悲しみよ悲しみよ 本当にありがとう』という詩。喜びよありがとう、なら理解できますが、悲しみが主イエス様のみもとに連れてきてくれたのだとうたう。普通の人では発想できないような言葉が目にとまりました」
 今仲さんも言う。「常識では考えられない言葉ですが、水野源三さんだからこそ悲しみに感謝できる。それは十字架の救いを通して言えることだと思うのです」
 島塚さんは、そうした源三の信仰の本質を表していると感じた詩を選び、4冊の詩集から4曲ずつの作品が生まれ、計16曲が収録された。CDでは島塚さんのピアノ伴奏で8曲を今仲さんが、7曲を島塚さんの妻でソプラノの啓子さんが、1曲を島塚さん自身が弾き語りで歌っている。
 しっとりとした憂いを含んだ中に、突き抜けた明るさが微妙な陰影で表現された曲想。今仲さんは「すごい曲ができました」と喜ぶ。演奏会では必ずこの中からプログラムに入れていくという。「21世紀は昨年のテロ事件で悲しみの世紀に入っている」と今仲さんは思っている。「弱さの中にむしろ神様の救いがある、その福音の本質を今こそ必要としているのではないでしょうか」