[CSD]2002年11月24日《ヘッドライン》

[CSD]2002年11月24日《ヘッドライン》
 = 1面 =
◎メルボルン事件:麻薬密輸の冤罪はれず帰国——勝野さんらなおも無実訴える
★日本基督教団:新総会議長に山北宣久氏——伝道回復路線の展開へ
★信憑性高いイエスの兄弟ヤコブの石棺
★ルーテル世界連盟:「予言的な奉仕=世界の癒しのため」——貧困、暴力、HIV問題などを協議
★米国:12月1日(日)「世界エイズ日」に患者のための祈りを——米福音同盟が呼び掛け
★<恵みのどんでん返し>思い切って旅立ち、海外で癒され 記・天野 弘昌
★<落穂抄>1対1の人間関係

 = 2 面 =
★元結婚式場が神学校に——埼玉県飯能市に日本ミラクル神学大学校 来春開校
★信州教育に流れる信仰——長野県立短大名誉教授・塩入 隆氏が講演
★<提言>日本の未来を背負う者として 記・開登 翔
★<神のかたち>[25]あなたと話しているこの私がそれです 記・稲垣緋紗子
★<今週の本棚>『現代福音主義神学』宇田 進著(いのちのことば社、3800円) 評・岡山英雄
★<今週の本棚>『教える喜びと 学ぶ喜び』朴 永基著(いのちのことば社、1200円)
★<今週の本棚>『今、こころを考える』斎藤 友紀雄著(日本キリスト教団出版局、円)
<情報クリップ>催し情報ほか

 = 3 面 放送伝道特集=
★ゴスペル・フェスタをインターネットでライブ中継——太平洋放送協会(PBA)
★30年後に見ても古びない番組を——ハーベスト・タイム
★1教会で独自のテレビ伝道11年目——ゴスペルアワー
★有線で24時間放送、情報革命も新需要——フレンドシップラジオ

 = 4 面 =
◎教会に中高生は「たむろ」できるか——第5回JEA宣教推進会議 小中学生へのアプローチ
★第5回宣教推進会議 決意表明文
☆2002クリスマス集会ガイド——北陸・近畿・中国・四国

 = 5 面 =
★神社参拝強制拒否の生き証人・趙 壽玉氏逝く——「靖国闘争を最後まで戦い抜くように・・・」
★手作りの聖書通読表で90人読了——同盟基督・下北沢聖書教会
◎「燃え尽き」の要因は人間関係——「牧会ジャーナル」誌上調査で明らかに
★<北から南から>鹿児島県:祈りの力一教会超え韓国教会と協同——鹿児島国際福音教会
★米国:連続狙撃事件による差別を警戒
★<CDの時間>「ユーオーディア クリスマス」ユーオーディアアンンサンブル(ミクタムレコード、2381円)

 = 6 面 教会学校教師のひろば=
★未信者の子集い楽しむ——拝島バプテスト教会「土曜子ども会」
★<先生☆キラッ>体の続く限り、現場で奉仕を 倉嶋 文雄さん
★クリスマスには・・・読み切り福音雑誌——「らみい」クリスマス号、『らみいSUPER2002』
★<ゆっくり行こう!CS教師>[3]教育に奥行きを持つ 記・福井 誠
★<絵本 読み聞かせの世界>[3]Please! Thank you! 記・山本 優子
★<CSでできること できないこと>[3]与えられ 与えることを学ぶ 杉谷 乃百合

 =カラー1~4面 =
☆クリスマススペシャル——クリスマスプレゼント、グッズほか

メルボルン事件:麻薬密輸の冤罪はれず帰国−−勝野さんらなおも無実訴える0211240101

オーストラリアで麻薬密輸の罪により有罪判決を受けた日本人男女5人が、服役中のメルボルン刑務所の中で無実を訴えていた「メルボルン事件」で、5人のうち3人が仮釈放され11月7日夜、成田空港に到着した。3人は10年ぶりの帰国。今回、帰国したのは、勝野正治さん(53)と、その弟の勝野光男さん(46)、浅見喜一郎(70)さんの3人。そのうち勝野正治さんは94年に現地のバーウォン刑務所で信仰に導かれ洗礼を受けている。  「この10年間は本当に夢のような10年でした。今もその中にいるような感覚です」と勝野正治さんは、到着後に開かれた記者会見で重々しく答えた。
 「メルボルン事件」は、92年6月、観光旅行で訪れたビクトリア州メルボルン空港で、勝野さんたちのスーツケースの二重底からヘロイン13キロが発見され、5人が現行犯逮捕された事件。スーツケースは途中のマレーシアで盗まれた荷物の代わりに現地のガイドから渡されていた。
 この事件では、92年の発生直後から当時のメルボルン日本語キリスト教会牧師のスティーブ・ヤング氏を中心とした人々が、5人を訪問。クリスチャンを中心に無罪を信じる支援者の輪が広がっていた。
 勝野さんたち4人は、懲役15年の実刑判決を受けていたが模範囚として認められ、刑期の3分の2をつとめ仮釈放された。残りの女性で、本多千香さんも18日に帰国する。事件の主犯格とされ、いまだに懲役25年の服役を続けている末弟の勝野良男さん(44)も獄中で洗礼を受けている。
 正治さんは、記者会見で、「心臓を患い、体力も落ちて、日本の地を生きて踏めないと思っていました。収監中に冤罪をはらすことができなかったのは痛恨の極みです。今後は日本から改めて無実を訴えていきます」と感激の表情とともに強い口調で語った。
 クリスチャンの支援者に対しては、「(キリスト)教会関係の支援者には大変お世話になりました。日本、オーストラリアに限らず、アメリカ、カナダ、マレーシア、南アフリカなど世界各国から無実を信じているという手紙をたくさんいただき、本当に大きな心の支えになりました」と感謝の思いを述べた。
 今後の活動として国際的な手段としては、ジュネーブの国際人権規約委員会に個人通報を申し立てていることから、引き続き委員会からオーストラリア政府に対し再審を求める勧告が出されるように訴えていくという。5人は98年に通訳の面で公正な裁判を受ける権利が与えられなかったのは国際人権規約違反だとして個人通報していた。
 また、オーストラリア国内の救済手段としても審議やり直しを訴える活動をしている。

教会に中高生は「たむろ」できるか−−第5回JEA宣教推進会議 小中学生へのアプローチ02112404

教会学校(CS)の子どもの数が減少し、子どもが教会に来なくなったと言われて久しい。この現状を打開するにはどうすればよいのか。日本福音同盟(JEA)は、初めての宣教委員会と女性委員会の共催で「第5回JEA宣教推進会議—21世紀への提言 小中学生へのアプローチ」を10月31日から11月2日まで、長野県北佐久郡軽井沢町の恵みシャレー軽井沢で開いた。講師は教会教育、CS教育を実践してきた横山幹雄(アワナ・ジャパン理事長、聖書教会連盟・内灘聖書教会牧師)、小山田格(中学生聖書クラブ協力会〔CSK〕聖書同盟総主事)、喜納邦子(ワールド・ミッション・クリスチャン・スクール代表)の各氏。教職、信徒合わせ参加者約50人が、講師の発題に耳を傾け、現在の各教会の現状を分かち合い、打開策を熱心に語り合った。
 「CSに子どもを呼ぶには発想の転換が必要だ!」。3日間の会議を終えて得た共通認識だ。
 横山氏は「北陸では大人を追っていてはだめ。柔らかな魂を捕らえないといけない」とのビジョンに立ち、児童伝道に力を入れたという。「どうしたらしっかりと子どもの心をつかむことができるだろうか」と思案する中で出会ったのが、アワナ(教会の子ども向けプログラム)だった。
 横山氏は「子どもが日本の教会にとって宝となっているか。教会のプログラムに反映しているだろうか」と提言。教会に子どもがいなければ子どものいる所に行くべきで、今までのやり方で子どもたちを引きつけ、捕らえることができなかったならば、何らかの変革、発想の転換が必要だと語った。
 さらに、子どものことだけをいつも考えている「児童伝道バカ」が出て欲しいと、児童伝道スタッフの必要性も述べた。
 沖縄でチャーチスクールを実践する喜納氏は働き手を送ってもらえるよう神に祈り、また自分で育てる必要性を説いた。「どこの教会も牧師一人ががんばっている。どこも働き手が必要。では、働き手はどこから来るのか、と考えたとき、自分で育てる、という発想が与えられた」
 家庭、教会、学校の回復の重要性も説いた。特にクリスチャンホームの回復を強調。「自分自身の家庭を治めることを知らない人が、どうして神の教会の世話をすることができるでしょう」(1テモテ3・5)を引用し、「日本のクリスチャンはまじめだが、足もとを見ないことがある。伝道のため走り回り、気が付いたら自分の子がひねくれていたらどうしようもない。教会の牧師、リーダーは、まず我が子に信仰継承をして欲しい」と強調した。
 中学生伝道にかかわってきた小山田氏は、どこの教会でも中高生会は非常に厳しく、中高生が全くいない教会も多い現状を報告した。
 さらに中高生には?クリスチャンホームの子、?ミッションスクールに通っている子、?未信者の家庭で育ち公立学校に通う子、の3つのタイプがあり、かかわり方はそれぞれ異なる。クリスチャンホームの子にターゲットを絞るか、未信者の子にアプローチするか選択を迫られている教会があることにも触れた。
 そうした現状を踏まえ、各教会の中高生会の活動を例に挙げながら?中高生が一番来やすい時間を設定する?女の子向けだけのプログラムにならないよう気を付ける?キャンプに力を入れる?国際化を踏まえ中高生を海外に連れていく、などの具体的なアドバイスをした。
 3人の講師の発題を受け、分科会では教会の現状を分かち合った。
 小山田氏のグループでは「中高生がいない」「クリスチャンホームの子が落ちないようにしている」「困難でも未信者の中高生にアプローチしている」など現状を報告。その中で、土曜日に中高生のクリスチャンホームの男子が10人ほど集まり、毎週「ゴーゴーヤングヤング」という集会をしていい交わりをしている福音バプ連合・高岡キリスト教会(渡部敬直牧師)からの報告があり、「いかに中高生が?たむろ?する教会になれるか。彼らに居場所を提供できるか」について話し合った。
 最終日には会議の成果を踏まえ、第5回宣教推進会議決意表明分を全員一致で採択した。
 参加者の多くは直接的、間接的にCSにかかわる人々で、現場で日々苦悩し試行錯誤してきた人たち。
「講師だけでなく参加者がすばらしかった」「会議というよりは聖会だった」「CS教師として再献身の時になった」「分科会では時間を忘れて語った」など参加者の熱気が伝わる感想が寄せられ、今後の展開が期待される内容の会議だった。
 JEAでは、ビデオに収めた会議の記録を地域教会に提供できるよう検討を始めている。

「燃え尽き」の要因は人間関係−−「牧会ジャーナル」誌上調査で明らかに0211240503

「悩んでいるのは自分だけではないことを知って励まされました」「これからますます深刻化する課題だと思う。自分も予備軍であると感じました」ーー今年9月に発行された季刊誌「牧会ジャーナル」2002年秋号が、特集で「牧師が燃え尽きないために」をテーマに取り上げたところ、牧会の現場から大きな反響が寄せられた。同誌のアンケート調査から、普段なかなか見えにくい牧師の苦悩が伝わり、そうした課題を信徒とどのように共有できるかが課題として浮き彫りにされた。11月下旬に発行される冬号では、調査結果を発表し、それをもとに編集委員が座談会で問題を掘り下げている。
 「牧師の燃え尽きに関する」読者アンケートは、牧会ジャーナル秋号に綴じ込む形で実施され、25通が回収された。「あなたは牧師を辞めたいと思ったことがありますか」という問いに17人が「ある」と答えた。だが、深刻なレベルに直面するかどうかは別として「牧師は誰でも経験すること」という見方もある。
 座談会では「やめたいと思ったきっかけ」として、信徒や役員とのトラブルなど人間関係を挙げた回答の多さが注目された。日本の牧師が多忙すぎることはよく指摘されてきたが、単に働きすぎて燃え尽きるというよりは、人間関係で傷つき、それが自信喪失や召しへの疑問につながっていることが明らかにされた。
 編集委員の1人はアンケート結果を見て、「牧会というのは、牧師が信徒の魂を配慮するという視点だけを扱うことになっているが、牧師も魂の配慮を必要とするんだという声が全体にある」と感じた。
 それでは、どのようにして「やめたい」という思いから解放されるのか。ここにも、みことばや祈りによる召しの再確認と並んで、信徒の理解(サポーティブな対応)、妻をはじめ家族の協力など、人間関係が深くかかわっていることが見える。
 秋号を読んだ信徒から「牧師がこれほど大変な状況にあることを知らなかった。これから牧師のためにとりなしの祈りをします」との声も届いている。
 牧会ジャーナルに関する問い合わせはTEL03・3291・8524、クリスチャン新聞内。