[CSD]2003年1月26日《ヘッドライン》

[CSD]2003年1月26日《ヘッドライン》
 = 1面 =
★世界情勢に焦点あてつつ、危機にこそ祈り——断食祈祷聖会2003
★世界の賛美も多数収録——36年ぶり大幅改定『こどもさんびか改訂版』奉献礼拝
★スノーボーダーに福音を!——乗鞍高原でカンファレンス
★米国:宗教指導者らが調停役でイラク入り
★<恵みのどんでん返し>臨在覚えた夫婦での聖餐 記・村岡 昇
★<落穂抄>教会堂に併設の福音喫茶イリス

 = 2 面 =
◎キリスト教ボランティアが開く公共性——国家Kの独占から市民の側に取り戻す
◎小泉首相またもヤスクニ参拝——相次ぎ抗議「平和の願い踏みにじる」
★ケニア:野党圧勝は「神の手による」——政治腐敗を教会が正す
★<提言>半島にピースメイキングの祈りを 記・亀井俊博
★<神のかたち>[29]牢を出たふたりは、ルデヤの家に行った 記・稲垣緋紗子
★<今週の本棚>『権威なき者のごとく』フレッド・B・クラドック著(教文館、3200円) 評・本間義信
★<今週の本棚>『ニコライ』ティム・ラヘイ/ジェリー・ジェンキンズ著(いのちのことば社、1800円)
★<今週の本棚>『地上に輝く星たち』ヒューマン・ドキュメンタリー選集(マナブックス、500円)
<情報クリップ>催し情報ほか

 = 3 面 神学校特集=
——校長から~献身のおすすめ~
★再臨直前まで働き手が必要 記・真鍋 孝(福音聖書神学校校長)
★主はあなたの側に立ち、支え、押し出す 記・伊藤 隆夫(九州バプテスト神学校校長)
★喜びと感謝の人生への招待 記・石田 学(日本ナザレン神学校校長)

 = 4 面 =
★公益法人見直しと税制改革——宗教団体にどう影響するか
★牧師さんにも税金戻ってくるかも 記・櫻井圀郎
★米国:宗教団体にも政府補助金、社会への貢献実績を評価

 = 5 面 =
◎絶望の舌がん宣告から取り戻した生きる価値と声——三浦みはるさん
★神様感じ、共感呼ぶ映画に——映画「ふうけもん」制作説明会
★召されるまで奉仕——山白令一氏100歳で逝去
★新連載<脱北—川向こうの基督>[2]十字架見つけたら助けてもらえる 記・松本 望美
★<今月の試写室>「バティニョールおじさん」東西冷戦時代、閉塞に立ち向かったドイツ民衆の実話
★脱北者支援の李犀牧師死去

 = 6 面 教会学校教師のひろば=
★雨でも雪でも公園伝道——東京聖書バプテスト教会「ミルトス会」
★<先生☆キラッ>CSは私のライフワーク 杉山 喜実さん
★先生に会いたくて—通い続けて300回 石澤 恵さん
★<ゆっくり行こう!CS教師>[5]奉仕をしてくつろぐ 記・福井 誠
★<絵本 読み聞かせの世界>[5]『聖書ものがたり』 記・山本 優子
★<CSでできること できないこと>[5]クリスマスを共に祝う意味とは 記・杉谷 乃百合


キリスト教ボランティアが開く公共性−−国家Kの独占から市民の側に取り戻す0301260201

近年、日本でも非政府組織(NGO)、非営利民間組織(NPO)などの市民活動が盛んになってきている。公共の場でキリスト者がボランティア活動に携わることにどんな意義があるのか。昨年11月、国内外で豊富なボランティア経験を持つクリスチャンを招き、シンポジウム「キリスト教ボランティアが開く公共性」(東京基督教大学共立基督教研究所主催)が、東京・千代田区のお茶の水クリスチャンセンターで開かれた。
 発題者は辻岡健象(小さないのちを守る会代表)、田代麻里江(長野県看護大学講師)、神田英輔(日本国際飢餓対策機構総主事)の各氏で、コーディネーターは稲垣久和氏(共立基督教研究所研究会議議長)。
 稲垣氏は、ボランティアは「自由意思」「自ら進んで行う」という意味なのに、日本では「公」が皇室や国家を指すことから、公共性が市民レベルでなく国家サイドの事柄を意味するようになってしまったとし、「国家の公共性の独占(上から下へ)を市民の側(下から上へ)に取り戻す」必要性を説いた。国家や市場経済から自立しているNPO、NGOなどの第三セクターが強い国は民主主義がしっかりしている点も指摘し、このセクターを強固にしていく責任がキリスト者にあると語った。
 辻岡氏は、生まれてくる子の4倍の胎児が中絶されている現状の中で「自分たちの立場を鮮明にしながら世と接していく。そこから対話が生まれる。実践することで、私たちは地の塩とされていく」と語った。
 96年から3年間、ヘルスケアコンサルタントとしてバングラデシュで活動した田代氏は「キリスト者は人権を自分で守れない人々に代わり、その人々の声になるという役割を担い、その問題解決のため政府や自治体、市民を巻き込む公共空間を作り出すことができる」と語った。
 神田氏は「神様の契約対象はすべての人。活動対象は異教徒も含む」という。日本国際飢餓対策機構がNPO法人格を取得しない理由も説明。「国から寄付金をもらうことで活動が制約されるのではとの疑問がある。本当の公共性を確保するためそうしている」と語った。
 発題を受け、稲垣氏は「神様の視点は全被造物が愛の対象だということ。今の日本の教会がこの観点を見失い、救われた者たちだけの交わりとなり、公共の世界から遊離してしまっていないか」と問いかけた。(シンポジウムの内容は03年1月発行の『共立研究vol.8,No.1』〔共立基督教研究所〕で紹介)

小泉首相またもヤスクニ参拝−−相次ぎ抗議「平和の願い踏みにじる」0301260202

小泉首相は1月14日、突如、靖国神社に参拝した。首相就任前から靖国参拝を公約していた小泉氏が首相になってから同神社に参拝したのは01年8月、02年春の例大祭時期に続いて3度目。韓国、中国などが敏感に反発したが、日本のキリスト教関係団体からも即日、抗議声明が相次いだ。
 日本キリスト教協議会(NCC、大津健一総幹事)と同靖国神社問題委員会(森山つとむ委員長)は「平和を求めるキリスト者は、この参拝が、平和を願う人々の思いを踏みにじり、憲法に規定された政教分離を侵したことに対して強く抗議」するとして、今後靖国神社への参拝を繰り返さないように要望した。
 声明は、靖国神社が侵略戦争で天皇のために死んだ人々を「英霊」として祀るだけでなく、戦争遂行責任者をも神として祀っており、国家神道として日本の戦略戦争を支える役割を果たしてきたことを指摘。首相が宗教法人靖国神社を参拝することは、政教分離原則を踏みにじるだけでなく、国家神道靖国神社に支えられてなされた過去の日本の侵略と植民地支配の歴史を肯定し、それによって辛酸をなめさせられてきた近隣諸国の人々に過去の悪夢をよみがえらせ、日本への信頼を首相自身らが裏切る行為になると警告した。
 さらに声明は、1月20日から始まる国会において有事法制3法案の審議が予定され、アメリカがイラク攻撃の機会を狙っているこの時期、首相の靖国参拝は、日本が再び戦争への道を歩むのではないかという懸念を抱かせるとした。
 「政教分離の会」(西川重則事務局長)は、首相の靖国神社参拝が、国家と宗教の分離を明記した政教分離原則(憲法20条3項)に抵触し、同20条1項が禁止している特定の宗教に対する優遇を意味すると指摘。首相が個人の信条・心情に基づく参拝としていることについても、納得できる根拠を示すべきであるとした。併せて憲法99条(憲法尊重擁護義務)違反であることも強調し、抗議の意志を表明した。  

絶望の舌がん宣告から取り戻した生きる価値と声−−三浦みはるさん0301260501

「子どものころから歌うのが大好きだった」三浦みはるさん(日本福音キリスト教会連合菅キリスト教会員)。育児のために遠ざかっていた声楽を本格的に再開した矢先に、舌がんと宣告される。宣告を機にそれまで折に触れて聞いていた神を真剣に求めるようになった。つらい治療、舌の3分の2以上の切除手術という困難を乗り越え、三浦さんは再び歌い始めた。
 「がんであってもいい。だけどなんで舌なの」と三浦さんは思った。中学2年生の時、オペラの公演を見て以来オペラ歌手になることを夢見て、音楽高校、音楽大学と声楽を学び続けた。やがて結婚や子育てに追われ、歌手になることはあきらめ、歌から離れていった。
 2人の娘たちが成長し、手がかからなくなったのを機にもう一度「歌おう」と思い、母校の先生について学び始めた。2000年9月には仲間たちとコンサートを開いた。
 ところがコンサート前に、舌の裏に小さな白い点があるのに気づく。気にはなったが「口内炎だろう」と思い、そのうち治ると踏んでいた。
 翌年、顎関節症になって病院に行ったときに、医師に白い点のことをついでに相談。別の病院を紹介してもらい、アレルギーの可能性を指摘された。しかし、そのころから急速に体調が悪くなった。さらに別の病院で診てもらうと、舌がんの疑いがあると言われた。
 病院からの帰りの電車の中で三浦さんは、生きることと死ぬことを考えさせられたという。「心の中を一番知っているのは神様だとわかっていました。自分が真剣に生きるために神様が必要だと思いました」と三浦さんはいう。
 それまで三浦さんは友人の誘いで、近所の菅キリスト教会(岩松康宣牧師)に、特別集会のたびに参加していた。「教会と縁を切らずにいたが、神を求めていたわけではなかった」。しかし、そのとき「洗礼を受けたい」と強く思った。がんであることがはっきりわかり、岩松牧師に「自分の舌で話せるうちに信仰告白したい」と相談し、洗礼を受けた。「神様とのパイプを確実にするために、心のドアを開けました」と三浦さんは話す。
 放射線治療が始まった。舌に釘のような針を刺し、鎮痛剤を投与しても激痛が走り、被ばくのためにやけどがひどかった。退院して、治ったと思ったのもつかの間、がんが再発。医師から舌を切除しなければならないことを告げられる。「天国から地獄の思いだった」
 手術後の自分を想像して、家族に迷惑をかけるのなら存在価値がないと思った。そんなとき、次女の侑子さんが学校の授業で聞いて感動した本をプレゼントしてくれた。本の内容にも感動したが、娘が自分にプレゼントしてくれたという行為に自分の価値を見いだした。「あなたは高価で尊い」という聖書のことばが響いた。
 手術後、医師から「歌えなくなりましたね」と悲しい宣告。しかし、リハビリは新しい自分の出発でもあった。必死の努力で、ぼんやりとしか出なかった声も徐々に出るようになった。そんな三浦さんにクリスチャンの友人が、「病院でコンサートをしてみないか」ともちかけた。自分の声がちゃんと伝わるか不安だったが、決心して再び歌のレッスンを始めた。「いざレッスンを始めるとどんどん声が出るようになった」という。
 昨年12月、都内の病院で患者たちの前で歌った。「あなたはあなたですばらしい。私は私ですばらしい。一人ひとりに生きている価値があることを伝えようと思いました」と三浦さんは語る。
 「病気の人に聞いてもらえる歌が歌えるなら、大胆に希望を捨てずに歌い続けていきたい」と三浦さんは話す。