[CSD]2002年2月9日《ヘッドライン》

[CSD]2002年2月9日《ヘッドライン》
 = 1面 =
★「私には夢がある」——キング牧師の戦いを継承する1・18ワシントン大集会 記・西川 重則

★米国:ナショナル大聖堂で平和の祈り
★「私たちは座って抗議」——米国大使館前でイラク攻撃反対
★各地の2・11集会(3面に特集記事)
★<恵みのどんでん返し>同労者とともに重荷を負い合って 記・浅野史子(町田クリスチャンセンタ
ー伝道師)
★<落穂抄>苦しいときは必ず過ぎ去る

 = 2 面 =
◎獄中で神に出会った人々迎え共に礼拝——「メルボルン事件」帰国者らが証し
★パキスタン:対イラク戦争で教会テロを懸念
★<論説>現代社会と発達心理学——聞き手の立場で福音を語る 記・杉本 玲子
★<神のかたち>[30]プリスキラ‥は、正確に彼に証明した 記・稲垣緋紗子
★<今週の本棚>『夫をささえる30の祈り』ストーミー・オマーティアン著(CS成長センター、
1,500円) 評・辻岡敏子
★<今週の本棚>『愛・・・勝利に至る道』ケネス・E・ヘーゲル著(エターナル・ライフ・ミニストリ
ー、3,900円)
★<今週の本棚>『幸福な家庭生活』朴 永基著(いのちのことば社、1,100円)
<情報クリップ>催し情報ほか

 = 3 面 2・11特集=
★高校生と行くヤスクニツアー——女子高生たちが思わされたこと・・・
★ドイツ人宣教師も驚きヤスクニツアー——戦争への反省感じない
★ワシントンにあって、新遊就館を考える 記・西川 重則

 = 4 面 中南米特集=
★ヴードゥー教の国に宣教志願——4月派遣の医療宣教師・根本律子さん
◎孤独だから教会に来た——豊橋ホサナ教会ポルトガル語礼拝
★11年ぶりブラジルの地に——石塚恵司宣教師
★軽飛行機「平和の翼」再開——ジョン・カンクル宣教師
★文書伝道の奉仕終えブラジルから帰国——熊田和子さん
★次代担う人材育成が目標——阿部和子宣教師
★宣教のバトンタッチ——川崎淳宣教師

 = 5 面 =
◎ゴスペルで続々受洗——ニューコミュニティー三田チャペル
★障害持った人と制作した粘土細工をポストカードに——希望センターふれあいショップ
★女性が壮大に生きる——3月に豪ヒルソング教会聖会ツアー
★米国:『十字架と飛び出しナイフ』今も反響
★<脱北—川向こうの基督>[3]「教会」って叫んだら。助けてもらった 記・松本 望美


★<CDの時間>岩渕まこと&ペトラストリート「The season of joy」トム&アンダース・ヨーロピ
アントリオ(ビ・ブレイブ、3,900円)

 = 6 面 ゴスペルのページ=
★<インタビュー>西村 あきこさん——神の前に弱さもさらけだして
★特別企画「2002年ゴスペルアルバムベスト5」
★NEW RELESE:「WOW GOSPEL 2003」VARIOUS ARTISTS (ライフ・ミュージック、2500円)

★NEW RELESE:「ABOVE THE GROOVE GOSPEL」VARIOUS ARTISTS (ライフ・ミュージックで「WOW
GOSPEL 2003」購入者先着300人にプレゼント。Tel.03-3353-7440)
★<北嶋和之のゴスペルトーク>We Behold You
★<いまさら聞けないゴスペル用語>グローリー
★コンサート・ワークショップ情


獄中で神に出会った人々迎え共に礼拝−−「メルボルン事件」帰国者らが証し0302090201

海外旅行中に突然、身に覚えのない麻薬密輸容疑で逮捕・拘留され、裁判でも無実の訴えが退けられ、誰も知り合いのいない異国の地で10年間も投獄されたら、その理不尽さに対する思いはどれほどだろうか。オーストラリアのメルボルンで実際にそのような事件に遭遇し、獄中でキリストを信じた5人の日本人のうち4人が、昨年11月、仮釈放により帰国した。その「獄中で神に出会った人々」を迎えて話を聞き、共に礼拝をささげ祈り合おうと、5人の無罪を信じて支援してきたクリスチャンらが1月25日、東京・千代田区のお茶の水クリスチャンセンターで集会を開き、60人余りが参集した。  帰国したのは勝野正治さん(53)と弟の光男さん(46)、本多千香さん(46)、浅見喜一郎さん(70)。4人は懲役15年の判決が確定し10年で仮釈放されたが、20年の刑を受けた勝野さんの末弟、良男さん(44)は今なお収監されている。
 「あのころのつらい思いは一生忘れない。カバンの中から麻薬が発見されて驚くばかりで、事実を説明すれば分かってもらえるものと思っていたわけですが、私たちが犯人にされてしまった」(良男さん)、「刑務所に入れられたときのショックは生涯味わえない。映画の刑務所しか知らないので、金網が付いた車の窓から外を眺めて不安と恐怖でいっぱいでした。しばらくは夢だと思って自分のほっぺたをつねったり、異次元にいるみたいな感覚。夢じゃないことが分かったとき、身動きができなくなるようなショックと悲しみでした」(本多さん)、「体力には自信があったんですが、3年後には体がボロボロになりました。15回の心臓発作、2度の手術を経験しました。おそらく生きて帰ることはできないのではないかと思いました。何よりもつらかったのは、家族の者も悲惨の中に引きずり込んでしまったことです」(正治さん)。
 4人は率直に、厳しい体験の実感を話した。しかし同時に、そろって「感謝」をも口にする。それは、孤立無援の中で、獄中を足しげく訪ね5人の無実を信じて支援したメルボルン日本人教会のスティーブ・ヤング牧師をはじめ、同教会や日本のクリスチャンたちの支援に対する感謝である。見ず知らずのヤング牧師の訪問に、初めは会うことを拒否した人もいるが、ヤング牧師は聖書や三浦綾子の本を差し入れるなどして、忍耐強く5人を訪ね続けた。羽鳥明牧師らが日本から来豪のおりに忙しいスケジュールをぬって訪問し、福音を伝えてくれたことにも感謝は絶えない。
 正治さんは言う。「10年という長い期間には、語り尽くせない思いがあるが、それでも素直に神に感謝できる。何よりも拘留を通して真の創造主である神に巡り会うことができた。聖書を学び、苦難の中にあって初めて学ぶ世界があるということが分かりました」
 集会の礼拝メッセージで廣橋嘉信牧師(メルボルン事件日本支援基金代表)は、哀歌3章36節「人がそのさばきをゆがめることを、主は見ておられないだろうか」を中心に「獄の中で神様を信じたことはすごい恵み。この事件に巻き込まれてこのように踏みにじられている方々を、主イエス・キリストは必ず見ておられる。神様がこのままで終わらせるはずがない」と語った。=0302090201=CSD1008=

孤独だから教会に来た−−豊橋ホサナ教会ポルトガル語礼拝0302090402

中南米人への宣教は、日本でも進んでいる。ヤマハ、ホンダ、スズキなどオートバイや自動車の工場がある静岡県浜松市、トヨタ自動車などの関連工場がある愛知県豊橋市は、企業が南米人を作業員として受け入れていることもあり、ブラジル人やペルー人などが仕事を求めて集まってくる。浜松市はブラジル人が1万人以上、豊橋市には約8千人が生活しているという。
 そうした南米の人たちを対象に、日本同盟基督教団豊橋ホサナキリスト教会(森川昌芳主任牧師)は、11年前からポルトガル語礼拝を毎週日曜日に開いている。名称はヴィタ・ノーバ。「新しい命」という意味のポルトガル語だ。02年の平均礼拝出席者数は45人。現在、喜屋武エリサみどりさんが、日系協力宣教師として礼拝説教の奉仕をしている。
 ポルトガル語礼拝を始めるきっかけは、森川さんがブラジルに行ったことから。ブラジル人と親しくなって日本に帰ってきたが、日本で伝道している時にも、出稼ぎのブラジル人に出会った。森川さんは「ブラジル人に重荷があるから、ぜひ伝道したい」と役員会に持ちかけ、承認を得た。
 最初は日本語礼拝と一緒で、同時通訳を付けていたが、同時通訳ができる人がブラジルに帰ってしまったため、礼拝は別々にすることに。初期のころは、後にいのちのことば社創設者ケネス・マクビーティ氏の妻となった内田アンさんが、6年前からはブラジルで正規の神学校を出た喜屋武さんが礼拝の奉仕を担当した。
 ヴィタ・ノーバで洗礼を受けたブラジル人はこの11年間で約30余人。「日本で孤独だったから教会に来た。祖国ブラジルにいたら絶対に信じていなかった」という人や、ブラジルに戻って牧師になった人もいると森川さんは語る。
 教会では日本人とブラジル人が一緒にプログラムを持つ時もあるという。しかし、文化や風習の違いから、嫌う人も。「ブラジルの人は平気で礼拝中、恋人同志が肩を抱き合ったりするので、慣れない人は引いてしまうんです。そのため日本人は日本人、ブラジル人はブラジル人で固まってしまう傾向はあります。文化の違いを受け入れる必要がありますね」
 それでも、「聖書に従えば、全世界に福音が宣べ伝えられるのであって、ブラジル人のために施設を貸すことで上から祝福を受けている」と森川さんは言う。
 「79歳で牧会生活もあとわずか」と語る森川さんだが、今後も教会がゆるす限りポルトガル語礼拝は続けていきたいと語った。=0302090402=CSD1009=

ゴスペルで続々受洗−−ニューコミュニティー三田チャペル0302090501

ゴスペルブームの中、関西ゴスペル界の第一人者であるJAYE公山さんが率いるゴスペルクワイア、JAYE,S MASS CHOIR(JMC)のメンバーのうち5人が、12月に基督兄弟団・ニューコミュニティー三田チャペル(藤井恵嗣牧師)で受洗した。藤井さんは「彼らとの出会いの中で、自分も含め教会がクリスチャンでない人たちに持っている壁に気づかされました。クリスチャンがもっとバリアフリーになることが大切ではないでしょうか」と語る。  今回洗礼を受けたのは、河野信哉さん、飯久保啓太さん、暁生さんと佐々木晋さん、久代さん夫婦の5人。
 藤井さんと5人は、ゴスペルを通じて知り合う。JAY公山さんがプロデュースするゴスペルイベント「なにわゴスペルフェスティバル」(00年)で、クリスチャンでない人がゴスペルを歌うことに対し、あるクリスチャンからの批判がJMCのホームページに入ってきた。そのとき藤井さんが代表を務める「大阪リバイバル・プレイズナイト」のメンバーが、批判はおかしいという内容のメッセージを書きこんだ。それがきっかけとなり、藤井さんとJAY公山さん、JMCメンバーとの交流が始まり、自然とメンバーとその友達数人が兵庫県三田市にある藤井さんが牧会する教会に来るようになった。その数は年間80人近くに。メンバーのほとんどが大阪、奈良、京都などから電車で何時間もかけて礼拝に出席。「彼らは電車の中で、今日のメッセージの話しで盛り上がったり、悩みを相談し合っていました。当時、私たちが目指していたクリスチャンライフを自然に生活化していました」
 現在は、メンバーの生活圏の中にキリストにあるコミュニティーを築こうと大阪市中央区森ノ宮で「Agito」というセル集会を行っている。「オープンで、あったかい生きた関係です」、「近所付き合いみたい。日々の生活でつけたドロドロしたものを洗い流してくれます」とセルグループのメンバーは語る。
 このように順調に来たかに思える教会も、ここまでの道のりは決して平坦ではなかった。JMCのメンバーは、クリスチャンになる前に様々な教会に行く機会があった。そこで彼らは、クリスチャンから「洗礼受けましたか」、「聖書を読まなきゃダメですよ」などクリスチャンでない自分を否定されることを頻繁に言われた。悪意はなくても会話の中に出てくるクリスチャン用語も彼らのつまづきとなった。「これではクリスチャンになることを遠ざけてしまう」。藤井さんは、彼らに教会に行ってショックを受けたことを率直に教えて欲しいとお願いした。
 「自己改革、自分の足下から変えていかなければキリストにしっかりとつながる人が起きにくいと思いました。この問題は牧師になって時間がたてばたつほどわからなくなる感覚でした。彼らの声を聞かせてもらったのは大きかったです」
 そしてこの問題に藤井さんは真っ向から答えようとチャレンジ。しかし、イン新しく来る人々のニーズに合わせた説教のため、ある教会リーダーから「あなたの説教はエンターテーメントだ」と愛をもって厳しく忠告されたこともある。ミュージシャンたちの生活サイクルは夜型。彼らのいろいろな悩み、相談の時間を取るため彼らの生活サイクルに合わせた結果、家庭崩壊寸前にもなった。
 「神様が、日本に起こされているゴスペルというムーブメントを教会がとらえきれないもどかしさがありました。波を起こすのは神様ですが、それに乗るためにはいろいろな訓練が必要だと思います」と藤井さんは語る。
 「そのためにはクリスチャンのバリアフリーが必要です。しかしバリアを取り払うことは簡単だと思いますが、バリアを取ると残った芯が問われ、本物かどうかがハッキリします。牧師である私自身が一番バリアを持っていました。彼らとの出会いの中で最も大切な『友となる』『ツレ』となることの大切さを主から教えられました。どんなにイベントで人を集めても、あるいはクリスチャンのペースで友になろうとしてもダメです。『罪人』の友となられた主イエスのこころが必要ではないでしょうか。キリストにある関係を体験して彼らは受洗に導かれました。これが日本宣教のひとつのモデルケースとなるなら幸いです」=0302090501=CSD1010=