ヘッドライン
[CSD]2003年2月24日《ヘッドライン》
[CSD]2003年2月24日《ヘッドライン》= 1面 =
◎学童らが神社参拝拒否した美濃ミション事件——「同信の友否定した」と日キ教会大垣教会が謝罪
★イラク攻撃目前——各地でハンストなど反対行動
★バチカン:教皇使節がイラク入り——平和への願いを示すため
★バチカン:ローマ教皇、独外相と会見
★<恵みのどんでん返し>幼児教育の授業で牧師の自我を砕かれ 記・畑野順一
★<落穂抄>北朝鮮でもうひとつの変革
= 2 面 =
★2・11集会:ブッシュ大統領の所属教会は「反戦」
★2・11集会:米大統領と小泉首相の協力はヘロデとピラトのようなもの
★2・11集会:韓国人クリスチャンを「日本人」にはできなかった
★<提言>教育基本法は信教の自由の危機 記・山崎敏秋
★<神のかたち>[32]ユニア・・・ 記・稲垣緋紗子
★<今週の本棚>『礼拝の聖書的な理解を求めて』聖書神学舎教師会編(いのちのことば社、1,300円) 評・正木牧人
★<今週の本棚>『神からの報い』ブルース・ウィルキンソン著(いのちのことば社、1,200円)
★<今週の本棚>『祈りの学校』卞在昌著(小牧者出版、650円)
<情報クリップ>催し情報ほか
= 3 面 =
◎日本人の精神構造「宗教は内心の問題」を検証
★アメリカによる攻撃に反対し、その中止のために祈り働かれるよう願う要望書
★過去の歴史における美濃ミッション事件に対する大垣教会の罪責告白と謝罪に関する声明
= 4 面 =
★若者ひきつけるロック調礼拝——最先端の米国教会成長 記・渡辺 聡
= 5 面 =
◎夫婦の介護事業を笑いとユーモアで——『花咲きまっか』でWomen's Best大賞受賞した俣木聖子さん
★<北から南から>絵本『たいせつなきみ』がミュージカルに——加古川バプテスト教会
★「打ち破られない壁はない」——日本ペンテコステ教役者大会
★米国:「パウエル演説は説得的だが怖い」——PCUSA国連駐在のバトラー氏
★<脱北—川向こうの基督>[6]「命がけで助けるのは当然です」 記・松本 望美
= 6 面 教会学校教師のページ=
★生のプロレスに子どもら熱狂——希望が丘教会「ヒルバーランド」
★<先生☆キラッ>子どもの反応考え言葉かけを 佐藤 理恵子さん
★こどもセミナー—ジョイジョイキャンプ今年も開催
★<ゆっくり行こう!CS教師>[65]労苦が無駄でない働き 記・福井 誠
★<絵本 読み聞かせの世界>[6:最終回]CSおさらい教材、どう使う? 記・山本 優子
★<CSでできること できないこと>[6]教育の本質は「父と子」の関係 記・杉谷 乃百合
学童らが神社参拝拒否した美濃ミション事件−−「同信の友否定した」と日キ教会大垣教会が謝罪030223
1930年代、岐阜県大垣市で美濃ミッションの子弟である学童らが、当時学校行事とされていた地元県社および伊勢神宮への参拝を「偶像崇拝」だとして拒否、そのため官民および言論による激しい排撃運動が起きた。この「美濃ミッション事件」に関し、同じ市内にあるキリスト教会として当時「同信の友を否定する言論を弄した」と罪責を告白する声明を、日本キリスト教会大垣教会が出した。2月11日、同教会の久米三千雄牧師が、現在美濃ミッションの本部がある三重県四日市市の富田浜聖書教会(石黒イサク牧師)を訪れ、信教の自由を考える2・11集会の席上、公式に謝罪した。同事件では、当初同情的だった他教派のキリスト者も、排撃運動の高まりとともに沈黙し、事件を迷惑視したり美濃ミッションを非難するなど、教会が教会を見捨てた出来事として知られるが、公式の謝罪はこれまでなかった。(3面に資料掲載)戦前戦中、神社参拝をめぐって日本の教会・キリスト者は、それを偶像礼拝だとして否定する姿勢から、次第に妥協し、国民儀礼の一環として受け入れ実行する姿勢へと変質していった。国策に沿って1941年に合同した日本基督教団は、この神社非宗教論を弁護し、アジア諸国のキリスト者に対しても積極的に神社参拝を要請した。
その背景には、「神社は宗教にあらず」として日本人ならどの宗教を信じていようと神社参拝は当然の道徳・国民思想であるとする、国家神道を軸とした当時の「国体」の考え方がある。皇祖を祀る伊勢神宮はその国家神道の頂点に位置した。
美濃ミッション事件はその時代の変わり目に、神社参拝を偶像礼拝と明言するキリスト者の信仰が「国体」思想と真っ向から衝突した顕著な例といえよう。当時、大垣市内の各所に「国体を擁護するため美濃ミッションを排撃しませう」という小学校校友会のポスターが張り出され、群衆による宣教師への殴打事件も起きた。
この度の「過去の歴史における美濃ミッション事件に対する大垣教会の罪責告白と謝罪に関する声明」では、「私たちは全体主義国家権力の下で、真実なキリストの主権としての信教の自由を守り得ず、非国民たるの謗りを恐れて、あたかも『天皇の忠実な国民たるキリスト信者』であることを弁明して世論の風あたりを避け、さらに同信の友を否定する言論を弄したことは、まことに私たちの主イエス・キリストの御前にあって、大きな罪を犯した」と告白した。
集会では久米氏が経緯を説明した後に声明を朗読。それに対して美濃ミッション主管者で大垣聖書教会牧師の石黒次夫氏が、この謝罪を「主イエス・キリスト様の御名を讃えつつ受け取ります。この告白によって貴教会が背負ってこられた重荷から解放され、主に余念なく事(つか)えられることを祈ります」と返礼文を読み上げ、握手を交わした。
これに先立ち、石黒次夫氏が「信仰の戦い、過去・現在」と題して講演した。石黒氏は、美濃ミッション事件の経緯を聖書的な信仰の戦いと位置づけて概括。戦後も、遠足の行き先に神社・仏閣が選ばれ、皇族死去の際などに学校で黙祷指令が出され、日の丸・君が代が強制されるなど、「国家神道は消滅したにもかかわらず、続いて悪魔は学校を狙っている」として、同様の信仰の戦いが続いていることを指摘。「国歌斉唱」の圧力が高まる中で卒業式・入学式を迎えようとしている今、「信仰の戦いのただ中にいるクリスチャン教師のために祈るべきです」と強調した。
日本人の精神構造「宗教は内心の問題」を検証0302230301
JECA(日本福音キリスト教会連合)第11回関東三地区ヤスクニ集会が2月11日、東京都世田谷区のキリスト教朝顔教会で開かれた。福音伝道教団大間々キリスト教会の高木寛牧師が「ヤスクニと私」と題して主題講演を行った。高木牧師は冒頭「『ヤスクニ』とカタカナで記したのは、宗教法人『靖国神社』という1つの宗教だけを問題にしているのではない。靖国神社によって支えられている天皇制、日本の文化や思想、日本人の精神構造、そして宣教の対象である日本人そのものを意味している」と述べ、自身のこれまでの歩みとともに、所属する福音伝道教団のヤスクニ問題に対するかかわりの問題点などを検証した。
高木牧師はヤスクニ問題が、福音伝道教団で宣教の課題になりえない原因を教団設立時の時代的背景と当時規定された規則の内容にあると指摘。同教団が1927年に福音傳道協會として設立された際、その規則第四条二項に「福音宣傳に於て一切の政治問題、社會問題に關與せさるを定む」とあり、この項が削除された現在も「四条二項の呪縛から真に解放されていない」と語った。続けて「当時の神学的背景と福音理解の中では四条二項を規定したことはやむを得ないことと認めつつも、それが現在の私たち福音伝道教団の各教会と牧師信徒を、反対に束縛しているとするならば、歴史がもたらしたひとつの悲劇なのかもしれません」と話した。
さらに日本人の精神構造に関して浄土真宗第八代法主蓮如が記した「社会的には王法を優先し、内心には仏法を本とせよ」のことばを紹介し、「宗教はあくまで内心の問題とする姿勢や思想が見え隠れしている」と日本人の宗教観を指摘した。
そのうえで福音伝道教団にとって、ヤスクニ問題が宣教の課題となるために、?教会と国家の関係を明確にすること?政治への参与に関して聖書から明確にすること?日本帝国主義と闘った韓国教会について学ぶこと?抵抗権の思想を身につけること?蓮如の「国家と宗教」観が今日の日本人に思想化しているのかどうか検証を行うことを挙げた。
午後からは4つの分科会が行われた。そのうち北朝鮮問題の分科会には、拉致被害者横田めぐみさんの母親、早紀江さんがJECA・中野島キリスト教会(国分広士牧師)に所属していることもあり、多くの参加者があった。分科会をリードした山守博昭牧師(同・柿生キリスト教会)は「拉致問題の解決を願いながらも、何か平和の道とは違う方向へ行こうとしていることにジレンマを感じる。拉致問題の全面的な解決と共に、和解の平和のためにも祈ることが大切」と語った。
参加者からは「拉致問題は日本の加害史と切り離せない」という声や、具体的な祈祷課題として、「脱北者と拉致問題の解決」「中国のために祈る」「在日コリアンのために祈る」「北朝鮮の為政者のために祈る」などが挙げられ、祈りがささげられた。
まとめとして集会参加者一同の名で、アメリカ福音同盟傘下の教会に向け「アメリカによるイラク攻撃に反対し、その中止のために祈り働かれるよう願う要望書」(左記に全文)と、「小泉純一郎首相の靖国神社参拝に抗議する声明」を賛同多数で採択した。
参加者からは「わからないことだらけだが、祈らなければ。世界中の問題について祈らず、自分はのうのうと生きていると思わされた」「例年になく、若い世代の参加が多かったのはニュースだ」「2・11の時だけ考えることではない。顔をこわばらせず、福音にある喜びをもって今後もかかわっていきたい」などの感想が聞かれた。
夫婦の介護事業を笑いとユーモアで−−『花咲きまっか』でWomen's Best大賞受賞した俣木聖子さ
大阪府堺市で介護支援事業を営む俣木聖子さん(58)・JEC・堺福音教会泉北チャペル・は、昨年『読売・日本テレビ Women's Beat 大賞 カネボウスペシャル21』の大賞を受賞した。これは「今を生きる女性たちのリアル・ストーリーズ」という趣旨で、ドキュメンタリー作品を募集したもの。15歳から94歳の男女が2千610編応募してきた中から、俣木さんの作品「花咲きまっか」が選ばれた。夫婦で介護事業を興した経緯と、さまざまな人間ドラマを繰り広げる現場の様子を、関西弁を駆使して愉快に真摯に描いた作品だ。他の入賞作品と共に単行本化も予定されている。 「書くことは大好き。子どものころ雑誌『りぼん』の懸賞小説で賞をもらって、ファンレターまで来たのは忘れられません。ラジオの綴り方教室で読み上げられたこともあるし。子どものときも今も、心に沸き上がるものをただただ書いてるだけなんですけどね」受賞作品もそんな思いで書いた。気負いも作為もなく一気に思いを吐き出した。一つ気に掛かったのは、ドキュメンタリー作品だから真実を書くのはいいが、デイサービスやヘルパーを利用するお年寄りのプライバシーを侵すことになってはいけないという点。「どう表現すればいいか神様道筋を教えてください」と祈りながら書いた。
「キリスト教色は出さなかったけれど、クリスチャンらが祈りながらたどってきた起業の困難や仕事の苦労、喜びが伝えられればと思いました。作品に神様の何かが働いたんだと思います。読売新聞と日本テレビの人が、受賞後初めてここがクリスチャン企業だと知り、納得したようでした」
2年半前に、5年間有料老人ホームで働いてノウハウを身につけた夫の泰三さん(60)が「信仰とビジョンだけ」で立ち上げた介護支援事業「シャローム」。資金はなく、介護の素人ばかり。ヘルパー派遣やデイサービスなど、人の数だけある介護という仕事を、2年余り赤字も出さずにやってこれたのは、「神様がいるから大丈夫」の堅い信仰があったからだ。
夫婦一緒に洗礼を受けたのは81年。離婚を考えるほど心の離れた夫婦だったが一転して二人三脚のおしどり夫婦に。「信仰を持った主人は激変しました。まったく、一夜にして変わりました。私はもともといい人やったからあんまり変わらないけど、ハハハ・」
リストラ、転職、事故、老親の介護と、次々襲ってくる試練を祈りと関西人らしいユーモアで笑い飛ばし乗り越えてきた。がけっぷちに立たされたように見えた起業の困難も振り返れば「ハレルヤと言いたい」ほどすばらしい日々だったという。
「介護の仕事は、肩に十字架が打ち込まれているような気がするほど大変。でも、これは神様がせよとおっしゃった仕事だと思うんです。利用する方のため、スタッフのために一層経営努力して、この世の事業とは違うものを見せていきたい。クリスチャンの事業は違うなと、証しできるような」
介護の現場にいると書くことは尽きないという。脚本家の内舘牧子氏に評されたように「生きる意欲がわく作品」をこれからも期待したい。
作品はドラマ化され、3月4日夜9時3分から日本テレビ系で放映される。俣木さん夫妻役に室井滋、峰竜太。そのほか草笛光子や田村高廣ら実力派俳優が出演。残念なのは極端に脚色された内容だ。実際にはいない次男が登場して一波乱起こし、聖子さんは仕事や家庭に疲れてやけ酒を飲む。原作とは程遠い。「視聴率アップのための脚色だとは思いますが、クリスチャン的発想がまったくないのは残念。ただおもしろいだけで終わりそうな気がします」と夫妻はとまどいを隠せない。内容が大幅に変えられたにもかかわらず登場人物や事業所は実名だというから、なおさら釈然としないが、番組内で実際の仕事場が紹介されるのは救いだ。今年の夏にはいのちのことば社から聖子さんの書き下ろし作品が出版される予定だ。