[CSD]2004年6月13日《ヘッドライン》

[CSD]2004年6月13日《ヘッドライン》
 = 1面 =
◎引きこもりからやし直し——歌で伝える米田浩司さん
★ホームスクールの法的整備めざし——将来に向け団体発足
★ドイツ宗教改革期の文化史浮き彫りに——国立西洋美術館で「聖杯—中世の金工美術」展
★<恵みのどんでん返し>祈ってもらうことで知る喜び 記・兼次 宏枝
★<落穂抄>「いのちに至る情報」を

 = 2 面 =
◎日本福音同盟:青年委員会を新設、新理事長に小川国光氏
★宣教協力の場、成熟へ——小川国光・JEA新理事長に聞く
★<聖書訳語の最前線>[8] 「罪を犯しません」 記・内田和彦
★<論説>佐世保児童殺傷事件——子どもたちを宣教師として 記・杉本 玲子
★<今週の本棚>『感染力の強いクリスチャンになる』ビル・ハイベルズ&マーク・ミテルバーク著(福音社、2,520円) 評・守部喜雅
★<今週の本棚>『ほんとうにたいせつなもの』マックス・ルケード編(フォレストブックス、1,260円)
★<今週の本棚>『内村鑑三』富岡 幸一郎著(日本キリスト教団出版局、2,520円)
<情報クリップ>催し情報ほか

 = 3 面 特集/これからの新聞を考える=
★「いのちの情報」こそが大切
★週刊クリスチャン新聞9月からタブロイド版カラー化へ——16頁建ラインナップ発表
★創刊時から変わらぬ編集方針——世の出来事に信仰の視点で光当てる

 = 4 面 結婚特集=
★結婚は神様の働き——柿谷カウンセリングセンター結婚紹介室
★結婚、決め手は人間性——クリスチャン結婚紹介所
★クリスチャンホームの形成願い10周年——イサクとリベカ会
★結婚紹介所で出会った老夫婦——米寿と喜寿迎えた横尾 一・嘉子さん

 = 5 面 =
★ペルー日系教会の礎築き——田口吉元夫妻が帰国
★帰国信徒の教会離れ気遣い「日本の教会もっと知りたい」——米国・ごすぺるシロアム教会員ら来日し情報交換と奉仕
★<今月の試写室>「午後の五時」「ハナのアフガンノート」 評・高梨 大
★<召天>伊澤 豊氏(大和カルバリチャペル副牧師、「ニューライフ」リーダー、50歳)
★<召天>久保江 努(東京ゴスペルミッションひばりが丘バイブルチャーチ牧師、60歳)

 = 6 面 家族のページ=
◎「キリスト者と親子関係」焦点に——牧師、医師ら多様な視点でシンポジウム0406130601
★<ちいろばの心>[10] 明日はどんな日か私は知らない 記・榎本保郎/榎本 恵
★<カウンセリングカフェ>[14]夫を責めるのではなく助ける  記・丸屋 真也
★<家族診断>[20]お父さんと子どもが遊べるように 記・碓井 真史

引きこもりからやし直し−−歌で伝える米田浩司さん0406130101

 「人に会いたくない。人に見られるのが怖い」と家に引きこもる人が日本で増えている。その数は、100万人に迫る勢いだとも言われている。米田浩司さん(32)=ぶどうの木国際教会宣教師=は、16歳の時に「引きこもり」になった体験をもつ。しかし、一人のアメリカ人を通じてイエスと出会い、引きこもりから完全に解放された。現在、米田さんはギターを抱えながら日本全国の教会、施設などを回り、自作のゴスペルソングを歌いながら当時の体験を話す。CDも「心の扉」「Testimony」と2枚リリース。「心の時代」と言われる今、その証しと歌が人から人へと伝えられ、今、静かな反響を呼んでいる。  「春の風優しく夏を運ぶ頃 野山のタンポポが綿毛を咲かす。…吹く風に身を任せて風の吹くままに 運ばれたその場所で花を咲かすだけ」  「タンポポの唄」という曲の1節だ。旅先で見た光景を、米田さんが歌にしたものだという。「新宿駅前でボーッとしていた時に、たまたまコンクリートのすき間に咲いているタンポポを目にしたんです。たぶんこのタンポポは、新宿に根をおろしたくなかったのだろうと思ったんですね。でも、その場所で小さな花を咲かせている。それにすごく励まされました」
 神様が示された場所で、精一杯花を咲かせるタンポポ。コンサートで「タンポポの唄」を聞き、「この歌に励まされ、慰められた」と言う人は多い。
 しかし、「昔はこのタンポポの姿とはかけ離れていた」と米田さんは振り返る。「なんでこんな生活を送らなければならないのか、と不満の多い生活でした。人と自分を比較しては劣等感にかられ、落ち込んでしまう。そんな繰り返しでした」
 引きこもりのきっかけは、野球の道が閉ざされたこと。小学生のころから野球に打ち込んでいた米田さんは、高校も野球をするのを目的に選んだ。しかし練習中に目にけがをし、その後頭痛や肩こり、背中の痛みに悩まされるようになった。
 とうとう、学校にも行けなくなり、野球もやめざるをえなくなった。「自分が情けなかった。そんな姿を見られるのが嫌で、人目を避けるように引きこもり生活に突入していきました」
 昼夜逆転の日々が2年続く。不規則な生活で自律神経に狂いが生じ、うつ状態にもなった。次の2年は社会復帰を目指し、大検、アルバイトなどで頑張った。だが、長続きしない。ついに切れた。「ひもみたいなものが、頭の中でプチンと音をたてて切れる感じだった」という。
 「逃げ出したい!」そう考え、英会話の修得を口実にアメリカに渡った。そこで、留学生伝道をする1人のアメリカ人と出会う。彼はイザヤ書43章4節を引用し、米田さんをこう励ました。「浩司、神さまはいる。そして一人ひとりの人生に道を備えてくださっている。その道には試練があるけれども、それさえ、その道を歩む者のベストを思って備えられたもの。だから恐れず、逃げずに生きてほしい」。その言葉に押し出され、米田さんはキリストを信じた。
 あれから10年あまり。米田さんは今、音楽宣教師として、ギター片手に全国を回る。「CDを販売させてくれるなら、どこにでも行きます。たった一人のためにでも歌います」が信条だ。
 千葉県市川市の聖望キリスト教会(大竹堅固代表)で5月22日に開かれたコンサートでは、歌を聞いた人たちから「周囲に引きこもりの子がいる。彼らに米田さんの歌を聞かせてあげたい」との声があちこちから上がった。
 最近は、引きこもりの家族や友人からの相談、個人訪問の依頼も多いという。そういう子や親に対し、「人生が終わりと思わないで。必ずやり直せます」と米田さんは伝えている。「攻撃的な子に会うと、昔の自分を見る思いがします。彼らは私にとって隣り人。自分の経験を通し、神様を伝えていきたいですね」
 ホームページhttp://www.sakaeshalom.org/hiroshi/。 

日本福音同盟:青年委員会を新設、新理事長に小川国光氏0406130201

 日本福音同盟(JEA)の第19回総会が、5月31日から6月2日まで、静岡県浜松市のホテルを会場に開かれた。00年度から2期4年にわたり理事長を務めた蔦田公義氏に代わり、小川国光氏(日本福音自由教会協議会)が新理事長に選出された。また、専門委員会の1つとして「青年委員会」の設立が提案され、承認された。
 04年度の理事改選では蔦田公義氏、清水昭三氏の任期満了退任に伴い、新たに竿代照夫氏(イムマヌエル綜合伝道団)、畑野順一氏(日本フリーメソジスト教団)が理事に選出。世界宣教委員会の委員長に竿代照夫氏が選出された。また、具志堅聖総主事の再任が承認された。
 04年度の事業計画案では、昨年8月に開催された世界宣教青年大会(すっと青山)も受けて、青年宣教の強化の重要性が訴えられ、具体案として「青年委員会」の新設が承認された。青年委員会は青年による青年のための宣教を、教会の業として支援することを目的とする。委員長には広瀬薫氏(日本同盟基督教団)が選出された。
 また、1986年のJEA再編以降のJEAの歩みを記録する記録誌を、05年度に発行することを目指した編纂プロジェクト案も承認された。
 世界宣教委員会では、海外でクリスチャンになった人々を、日本国内で受け入れる際の団体などとのネットワークを、相互協力の中で推進していく「ディアスポラ・ネットワーク企画」を検討していくことになった。
 今総会では、懸案となっていた聖書翻訳の問題についても進展が見られた。これまで聖書翻訳問題の調停役を担ってきたJEAの聖書翻訳小委員会と新改訳聖書刊行会との間で協議があり、今後双方の懇談会を再開するための合意点を出すに至り、総会中に口頭で発表された。
 総会2日目夜には、JEA協力会員の特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパンの池田満豊氏(海外事業部緊急援助人材派遣課課長)が、「世界の危機・その現状」と題して特別講演。イラク戦争における池田氏自身の人道支援の経験を交え、キリスト教主義に立脚した支援の、特にイエス・キリストの「憐れみの心」を動機とした援助の重要性などを訴えた。

「キリスト者と親子関係」焦点に−−牧師、医師ら多様な視点でシンポジウム0406130601

 家族の機能が大きく低下し、虐待、非行、家庭内暴力などの問題が山積する現代の日本。キリスト者の家族や親子にも無関係なことではない。信仰を大切にするあまり、子どもをうまく導けないという現実もある。「キリスト者として、ともに信じ、ともに歩み出す親子となるための道筋を、多様な視点から探ろう」と、埼玉県にある聖学院大学総合研究所カウンセリング研究センターが5月14日、「キリスト者と親子関係」と題してシンポジウムを開催。スクールカウンセラー、牧師、精神保健指定医などさまざまな立場のパネリストが発題した。 「どのように」  「子どもは神からの預かりもの」と語るのは佐藤誠氏(私立学校スクールカウンセラー、東京神学大学非常勤講師)。親の役割は「子どもが神から与えられた『律法』と『福音』を知りながら、成長できるようにすること。子どもは親の言うようにはならず、(親の)するようになる」という。また、「お母さんは一言多かったけど、一言足りなかったんだよ」という自殺未遂の少年のことばを引用し、「母親は一生懸命だったと思うが、善意であっても、的はずれの接し方がいかに子どもに迷惑なことであるか」と話す。「『聞く』ではなく『聴く』、『答える』ではなく『応える』。『何を』ではなく、『どのように』」と述べ、親の子への的確な対応の重要性を語った。
牧師家庭の「型」
 吉岡光人氏(日基教団・吉祥寺教会牧師)は現代のキリスト者家庭、特に牧師家庭の問題点などを指摘した。「『敬虔な信仰生活』、『熱心な教会奉仕・社会奉仕』、『模範的社会人』というクリスチャンホームの理想的な家庭像の裏側に、頑固で価値観の違いを許さない『硬直した人生観』、教会と家庭でギャップが大きい『現実逃避としての奉仕活動』、『律法主義的生活観』というほど遠いものがある。しかし、理想通りになっていないことが問題なのではなく、理想を思い描いていることが問題なのではないか」と語った。そして「理想を描くことを率先してやらなければならなかったのが、牧師の家庭だったのではないか」と続けた。「牧師の家庭に期待する信徒の目がある。とりわけ日本のプロテスタント教会の場合、世界的に珍しいといわれているが、牧師の住居が教会と隣接しているという状況により、高いモラルが期待されている。牧師は『教会の父』でなければならない。牧師の妻は『教会の母』でなければならなかったりもする。また、『教会のお嫁さん』でなければならないことも。牧師家庭はプライベートな部分まで気にしなければならず、牧師の子どもは『見られている』というプレッシャーの中で育つ。そのような牧師家庭の『型』は、日本で伝道した宣教師の家庭が一つのモデルになっているのではないか。もう一つは、近代の日本社会においてつくられた家庭像が結びついたのではないか」と語った。
 その上で、開かれた親子関係の確立のために、「親子であるとともに一番近くの『隣人』なのではないか」と述べ、親が自分もまた罪人で、破れた人間であることを子どもに見せられる関係のあり方を示した。また、「家族単位を超えた共同体としてのキリスト者の交わり」を掲げ、他の教会に子どもが出席することを認めあえる開かれた共同体をつくっていくことを提唱した。 「おそれおののく」  平山正実氏(聖学院大学総合研究所客員教授)は、精神保健指定医の立場から、現代の家族を分析。父親の「躁的防衛化」、子どもの「人格障害的防衛化」、母親の「抑うつ的防衛化」という心の病理を説明した。そのような家庭の中心にキリストを据えること、家族がお互いに「おそれおののく」気持ちをもつことが大切だと語った。   三世代の見直し  藤掛明氏(聖学院大学総合研究所専任講師)は若い世代の家族を想定して話を進め、「強くなる親の子への期待」「親としてのアイデンティティーの獲得のしにくさ」を指摘し、特にその中での父親の意識変化、それを「父親の第二母親化」と表した。  家族の問題に具体的に対応するため、「きょうだい関係を見直す」、「親の親子関係を見直す」(三世代関係)の2点を掲げた。そして、家族が幸せになるための大きな前提は、「あなたの父と母を敬え」だと述べた。