ヘッドライン
[CSD]2004年7月4日《ヘッドライン》
[CSD]2004年7月4日《ヘッドライン》= 1面 =
◎説教は「じっくり、ゆっくり、とっくりと」——放送界の重鎮・川平朝清さん「心をとらえる話し方」を講演
★「山上の説教」にあるテロ時代の平和——グレン・スタッセン氏「聖書の倫理は理想じゃない」
★<恵みのどんでん返し>難病の息子を通して知る信仰の境地 記・二川 雅光
★<落穂抄>教会が開かれている時間一考 = 2 面 =
★世界福音同盟:「日の丸・君が代」強制に警鐘——神道ナショナリズムとの関連を警戒
★「君が代」伴奏拒否裁判——東京高裁、審理せず問答無用判決へ
◎参院選「全候補者に祈りを」——クリスチャンの議員秘書ら呼びかけ
★憲法・教育基本法改正、靖国参拝など参院候補者に公開質問——香川キリスト者の会
★EU:欧州憲法に「キリスト教の伝統」盛り込まず
★「君が代」不起立処分で都に講義——日本キリスト教婦人矯風会東京部会
★<論説>「パッション」日本上映の意義——憎しみの時代、傷癒す希望を 記・油井 義昭
★<今週の本棚>『聖書は女性をどう見るか』稲垣緋紗子著(いのちのことば社、1,050円) 評・山口 昇
★<今週の本棚>『神の国はあなた方のもの』内田和彦著(いのちのことば社、1,365円)
★<今週の本棚>『仏教からクリスチャンへ』川口一彦編著(イーグレープ、525円)
<情報クリップ>催し情報ほか = 3 面 =
★宗教弾圧の次はイスラムの圧力——ロシア・タタルスタン報告 記・石川 秀和
★終末論的視点が重要——グレン・スタッセン氏への応答 記・岡山 英雄
★米国のクリスチャンがイラク戦争肯定の理由——ネオコン支持母体の論客A・モーラー学長に聞く 記・渡辺 聡 = 4 面 関西だより=
★主と共に歩み歌う——念願の賛美歌CDを制作した吉田恵子さん
★弱いってすばらしい!——クワイヤディレクターは元空手家
★大阪の夏は熱い! なにわゴスペルフェスタ——7・31なんばHatch
★みことなの「力」——あべので聖句書道展
★「星のフェスタ」——綾部ベタニヤチャーチ
★「聖書セミナー」——神戸バイブル・ハウス
★クリスチャン新聞大阪支局新事務所開所——大阪クリスチャンセンター新会館に = 5 面 =
★2度の倒産でわかった神の考え——「ステラおばさんクッキー」創業秘話
◎美術が敷居低くする——絵画教室を開いている愛知/ホサナ・キリスト教会
★賛美を知る音楽家を育成——ユーオーディア・アカデミー開校へ
★<召天>吉持 宣子氏(よしもち・のぶこ、吉持章東京キリスト教学園前理事長夫人、67歳) = 6 面 チャ・チャ・チャーチ=
★教会で初の美術展・三浦綾子さんの短歌も展示——北海道/旭川めぐみキリスト教会
★田舎の教会来ませんか。農業体験もできますよ——宮城/錦織バプテスト教会
★国立公園の一角に教会堂——長崎/佐世保キリスト教会
★<もりべぇのへぇ~>「最期の枕辺に聖書—太宰 治」 記・守部 喜雅
★<今月の買いどき>みことば入り扇子(シーアール企画、1,890円)
★<いいもんみっけ>キリストを象徴する灯火の温もり = カラー1~8 面 クリスチャンライフガイド=
★特別集会奉仕者ガイド:現代の伝道の課題——実を結ぶ伝道集会は、どのように準備
★キリスト教書店ガイド:書店だよりで教会図書係をクローズアップ
★伝道グッズガイド:伝えるグッズあれこれ
★ホームページガイド
説教は「じっくり、ゆっくり、とっくりと」−−放送界の重鎮・川平朝清さん「心をとらえる話し方」を講演0
「メッセージはみんながとっくり考えられるように、じっくり、ゆっくり話して下さい」。4月に開催された日本伝道者協力会主催の春の一日セミナーで、昭和女子大学常勤監事川平朝清さん(日本バプテスト連盟渋谷バプテスト教会員)はこう語った。川平さんは元琉球放送常務取締役、沖縄放送協会会長、NHK経営主幹などを務めた放送界の重鎮。テレビ、ラジオで活躍しているジョン・カビラ、川平慈英兄弟の父親でもある。同大学でコミュニケーション学を教えてきた川平さんが牧師、伝道者たちを前に「心をとらえる話し方」と題して講演した。信徒にとって本当に良い説教とはどんなものであるか。説教者なら誰しも興味がある内容だろう。これを川平さんは信徒の立場から、またアナウンスメント、スピーチ、コミュニケーション学の立場から解説した。
「聴視者にとって、アナウンサーが放送番組の役割に従って読む、あるいは話す言葉である」。これは1952年に川平さんがNHKアナウンサー養成所で教わったアナウンスメントの意義だ。これを説教に当てはめれば「会衆にとって牧師・伝道者はイエス・キリストのメッセージに従って読む、あるいは話す言葉である」となるという。 ?内容に普遍性がある?標準語で話す(例外あり)?聞いてわかりやすく美しい言葉?語彙や話し言葉が自然さを失わないこと。以上がアナウンスメントの条件だといわれるが、これは説教にも当てはまるという。「ベーシックというものはどの分野でも通用します。内容の普遍性を失わないためには教会用語など十分に気をつけるべきだと思います」
講演の中では、日本の話芸である講談を映像で紹介。自作の「ゴスペルイン落語」も披露しながら「日本人の言語観には『言霊の幸ふ国』といわれるように『言語に霊が宿る』というものがある。これはキリスト教にも共通点がある。言葉に神の力があることは西洋社会の特有の考えではなく日本にもあった考えで、日本の話芸にそれがよく表れれている。なぜ明治にキリスト教が入ってきた時に説教者は話芸の口調を使わなかったか。大衆に伝えるためにはそのくらい身を低くして語るべきではないか」と語った。
わかりやすい話し方に必要なこととして、「ゆっくりと話す」「じっくり間をもって」「とっくり念を入れて会衆一人ひとりの反応を見る」という「3つのクリ」を挙げ、こうすれば「信徒はがっくりすることはない」と参加者の笑いを誘った。
そして心をとらえる話し方をするために「話し手としての目的を明確にする」「視覚的要素、声の要素」「聞き手の状況把握を心がける」「聞き手の立場に身をおく」「話の組み立て方」「対話の方法」などを具体例を出して説明。結論としては、NHK元チーフアナウンサー塚越恒さんの著書『口べたがなぜ人をつかむのか』(主婦の友社)を取り上げ、「口べただから人の心をつかめないということはない。逆に口べたが親近感、信頼感を与える。そういう潜在能力を顕在能力に変えることのできる人だと書いています。これはアナウンサーとして立て板に水のごとく言葉を発してきた塚越さんの自戒を込めた言葉だと思う。私がこれまで話したスキルはあくまでもセーフティドライブのようにセーフティスピーチができるようになるためのものです。だから私は口べた賛歌です」と語った。
特に川平さんは日本の教会が都会、インテリ層中心になっている問題点を挙げ、「あまりにも知識偏重の教会のあり方から抜け出すべき。バルト、ニーバー、ボンヘッファーなどの名前を多用しすぎている。この名前はインテリには受けるかもしれないが大衆には何の意味もありません」と日本の牧師たちにメッセージを送る。「もちろん聖書を学ぶことも説教を聞く意義の一つ。しかし重要なことは信徒の慰め、励ましにつながるものであって欲しいということ。信徒が教会の一歩外に出た時に、ああ今日は良い説教を聞いた、この話をみんなに伝えたいというような話をして欲しい」と要望した。川平さんは10月から東京バプテスト神学校で説教演習を教えることになっている。
「世の中にはわからぬ言葉が多すぎる。わからぬ講義も多すぎる。わからぬ話も多すぎる」。これはある本に紹介された学生の言葉。これに川平さんは「わからぬ説教も多すぎる」を付け加え、「わからぬことを言うことは何も言わないことと同じでないか。私たちクリスチャンはこのことを十分戒めなければならない」と締めくくった。
参院選「全候補者に祈りを」−−クリスチャンの議員秘書ら呼びかけ0407040203
7月11日投票の参議院選挙にあたり、議員秘書ら国政に携わるクリスチャンが「国政のために祈って下さい!」と呼びかけている。日ごろから日本が正しく主の前に歩むことができるようにと、とりなしの祈りを進めているもので、選挙を通して主の御心がなるように、全候補者の名前を挙げて祈るよう訴えている。特定の候補者や政党を支持するものではなく、?参議院選挙で主の御心がなるように?各選挙区で主の選んだ候補者がたてられ当選するように?選挙を通して国政の闇に光があたるように、祈ることが目的。憲法改正に向けての動きについても、「改正の是非は主に委ね、この動きをも主の御手のうちにあるように祈っていきたい」。 事務局では、国政のために具体的なとりなしを祈ることを呼びかけ、国会の中から祈祷課題を発信している。事務局FAX:03・3353・1860、Eメール:seigi_wm@mbh.nifty.com ホームページはhttp://homepage3.nifty.com/sei_gi 。
美術が敷居低くする−−絵画教室を開いている愛知/ホサナ・キリスト教会0407040502
美術が様々な伝道活動に生かされている教会がある。愛知県春日井市のホサナ・キリスト教会(高島顕牧師)は、毎週水曜日から土曜日まで絵画教室を開いている。教会員も、その多くが絵画教室からつながった人たちだ。公立中学校の知的障がい学級担任・美術教師で牧師でもある高島さんは「長年、妻が絵画教室をしていくなかで、美術が教会の敷居を低くしていることに気づきました」と語る。◇
土曜日の絵画教室は、教会の庭とアトリエで9時半から。5月に訪問した時は、幼稚園児や小学生の子どもたちは水面に絵の具を落として模様を作り、紙に写し取る「マーブリング」で色をつけた紙で工作をしていた。それには十字架のデザインも。絵だけでなく、時々工作を取り入れているという。 生徒の中には障がいをもった子も。20年障がい児クラスを受け持ってきた高島さんは、子どもたちが違和感なく一緒に工作に夢中になっている姿を見て喜ぶ。中学生以上はアトリエで、あるいは教会の庭で、ひたすらキャンバスに向かっていた。指導は、芸大・美大出身の教会員がしていた。
合間には、絵や工作に夢中になっていた子どもたちが一時手を休め、チャペルで聖書の話にふれるひと時もある。「はい、始まるよ~」のかけ声で11時半からスタート。内容は賛美と教会員による手作り紙芝居。その日はルカ21章にあるレプタ銅貨2つを献げる貧しいやもめの紙芝居だった。
同教会は、美術が生活の中に自然に溶け込んでいる。自宅兼チャペルはしゃれた画廊といった趣で、訪問者の目を楽しませてくれる。子どもにわたす御言葉カード、教会学校への案内には十字架のデザインが描かれ、今年のイースターに配られたイースターエッグは繊細なタッチで色も鮮やかだ。料理のレシピもデザインを駆使している。
高島さんの妻の礼子さんが絵画教室を始めたのは20年以上も前。近所の子に絵を教え始めたのがきっかけだった。 母教会から独立し、家を開放して教会を始めたのは95年。しかし、絵画教室が伝道に用いられることに気づいたのは、教会を始めたあとだった。「毎週、子どもたちがたくさん来る。こっちは教会をしている。『あれっ、神様は同じ敷地内に子どもたちをたくさんよこしている。そうか、彼らに神様を紹介すればいいんだ』と思ったんです」
絵画教室には子どもだけでなく、親も来る。障がいをもった子どもの親の相談にものる。そうこうしているうち、神様を信じる人が起こされていった。「トラクトを配ったことも、絵画教室の案内も配ったこともありません。全部、口コミです。でも、この積み重ねが、今の形になっていったのだと思います」
高島さんは、最初は彫刻家を目指していた。「才能は私のものと思っていました。人をけ落としても有名になる世界でしたね。ただ、その矛盾、限界も感じていました。ところが、神様を信じることで、芸術の才能も神様からのプレゼントだと知った時、感謝が生まれてきたんです」。今は、一番大事と思っていた彫刻には手をつけず、学校の教師と牧師の仕事に精力を注いでいる。
高島さんは「子どもには、世の中とは違った場所が必要だ」と語る。「愛のない、刺激的なことを追い求める現代社会の中で、子どもたちは疲れ切っています。教会が世に合わせて同じようなものを子どもたちに与えることは意味がありません。彼らには本当の愛のある環境が必要なのです。それは教会でなければなしえないこと」と語った。
同教会では月に1回火曜日に、教会で作成した名画と御言葉による資料を用い「聖書と美術の学び会」も開いている。「毎回、教会員より多くのクリスチャンでない方が集い、御言葉にふれ理解を深める良い機会となっている」と高島さん。そこから信仰決心をする人が起きることを願う。 【中田 朗】