ヘッドライン
[CSD]2004年7月11日《ヘッドライン》
[CSD]2004年7月11日《ヘッドライン》= 1面 =
◎内戦の傷「祈らずにはいられない」——西アフリカ・シエラレオネで医療宣教に従事した川嶋康裕さん
★民衆に占領の謝罪伝え病院に抗がん剤届ける——木村公一牧師らイラクを訪問
★<恵みのどんでん返し>大破した教会の車、新車が与えられ 記・井上 宗樹
★<落穂抄>会衆の心に届く説教とは = 2・3 面 新地域宣教特集:東京都心編=
★聖杯の変遷に宗教改革が見える——上野・国立西洋美術館で展覧会(8月15日まで)
★町が変わる、教会も世につれ——木場移転で住民入れ替え、ビルに埋もれて会堂移転
★ホームレス伝道:総数7000人、3/1以上が礼拝出席——惜しみなく与える食事とみことば
★工場跡地や湾岸再開発で高層マンション立ち並ぶ
★毎日礼拝だから来られた——東京プロテスタント教会
★歴史は物語る——120年前、築地で4千人集めた大演説会 = 4 面 =
◎迫害の原理 初代教会から同じ——「ホーリネス弾圧記念聖会」美濃ミッション事件から学ぶ
★新連載<イラク戦争肯定の理由>[1]「戦争をしない自衛隊」評価 記・渡辺 聡
★中国:地下教会指導者が殴殺される
★中国:河北省でキリスト者を大量逮捕
★<論説>平和をつくる——悪循環を断ち切る和解の福音 記・川内 寿造
★<今週の本棚>『愛情、あと半分は土と水とガラクタ』東 喜代雄著(フォレストブックス、1,365円) 評・河 成海
★<今週の本棚>『ココロの奥が楽になる本』石原良人著(JCMN出版、1,365円)
★<今週の本棚>『ノアのはこぶね』絵・文 いもとようこ(女子パウロ会、1,333円+税)
<情報クリップ>催し情報ほか = 5 面 =
◎「吉本流」ゴスペル番組スタート——長野・FM佐久平「Gospel Radio Station」
★「生き方変える不思議な本」——全米で話題の『ヨシュア』を翻訳した山崎高司さん
★アテネ五輪で11各国聖書頒布——SOJボランティア募集
★<CDの時間>「心をいやす愛の調べ」アガペーCDシリーズ第3集(ゴスペル・ワールド、2625円)
★<召天>加藤 正義氏(単立・東京キリスト伝道館初代牧師、90歳)
★<召天>吉田 信一氏(元救世軍日本司令官、中将、日本聖書教会前理事長、94歳) = 6 面 家族のページ=
★お母さんに聴かせたい——娘が贈るがん克服の歌
★<ちいろばの心>[11] 名前にこめられた父の思い 記・榎本保郎/榎本 恵
★<カウンセリングカフェ>[15]信仰の問題にすりかわる 記・丸屋 真也
★<家族診断>[21]世界一のお父さん、お母さん 記・碓井 真史
内戦の傷「祈らずにはいられない」−−西アフリカ・シエラレオネで医療宣教に従事した川嶋康裕さん0407
10年にわたる内戦を経験した西アフリカのシエラレオネ共和国。福岡県の栄光病院に勤める川嶋康裕さん(37)=日本バプテスト連盟博多キリスト教会員=は4月15日から5月6日まで、宣教団体「Mercy Ships」(本部・米国テキサス州)の宣教船アナスタシス号に麻酔科医として乗船し、シエラレオネの人々の治療に当たった。シエラレオネは02年に内戦が終結したが「生活水準はさらに悪化している」という。川嶋さんは「アフリカに入る前、恐れと不安におののいていた。でもイエスは十字架刑から逃げることもできたがそうしなかったので、私も逃げずに自分の使命を全うしようと決意した」と語る。平均寿命42・8歳で5歳になるまでに3分の1が死亡。人口の47%が栄養失調で脳性マラリア、コレラ、赤痢は珍しくない。大人の7%はエイズに感染。識字率31・4%。失業率80%。1人あたりの平均年収1万8千円…。シエラレオネに関するデータの一部だ。「世界で一番貧乏で、一番平均寿命が短い国」と言われるゆえんでもある。
アナスタシス号は昨年11月から今年5月までの半年間、アフリカ各国を回り、外科、内科、歯科などの医療、公衆衛生指導、教育、農業指導、建築、伝道活動、物資援助などをしてきた。手術室3室、入院ベッド40床を有し、民間では世界最大の病院船だ。
この5か月間で手術を受けた患者総数は786人で総手術件数が814件に上る。川嶋さんは腰椎麻酔11例、全身麻酔19例を担当。「1日平均3例、立ちっぱなしで麻酔を行った。局所麻酔下の白内障手術中に発生した急性心不全患者を、ほとんど勘と祈りで治療を施したこともあった」という。
日曜日は地元の教会の礼拝に参加。シエラレオネの首都フリータウンの印象は「貧困とテクノロジーが混在する不思議な世界」だという。人口密度が高く、ゴミが多く、下水が恐ろしく汚いなど、「今まで見た国の中で一番貧しかった」。一方で、「携帯電話が普及しており、ブロードバンドも使えるようになってきている」ことに驚いた。
5月3日から6日まで、フリータウンから約100キロ離れた地方の町ルンサに日本人修道女を訪問。ルンサは内戦中、反乱軍の拠点となったところで、子どもの目の前で両親を殺すなど、人間とは思えない残虐行為が反乱軍によって行われた場所だ。「シスターの職業訓練校の少女の7割は強姦を受け、その多くが望まぬ出産を強いられた。一人ひとり深い傷を負っているにもかかわらず、明るく前向きに生きる姿に神の憐れみと祝福を祈らずにいられなかった」と川嶋さんは回想する。
この活動を初めて知ったのは約13年前。当時、医療を通じて神様に仕えていく働き場所を祈り求めていた。同じころ、ブラジルに行った時に中田智之宣教師が奉仕する教会の教会員からもらったローレン・カニングハム氏(ユース・ウィズ・ア・ミッション=YWAM=創設者)の『Is that realy you,God?』(邦訳『神様、私に語ってください』)を通し、病院船のことを知る。「この病院船に乗ってみたい」川嶋さんは、そう思った。
早速、船上で行われる弟子訓練学校に入り94年に終了。今務めている栄光病院は「毎年1か月、休暇をもらう」との約束で就職した。
当初からアフリカ行きを願っていたが、妻の妊娠、母の死などで断念。初回は中米のホンジュラス、2回目は東南アジアのインドネシアでの医療奉仕となった。 3度目の今回は、念願のアフリカ行き。「1、2回目は必要な経験、ステップだった。今回も私の力ではなく、不思議な力が私を通して働いているのを実感した。多くの方々の祈りに神が答え、私を助けてくださっているのをひしひしと感じた」と川嶋さんは言う。
アナスタシス号は、06年からアジアを回る予定。「病院船で奉仕した日本人医療関係者は私で2人目。クリスチャン、キリスト教に理解のある人ならば乗れるので、より多くの日本人の参加を期待します。船の運航にはあらゆる職種の人が必要なのです。私自身はアジアを回る病院船、ルンサの2か所で奉仕していきたい」と述べた。Mercy Shipsのホームページhttp://www.mercyships.org 【中田 朗】
迫害の原理 初代教会から同じ−−「ホーリネス弾圧記念聖会」美濃ミッション事件から学ぶ04071104
1942年6月26日、当時の日本基督教団第6部・9部に属していた全国のホーリネス系教会の牧師らが治安維持法違反容疑で一斉検挙され、教会が閉鎖された事件を覚え、宗教弾圧を再び繰り返さないために、とホーリネス系諸教団が毎年共催している「ホーリネス弾圧記念聖会」が6月27日、東京・新宿区のウェスレアン・ホーリネス教団淀橋教会で開かれた。第13回を迎えた今年は、ホーリネス弾圧に先立つ13年前に岐阜県大垣市で起きた美濃ミッション事件から、弾圧が問いかけるものを学ぼうと、美濃ミッション富田浜聖書教会牧師の石黒イサク氏を講演会の講師に招いた。石黒氏は「過去から学ぶ妥協と迫害のリンク」と題し、聖書に表されている初代教会の迫害と同じ原理が、美濃ミッション事件でも、ホーリネス弾圧事件でも働いたことを指摘。「そのパターンを学んで見極めておかないと、また引っかかる」と、今日の状況の危険性に警鐘を鳴らした。
初代教会時代の宗教訴訟記録として使徒行伝24章5、6節を例に挙げ、「パウロが?騒動を起こす不穏人物?公認宗教の枠をはみ出した異端者?自分たちの宗教を冒涜する者、と訴えられたパターンは、今日宗教団体をを排斥するパターンでもある。同じことを七十数年前、私たちの団体はされた。それ(排斥)をキリスト教会が後押ししたのです」と、権力の宗教に対する攻撃と、それに妥協して身を守ろうとする信仰者の側の問題を指摘。それに対して、パウロが法廷で信念を曲げなかったことに着目した。
同様に、ネパールや中国でクリスチャンが投獄されてもかえって伝道が進展している実例などを紹介。「戦時中、教会を守ろうと宮城遙拝をし、神棚をまつった日本の教会は伸びなかった。妥協すれば結局損をする。牧師には教会は守れない。聖霊が守って下さるのです」と述べた。
その上で、「日の丸・君が代」の使用に従わない人が異端者扱いされる現在の状況について「美濃ミッションの事件とぴったり重なる」と懸念。「過去を批判するだけでなく、今が大事。(日の丸・君が代問題で)三重ではまだチラシを配る自由があるが、東京では配っただけで家宅捜査される。東京で起こっていることはやがて全国に広がる」として、「やさしいうちに立っておかなければ、困難になったとき立てなくなる」と、注意を喚起した。
また、美濃ミッションの指導者たちも、天皇制の危険性を見抜けなかったことを指摘。「天皇制教育は、日本人を福音から遠ざける代用品だ」として、キリストへの忠誠が天皇への忠誠にすり替わっていく日本の構造を解説し、「軒を貸したら母屋を取られたのが弾圧。心からでなくていい、形だけ合わせてくれ、というのが悪魔の策略だ」と警告した。 ほかに、牧師家庭で幼少時に教会閉鎖を経験した印象を千代崎聖子氏(清水ホーリネス教会牧師)が立証。聖会で兄弟団・一宮教会牧師の中島一碩氏が「目を覚ましなさい」と題しローマ13章11~14節から説教した。 ●美濃ミッション事件 1929年、岐阜県大垣市の美濃ミッションの小学生らが、学校の指導に反して神社参拝を拒否したことに端を発し、市議会で「幼児に反国家思想を教える由々しき大事」と社会問題化。さらに33年、同ミッション児童らが伊勢神宮参拝の学校行事に不参加を申し出たことから批判が激化し、マスコミ、校友会、世論を挙げて排撃キャンペーンが展開された。 これに対し、キリスト教会の他教派は、当初同情的な論調もあったが次第に沈黙し、同ミッションを批判する声も出た。
「吉本流」ゴスペル番組スタート−−長野・FM佐久平「Gospel Radio Station」040
「ゴスペルってアカペラで唄ったり、中性脂肪が多めの黒人たちの音楽だと思っていませんか? 当番組では幅広くノンジャンル、ノン国籍、神の愛を伝える音楽=ゴスペルって考えます」。これは今年の4月から長野県のラジオ放送局「FM佐久平」(76・5MHz)でスタートしたゴスペル番組「Gospel Radio Station」のコンセプトだ。「教会、クリスチャン、って日本人一般から遠い存在。ほとんど知らないでしょ。本当にしんどい時とか、つらいことあっても教会に行こうなんて思わないわけですよ。だから日本人にもっと福音を身近に感じてほしいと思って始めました」。同番組のパーソナリティーの1人、DJピーチこと桃井亮さん(ホープチャペル大阪会員)は思いを語る。
同番組は毎月第4日曜日15時15分から16時までの45分、長野県の佐久、小諸、上田市、軽井沢町などで放送されている。視聴者は約7万世帯、22万人。
始まるきっかけは、もう1人のパーソナリティー、DJイカピーこと五十嵐義隆さん(キリストの教会・アイラブジーザスチャーチ伝道師)が、カナダ人宣教師ジェフさんに出会ったこと。ジェフさんは、以前からFM佐久平でゴスペル音楽を英語で紹介している。
「イケてるなと思いました。もしこれを日本語でやったら、もっとわかりやすく違った雰囲気でできると思ったんです」と五十嵐さん。 そう思っていた時に、番組プロデューサーの前島正彦さんを紹介される。五十嵐さんが前島さんに企画を持ちかけたところ、「これは面白い」ということになった。ちょうど前島さんがゴスペルに興味をもち始めていた時で、五十嵐さんはゴスペルの意味や聖書を前島さんに説明したという。とんとん拍子に話が進んでいき、昨年の暮れから準備は進められていた。
五十嵐さんと桃井さんは以前からのクリスチャン友だち。ゴスペルフリークの桃井さんは、アメリカ留学中に現地のゴスペル番組を聴き、自分もぜひ日本でやりたいというビジョンをもっていた。
同番組ではブラックゴスペルだけでなく、ロック、R&B、スカなどオールジャンルでゴスペルを紹介。海外だけでなく日本のアーティストたちの紹介にも力を入れているのが特徴だ。
曲の合間にはパーソナリティー2人の吉本流テイストの大阪弁によるやりとりの中で、ゴスペルの意味を曲とちまたの話題をリンクさせながら、歌手の体験談や曲にまつわるエピソードを紹介する。カジュアルなイメージでリスナーに自然と福音が身近に感じてもらえるトークを展開している。素人とはとても思えないお笑いトーク。プロデューサーの前島さんもかなりの入れ込み具合だという。
「例えば道ばたでいきなり知らない人に『イエス様は愛です』って言っても、駄目ですよね。ある程度予備知識がなければ意味がわからないですもん。そのためにFMラジオはきっかけになると思います。ステーシー・オリコなんて日本で65万枚売れているのに誰もクリスチャンだと知らない。そういった曲とともにエピソードを紹介することで、クリスチャンってイケてる音楽いっぱいあるやん。そう思って興味をもってほしいんです」と桃井さん。
2人は同番組を全国に流したいというビジョンをもっている。
「情報量の多い都会から発信しても雑多な情報に埋もれてしまうと思います。そういう意味で長野県から発信できる価値は高いと思います。長野県から各都道府県の多くのラジオ局でこの番組を流したいです。都会の伝道のみならず、田舎への伝道のきっかけとしてゴスペルソングやメディアがうまく活用されることを願っています」と桃井さん。「クリスチャンが自分の言いたいことだけ伝える一方通行の番組ではなく、人々のニーズに応えていく、『心の受容』ができる番組作りをしていきたい」と五十嵐さんは抱負を語る。
【連絡先】〒229-1131神奈川県相模原市西橋本3ノ2ノ36、Tel:090・9697・3204(五十嵐)。 【藤岡竜志】