[CSD]2004年10月31日《ヘッドライン》

[CSD]2004年10月31日《ヘッドライン》
 = 1面 =
★第1に考えていることは「選手を愛すること」——日本ハム・ファイターズのヒルマン監督  = 2 面 ニュース=
◎21世紀の緊急課題を討議——ローザンヌ世界宣教フォーラム
★日本のローザンヌネットワーク発足
★<教界ニュース>ルーテル学院大学大学院ほか
★<召天>角樋 平一氏(日基教団部落開放センター主事、51歳)
★ドイツ:主要プロテスタント教会が存在のさらなる明確化図る
★ナイジェリア:キリスト教とイスラム教抗争の死者が5万人以上に
★香港:キリスト教出版社が中国本土市場に意欲
★ロシア:ロシア正教会が人口減少を懸念
★イタリア:教皇の新著『記憶とアイデンティティ』を来春に発売
★<落ち穂>中国に実を結ぶ福音の季節か  = 3 面 宣教リポート=
★<宣教まっただ中>バヌアツ発[2]台風が運んだ新会堂建築 記・渋沢 憲一
★なぜエイズが宣教の課題?——ローザンヌ2004で全体的な問題浮き彫り  = 4 面 牧会=
★<人を生かす対話>[7]イエスの質問から学ぶ 記・東 正明
★<ディアコニアのこころ>[5]「宿屋の主人?」 記・フロイラン・エーリック
★<オピニオン>「ローザンヌ誓約」の遺産 再々評価 記・根田 祥一
★<恵みのどんでん返し>ピーマンで知った神様の計画 記・藤藪 庸一  = 5 面 神学・社会=
★<この国の精神風土と福音宣教>[7]宗教と習俗の区別のあいまい 記・池尻 良一
★<神学の潮流>オランダは今もキリスト教国——バルケネンデ首相語る
★<神学書評>『今、礼拝を考える』越川英弘著(キリスト新聞社、1680円)評・藤本 満  = 6・7 面 読書特集=
★<書籍紹介>『共に歩むキリスト』渡辺総一著(新教出版社、1995円)
★<書籍紹介>『天国の人』ブラザー・ユン著(マルコーシュ・パブリケーション、2100円)
★<書籍紹介>『名著を入り口に聖書に聞く』佐藤 博著(マナブックス、1260円)
★<書籍紹介>『いのちと向き合って』伊藤順造著(マナブックス、630円)
★<書籍紹介>『サーバント・リーダーシップ』ジェームス・ハンター著(PHP研究所、14700円)
★<書籍紹介>『ドラッカーさんが教えてくれた 経営のウソとホント』酒井綱一郎著(日本経済新聞社、1470円)
★<書籍紹介>『ベスト・リーダーシップ物語』フィリップ・W・ハースト著(ダイヤモンド社、1575円)  = 8・9 面 地域宣教特集東京西部・島しょう部=
★地域参画探る信徒の伝道会議——牧師会が協力体制
★地域参画探る信徒の伝道会議——村の必要に応え幼児教育
★西東京に生きる:良心の自由守る教員の戦い
★歴史は物語る:宣教師と出会い郷里伝道
★困難を支え合う伊豆諸島伝道  = 10 面 ビジネスパーソン=
◎企業戦士よ定年後戦死するな——田口 誠弘さん[上](経営・能力開発研究会代表)
★<ミッションと企業>森村市左衛門[2]無名の改心牧師から受洗 記・本井 康博  = 11 面 教会学校=
★<これで安心!成長攻略法>エズラとネヘミヤの時代 記・中台孝雄
★<CS分級>「当てっこゲーム」で仲良くなろう 記・永井 真衣子  = 12 面 情報=
★情報クリップ:催し情報ほか
★EVENT:コンサート「GOSPEL IN CHRISTMAS」
★BOOK:『小説 聖書の女性たち』木崎さと子著(日本キリスト教団出版局、1890円)  = 13 面 今週の動き=
★<今日は何の日>10月31日—11月6日
★<日めくり元気の素>名著・聖書日課から一言メッセージ  = 14 面 教会=
★野口英世の歴史を刻む礼拝堂——日本基督教団・若松栄町教会
★高齢者にやさしい教会めざして——日本福音教会・岬福音教会  = 15 面 教会生活=
★最高の音楽で神の愛伝える——「トリオワン」結成10周年記念コンサート
★日基教団「信徒交流の集い」——会員数の減少問題分かち合い、結束新たに
★<林檎の風にのせて>[7]弱いからこそおもしろい? 記・正村 八重子  = 16 面 ひと=
◎三浦 真紀さん(ゴスペルコーディネーター)——本当のゴスペル「Good News」を送りたい

21世紀の緊急課題を討議−−ローザンヌ世界宣教フォーラム0410310201

 ローザンヌ世界宣教委員会主催による「2004世界宣教フォーラム」が9月29日から10月5日まで、タイのパッタヤで開かれた。1974年にスイスのローザンヌで開いた最初の世界宣教会議において採択された「ローザンヌ誓約」は、「ホーリスティック(全的)な福音」の理解に立って世界中に福音を満たす伝道の使命とキリスト者の社会的責任の両方をバランスよく強調し、世界の福音派をはじめとするキリスト教宣教の考え方やあり方に多大な影響を与えてきた。しかし89年、フィリピンで開かれた「ローザンヌIIマニラ会議」で、世界宣教達成へのより具体的な目標設定と戦略づくりの必要を強調する人々がローザンヌ運動から分かれて「AD2000とその後運動」を旗揚げして以来、本体のローザンヌ運動は求心力を失い、ヨーロッパやアジアでの地域レベルの小規模な宣教会議が開かれるだけになっていた。
 今回のフォーラムは、「全福音を、全教会が、全世界へ」というローザンヌ運動の基調を継承しつつ、大会テーマに「新たなビジョン、新たな心、刷新された召命」を掲げ、世界130か国から千530人の教会指導者・神学者・宣教指導者らが参加し、運動の復調を伺わせた。今会議は80年に同じパッタヤでローザンヌ委員会が開いたテーマ別会議と同様の手法で、世界宣教に関連した31の緊急課題をテーマとしたグループに分かれ、それぞれ23時間に及ぶ討論や、ほかのグループとの分かち合いを重ねてレポートをまとめた。その結果は来年2月までに編集し、発表する予定。
 また、今回のフォーラムを機にローザンヌ委員会の指導層は、委員長(最高責任者)がポール・シダー氏(65)からダグ・バーザル氏(51)へ、国際総主事がデビッド・クレイドン氏(67)から山森鉄直氏(66)に交代した。山森氏は前国際飢餓対策機構総裁で、宣教の使命達成と世界の貧困や飢餓などの現実の必要に応える奉仕をホーリスティックにとらえた論文「共生的任務」で世界的に知られる実践的な宣教学者・宗教社会学者。4年間の期間限定で国際総主事の就任を受諾したもので、その間に非西欧から若い世代の次期国際総主事を立てる考えを明らかにした。
 バーザル氏は元ライフ・ミニストリーズの日本宣教師で、現在ライフ・ミニストリーズが改称した宣教団体アジアン・アクセスの総裁。期せずして日本とかかわりの深い2人がローザンヌ運動のトップに座った。
 最終日の派遣礼拝で山森氏は、ローザンヌ運動の今日的意義について、74年のローザンヌ誓約に基づき、世界の未伝の人々に福音を届けるというローザンヌ精神を受け継ぎつつ、今21世紀の教会が直面している課題を共に研究する必要と、世界宣教遂行へのネットワーク構築を強調した。山森氏はまた、世界宣教にかかわる今日の課題の中で、今回のテーマ別グループの1つにもあった「多元主義的なポストモダン時代におけるキリストのユニークさ」を追求することが最も重要な問題だとの見解を示した。そしてさらに、21世紀の状況は「ホーリスティックな奉仕」を要求するとして、HIV/エイズの危機にどう直面するかが、世界宣教にとって、教会にとって、世界にとって重大な問題であることなどを指摘した。
 「世界は希望を必要としている。希望はイエス・キリストによってのみある」として山森氏は、 「パッタヤII」とも言える今会議以降を新ローザンヌ運動と位置づけ、フォーラムの成果を各国からの参加者らが持ち帰り、地域ごとに働きを展開するよう期待を述べた。
 今回のフォーラムには20人を超える日本人および日本とかかわりをもつ宣教師らが参加。会期中に話し合い、今後ローザンヌ運動との間の連絡や相互の情報交換のため「ローザンヌ・ネットワーク・ジャパン」を発足させることを申し合わせた。連絡所は関西ミッション・リサーチ・センター(神戸市中央区中島通2ノ3ノ5、Tel:078・221・6956)に置く。報告会が11月1日午後6時半から神戸ルーテル神学校で開催。

企業戦士よ定年後戦死するな−−田口 誠弘さん[上](経営・能力開発研究会代表)0410311001

 「企業戦士よ、定年後に戦死するなかれ」。これは9月に都内で開催されたある経営セミナーの演題だ。講演者は経営コンサルタント、経営・能力開発研究会代表の田口誠弘さん(66)=ホーリネス・池の上教会員。会場は定年を迎える人、すでに定年後の人生を歩んでいる人たちであふれた。真っ昼間からこの年代の男性たちばかりが300人は集まっていた。ある種、異様な光景である。それだけセカンドライフをいかに歩むかに関心が集まっているのだ。田口さんは自身の体験をとおして、サラリーマンたちに「いかに定年後戦死しないようにどのような企業人として生きるべきか」警鐘を鳴らしている。  定年後の現実  「あなた、3度(食)も食べるんですか」「お昼12時になると、階段を降りてくる亭主を見てイライラする」「足手まとい。厄介な息子がひとり増えた」「私にも定年があるはずよ」。大半の定年を迎えたサラリーマンが経験する妻とのやりとりの現実だ。自宅にも地域社会にも居場所がない孤独。引きこもり、熟年離婚、病気などが、中高年の自殺の一因ともいわれる。「2006年問題」といわれるように、日本の高度経済成長を支えた団塊の世代670万人が一斉に定年を迎えようとしている現在、大きな社会的テーマでもある。
 田口さんは最近、現役引退した人、定年が差し迫った人たちの前で、このような不幸な老後を迎えないためにどうすればよいかを説く。それは自身の個人的体験から生まれたものだった。  13年間の苦闘  中央大学卒業後、山崎製パン(株)に就職した。営業畑を歩み工場長の次のポストまで上りつめていたが、42歳の時、社内紛争のあおりを受け左遷、降格、出世競争から外れた。
 その後、社員教育担当部署に異動。これに感謝して社員教育、マネジメントの専門家の道を目指した。主に担当したのは営業マン教育。お店の新規開拓から、その後のフォローアップまでの訓練、管理職教育など。自分で企画を立て、テキストを作成し、教育指導に当たった。中小企業診断士の資格を取得したのもそのころだ。  「何が幸いするかわかりません。勉強好きの私には、その仕事は合っていた。そして定年、独立後の人生設計にも大変役だっています」  「聖書の言っている広い道、滅びの道をまっしぐらに歩んでいたんです」。88年、バブル経済の財テクブームに踊らされ、不動産投資に走る。1億円の借金をして都内のワンルームマンションを購入した。いわゆる「金付物件」だった。
 91年、バブルは崩壊。1億の物件が千500万円まで値下がりした。一種の倒産状態。負債処理に13年間の歳月を費やした。すべて妻には内緒でしていたため、事実を知った妻とは冷戦状態が続いた。常に離婚と隣り合わせの生活だった。  ある日、ふてくされて寝ているところを妻に足でけられ、肋骨を骨折したことも。気の遠くなるような債権者との折衝。奇跡的に自宅は残り、家族崩壊は免れることになるが、その苦闘の中で田口さんは教会に通い始める。「人は、たとい全世界を手に入れても、まことのいのちを損じたら、何の得がありましょう」(マタイ16・26)。このみ言葉が心に迫ってきた。94年、55歳で洗礼を受けた。

三浦 真紀さん(ゴスペルコーディネーター)−−本当のゴスペル「Good News」を送りたい0410

 日本中に巻き起こったゴスペルブーム。あちこちでゴスペル教室やコンサートが開かれ愛好者も増えているが、いまだに「Good News」(福音)というゴスペル本来の意味を知らないまま歌い続けるシンガーが多い。そんな中で三浦真紀さん(単立・ホープチャーチ教会員)は、ゴスペルコンサートの企画、制作やフリーペーパー「GOSPEL TREE」を発行する総合ゴスペルコーディネート業「P&O」(ピーアンドオー)の代表として、多くの人に本物のゴスペルを届けようと活動を続けている。
 「ゴスペルコーディネーター」を名乗る人は、おそらく日本でただ1人だろう。転職したときに当てはまる職業名がなく、「祈りの中で導かれた」肩書きだ。「この仕事につくまでに、ライターやアマチュアバンドの発掘、派遣業など、アルバイトも含めると200種類もの職種を経験してきましたが、すべての経験が今の仕事で生かされています」と振り返る。
 結婚式場の聖歌隊をしていたころ、クリスチャンに。その後「リバイバル新聞」の記者をしていて、取材先でブラックゴスペルと出合った。「いつかはゴスペルコンサートを企画したい」という思いが芽生えたが、それは時を待たずして思わぬ形でかなえられることになる。
 中国音楽の営業をしていたころのこと。ゴスペルの営業を探している会社から事務所に間違いファクスが送られてきた。それをきっかけに副業でゴスペルコンサートの営業を始めたが、予想以上の反響に独立を決意。当初ゴスペルシンガーに知り合いは1人もおらず、舞台監督や照明にも心当たりがない中でコンサートの依頼が次々と入ってきた。「普通では無謀と言われるような状況の中での独立でしたが、必要なスタッフは常に不思議な方法で備えられてきました」。今年の7月で3年目を迎えた。
 現在はコンサートのプロデュースのほかに、季刊「GOSPEL TREE」の編集長も務める。あらゆる人たちにゴスペルについての理解を深めてもらおうと今年8月に創刊した。5月に発行した創刊準備号では、映画「パッション」を特集。映画のヒットに伴い、当初配布予定の2万部が発行2週間で配布終了、すぐに5万部を増刷、計7万部を発行した。当初は大量の「GOSPEL TREE」をカバンいっぱいに抱えて歩き回った。映画館やレコード店、書店、さらに大手の百貨店までもが「置いてもいい」とその場で許可を出してくれた。いのちのことば社の通販部門「ウイングスサービス」を通して、全国のクリスチャンブックセンターでも配布している。「GOSPEL TREE」は、それ自体が福音を語るわけではないが、「ゴスペル」がテーマのフリーペーパーという形態で、誰にでも気軽に手にとってもらえる。だからこそ、制作の過程では同紙が一般的な「ゴスペル」のイメージの範囲を極端に超えた内容にならないように気をつけている。企画、営業、編集などほとんどすべての制作過程に携わっているが、自分はただの管理人にすぎないという。「必要な企画、記事、広告、スタッフはいつも神さまが与えてくださる」のだ。三浦さんがかかわる日米交流150周年記念イベントのひとつ、ゴスペルコンサート「ゴスペル・イン・クリスマス」(12面に関連記事)でも、クリスチャンが会長を務めるスポーツ用品店、(株)ムラサキスポーツの衣装協力が決定した。
 「これまで創刊準備号、創刊号と発行してきて、確かに神の御手がありました。現在はクリスマス特集号を制作中。1人でも多くの人が本当のクリスマスを迎えることができるように祈りつつ進めています」  「GOSPEL TREE」と「ゴスペル・イン・クリスマス」では、スポンサーも募集している。連絡先は〒100-6262東京都千代田区丸の内1ノ11ノ1パシフィックセンチュリープレイス丸の内 MBE-318 P&O三浦、Tel:03・4335・5235、Eメール=gospeltree@cock.livedoor.com 【藤野多恵】