ヘッドライン
[CSD]2005年3月6日《ヘッドライン》
[CSD]2005年3月6日《ヘッドライン》= 1面 =
★心込めたステージ大切にしたい——ミュージカル女優・泉水美保さん = 2 面 ニュース=
◎「ピースリボン」裁判1年——「日の丸・君が代」強制で精神抑圧が浮き彫りに
★<教界ニュース>日本宗教連盟ほか
★バチカン:教皇、マスメディア関係者に向け使徒的書簡を発表
★米国:ウォルマート社が「家族」の定義に同性間カップル含める
★ドイツ:教会が民族主義と反ユダヤ主義を非難
★<落ち穂>受難節と映画「パッション」 = 3 面 宣教リポート=
★<宣教まっただ中>ミャンマー発[2]今も健在 ジャドソン訳聖書 記・本紙特約レポーター
★LA日本人宣教フロンティア?:帰国者整える集会——決意新たに神に従う 記・中薹孝樹 = 4 面 牧会=
★<今、家族を考える>[1]「心の事実」を受け止めることから 記・堀 肇
★<牧会ジャーナル>[3]きょうだい関係を読む 記・藤掛 明
★<オピニオン>働きの是非「結果」で判断することなかれ 記・波多 康
★<恵みのどんでん返し>母への怒りを悔い改めて 記・松原 智 = 5 面 神学・社会=
★<ローザンヌ運動30歳>変わりゆく教会のあり方[下]——教会を評価するための分類の枠組み 記・福田 充男
★米国:大統領選挙でキリスト教各派対極化
★<今月の神学書評>『み国のわかちあい』グスタボ・グティエレス著(日本キリスト教団出版局、2940円)評・橋本 昭夫 = 6 面 関西だより=
★関西 キリストにあって一つ——大阪ケズィック40周年新たな出発期す
★2・11:日の丸・君が代強制「心への攻撃」——現役高校教師が発題
★<震災から10年>[4]たがいに愛し合いなさい 記・榮 義之
★近放伝が第1回ワーシップセミナー開催 = 7 面 全面広告=
☆第43回東京イースターの集い
3月27日午後3:00—5:00 会場・淀橋教会 = 8 面 教会教育特集=
★生徒の出席「増加」37%、教勢回復への兆しか——教会学校に関するアンケート? = 9 面 教会学校=
★<教会学校教師のひろば>奏楽も子どもたちで軽やかに——東京シティチャーチ:キッズチャーチ
★<CS分級>カラフルしおり——新学期のプレゼントにも 記・石橋 えり子 = 10 面 全面広告=
☆アメリカユニオン神学大学・教会成長大学院日本校 4月開校
願書締切:3月31日(木)、Tel.06-6754-3727 = 11 面 ビジネスパーソン=
★神が準備されていた技術経営への道——唐津 治夢さん[上](SRIインターナショナル日本支社代表)
★<ミッションと起業>大原孫三郎(倉敷紡績[株]、[株]クラレ創業者)[上]天の執事として生きる 記・東方 敬信 = 12 面 情報=
★<情報クリップ>催し情報ほか
★BOOK:『NOPという生き方』島田 恒著(PHP新書、756円)
★CD:「ことりがしらを」北田康広(ユニバーサルミュージック、3000円) = 13 面 今週の動き=
★<今日は何の日>3月6日—12日
★<日めくり元気の素>名著・聖書日課から一言メッセージ = 14 面 教会=
◎<ちゃちゃチャーチ>世界中から「旅人」が集う——居留地からの歴史刻む横浜ユニオンチャーチ = 15 面 教会生活=
◎韓国・釜山に日本人教会——歴史踏まえ草の根で始動
★<林檎の風にのせて>[21]せまい目で銀世界を眺めてみると… 記・正村 八重子 = 16 面 ひと=
★北田康弘さん(盲目のバリトン歌手)——神によってマイナスもプラスに
「ピースリボン」裁判1年−−「日の丸・君が代」強制で精神抑圧が浮き彫りに0503060201
東京・国立市の小学校でクリスチャンの音楽専科教諭が、卒業式に「日の丸・君が代」を強制されることはないことを生徒たちに示そうとリボンを着けて出席したのは「精神的」な職務専念義務違反だとして文書戒告処分を受けた。これに対して教諭が東京都と国立市を相手取り、処分の間違いを認めてほしいと提訴した「ピースリボン」裁判(*)から1周年の集会が2月13日、国立市内で開かれた。支援の生徒・保護者・市民・教会関係者ら約170人が出席し、「心でできないと思うことを体はしなくていいんだよ!」と呼びかけた。原告の佐藤美和子さんは提訴後に異動命令を受け、ストレスで胃から出血し休職。今年1月に復帰したものの音楽担当からはずされ、親の介護の事情などからブラスバンドの指導を断ったことなどで保護者からバッシングを受けているという。集会ではそうした経緯を報告し、「(胃から出血して)体が心に教えてくれた。今、学校で行われているすさまじい日の丸・君が代の強制は、まさに心と体を切り離すもの、殺されると思いました。日の丸・君が代強制のつらさを大勢の人が経験していると思う」とあいさつ。「裁判をしてよかった。おかしいと言える場があることが私にとっては救いでした。この1年で、キリスト教界では教会を挙げて支援を決めるなど、この問題に今までかかわらなかった方々や東京都が真剣に考えざるを得ない状況ができてきたのではないか」として、「精神が堪えられないほどの屈辱を受けた時にノーと言い続ける」決意を表した。
今後の弁論では「君が代」が弾けない信仰上の理由についても、さらに主張していく予定。弁護団長の中川明氏は「この裁判ではリボン着用の憲法的、教育法学的な意味だけではなく、君が代伴奏をめぐって佐藤さんと学校の間であったことを拾い上げてきた。子どもと向き合う教師は何をしなければいけないのか、何をしてはいけないのかを、ていねいに展開していきたい」と述べた。
「日の丸・君が代」強制による精神の抑圧と教育の荒廃についての著書などがある精神医学者の野田正彰氏(関西学院大学教授)が記念講演。学校現場で「日の丸・君が代」の強制が激化してきた97年ごろから、教師の休職・退職が急増した実情を説明し、「教育を、国家のためになる人間を作る粘土細工のように考えているのではないか。子どもを育てることは、日々成長していくいのちのすばらしさに感動し、喜びを得ることであることを忘れているのではないか」と批判した。
【根田祥一】 「ピースリボン」裁判
東京・国立市の小学校で00年3月の卒業式当日、校長が生徒や教職員の意見を無視して校舎屋上に「日の丸」掲揚を強行した。「君が代」も歌わせられるのではないかと動揺する子どもたちに、過去の戦争の反省から生まれた憲法のもとで強制はあり得ないことを示そうと、この学校の音楽専科教師だった佐藤美和子さんは胸に小さな無地のリボンを着けて式に出席した。リボンは「日の丸・君が代」強制に反対する意思表示として市民有志が呼びかけていた「ピースリボン」の形状に似たものだった。これが「公務遂行上、全精神を職務に集中していなかった」として職務専念義務違反に問われ、佐藤さんは文書訓告処分を受けた。
その後、校長は佐藤さんに、卒業式・入学式で「君が代」のピアノ伴奏をするよう迫り、佐藤さんは戦前天皇を神として賛美するために歌われた「君が代」を弾くことはキリスト者としてできないと拒否している。 こうした経緯の中で、個人の思想・良心・表現の自由を侵す処分は間違いであることを認めてほしいと04年2月、佐藤さんは東京都と国立市を相手取り、損害賠償請求の形で東京地裁に提訴した。 それに対し都教委は同年3月、親の介護など本人の事情による要望を無視して、遠隔地で課外活動の担当も求める学校への移動を命令。佐藤さんはストレスから胃動脈出血を起こし緊急入院、4 月から病気療養のための休暇で職務を離れる事態となった。今年1月に職場復帰したが、学校側は音楽を担当させず、現在算数の補助をしている。
<ちゃちゃチャーチ>世界中から「旅人」が集う−−居留地からの歴史刻む横浜ユニオンチャーチ050306
かつての外国人居留地の面影を今も残す横浜市中区山手町。そんな場所にあるのが横浜ユニオンチャーチ(斉藤顕牧師、リンダ・シュミット牧師)だ。数年前の新会堂完成時につくられた資料によると、同教会は1863年、禁教政策下にありながら官憲の及ばない米国領事館の1室で、領事館員らが集まったことに始まるとされ、英語礼拝を行うプロテスタント教会としては日本で最も古い。また同じところで6人の子どもたちが集まって開かれたのが、日本で最初の教会学校だという。そうした古い歴史をもつ同教会だが、現在は国際色豊かな「英語を媒体として福音を伝える教会」だ。教会に集う約7割が英語を母国語とする人で、出身国はアメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、南アフリカ、シンガポールなどさまざまだ。最近は国際結婚をした夫婦も増えている。また企業の駐在員も多く、ほとんどは企業で中堅層の比較的若い年代が多い。幼い子どもたちが集まる教会学校も盛んだ。
初代教会を思いつつ
インターナショナル教会では、日本語部、英語部に分かれ、それぞれ別に礼拝をしているところが多い。ところが同教会では、同時通訳ではないが、1回の礼拝のなかで両方が話される。英語をメインにして、聖書朗読やメッセージの要約など、主要部分は日本語でも語られる。こうしたスタイルは、家族そろって、また国籍を超えてすべての人がいっしょに礼拝をとの願いの表れとして続けられている。しかし、両方の言葉でメッセージを聞くことができ、勉強になるという声がある一方で、バイリンガルではない人からは「理解できない言葉は耳障りだ」と不平が出る。また、同教会は改革派に属する牧師のもとに運営されてきた時期もあるが、現在は超教派。そのため集う人それぞれの異なるルーツに起因する問題によって、お互いの歩み寄りが必要になることもある。そうしたとき、斉藤牧師はいつも使徒の働き2~3章に記された初代教会の姿を思う。「使徒たちが指導した初代教会には、問題があり不平があった。そうした意味で私たちの教会は、それに似た姿と言えるかもしれません。初代教会と同じ苦闘を体験できる、それは大きな特権ではないかと思うのです」
念願の新会堂完成
横浜ユニオンチャーチに、2003年11月、念願の新会堂が完成した=写真上。会堂建築は戦後間もないころから続く願いだった。それがなかなか実現に至らなかったのには、次のような事情がある。教会のメンバーには先述のようにビジネスで駐在する人も多く、たいてい3、4年で帰国してしまう。数年サイクルで教会に集う人も入れかわっていく。会堂建築委員会を組織しても同じ人が委員を続けることが難しく、建築に向けて具体的な動きへと進展しないことが多いからだ。
旅人の教会
こうした難しさが背景にある同教会が目指すのは、「旅人の教会」だという。異国の地に来て言葉も分からない。なぜこんなところに来たのかと思いながらもようやく慣れ、教会に行くようになったら、もう帰国の時期という人は多い。彼らが悩むのは、自らが旅人だということを受け入れることができないからではないか。斉藤牧師は言う。「ところが、私たちクリスチャンはみな旅人なのですよね。もちろん日本に住む日本人のクリスチャンもです。そのことを彼らに示すことが、教会の大切な使命だと思っています」。帰国していく彼らが、旅人としての信仰を培い、それが帰国後も糧になればと願っている。 かつて同教会ですごした人や歴代の牧師たちは、帰国後も横浜ユニオンチャーチのために祈り支えている。「私たちは、毎週決まった時間にこの場所に集まっています。しかし実際の教会はもっと大きく、距離も時間も超越した広がりをもつ、キリストの証し人の群れではないでしょうか」と斉藤牧師は結んだ。
横浜ユニオンチャーチ
神奈川県横浜市中区山手町66ノ2
ホームページ http://www.ne.jp/asahi/yuc/church/
Eメール yuc@church.email.ne.jp
韓国・釜山に日本人教会−−歴史踏まえ草の根で始動0503061501
首都ソウルに次ぐ韓国第2の都市釜山。地理的に、日本から最も近い外国の都市である釜山には、日本総領事館や日本人学校があり、古くから定期航路が開かれ、日本ともなじみが深い。近接する馬山、蔚山も合わせると2千人以上の日本人が住む。このほど同市では、「日韓を中心としたキリスト者の協力により、釜山とその周辺に在住する日本人に福音を伝える」ため「キリスト者の国際的連帯」を目指し、大韓イエス教長老会召命教会内に釜山日本人教会(金應守牧師)が設立された。礼拝はすでに昨年12月から始まっているが、2月11日に開設式が行われ、日本から支援者16人が出席した。釜山日本人教会の金牧師は、戦前・戦中における両国関係の歴史をふまえ、和解と協働を目指して、両国のキリスト者の交流をさまざまな場面で提供してきた。とりわけ在釜山の日本人への伝道のために祈り、日本人教会設立のための準備を進めてきた。いわゆる出獄聖徒(戦時中、日本政府が強制した神社参拝に抵抗したため獄中生活を送り、日本の敗戦と同時に解放されたキリスト者)の趙壽玉さんを日本の牧師が日本に招いて証言をした際、金牧師は積極的に協力。そのかかわりを通して知り合った日本の支援者が、金牧師の日本人伝道思いに共鳴。その協力を得て、今回の開設に至った。
当初はビルの1室を考えていたが、同市の召命教会が教会の1室を提供、そこを礼拝場として使えるようになった。同教会では、あまりかかわりのなかった日本のために「ジャパン・ミッション」がつくられ、これを機に場所の提供のみならず具体的支援と交流が続けられることになった。
召命教会の属する大韓イエス教長老会と日本キリスト改革派教会との間にはかねてから宣教協力があった。その不可欠な前提として改革派が、先の戦争で日本のキリスト教会の犯した罪について共同の責任を負うとして、1990年に「宣教協力に際しての罪責告白と謝罪」を出した経緯がある。
教会の使命
今回の開設式では、その改革派の罪責告白と日本基督教会の罪責任告白のハングル訳が配られた。釜山日本人教会日本事務局代表の石川和宏さん(改革派・横浜教会員)があいさつに立ち、謝罪とともに在釜山日本人伝道のため協力を要請した。野寺博文牧師(同盟基督・赤羽教会)がルカの福音書5章23~32節から「罪人を招いて」と題して説教。主イエスがこの世に来られた目的「罪人を招いて、悔い改めさせる」ことが教会の本質的な使命であり、「主イエスから託されたこの使命を果たすため、教会は語り続けていかなければならない」と話した。 開設式の後、召命教会の長老の1人はあいさつと説教を受け、「たとえ被害者が忘れてほしいと言ったとしても、加害者は決して忘れるべきではない。反省を続け、そこから具体的な実を結んでいくべきではないか」とし、また一方で「父親が日本軍によって殺され、3人の弟を育てるためにたいへんな苦労をしました」という女性からは「これからは共に働いていきましょう」との励ましもあった。
草の根レベルから
日本での支援者、賛同者の所属教派はさまざまだが、同教会の特徴の1つは超教派ということ。改革派と大韓イエス教長老会の協力による設立も模索されたが、教派を超えた信徒、草の根レベルでのスタートとなった。
資料として書かれたものを通してではなく「両国のクリスチャンが実際に会い、そこから影響を受けるのはとても意味のあることではないでしょうか。言語や国境という制約は人間のつくったものであり、それを取り除く努力をしながら、同じ信仰をもつ兄弟姉妹としていっしょに働くことができればと思います」と石川さん。5月には召命教会の男子部会のメンバーが来日する予定だ。今後こうした互いの往来が盛んになり、その輪が日本の教会にもっと広がっていけばと、石川さんは願う。
同教会では、以下のような祈りと支援を求めている。?釜山での伝道の働きが、主の祝福を得て実を結ぶことができるように?在韓・在釜山日本人の紹介?1人でも多くの日本人が釜山を訪れ、ボランティアとして伝道に協力してほしい?献金による支援?キリスト教図書などの献品。 現在、まだ日本人の会員はいない。しかし「第1号の日本人会員としてどんな人を神様は送られるか」釜山日本人教会は大いに期待している。
問い合わせ=釜山日本人教会日本事務所(代表石川和宏)横浜市金沢区富岡西3ノ14ノ21
Tel:045・775・0104
Eメール=pusan_jchurch@yahoo.co.jp
在韓日本人伝道を支援する会 郵便振替口座 00800・8・148533