ヘッドライン
[CSD]2005年3月20日《ヘッドライン》
[CSD]2005年3月20日《ヘッドライン》= 1面 =
★キリシタン大名、高山右近の生涯を熱演——台湾ワーシップ&プレイズ教会の劇団 = 2 面 ニュース=
★伝統に新風吹き込む——44年目の日本ケズィックコンベンション
★<教界ニュース>ティーンチャレンジほか
★<教界人事>日本伝道隊塩屋キリスト教会に中島信光氏が就任
★米国:連邦最高裁が「十戒」掲示の是非を審理へ
★中国:「宗教事務条例」が発効「合法的」宗教活動・団体を保護、政府による管理・監視強化へ
★<落ち穂>アムネスティー・インターナショナル創設者のピーター・ベネンソン氏逝去 = 3 面 宣教リポート=
★<宣教まっただ中>ミャンマー発[4]進む多民族理解と伝道 記・本紙特約リポーター
★ケニアの子どもの姿から見つけたもの——幼稚園宣教師の市橋さらさん = 4 面 牧会=
★<今、家族を考える>[3]弱い者が配慮される均衡を 記・堀 肇
★<牧会ジャーナルさわりよみ>「名前と顔」スピリチュアル・ジャーニーその後(No.25より)
★<オピニオン>「オウム事件」から10年の投げかけ 記・根田 祥一
★<恵みのどんでん返し>病気、子の死、信徒の減少から 記・阿見 勝洋 = 5 面 神学・社会=
◎威圧的伝道と相対主義的伝道の狭間で——ローザンヌ2004フォーラムより
★<今週の神学書評>『ニーバーとその時代』チャールズ・C・ブラウン著(聖学院大学出版会、6300円)評・多井 一夫 = 6 面 関西だより=
◎日野原さん1200人にイエスの愛を語る——大阪レディーズランチョン
★<震災から10年>[5]彼らは犠牲を払って来た 記・小平照夫
★関西聖書学院(KBI)——奈良:生駒に移転決定
★20周年記念式典、神戸の牧田氏講演——東海聖書神学塾
★本紙大阪支局セミナー——第1回は創造論、今後毎火曜開催 = 7 面 特集:ここが危ない異端・カルト=
◎ものみの塔 児童性虐待多発の背景
★浅薄な日本の宗教観えぐり出す——映画「カナリア」(シネカノン配給) = 8・9 面 宿泊特集=
★あの夏の修養会のデートの体験がなかったら
★家族で旅行を楽しむために = 10 面 ビジネスパーソン=
★最後の決断は神への祈りで——唐津 治夢さん[下](SRIインターナショナル日本代表)
★<うつは心の風邪>[8]うつの人との接し方—教会篇— 記・吉田 博 = 11 面 教会学校=
★<教会学校教師のひろば>子どもの発送おもしろい!——日本イエス・放出教会:J-kids
★<CS分級>かんたん・ポップアップ2 記・石橋 えり子 = 12 面 情報=
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★SHOP:CAFEきょうぶんかん(銀座:教文館6F)
★MOVIE:「石井のおとうさんありがとう」ロードショー開始(現代ぷろだくしょん) = 13 面 今週の動き=
★<今日は何の日>3月20日—26日
★<日めくり元気の素>名著・聖書日課から一言メッセージ = 14 面 教会=
★<ちゃちゃチャーチ>みんなの力を結集して実現!教会フリーマーケット——日バプ連盟・相浦光キリスト教会
★<ちゃちゃチャーチ>萩焼の十字架が礼拝堂正面に——日基教団・萩教会 = 15 面 教会生活=
★知的障がい者スポーツの祭典——長野:スペシャルオリンピックス冬季大会開催
★<林檎の風にのせて>[最終回]冬枯れがあるから 記・正村 八重子
★焼けた教会新しく建つ——神奈川:金沢フィラデルフィヤ教会 = 16 面 ひと=
★雨宮 剛さん(青山学院大学名誉教授)——クルド人難民と生き、ブックレット出版
威圧的伝道と相対主義的伝道の狭間で−−ローザンヌ2004フォーラムより0503200501
ローザンヌ2004フォーラムでなされた神学的作業は、画期的なものであった。神学者個人の学問的作業が一方的に発表され、限られた質疑応答で終了するものとは違って、世界の各地から多様な背景をもって集まった者が、共通の課題に対話とインターアクションによって取り組む神学的共同作業である。福音派の信仰的立場を共有するという基本的一致のもとで、教団や教派、歴史や文化の背景を異にするゆえの多様性が、議論をいっそう豊かにするという、可能性に富むこうしたアプローチは、今後の神学のあり方に一石を投じたともいえよう。「ポストモダンにおけるキリストの独自性」をテーマとするグループでは、現代の伝道のあり方を、その根本から問い直すという課題に取り組んだ。ポストモダンに生きる現代人に、「わたしたちを救いうる名は、これを別にしては、天下のだれにも与えられていない」、このイエス・キリストの福音をどうとらえ、どう伝えるのかということである。
ポストモダンは、フランスの哲学者レオタールが述べているように、近代化を支えてきた啓蒙という名の「メタ物語」への不信感が、その特徴としてあげられる。普遍的真理の存在を信じて追求してきた近代的作業そのものが、その根底から崩されてしまった。今まで確信をもってある真理を主張してきたとしても、その主張の基本的前提が崩壊したとする認識のゆえに、その主張への信頼性が揺らいでいるのである。もっと言えば、「これが絶対的真理である」と主張する自信に満ちた姿勢自体が、受け入れられない時代なのである。しかも、今や文明の衝突という世界的現実において、いかにキリストの独自性を保持しつつ伝道するかは、出口のない深刻な課題にも見える。
実際の伝道では、確信をもって福音の真理を伝えれば伝えるほど、人々の心は、遠ざかってしまう。こうした「一方的」あるいは「威圧的」伝道への嫌悪感によって、教会が伝道そのものから身を引いてしまうとしたら、問題はいっそう深刻である。現代社会にみられる相対主義的価値観と個人主義的傾向の中にあっては、信仰は私的領域、あるいはそれぞれの「主観」の領域に配置され、そこに踏み込むことは、いわばエチケット違反として不信感を抱かれかねない。「あなたが、信じたいことを信じること、それは結構なことでしょう。私は、自分が信じたいことを信じれば、それでいいのです。だから、それ以上は私の世界に立ち入らないでほしい」というメッセージを表情や態度で感じることも少なくない。
さて、こうした状況で、現代の教会は、かつてのような「確信に満ちた伝道」に戻るべきなのだろうか、それとも、人々への不信感を助長する今までの伝道をあきらめ、相対主義的前提をまずは受け入れて、そこからスタートするべきなのだろうか。こうした課題に取り組むために、40人近くのメンバーが6~7人の小グループに分かれて、自由に語り合った。その中から関連するさまざまな問題や視点を出し合い、それらを5つのカテゴリーに分け、それに沿って小グループを再編成して、ディスカッションを続けた。
一つの課題は、「キリストの独自性」の聖書的、神学的基盤は何か、というものであった。そこでは、われわれがどのように考えるかということ以前に、この課題に対して聖書がどのように伝えているかに焦点があてられる。別のグループは、ポストモダンという時代そのものを検証し、近代化が終焉し新たな時代へ突入したことによるさまざまな問題とともに、新たな開かれた可能性を探った。さらには、他宗教との関わり方やその神学的立場を模索するグループ、価値観が多様化し、相対主義的な傾向にある時代にあって、福音の真理を組織神学的にいかに弁証するかという課題に取り組むグループ、さらにはポストモダンの文化に生きる現代人にいかにコミュニケートするかについて具体的に議論するグループもあった。これらの議論は文章化され、ひとつの提言としてまとめられていった。 (西岡義行=東京聖書学院教授、東京ミッション研究所総主事)
日野原さん1200人にイエスの愛を語る−−大阪レディーズランチョン0503200601
第72回大阪レディーズランチョンが、3月3日、リーガロイヤルホテルで開かれた。今回は94歳の現役医師で文化功労者、ミリオンセラー『生き方上手』の著者でもある聖路加国際病院理事長・名誉院長の日野原重明さんが、「私をささえるイエスの愛」と題して講演した。音楽ゲストは歌手の安田美穂子さん。日野原さんは千213人もの参加者の目に届くようにと、ステージを終始はつらつと往来しながら講演し、参加者らはユーモアたっぷりの話しぶりを楽しみながらも94歳の若さに驚嘆していた。
「愛を感じる人になろう。そのためには、愛を失った人の友になろう。誰も孤独であってはならない。愛は人の心に希望を与える。愛は与えることによって受けられるもの」と、日野原さんは、キリストがそうだったように、人に愛を与えるために与えられた命を使おうと強調した。
参加者の約半数はクリスチャンでない人。「目標をもって生きなければ」「達成感をもてる生き方をしたい」など、生きる指針を与えられたという感想が寄せられた。
同ランチョンが1日だけの開催で参加者千200人を超えたのは32年ぶりのこと。応募者多数のため締め切りを1か月も早めたほどだ。祈祷委員会の熱心な祈りとスタッフのチームワークで、終始スムーズに進行できたと、同ランチョン委員長の古林寿真子牧師。さらに今回のランチョンを通して、新たなビジョンを与えられたと話す。
「日野原先生の動員力はすばらしい。クリスチャンの影響力の大きさを見ました。マス伝道が衰退していると言われるが、現代のニーズに合致すれば、人々を引き付けるのは可能。ランチョンは教会ができないことを実現し、教会に励ましを与えるという役割ももっています。スタッフの祈りと熱意があり、ホテル側の協力体勢も万全。いつか2千人規模の集会を実現させようと話しています」
ものみの塔 児童性虐待多発の背景0503200701
「あなたのお子さんは、肉体的、あるいは性的な虐待を受けていませんか。もし、虐待を受けておられるのであれば、すぐに警察に通報してください。専門家の介入によってお子さんの精神的、肉体的な健康を守ることができます。……あなたのお子さんを守る権利を尊重して、児童虐待に関する独自の調査をしないように、長老に訴えてください。あなたのお子さんのことを心から心配する人々に助けを求めてください」
サイレント・ラムズは、子羊のぬいぐるみと共にこんな文書を各地のエホバの証人の王国会館(集会所)に送っている。もちろんエホバの証人が素直に受け止めるわけではないが、この運動によりメディアを通して実態を広く知らせ、ものみの塔の指導層「統治体」に間違った方針の改善を迫っている。ぬいぐるみは組織の方針によって沈黙させられた子どもたちの象徴。組織の方針では性的虐待の訴えがあった場合、会衆の長老が取り調べることになっており、そのことが深刻な児童虐待をまん延させる結果を招いているという。
ボーエン氏自身エホバの証人2世で、幼少から伝道に従事し、後に長老となった。組織のために忠実に活動していたが、児童性虐待の実態に対する組織の対応に疑問をもち、2000年12月に主宰監督を辞任。組織の改善のために努力したが何のかいもなく、メディアを通して訴えることを決断した。そのため組織から排斥され、仕事も失ったが、虐待されている子どもたちのために生涯をささげ活動している。
いったいなぜ児童虐待が組織の中で温存されてきたのか? 事例からこの組織の体質が持つ構造的な問題が見えてくる。
ボーエン氏はこれまでに組織で性的虐待を受けたという6千人以上の人から相談を受けてきた。01年7月、「今36歳ですが100歳のように感じています。兄弟たちから受けた仕打ちによって心も体もボロボロです」という女性からのEメールを受け取った。この女性は4歳の時、エホバの証人の長老である父親からレイプされた。母親も祖母もエホバの証人の正規開拓者(毎月90時間伝道する者)だが、娘(孫)が性的虐待を受けていることを知りながら全く無視していたという。祖父もエホバの証人で性的いたずらをしていたことを知った。祖母はアルコール依存症、母は自殺した。父親は結局、その後、異母妹に性的いたずらをして刑務所に入ったが、その間、女性が長老たちに訴えても取り合ってもらえなかったという。
このような場合、ものみの塔ではマタイの福音書18・16をたてにとって、「2人の証人が必要」と教え込まれている。だが普通、性的虐待の事実を証言できるのは被害者本人を除けば加害者だけだ。長老は加害者に面談し、「あなたは性的虐待をしましたか?」と質問する。「いいえ、やっていません」と答えれば、「では結構です。これ以上聞くことはありません」と一件落着させる。それだけでなく、被害者に向かって「あなたがこれ以上訴えるなら兄弟を誹謗することになるので、あなたを排斥処分にします」とまで言う。
別の女性のケースでは、こうした経緯の後、彼女の訴えを信じた長老たちによって事件を調べるための審理委員会に呼び出された。しかし尋問の結果、彼女自身が性的に罪を犯したとして会衆の前で発表され、見せしめにされたという。「虐待者の名誉を守るために、被害者を犠牲にするのです」
ボーエン氏は長老だったころ、別の長老の性的虐待を知った。本部の法律部門に相談したところ「彼が実際に虐待したかどうかを聞いて、していませんと言うならそれ以上何もしないでください。エホバの手に委ねなさい」と言われた。それが引き金になりボーエンさんは辞任し、警察に通報した。その結果被害を受けた子は守られたが、その間に被害は別の少女にも及んでしまったという。「明らかな犯罪を、組織は内部で対処すべき霊的な罪として扱っている。ここに問題の根があります。エホバの手に委ねなさいということによって、被害者が沈黙させられてしまうのです」
外部の人間は皆サタンの手先だと教え込まれたエホバの証人は、カウンセラーにも相談できない。すべて組織の支配によって操作する体質。その中で、「他の宗教団体に比べて高い倫理基準を守っているというイメージを保つために、手っ取り早い方法は罪を隠すことです。組織のイメージがあまりに重要なので、被害を受けている子どもよりも大事なのです」。 そのようにして、児童性虐待者は世界中のどこのエホバの証人の組織でも長老であり続けられるという。そればかりか、組織の最高権威である統治体のメンバーから虐待を受けたという訴えさえあるのだ。 【根田祥一】