ヘッドライン
[CSD]2005年3月27日《ヘッドライン》
[CSD]2005年3月27日《ヘッドライン》= 1面 =
◎キリストの愛で人の命を守った——『塩狩峠』のモデル・長野政雄さん「しのぶ会」に全国から100人
= 2 面 ニュース=
◎帰国者フォローの課題浮き彫り——海外日本人伝道関係者らが懇談
★<教界ニュース>同盟基督・下馬福音教会ほか
★<逝去>スタンレー・グレンツ氏(カナダ・ケアリー神学校組織神学教授、3月12日)
★米国:聖公会の献金12%減少、同性愛支持が影響か
★米国:10代は「宗教は重要」と認識
★米国:「年間数千人の脱北者強制送還」と中国の対応を国務省が非難
★<落ち穂>イースターの知名度浸透を
= 3 面 全面広告=
☆関西聖書学院——兵庫から奈良県生駒市へ今秋移転!
= 4 面 牧会=
★<今、家族を考える>[4]犯人捜しをしない 記・堀 肇
★<牧会ジャーナル>暴力や逸脱行為に関する見取り図 記・藤掛 明
★<オピニオン>車いすの夫と教会、高齢社会の課題 記・瀬底 ノリ子
★<恵みのどんでん返し>神学校願書、妻から私の名へ 記辻本 恵一
= 5 面 宣教レポート=
★<宣教まっただ中>タンザニア発[1]イスラム、土着宗教の融合 記・清水 担
★アフリカにあこがれ神様に「行きなさい」——幼稚園宣教師の市橋さらさん[2]
= 6・7 面 読書特集=
★『天国で君に逢えたら』飯島夏樹著(新潮社、1260円)
★『アイ・ラブ・ミー』大和田広美著(いのちのことば社、840円)
★『統率者の哲学』ジョン・C・マクスウェル著(アイシーメディックス、2100円)
★『俺、俗人牧師』山守博昭著(イーグレープ、1260円)
= 8 面 新会堂建築特集=
★西明石福音ルーテル教会高丘チャペル——美しく古風な「入ってみたくなる」教会堂
= 9 面 全面広告=
☆ニューライフキリスト教会——幾多の困難乗り越え温もりある会堂完成
= 10・11 面 葬儀特集=
★時代とともに変わりゆく葬儀——葬儀の変容とキリスト教葬儀の再検討 記・大和 昌平
★施設内で手づくり葬儀——「この施設で良かった」遺族の心のケアも 川越キングス・ガーデン
★初代宣教師らの墓ひっそりと——日本同盟基督教団史に一つの光
= 12 面 イースター・スペシャル=
★メール介していのちと向き合う——横山厚志牧師(日本基督教団岩村田教会)
★DVD:「偉大な生涯の物語(特別篇)」20世紀フォックス・ホームエンターテイメント(4179円)
★DVD:「パッション」日本ヘラルド映画(4750円)
= 13 面 イースター・スペシャル=
★映画「樹の海」——自殺大国へのメッセージ(初夏にシネ・アミューズほかでロードショー)
★DVD:「アニメ親子劇場」全5巻(ライフ・エンターテイメント、各巻5040円)
★ビデオ:「復活 レザレクション」(ライフ・エンターテイメント、3990円)
= 14 面 ペンライト賞発表=
★選考結果発表と総評
奨励賞:『主よ、み手もて』宮島右近(ブラジル)
佳作:『巨いなる山の動く日きたる』あんこや大塚(岐阜)、『なぜですか、神様』井上加代子(福岡)、『地の果てから地の果てへ』masayo(東京)、『無題』今井邦英(新潟)、『不条理の愛』小久保えみ子(兵庫)。
= 15 面 神学・社会=
★<ローザンヌ運動30歳>ポストモダンにおけるキリストの独自性[2] 記・正木 牧人
★米国:プリンストン神学校校長にトーラント氏
★<今月の神学書評>『賛美の聖書的理解を求めて』聖書神学舎編(いのちのことば社、1260円)評・手代木俊一
= 16 面 =
◎イースターメッセージ:「一度死んで本当のいのちがわく」記・正村 八重子
= 17 面 ヒューマン・ドキュメント=
★一途な教育者・信仰者——大瀬敏昭校長『いのちの授業』出版
= 18 面 ビジネスパーソン=
★農業によって神の栄光を表す——小西 孝蔵さん[上](農林水産省大臣官房統計部長)
★<ミッションと起業>大原孫三郎[中]倉敷紡績(株)創業者 記・吉田 博
= 19 面 教会=
★<ちゃちゃチャーチ>建物そのものが主イエスの招きを表現——日本基督教団信州教会
= 20 面 情報=
★<情報クリップ>催し情報ほか
★BOOK:『グッドキャリア』山本直人著(東洋経済新報社、1680円)
★CD:「AIR」GENUINE GRACE (ライフミュージック、1200円)
= 21 面 今週の動き=
★<今日は何の日>3月27日—4月5日
★<日めくり元気の素>名著・聖書日課から一言メッセージ
= 22 面 教会学校=
★<「成長」攻略法>創造された世界と人間の罪 記・中台 孝雄
★<CS分級>イースターエッグに何使う? 記・永井 真衣子
= 23 面 教会生活=
★東海地震その時に・・・原発の危険性訴え——稼動停止署名を呼び掛ける野町真理牧師
★野外礼拝がはじまりで復活祭フェスタ——春日部福音自由教会
= 24 面 ひと=
★神のやすらぎを作品通して伝えたい——原田満佐子さん(画家)
キリストの愛で人の命を守った−−『塩狩峠』のモデル・長野政雄さん「しのぶ会」に全国から100人050
マイナス10度、底冷えのする塩狩の駅周辺は、千300個ものアイスキャンドルで埋め尽くされていた。2月28日夜、会場には賛美歌の歌声が響き、各地から集まった100人を超える小説『塩狩峠』のファンは、ありし日の長野政雄さんをしのんだ。今年も三浦綾子さんの『塩狩峠』の主人公のモデルとされる長野政雄さんが鉄道事故で殉職して96回目のしのぶ会が、ゆかりの塩狩峠にある長野さんの殉職碑前で開かれた。長野さんは旧国鉄職員だった1909年(明治12)2月28日、業務視察で名寄を訪れ、旭川に戻る途中の列車が急勾配で逆走したのを身を挺して止め、29歳で亡くなった。この実話を長野さんと同じ日基教団・旭川六条教会に通っていた作家の三浦綾子さんが『塩狩峠』として発表、現在までに350万部が出るベストセラーとなった。
犠牲の愛に生きた
今年もしのぶ会はキリスト教徒だった長野政雄さんにふさわしく礼拝から始まり、旭川六条教会の西岡昌一郎牧師が「力や剣で人の命を守ろうとする時代のなかで、長野さんのキリストの犠牲の愛に生き、人の命を守ろうとしたその生き方こそ、わたしたちが学ぶべきもの」とメッセージを語った。
礼拝後、三浦さんが旭川市内で営んでいた雑貨店を復元した近くの塩狩峠記念館に場所を移し、「お話と朗読の会」が開かれた。今年は「長野政雄の遺言状」を旭川三浦綾子読書会の小林弘昌氏が朗読。20世紀初頭、同じ旭川で伝道していたピアソン宣教師と長野政雄さんとの交流を北見・ピアソン会の田村喜代治牧師が紹介。「2人は、愛されるより愛することを一番大事にしていた」と語った。
死を予感させる言葉
しのぶ会の司会を担当した旭川六条教会員の中島啓幸さんは、『塩狩峠』を読んで生きる勇気が与えられたという1人で、現在、信仰月刊誌「百万人の福音」で、長野政雄さんの実録「北国に心は燃えて」を連載している。そのため、中島さん所有の長野さんに関する資料も膨大で、この夜はその中から長野政雄さん殉職までの48時間について触れ、長野さんが死ぬ前に妹のみねさんに「私が死んだら失望するか」などと死を予感するようなことを言っていた事実などを明らかにした。
しのぶ会の最後には三浦綾子さんの夫、光世さんが、『塩狩峠』完成までの秘話をユーモアを交えて紹介した。同じ教会の頑固な老人が綾子さんの態度が気に入らないと、牧師に「あのような女性がいる教会には行きたくない」と手紙を送りつけたことが発端だった。それを聞いた綾子さんは、すぐに老人の元へ謝罪に向かうが、なかなか許してもらえない。やっと家に入れてもらえた時のこと、机の上にあった資料が目に入った。その老人は長野さんの直属の部下でその資料は長野さんに関するものだった。それが綾子さんと長野さんとの最初の出会いとなり、やがて光世さんの勧めもあり、小説が完成したという。
しのぶ会には、北海道在住の『塩狩峠』ファン以外にも全国から人々が集まる。今年も九州から来たという夫婦の姿もあったが、西岡牧師によると、今でも毎週のように『塩狩峠』ファンが旭川六条教会を訪れるという。 【守部喜雅】
帰国者フォローの課題浮き彫り−−海外日本人伝道関係者らが懇談0503270201
海外で信仰をもつ日本人が増えているが、帰国後の教会定着率は20%前後と低い|この問題の解決策を探ろうと2月26日、海外日本人伝道に宣教師を派遣している団体や、世界各地の日本語教会関係者、帰国者のフォローにあたっている団体、受け皿教会、在日宣教師らが一堂に会し、「帰国者のフォローアップを考える」懇談会が都内で開かれた。16団体の約50人が参加して各団体の事情、取り組みや問題意識を報告し、パネルディスカッションで課題の分析と将来への期待を話し合った。主催は日本福音同盟(JEA)宣教委員会。00年にJEAが開催した第4回日本伝道会議において、ディアスポラ(世界各地に住む)海外日本人伝道についての分科会で帰国者問題が論議された。その際にも、この問題にかかわる各団体間のネットワークの必要が叫ばれていたが、JEA宣教委員会では、その後継続してこの問題を話し合い、関係者と非公式に意見交換してきた。今回はJEA宣教委員会が「つなぎ目」の役割を担って関係諸団体に呼びかけ、この問題について初の懇談会が実現した。
同委員会の竿代照夫委員長は冒頭、この経緯とともに、「(帰国者フォロー問題を)消極的な姿勢ではなく、むしろ海外からの帰国者によって日本の教会に新しい息吹きが吹き込まれ改革が行われる機会ととらえる」見方を示した。
16団体の代表が、それぞれの事情を報告。帰国者のフォローについては「隔月で帰国者の家庭集会を始め、誰でも入っていきやすいように軽食とみことばと証しの時をもっている」(ミラノ)、「日本の教会に定着できるように、あえて帰国者の集まりは年1度の懇親会程度にしているが、自主的に集まり祈祷会をしている」(香港)、「発足時から大半が無牧で、パリの集会を支えようと帰国者の会ができた。今ではパリへの献金支援だけでなく帰国者相互の交わりもしているが、北海道から九州までいる帰国者全体には手が届いていない」(パリ)、「帰国者間の協力と交わりの集いを積極的に活用していきたい」(在欧日本人宣教会)など、集会が生まれた経緯や歴史によって実情が異なることが浮き彫りになった。
互いの取り組みを聞き、「これまで牧師が一時帰国時に各地で集会を開き帰国者への教会紹介も牧師がしてきたが、今後は若い学生のフォローをOB会員同士でしていきたい」(ロンドン)、「日本の教会を知らずに帰る人に、どれだけ情報をインプットできるかがカギ」(シンガポール)などの声も聞かれた。シンガポールJCFでは、教会学校に通っていた子が帰国後大学生になり、救われたという知らせもあり、「帰国後は消息が分からない状態だったが、もっと分かるようにして祈っていかなければならないと思わされた」という。また「仕事の任期のため、もう少しで決心という人が途切れてしまうことが課題」「洗礼を受けて帰国すれば日本の教会では一人前のクリスチャンのように扱うが、帰国直前にあわただしく受洗するケースもある」など、共通の課題も挙げられた。
JEA理事長の小川国光氏は、自身が長年海外で宣教活動をし帰国した際に、教会文化やクリスチャンとしての霊的な生き方や感じ方に違いを感じ、文化ショックを受けた経験を紹介。「海外から帰ってきて違和感があることを冷静に受け止める必要があるが、そのような日本の教会を変えられるインパクトが帰国者にはある。世界で進められている神の国の建設のために帰国者は驚くべき貢献ができる」と積極面を強調した。
パネルディスカッションでは「課題分析と将来への期待」をテーマに、在欧日本人宣教会の高田文彦氏(光の子聖書教会牧師)、北米を中心に留学生など帰国者フォローに取り組むJCFN主事の黒田摂氏、国際的な日本人クリスチャン帰国者のネットワークRJCの高田正博氏、アジアの日本語集会事情に詳しい清野勝男子氏(土浦めぐみ教会牧師)が発題した。このうち、教会出席者の6割が帰国者という光の子聖書教会の高田牧師は、「帰国者と受け入れ教会の溝を埋めるために、双方が歩み寄る必要がある。歩み寄りの大切なポイントは聞くことにつきる」として、帰国者の気持ちや求めていることをていねいに聞く必要を強調。会場から活発な質問が寄せられた。 【根田祥一】
イースターメッセージ:「一度死んで本当のいのちがわく」記・正村 八重子0503271601
新芽のキリスト、私の罪大雪だった寒い日もようやく終わり、春らしい日射しの日、何か料理をしようとジャガイモの入ったダンボール箱のふたを開いてみると、なんとそこには一足早い春が来ていました。ジャガイモの芽が白くニョキニョキと長く伸びているではありませんか。大切にしていたこのジャガイモ、こんなに芽が伸びてしまえば食べるのは無理かなと考え、1つ取りあげて手でさわってみます。案の定、ぶよぶよにやわらかくなっています。
そのときさっとひらめきました。「これはイースターだ」。よみがえられた主イエスさまが新芽を出しておられる。そしてこの食べられそうにもなくなってしまった古いジャガイモに、私の罪をすべて背負って十字架で死んでくださった主のお姿をそこに見ました。ドロドロとした罪が、古いジャガイモの中にいっぱいつまっている。そのドロドロの罪を負って地中に入ってそこから新しい生命を生み出してくださったのです。
使徒信条のことばに「苦しみを受け、十字架につけられ、死にて葬られ、陰府にくだり、三日目に死人のうちよりよみがえり」、主イエスは完全に死んでくださった。そして陰府まで落ちてくださり、そしてよみがえられました。芽が出て腐りかけたジャガイモを手にしながら、神様のなさる御業のすばらしさ、ここに本当のいのちの基本があるように思えました。
わかりやすい復活の確かさ
ジャガイモに限らず、すべての種や球根には目に見えないいのちがあります。穀物も、花も、草にもすべてにいのちがあります。この種や球根がとても大切だからと宝箱に入れてしまっておいたのではやがて腐って、何の役にも立たないごみとなってしまうのです。しかし一度死んで土の中に入ることによって、花が咲き、実がなり、いのちがあふれてくる。自然界の不思議を思います。神様はなんとわかりやすく、また私でもわかる方法で復活の確かさを教えてくださっています。「一粒の麦がもし地に落ちて死ななければ、それは一つのままです。しかし、もし死ねば、豊かな実を結びます。自分のいのちを愛する者はそれを失い、この世でそのいのちを憎む者はそれを保って永遠のいのちに至るのです」(ヨハネ12・24、25)。死んではじめて新しいいのちが生まれるのです。
腐りかけた種のジャガイモとそこに新しい芽が出ているこのさまを見て、すべての罪を負って刺し通された主のお姿を思い(イザヤ53章)、もう一度このジャガイモにふれてみると、すべての人の罪がごろごろ入っているように思えてきました。主はこのゴロゴロした罪を負って土の中に入られ、罪はそこで処分され新しい生命となって今、生き生きと成長しようとしています。
人はこれを見て、復活などありえないとどうして言うことができるでしょうか。人も植物も一度死んではじめて本当のいのちの力がわいてくる。ジャガイモも春の山の芽吹きも、球根から芽をのぞかせているチューリップもすべて、主の復活を喜んで輝いているように見えてくるのです。
使徒パウロはこの肉体の死をあまりおそれていなかったようです。徹底して自分を神にささげつくしていたので、あのような大きな働きができたのではないかと思われます。つまり己に死んでいたから。「生きることはキリスト、死ぬことも益です」(ピリピ1・21)「神の恵みの福音をあかしする任務をはたし終えることができるなら、私のいのちは少しも惜しいとは思いません」(使徒20・24)「主イエスの御名のためなら、エルサレムで縛られることばかりでなく、死ぬことさえも覚悟しています」(使徒21・13)」。パウロにとって福音を伝えるがゆえに毎日が死の連続であり、死に直面したこともしばしばであったでしょう。しかし彼は死に勝利された方を知っており、復活の主を信じていたので「死は勝利にのまれた」と確信し、死をおそれることなく、肉体の死の次にある永遠のいのちを確信していました。死から生まれる本当のいのちを知っていたから。
本当のいのちの芽
復活を信じられなかったコリントの教会の人々は、「死者はどのようにしてよみがえるのか。どのようなからだでくるのか」と復活を否定するかたちで問いかけました。というよりも、そんなことはありえないという前提で復活を否定しているのです。Iコリント15章35、36節でパウロはそれに対しておろかな人だと言い、もう一度言います。「蒔かれて死ななければ生かされないのだ」と。主イエスさまも、パウロも、だれにでもすぐ理解できる最も身近な自然界を通して死と復活の関係を教えてくださっています。この自然も神様の摂理のなかにあることです。
歴史の中で偉大な神の働き人たちは自分のいのちを惜しまなかった。その働きのゆえに今日の教会があるのではないかと思うのです。主はすべての罪を負って死んでよみがえってくださいました。わたしたちの罪は土の中に入って腐ってしまいました。しかし主は、そこから本当のいのちの芽を与えてくださいました。新しく生かされているわたしたちなのですから、このイースターを大いに喜び楽しみたいと思います。美しい春の芽吹きとともに。