[CSD]2005年6月26日《ヘッドライン》

[CSD]2005年6月26日《ヘッドライン》
 = 1面 =
★歌で生きる力と希望を——「きみはあいされるために生まれた」CDを長崎市内の学校に無料配布

 = 2 面 ニュース=
◎対話と協力の必要性確認——カトリック、NCC、JEAで公開研究
★これからの教会 信徒が考える——神奈川で実験集会
★<教界ニュース>フェリス女学院大学、日本ルーテル教団
★<落ち穂>中国での非公認教会の苦難

 = 3 面 ニュース=
★<宣教まっただ中>タイ発[1]霊への恐怖と不安の村人 記・竹田 弘美
★主の愛を実行して社会を変える使命——「変革の誓約」を発表

 = 4 面 牧会=
◎<聖学院シンポ「悲嘆と信仰」>[2]自殺3万人超の現実——悲しみが排除されない社会へ
★<牧会ジャーナル>暴力や逸脱に関する見取り図<対応編> 記・藤掛 明
★<オピニオン>戦後60年、日米の真の教会協力とは 記・岡山 英雄
★<恵みのどんでん返し>君の中にいる神様を見せてくれ 記・田中 恒喜

 = 5 面 神学・社会=
★<ローザンヌ運動30歳>ホーリスティックミッション[上]生活の全分野にかかわるエイズ問題を受け止め 記・金本 悟
★カトリック・聖公会がマリアの役割に声明
★韓国カトリックがES細胞研究を非難
★<書評>『よく生きる人を育てる』羽仁 翹著(教文館、1575円)評・峰田 将

 = 6 面 特集・きみは愛されるために生まれた=
★日本人牧師の歌をもとに作曲 
★日韓5人のクリスチャンアーティストが競演——CD「きみは愛されるために生まれた all For you」
★CD付トラクト「きみは愛されるために生まれた」——発売1週間で1万部完売

 = 7 面 PRのページ=
★第2回日韓親善教会宣教大会 8月24日(水)—26日(金)
「地の果てまで、世の終りまで」
事務局:Tel.0467-75-0542(寒川キリスト教会)

 = 8・9 面 特集/沖縄戦後60年=
★沖縄からキリストにある平和を——平和憲法を21世紀の独自文化に 記・国吉 守
★基地問題解決なくして戦後なし 記・木俣 佳丈
★イラクでの体験きっかけに——今日も続く辺野古・基地建設反対の運動 記・平良 夏芽

 = 10 面 ビジネスパーソン=
★いまだからこそ弱さをほこれる——原田 時近さん[上](ナスハウス工業[株]代表取締役)
★<ミッションと起業>五十嵐健治[下](株)白洋舎創業者 記・五十嵐有爾

 = 11 面 教会学校=
★<「成長」攻略法>いえす・キリストの生涯?——権威をもって招くイエス 記・中台 孝雄
★<CS分級>段ボールの迷路 記・石橋 えり子

 = 12 面 情報=
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★SHOP:ふれあいショップ「ダンケ」
★CD:「MIRACLE」(ミクタムレコード、3000円)

 = 13 面 今週の動き=
★<今日は何の日>6月26日—7月2日
★<日めくり元気の素>名著・聖書日課から一言メッセージ

 = 14 面 教会=
★<ちゃちゃチャーチ>町をあげて復活を祝う——春日部福音自由教会
★<奉仕する恵み>音楽とおして教会に親しみを——冨田 治さん(JECA・鹿本キリスト教会)

 = 15 面 家庭・あかし=
◎中学生 福音に飢え渇き——家庭、教会、団体ネット必要
★創造賛美で礼拝しよう——被造物の豊かさ 画像で表現
★<巨いなる山の動く日来る>[3]「死なないで」との愛の訴え 記・あんこや大塚子

 = 16 面 ひと=
★イ・ジェウクさん(NHK国際放送局アナウンサー)——韓流ブームを宣教に生かそう


対話と協力の必要性確認−−カトリック、NCC、JEAで公開研究0506260201

「混迷を深める現代においてキリスト教会が、一致協力して何ができるか」。カトリック教会、日本キリスト教協議会(NCC)、日本福音同盟(JEA)それぞれの立場から発題し、協議しようと6月13日、日本エキュメニカル協会(徳善義和理事長=ルーテル学院大学名誉教授)が東京・新宿区の日本福音ルーテル教会東京教会で公開研究会を開催。「教会一致のネットワークを広めるために―可能性を模索して」と題し、カトリック教会の高柳俊一神父(上智大学名誉教授)、NCCの山本俊正総幹事、JEAの具志堅聖総主事が発題した。
ネットの重要性
 高柳氏は「教会間のネットワークには、ただ情報を伝えるだけでなく、レトリックが必要。ネットワークがあっても生かすものにならなければ」と述べた。第二バチカン公会議はそれまでのカトリック教会の姿勢を転換して、エキュメニカル運動に積極的にかかわるようになった。特にヨハネ・パウロ二世はエキュメニカル運動を推進したことを紹介。「ベネディクト十六世の時代はどういう風の向きになるのか、まだはっきりしない」と現況を語った。  その上で、アジア・アフリカでのペンテコステ派の勢力拡大や、宗教におけるグローバリゼーションの問題、特にイスラム教の世界規模の広がりを挙げ、「それらとの対話のためキリスト教会が一致して対応しなければならず、そのためにネットワークは重要」との認識を示した。
 また「究極目標はともに聖餐ができる状態にすることだ」と語り、エキュメニカル運動の中で、常に衝突する聖餐の問題にも触れた。「カトリックの神父と日本基督教団の牧師同士の親ぼくや、信者同士の交流だけで留まっていていいのか」とも話した。
対話の必要
 山本氏は世界教会協議会(WCC)の中央委員会が出したエキュメニズムの定義「全世界に福音を宣べ伝えるすべての教会の課題にかかわる全てのこと」を紹介。「エキュメニズムは『教会一致運動』であり、超教派運動ではない」と語った。
 1948年のWCC成立に至る「信仰と職制運動」「国際宣教協議会運動」「生活と実践運動」のエキュメニズムへの取り組みと特徴を紹介し、WCCの世界総会のエキュメニカル運動の強調点の変遷も解説した。
 教会一致のための対話・協力の展望として「草の根エキュメニズム進展と可能性」(見える一致)を挙げ、カトリック教会とルーテル教会の義認の教理についての共同宣言を具体例に示した。ほかの取り組みとして、「アジアキリスト教協議会(CCA)はこれまでアジアの貧困、差別、抑圧、戦争に対して発言してきたが、アジアで疎外され周辺化された人々の多くは、ペンテコステ派の教会に集っている」とし、ペンテコステ派との対話と協力の必要性を述べた。
 山本氏は「NCCとJEAの組織的なかかわりはまだまだ少ない。この会を通して教会一致に関する対話が必要だと感じた」と述べた。
地域の教会協力
 具志堅氏はJEAの歴史や構成、働き、現況などを紹介。教会一致に関するJEAの認識として02年度総会で決議された「JEAの使命と展望」から「JEAを超えた福音主義諸教会との連帯のあり方、カリスマ系諸教会、NCC系の教会、カトリック教会との関わり方を明らかにして、JEA加盟教会の進むべき道を提示することは、JEAのためにも重要であると考えます」を引いた。
 アジア福音同盟(EFA)内の動向について、特にマレーシア福音同盟(NECF)がマレーシア教会協議会(CCM)とカトリック教会と共同で組織を立ち上げ、国家が聖書翻訳を制限するという動きに対しての取り組みを紹介した。
 続いて東京基督教大学教授で、JEA神学委員会の倉沢正則委員長が、JEAの日本伝道会議における取り組みについてもコメント。「伝道一本の流れから全人的なアプローチが必要。教会の公同性をもっと振り返らなければ」と語った。
 また日本バプテスト教会連合大野キリスト教会の中澤啓介牧師が、神奈川県相模原市の教会協力の取り組みについて「2年前からカトリックやNCC系の教会と『相模原キリスト教協議会』の形成に向かって努力している。牧師同士の信頼関係、信徒レベルの交わりを大切にしている」と話した。
 司会の徳善氏が、「それぞれの組織を背景にしたゆるやかな意見交換の場」と示したように、穏やかな中にも互いに手応えを感じる会となった。 【藤川義】

<聖学院シンポ「悲嘆と信仰」>[2]自殺3万人超の現実−−悲しみが排除されない社会へ05062604

人生におけるさまざまな悲しみを信仰者としてどのように受けとめるかを、ともに考えようと聖学院大学総合研究所がシンポジウム「悲嘆と信仰」を4月15日に開催。
 パネリストのうち聖公会神学院校長で立教大学の関正勝名誉教授は、「現代は科学技術文明、生産性や社会性を価値とする時代だ。人間的真実は科学的事実に逆らって生きていると思う。それはパウロが律法に逆らって信仰によって生きたように、私たちにとっても現代社会のイデオロギーとしての科学技術、つまり脳中心的な考え方と対峙することだ。そのような中で、現代の悲嘆は生産性と社会性が崩壊する中で再生産されている。現代は悲しみを排除することによって、非人間化していっている」とし、自殺者が毎年3万人を超える日本の状況と重ね合わせて悲嘆について説明した。
 その上で、悲嘆の現実として旧約聖書のヨブに焦点をあて、ヨブの独白「私の生まれた日はのろわれよ」から話を展開。ヨブの自死しようとする思いとそれをはばむ神。神は本当に正しいのかと苦痛と悲嘆を味わい、友人や妻の神理解と信仰とが対立するヨブの姿を聖書から語った。「ヨブの妻は『神をのろって死になさい』と言う。因果律や人間の思想への抵抗がヨブの信仰。信仰は私たちの日常性の線上にあるのではなく、それに抗って成り立っている。ヨブは『私は無きに等しい者』と告白して悔い改めた。本当の悲嘆に出合った者は、隠れた神にひたすら問い求めるものだ。神はその問いかけに答えてくださる。そのことを確信するのが信仰であろう」と信仰と悲嘆のかかわりを話した。
 関氏は「五体満足が社会のイデオロギーとなっていると、障がいがあればそれが悲嘆の原因になっていく。そういう意味において悲嘆の克服は個人でできるものではなく、社会が変わることによってできる。『障がい者問題』があるのではなく、『障がい者を抱えた社会問題』がある。そんな中、今は美談や殉教者をつくる社会になっている。そのような社会はよくないのでは」と述べた。
 また自死した神学生のことを取り上げ、「ものすごくつらい経験だった。本当に苦しみ、悲しい出来事だった」。しかしその悲しみを受け止め、共有化することで「神学校という教育の場が、有限存在である人間の現実とどう向き合い、共生するかという実践的、神学的課題を提起された」。
 そして「悲嘆との共生は人間の成熟をもたらす。苦しみの極みは新しい祝福の出発。失われていく現実を受け入れていく強じんな信仰が求められる。『私は痛む。ゆえに私は在る』という態度が創出する社会へ進むべき」だと語り、悲しみや苦しみを悼むことが排除されない関係社会への方向性を提示した。

中学生 福音に飢え渇き−−家庭、教会、団体ネット必要0506261501

教会学校の生徒の減少、信仰の継承など、日本の教会が抱える問題を覚えて祈ろうと、2001年から始まった「子どもたちのための祈祷会」(全日本宣教祈祷運動運営委員会主催)。今年は「子どもの心が見えますか?」をテーマに5月28日、東京・千代田区のお茶の水クリスチャンセンターで開催した。
 祈祷会では、上ノ原幼稚園の石川弘司園長(同盟基督・中野教会牧師)が「子どもを招くイエス様」と題して、子どもたちのために祈っていくことの重要性を語り、続いて教会学校、養護学校、伝道団体など、各方面で子どもたちとかかわる参加者が、それぞれの立場から証しと祈祷課題を提示した。
 障がいをもつ子どもたちについて語ったのは河本典子さん(都立養護学校教諭、新生連合・町田クリスチャンセンター会員)。「スペシャルな子どもたちについて」と題し、学校現場の経験を交えて語った。「養護教諭を何年勤めたからといって『私は専門家です』とは言えません。毎年違う子どもたちと出会い、かかわっているのです」。仕事で疲れ切ってしまったときは、自分の愛のなさを思い知らされるというが、「恩師の小宮路敏先生が教えてくれた『大好きだよ』『あなたの味方だよ』『宝物だよ』という3つの言葉を、子どもたちにずっとかけ続けていると、私自身も子どもたちもだんだん変わっていくのを感じます。私は弱い人間ですが、日々祈る中で神様から彼らを愛することのできるエネルギーをもらい、仕事を続けられていることをうれしく思います」。
 祈祷課題には、子どもたちの理解者が増え、自己実現できる環境がつくられるように、家族に常に新しいエネルギーが与えられ、力をもって子どもたちと向き合うことができるように、子どもを取り巻く社会の活動が広がり、周囲の人々が支えられるように、などを挙げた。
 幼児・小学生については、同盟基督・国立キリスト教会教育主事の本澤敬子さんが語り、中学生伝道の立場からは、中学生聖書クラブ協力会(CSK)でキャンプアドバイザーを務める松原智さん(福音伝道・笹塚キリスト教会牧師)が「中学生の福音に対する飢え渇きを感じます。中学生がイエス様に仕えることができるように、私たちが中学生にイエス様のように仕えていくことが必要では」と語った。高校生伝道については、高校生聖書伝道協会(hi-b.a.)スタッフの荒井恵理也さんが、「高校生伝道の主導となる家庭、教会、伝道団体がネットワークを組んで情報を共有し、協力していく必要性がある」と語った。
 祈りの時には、参加者が3、4人のグループに分かれてそれぞれの課題を出し合った。参加者の1人は「日の丸・君が代」の強制に危機感を抱いていると言い「教職員が守られるように」、また教会に人とのかかわりがうまくできない、虐待を受けていたなどの「スペシャルな子どもたち」が来ているという参加者は「どう対応すればよいか知恵が与えられるように」と熱心に祈り合っていた。 【藤野多恵】