[CSD]2006年1月1日《ヘッドライン》

[CSD]2006年1月1日《ヘッドライン》
 = 1面 =
★新年メッセージ:福音は全生涯、全領域に及ぶ 記・米内 宏明

 = 2 面 ニュース=
◎臓器の資源化に警鐘——日本宗教連盟が生命倫理シンポで移植法改正の動きにけん制
◎海外帰国者の受け入れ整備へ——DNJフォーラム
★即位の礼・大嘗祭訴訟:都知事参列に最高裁「合憲」判決——「政教分離の闘い続く」と原告団
★<落ち穂>伝道者になった元真珠湾攻撃隊長

 = 3 面 ニュース・ルポ=
★「勝ち組」社会に警鐘——東京・障碍者問題を考える集いが20周年
★ルポ・わたしたちはひとつ[3]:神戸西バプテスト教会?年をとることも喜びにかえて
★<教界ニュース>日本長老教会、日本ウィクリフ聖書翻訳協会ほか

 = 4 面 ビジネスパーソン=
★小さな一粒の種が蒔かれたと期待して——青柳 泉さん[下]([株]興商大阪支店長)
★<善久の発想法>[8]感動体験は創造の源 記・斎藤 善久

 = 5 面 牧会=
★<スピリチュアリティと心の援助>[6]聖霊に従っている人間——人間の魂のキリスト教的なあり様 講演・近藤 勝彦
★<オピニオン>神の愛は出会いの中で「実を結ぶ」 記・後藤 喜良
★<恵みのどんでん返し>倒れた父に教えられた御言葉の意 記・野中 宏樹
★<牧会ジャーナル>「耳・目・手」 記・大塚寿郎

 = 6 面 世界=
★<宣教まっただ中>ルーマニア発[4]文化交流で宣教進む 記・川井 勝太郎
★カッティング・エッジ・リポート[5]賜物生かす配慮が必要——家族の愛受けられない子のために 記・中台 孝雄
☆祈りのガイド:山形県・世界

 = 7 面 関西だより=
★工場跡地に教会献堂——ホーリネス・出石キリスト教会
★みことば味わう書道展——第31回聖句書道展
★新春ギャラリー:深い安らぎと静ひつな美を描く 画家・橋本 博さん
★「今、伝道を考える」——クリスチャン新聞伝道セミナーDVD発売

 = 8・9 面 旅行特集=
★日本瓦に十字架・和風建築の教会堂——聖公会・奈良キリスト教会
★日系社会築いたお城の教会——マキキ聖城キリスト教会
★東北最古の教会・雪景色に映える双塔——日基教団・弘前教会
★ピョンヤンへの不思議な旅 記・守部 喜雅
★ツアー情報

 = 10・11 面 全面広告/CFNJ=
★家族寮&チルドレンズ・ミニストリー館——2006年4月完成予定
★聖霊の深い流れの中で——CFNJ聖書学院
http://www.cfnj.com/
 = 12 面 神学・社会=
★<書評>『ローマ人への手紙講解説教[上]』奥村 修武著(キリスト新聞社、4200円)
★「ゴリアテ」の名前 古代ペルシテで発掘

 = 13 面 情報=
★<情報クリップ>催し情報、放送伝道ハイライトほか
★EVENT:映画「ホテル・ルワンダ」シンポジウム付き試写会
★BOOK:『すらすら読めるイエス伝』山本七平著(講談社+α文庫、580円)

 = 14 面 教会=
★<ちゃちゃチャーチ>「若さ」の秘けつは歌うこと——単立・城山キリスト教会
★もりべえのへぇ~:日本初のバスガイド

 = 15 面 家庭・あかし=
◎神が夫婦の絆を回復してくれた——志茂田景樹夫妻「教会デビュー」
★40歳以上の男女対象に「団塊バンド」募集——首都圏キリスト教大会に出演
★<お母さんのための絵本のたび>[14:最終回]日本のお母さんたちへ 記・澤谷 由美子

 = 16 面 ひと=
★鍋谷憲一さん(日基教団・根津教会牧師)——元商社マンの牧師がビジネスマン小説を出版

 = 17 面 インタビュー=
★姜尚中氏に聞く:日韓はなぜすれ違うか——どう越える 歴史の逆ベクトル

 = 18・19 面 スポーツ特集=
★ヤンキース戦で得た「平安」——ジェイク・ピーヴィー投手(サンディエゴ・パドレス)
★いつも「負け組」だったが…——
★トリノ・オリンピック開催目前——ウィンタースポーツにチャレンジ

 = 20・21 面 神学校特集=
★カルチャーセンター感覚で「誰でも」学べ——東京バプテスト神学校
★神学校ユニーク講座:仙台バプテスト神学校、JTJ宣教神学校、東海聖書神学塾
★神学生・献身へのアドバイス——ホームページ「神学校Q&A」を提供する春原禎光さん(日基教団・富士見町教会牧師)
★講座案内:大阪聖書学院、関西聖書神学校

 = 22・23 面 神学校特集=
★新潟聖書学院・ロシアの現地神学校と伝道実習で交流——姉妹都市結ぶ「神の国の親善大使」 記・中村 敏
★実践重視の伝統 今なお——救世軍士官学校100年

 = 24・25 面 全面広告=
★小さないのちを守る会:「命の尊厳」訴え続けて
★求まられるキリスト教的価値観——迷走する日本の性教育 記・富永 國比古
★小さないのちにふれて——ともに光を選び取る時 記・辻岡 敏子
★Q&A:医療現場から——ある助産師の質問に答えて 記・辻岡 健象

 = 26・27 面 高齢者福祉特集=
★新春対談:団塊の世代への宣教——2007年問題を考える
対談:小川巧記・齊藤善久・田口誠弘

 = 28 面 全面広告=
★ベニー・ヒン 神戸ミラクルラリー(2006年7月15日~17日)
http://www.mmjp.or.jp/kcgc/
 = 29 面 全面広告=
★諸教団・教派

 = 30 面 教会学校=
★<「成長」攻略法>十字架から振り返るイエスの教え 記・中台 孝雄
★<CS分級>ニューイヤー・クイズ 記・平田 和子

 = 31 面 教案誌特集=
★家庭内でも聖書の話題を共有——「聖書教育」日本バプテスト連盟
★「分級別教案」の原理とビジョン 記・徳本 篤

 = 32 面 全面広告=
★諸団体・企業


臓器の資源化に警鐘−−日本宗教連盟が生命倫理シンポで移植法改正の動きにけん制=0601010201

 1997年に施行された臓器移植法。8年を経て05年8月には、2つの臓器移植法改正案が提出された(いずれも廃案)。「脳死は人の死か」「臓器移植には本人の意思は不要なのか」と、なお議論が続いているが、国民の人生観や死生観にかかわることで、宗教界としても看過できない問題だ。日本宗教連盟が11月30日に開催した宗教と生命倫理シンポジウム「いま、臓器移植法改正問題を考える」では、関係者が一堂に会し、脳死・臓器移植問題について議論を深めた。同シンポは05年2月に続き2回目の開催。  シンポジウムのパネリストは、東京海洋大学の小松美彦教授、上智大学の青木清名誉教授、浄土宗総合研究所の今岡達雄専任研究員、大本教学研鑽所の斉藤泰研鑽室長、曹洞宗総合研究センターの竹内弘道主任研究員、立正佼正会中央学術研究
所の今井克昌所長。コーディネーターは東京大学の島薗進教授。
 小松氏は「脳死は人の死の基準にはなりえない」として、脳死に関する歴史的流れとその論理を批判した。アメリカで脳死者からの臓器摘出の様子を撮影した番組を上映。「脳死者からの臓器摘出は実態として殺人。しかも麻酔や筋弛緩剤を投与しての殺人だ」とし、「脳死者は実体的にも論理的にも科学的にも生きている」と語った。小松氏は2月のシンポジウムで「脳死者は社会的最弱者だ」と述べている。ほかに脳死者がその体を滑らかに動かす「ラザロ徴候」(※)の様子も上映した。
 その上で、現行の臓器移植法と改定案の特徴を挙げ、その問題点を批判した。特に斉藤案の「臓器提供可能年齢を現行の15歳以上から12歳以上に引き下げる」ことに対しては、「医療現場からの少年・少女志願特攻兵の創出ではないか」と厳しく訴えた。また、移植医療に関する教育の問題にも触れ、「ドナーカードを書くか書かないかを迫るような教育はあってはならない」と述べた。
 青木氏はカトリック信徒の立場として、前教皇ヨハネ・パウロ2世の回勅『いのちの福音』に記載の臓器移植についての考え方を支持。「人の脳死を死として受容し、愛の行為として臓器移植を肯定する」とした。一方、「日本の社会の現状を直視すると、臓器移植を手放しに愛の行為として勧めることを躊躇させる」と述べ、脳死者からの臓器移植に関して、日本社会の同意は不十分だとの見解を示した。
 今岡氏、斉藤氏、竹内氏、今井氏はそれぞれ「脳死を人の死と認めない」との見解を、各教団のこれまでの取り組みや声明文などと合わせて示した。今岡氏は、「死の概念は人間存在を考える上で重要であり、簡単に変更できるものではない」とし、臓器移植に関しては「浄土宗では人の臓器を資源と見なすことに懸念を表明する」と述べた。
 今井氏は子どもの臓器移植報道について、「移植手術後に元気になるところは見せるが、亡くなる脳死者側のことはほとんど報道されない。また術後どれだけ生存できたかも報道されない」と問題を指摘。また「宗教者は人の命を救えない。亡くなりゆく人に強い思いを与え、遺族を助けることができる。宗教的マインドをもっていただければ救いがあるのでは」と宗教者としての役割についても言及した。
【藤川 義】

海外帰国者の受け入れ整備へ−−DNJフォーラム=0601010202

 近年、海外で信仰をもち帰国する人が増えてきている。一方で帰国後、フォローアップが十分にできず、教会生活につながらない人も多いという。05年2月には、日本福音同盟宣教委員会が主催し「帰国者のフォローアップを考える」懇談会が開かれ、参加した関係者の間で「グループの縦横連携を促進するネットワーク整備を」との声が上がった。それを受けて構築されたのが超教派のDNJ(Diaspora Network for Japanese)だ。このたびインターネットのポータルサイトであるDNJを紹介し活用するため、11月26日、都内でフォーラムが開催された。

 フォーラムでは、国内外で活動する団体やグループの関係者が現況や課題を発表。
 夫の駐在で滞在したイギリスで教会に行くようになった嶋本洋子さん(在欧日本人宣教会)は、イギリスやその後に移り住んだハンガリーでスムーズな教会生活ができなかった経験をもつ。帰国後、帰国者のフォローアップのための家庭集会を自宅で開始。「ブルーベルの会」と名づけられた集会では、参加者が聖書を学び、互いに祈り合っている。数人の参加だが、「人数で一喜一憂せず、同じ所で同じ思いで開いていることに重点を置いている」。現在は横浜、名古屋、東京(板橋、恵比寿)の4拠点に広がり、ほかの同じような家庭集会との交流も進めている。「帰国者の受け皿として『家庭集会を広げたい』と思っていたときにDNJができた。DNJは互いに互いの器官を支え合う大きなツール」と語り、今後の働きの広がりに期待を寄せた。
 JCFN(日本人クリスチャン・フェローシップ・ネットワーク)の下部祐子さんは、北米の邦人宣教の様子を語った。「日本語教会が多いのと同時に、日本語環境以外でクリスチャンになる駐在員や留学生が多い。クリスチャンになるパターンの違いで、フォローの仕方も変わってくる」という。下部さんは北米の留学生宣教のネットワークを紹介しつつ、帰国・国内移動情報収集の難しさ、世界規模のネットワークの必要性、帰国者の受け皿やネットワークの少なさなどの課題を挙げた。「情報がフォーラムにあるだけで助けになる」と話し、DNJを評価。また、「一見、帰国者のためのネットに見えなくても、個人のもつネットがつながり、関係者が救われる」と語り、個人的な関係の重要性も述べた。
 当日は「地域フォーラム」「ポータルサイト活用事例」などの分科会も開かれ、参加者は熱心に互いの関係づくりと今後の方向性などを語り合っていた。今回はインターネット上の情報通信基盤としてのDNJが紹介されたが、今後は国内外の情報を共有し、帰国者を教会につなげていくために、実際に顔を合わせての個別フォローアップを進める必要があると、06年2月に第2回のフォーラム開催を目指す。
 DNJのポータルサイト=http://www.dnjonline.org/(利用にはユーザー名とパスワードの登録が必要)。    【藤川 義】

神が夫婦の絆を回復してくれた−−志茂田景樹夫妻「教会デビュー」=0601011501

 奇抜なファッションで知られ、現在、絵本の読み聞かせ活動で全国を回る直木賞作家の志茂田景樹さん(65)と妻の下田光子さん(57)が、初めて夫婦で教会主催の講演会に招かれた。05年11月20日、神奈川県伊勢原市石田のフォーラム246で開かれた「ふじみキリスト教会ランチョン」(同準備委員会主催)で光子さんは、修羅場を通りながら夫との絆を取り戻すまでの体験を、景樹さんは「絵本の読み聞かせ」を披露すると共に、その魅力について熱く語った。    【中田 朗】  同講演会は、平塚市の日本バプテスト連盟ふじみキリスト教会(犬塚修牧師)による企画。「日本で離婚の問題が大きくなっている中、別れずにじっと耐えてこられた方の証しを」との理由で、最初は夫の浮気で苦しんできた体験をもつ下田光子さんのみを招く予定だった。しかし、光子さんが2人で一緒の講演を望んだので、景樹さんも急きょ参加。読み聞かせも披露することとなった。
 光子さんは夫が80年に直木賞受賞後、愛人のもとに走り、8年間家を出ていたころの葛藤についてこう語った。「今思うと地獄のような日々でした。心の中が恨みと憎しみでいっぱいで、いつも夫を裁いていました。なぜ夫があんな派手な格好をするのかも理解できませんでした」
 そんな中、カナダの宣教師を通して神様を知り、信仰をもつ。そして、信仰生活を送る中で「私だけでなく夫も苦しんでいる」ことに気づかされたという。「キチンとした私とふわっとした志茂田は、正反対の性格。私の性格が夫を追いつめ、苦しめていることを神様から示されたのです。『私が悪かった。あなたを追いつめたりして』と夫に手紙も書きました。夫の気持ちを思いやれるようになって、夫の心も少しずつほどけていきました」
 「『読み聞かせ』という方法で、神様は夫婦の絆を回復させてくださった」とも。「志茂田に『読み聞かせ』を与えてくださったのは神様のご計画です。今こうして夫婦一緒に全国を回り、子どもたちやいろいろな人たちに読み聞かせができるなんて夢のようです。『神がすべてのことを働かせて益にしてくださる』(ローマ8・28)の御言葉を、神様は私たち夫婦の上に実現してくださいました」と語った。
 光子さんの話を受け、夫の景樹さんは「『世の中には、ずいぶん苦労をした人がいるんだなあ、こんなにもひどい夫がいるんだなあ』とびっくりしているうち、ハッと気がつくと妻だった」と語り、聴衆約130人がどっとわいた。まだ信仰を持っていない景樹さんだが、「僕は家内があれだけ長くしゃべるのを聞くのは初めて。話し方は稚拙だが胸を打つものがあり、途中で妻が講演しているのを忘れてしまった。妻は言いたいことの10分の2しか言えなかったが、語れなかった10分の8が私に迫ってきて心打たれた」とも述べた。  読み聞かせでは、自作『ぞうのこどもがみたゆめ』(父親を亡くした子どもの象に、母親象が勇気と夢を与えるお話)、『ひかりのにじゅうまる』(心優しい子どもに助けられたホタルたちが、病気になったその子どもにすばらしいプレゼントをするお話)を披露。タイツ姿の景樹さんが身振り手振りを交え、感情を込めて語るお話に、参加者は熱心に耳を傾けた。中には感動のあまり、涙する人もいた。
 最後に「今日はいのちの大切さを教える作品を選びました。今は、いのちがないがしろにされている時代。でも、絵本はいのちの大切さを教えてくれます。どうか、家庭で読み聞かせをしてお子さんと感動を分かち合い、いのちの尊さをしっかり伝えていってください」と結んだ。
 犬塚牧師は「読み聞かせも講演もすばらしく、内容も非常に聖書的だった。奥さんの祈りがあって、あのような作品が生まれてくるのだと思った」。牧師夫人の美佐子さんは「奇抜な服装のご主人を、そのまま受け入れるように導かれていった光子さんの証しに感動した。教会も百人百色の人たちで形成されている。いろいろな人たちも共に生きられる世界が教会であることを思わされた」と感想を述べた。