ヘッドライン
2000年7月23日号《ヘッドライン》
2000年7月23日号《ヘッドライン》= 1面 =
★エホバの証人「輸血解禁」へ動き——背景に欧州のカルト規制
◎「ジュビリー2000」霞ヶ関を行進——九州・沖縄サミットへ訴え
★フランス:カルト規正法は福音派も規制か?
★世界ルーテル連盟:G8に貧困国の債務帳消し要求
★<いやしの時代>[13]沖縄の平和ガイド 又吉京子さん(下)
★<落穂抄>創刊99年の月刊誌「恩寵と真理」
= 2 面 =
★第4回日本伝道会議・沖縄宣言(第2章)
★戦時下の性犯罪を女性の手で裁く——「女性国際戦犯法廷」へ
★「マンガ日本キリスト教史」——キリシタン時代の流れが分かる
★「戦後補償」に教会の果たす役割ある——ワインガードナー氏語る
★世界福音伝道団:50周年の記念事業を承認——出版・伝道・大会を柱に
★<世界の出来事フラッシュ>中国、イスラエル
◎<論説>沖縄から世界へ——21世紀へ向けて 記・片岡 伸光
★<あかし文学・ろばの子の歌>[12]再発…弱さのうちに・・・ 作・今村真子・和彦
= 3 面 =
★神様を中心とした教育を——ホームスクーリングの可能性
★科学の目で「創世記の謎を解く」——ヒュー・ロス氏出版記念で来日講演
★ドゥロス号のボランティア訓練プログラム——ヒッチハイクで横浜から長野へ
★OM:教会に伝道チームを派遣——ホームレスにもイエスの必要訴え
★VIP主催船上夕食会——台風の中200人が参加
= 4 面 開拓伝道特集=
★心病む人とともに礼拝する——ナザレン・北千住キリスト教会
★農村の復員化を志して——同盟基督・松原湖高原教会
★注目のJEMA「開拓伝道カンファレンス」——方法論でなく人を育てる
★毎朝の子ども祈り会の恵み——同盟基督・福岡めぐみ教会
= 5 面 =
★巡回伝道する帰国者たち——ジーザスバンザイミッションinジャパン活動開始
★こども向けショーとメッセージ集「キミはVIP」出版
★<北から南から>滋賀県:琵琶湖周りの教会に「主キリスト降誕2000年」の幟
★子ども大受け「ウンコ・スッキリンコ体操」のパント末吉さん
★13年ぶりに3年の在留「許可」——指紋押捺拒否のビセンテ・ボネット神父
★米国:出会いを求めてインターネットへ
★<召天>三浦 真照氏(単立・久遠キリスト教会主任牧師)
★<召天>鈴木 武男氏(旧日基教会・御殿場教会牧師)
= 6面 =
★<聖書66巻>ダニエル書 世界歴史を現実に支配される王 記・瀧浦 滋
★<書評>「イエスが読んだ聖書」フィリップ・ヤンシー著
★<新刊書紹介>「数には入らぬ者であっても」下條 末紀子著
★<新刊書紹介>「アトランタの風が聴こえる」矢部 美子著
★<情報クリップ>催し情報ほか
「ジュビリー2000」霞ヶ関を行進−−九州・沖縄サミットへ訴え
九州・沖縄サミットを目前にした7月6日、多重債務国への債務帳消し運動「ジュビリー2000」の関係者・賛同者らが東京・霞ヶ関の外務省・大蔵省前をデモ行進した。この運動は、欧州の教会を中心に、50年ごとに負債を免除し奴隷を解放しようという旧約聖書の「ヨベルの年(英語のジュビリー)」を、主の年2000年にちなんで実践しようと始まった。
返済しきれないほど多額の重債務を抱え込んでいるために国民生活自体が貧困から抜け出せない国々を、債務を免除することによって支援しようという呼びかけが、広く市民運動やNGO(非政府援助機関)の共感を得て世界的に拡大。
独ケルン・サミットでは同運動の主張がG7首脳の判断を動かし、九州・沖縄サミットではその実行が問われているが、日本政府は無条件の債務取り消しには消極的な姿勢を示している。
この日のデモには、日本キリスト教協議会(NCC)、聖公会、カトリックなどの教会関係者も多数参加。
「サミットが近づくに従って多重債務国問題は注目されている」(輿石勇・日本聖公会司祭)、「サミット期間中のジュビリー2000の動きに合わせて、教会関係の代表団も沖縄に向かいます。
南米・アフリカの債務国の立場も理解してほしい」(木邨健三・カトリック正義と平和協議会事務局長)などと話した。
<論説>沖縄から世界へ−−21世紀へ向けて 記・片岡 伸光
6月末に沖縄で開かれた、第四回日本伝道会議は、非常に円滑に進められた会議であった。関係者の周到な準備と運営の労に感謝している。
今回の会議において、戦場とされた沖縄で、戦火をくぐりキリストに出会った、国吉守牧師、渡眞利文三牧師、金城重明牧師の第一証言にふれることができたことは、とりわけ意義深い事であったと思う。
戦争の被害者であった彼らが、自らの内にある罪を認め、キリスト者となり、戦争をめぐる忘れてしまいたいような経験を、勇気をもって今も語り続けている姿にうたれた。
第一証言者の言葉は、穏やかに語られていても、それは単なる情報ではなく、意味やいのちがこめられている。
キリストの教会のいのちは、この証言の力によって継続されてきたのである。
また、証言を聞いた者は、それに対する真実な応答が求められるが、会議を終えてそこで得たものを、どのように継続・展開していくかが私たちに問われているように思う。
沖縄は、戦後も基地の問題を背負い、戦争が過去形となっていない。
キリストの体に連なるものとして、共感と連帯が求められるのであ#る。
そのためには今回の出会いを、一度限りで終わらせず、各教会単位の交流や個人的な交わりを続けることが必要である。 ディアスポラの時代 今回、第九シンポジウム「世界の教会とともに―宣教の聖書的基盤―」を設けて世界宣教を明確に位置づけ、その中に第32分科会「ディアスポラの時代」を置いたことは、評価に値することである。
海外日本人伝道の取り組みは、今始まったことではないが、世界各地で海外在住の日本人(語)伝道に取り組む人々が一堂に会して話し合えたことは、やはり第一証言者としての力強さを覚える励ましに満ちたものであった。
長年海外教会に奉仕した先輩牧師は、海外において自国語で福音を聞くことはペンテコステ礼拝の結果を見るように思うと語った。
それぞれの事情で海外に散らされている邦人が、聖霊の導きを得て自国語で語る福音を聞くことは神の働きであると。
確かに、海外にいるときに同胞は福音に対して心を開きやすいことが、あらためて確認された。 帰国者フォローへの連携 同分科会の後半では、帰国者が教会に定着することの難しさと対策について話し合われた。
取り組むべきこととしては、海外教会がその人はやがて日本に帰り日本の教会に戻ることを十分に意識した教育訓練をすること、日本の教会が帰国者を受け入れられるように整えられること、帰国者をフォローアップする交わりを起こすことなど、すでに取り組まれていることの紹介も含めて話された。
そして、まとめとして、日本の教会と海外日本人教会との深い連携とネットワークづくりの必要が語られたのである。
帰国者問題の多くは、日本の各個教会と海外日本語教会が互いの働きを知らないことから来ている。
今後の課題として、すくなくとも情報交換の拠点となる機関が必要であり、今後インターネットなどの活用が期待される。
また、海外日本人教会の設置されていない都市の働きを覚えて祈る必要もあわせて確認された。
今回の分科会参加者は、ほとんどが海外で働く人か、これから働こうとしている人であった。
伝道会議には他にも話し合うべき多くの課題があるので、やむを得ないとは思う。
しかし、海外日本人伝道および帰国者の問題は、海外日本人教会と日本の教会がともに話し合うべきことである。
もっといえば、海外日本人伝道は、特別な重荷をもつ人の働きではなく、きわめてすぐれて日本の教会の働きなのである。
今回の伝道会議が、そのような自覚をもつことの始まりとなるなら、これにまさる収穫はないのではあるまいか。
海外日本人伝道に限らず、他のキリスト者の働きを神が自分たちに託されたことと見ることが、「和解の福音を共に生きる」ことではないか。
その意味で21世紀はすでに始まっていると言わなければならない。
(記・片岡 伸光)