2006年3月12日号ヘッドライン

[CSD]2006年3月12日《ヘッドライン》
 = 1面 =
★「原作の魅力味わって」——映画「ナルニア国物語」プロデューサーのM・ジョンソン氏語る

 = 2 面 ニュース=
◎「霊的な関心高い日本人」——ギャロップ調査報告にJEMA宣教師ら驚き
★きよい生活と神との平和を強調——第45回箱根ケズィックでD・オルフォード氏
★全国キリスト教学校人権教育研究協議会:不法就労外国人幇助の元教師敗訴確定に抗議声明
★<教界ニュース>ヨハン教会連合:6人の正教師を任命・牧師按手式
◎<落ち穂>「白バラの祈り」ゾフィーの強さの秘訣は

 = 3 面 ニュース・ルポ=
★レンブラント生誕400年——名画解説をコンサートで
★<青年の今、これから>[最終回]教会協力が結んだ実

 = 4 面 ビジネスパーソン=
★今は企業活動しつつ伝道——田上 昌賢さん[下](日本クリーンシステム[株]専務取締役)
★<善久の発想法>[11]「そぎおとしの美学」で思いを効果的に 記・斎藤 善久

 = 5 面 牧会=
★<カルトから真理への道>[3]主の御手が伸びる時 記・林 俊宏
★<恵みのどんでん返し>「理想の家庭」をゆだねた時 記・石川 良男

 = 6・7 面 聖書特集=
★検証:なぜ今「聖書」が流行るのか?——ういういしい聖書の魅力を描く
★NEWS:若者たちへ1000冊聖書贈呈——日本聖書刊行会
★NEWS:点字版聖書完成記念ゴスペルコンサート——福音点字情報センター
★NEWS:あたたかみのある皮風表紙で通勤もOK——日本聖書教会
★GOODS:聖書の親しむグッズいろいろ
★BOOK:『名場面で読む聖書』フォレストブックス編(いのちのことば社、900円)
★BOOK:『新エッセンシャル聖書コンコーダンス』いのちのことば社編(同社出版部、3990円

 = 8・9 面 宿泊特集=
★新しい季 心と生活の変化に出合う——旅のススメ・日本に生まれてよかった
☆春の宿泊ガイド

 = 10 面 世界=
★<宣教まっただ中>ニュージーランド発[1]ホテルの一室で邦人伝道 記・中沢 旨宣
★カッティング・エッジ・リポート[14]祈り手としての組織化——超教派的な働きでネット 記・中台 孝雄

 = 11 面 教会学校=
★<いまどき子ども事情>子どもと接する3つの心得[2]正直に語る 記・佐藤 弘司
★<CS分級>紙ナプキンで柄をつける——飾りたまご 記・石橋 えり子

 = 12 面 神学・社会=
★<講演>「霊性」——福音主義神学会第12回全国研究会議報告[8]共同体としての神の民の霊性(上) 記・牧田 吉和
★イスラエル:イッサカル族の遺跡都市を発掘
★<書評>『ヨハネの黙示録講解』村瀬 俊夫著(いのちのことば社、1890円)評・中村寿夫

 = 13 面 情報=
★<情報クリップ>催し情報、放送伝道ハイライトほか
★BOOK:『「ナルニア国物語」ガイド』クリスティン・デイッチフィールド著(いのちのことば社、1575円)
★BOOK:『ナルニア国からの招き』マーク・エディ・スミス著(福音社、1575円)
★CD:「Epiphany——暁の空の美しい星よ」オルガン演奏・岩崎真実子ほか(聖公会、2500円)

 = 14 面 教会=
★<ちゃちゃチャーチ>旧会堂忘れない「思い出カルタ」——日基教団・横浜岡村教会
★<もりべえのへぇ~>若き経済学者の転進

 = 15 面 家庭・あかし=
◎「ナルニアブーム」到来?——関連書籍・グッズ、フェア開催など各業界で
★自作の「賛美」が有線でリクエスト対象曲に——ゴスペルシンガー・重延 勇矢さん
★<暮らしの中の信仰>謙遜がいつのまにか自慢に 記・東後 勝明

 = 16 面 ひと=
★菅原 哲男さん(映画「スティービー」サポーター)——愛や性はいのちにかかわるということを

「霊的な関心高い日本人」−−ギャロップ調査報告にJEMA宣教師ら驚き=0603120201

 日本福音宣教師団(JEMA)は2月20日、第39回JEMA総会に合わせ、「ギャロップ調査プロジェクト懇談会」を東京・千代田区のお茶の水クリスチャンセンターで開催。アメリカの世論調査会社「ギャロップ」が01年、日本で行った日本人の意識、宗教観などの調査結果を報告した。当日は日本で宣教活動している宣教師らを含め約80人が参加。「日本人は霊的な関心が高い」などの報告を受け、その調査結果に驚くと共に、どうしたら日本人に福音を効果的に届けられるかを話し合った。  同調査は日本人の人生観、価値観、宗教観、将来の希望などを成人、十代、子ども(小学生以下)の3世代に分け、日本全国の約3千500人を対象に行ったアンケートで、ギャロップによる日本での大規模な意識調査は今までになかったもの。アメリカで映画・音楽プロデューサーを務めるマーク・ジョセフ氏がギャロップ社に調査を依頼した。
 その中で、「日本人の精神的な陰り」として、全世代の85%が
1.自分の存在理由が分からない、48%が
2.今の生き方を一応受け入れている、36%が
3.自分以外のほかの人になりたい、11%が
4.生まれてこなければ良かった、と思っているとの結果が報告された。
 また約73%の日本人には善悪の絶対的基準がなく、状況によって変わると考えており、殺人については十代の84%が一番悪い、12%が決められない、4%が良いものとし、罪悪感に関しては、成人も十代も盗み、借金を返済しない、集団を裏切る、親を無視することを罪とするが、婚前交渉などの性的なものに関しては人により考え方が異なるとの結果が報告された。
 さらに日本人は霊的なものに関心が高いとの結果も。55%が魂と肉体の分離、51%が輪廻転生、49%が天国の存在、32%が死後の裁きを信じており、予知夢や人魂を見た経験がある人もかなりいるとの結果が出た。しかし、3分の2の成人は宗教をもっておらず、信仰心がないわけではないが、その多くが特定の宗教、特にキリスト教や新興宗教に属する必要はないと考えている、との結果も報告された。
 総括として日本人は、
1.宗教は受け入れがたいが霊的なものは拒否しない、
2.特に若い人たちの間に無力感、精神的暗さが漂っている、
3.個人よりも集団に迷惑をかける行為に対して罪悪感をもつ傾向が強い、
4.キリスト教に対するイメージは悪くない、などが報告された。
 宣教師たちからは「日本人は霊的なことをあまり語りたがらないと思っていたが、こんなに超自然的なことに関心を持っているとは知らなかった」「なぜ自分は存在しているのか、と考える人が多いのに驚いた」「自分が抱いていた(武士道的な)日本人のイメージが崩された」などの反応があった。
 この調査結果を受け、参加者はグループに分かれ、このデータを宣教にどう生かすべきかを話し合った。
 各グループからは「こういう調査結果をもっと牧師、信徒に知ってもらい、人生の意味などを聞かれてもすぐ答えられるよう準備をすべきでは」「『今の状況に満足していない。自分は変わりたい』という率が高いのならば、私たちがイエス・キリストによって変えられた姿を見せることで『あなたも変わることができる』と伝える必要がある」「『教会に来てください』ではなく、イエス様が受肉してくださったように、私たちはもっと彼らの中に出ていって関係を作り、伝えていくべきでは」などの意見が出された。
 当日夜は、この調査結果をもとに制作されたドキュメンタリービデオの上映もあった。日本人参加者にとっては「そのまま肯定できる現実」だったが、宣教師の中には「ショックだった」と受け止める人たちもいた。
【中田 朗】

<落ち穂>「白バラの祈り」ゾフィーの強さの秘訣は=0603120205

 「教会のオルガンの裏が秘密の会合の場でした。活動をしていることを、家族にも知られてはいけなかったのです」。ナチへの抵抗運動を、ビラの配布などで行った学生らのグループ「白バラ」。そのメンバーだったフランツ・ミュラーさんが、当時を語った  公開中の映画「白バラの祈り」では、国家反逆罪を宣告された女子大生メンバー、ゾフィー・ショルの最期の日々を描く。ミュラーさんは、公開にあわせて開催されたシンポジウムのため、同作品のマルク・ローテムント監督らとともに来日した  「ゾフィーの死刑は新聞で知りました。自分も逮捕されるのでは、と思いました」。ミュラーさんも逮捕された。裁判所に押しかけた母親の話になると、目に光るものがあった  ローテムント監督は「私たちに罪はないが、過去を知る責任がある」と強く訴えた。「ショル家では『いかなる暴力を被っても抵抗する』と教えられていた。教育が重要だ」とし、ゾフィーの強さの秘訣を「共感をもつこと」「関心をもつこと」「強い信仰」と評した。監督のことばは、独裁政権下だけではない、日々の歩みにも通じるものだ。

「ナルニアブーム」到来?−−関連書籍・グッズ、フェア開催など各業界で=0603121501

 3月4日から全国公開された映画「ナルニア国物語/第1章・ライオンと魔女」(配給ブエナビスタジャパン)に合わせ、様々な企画が、行われている。撮影時の小物を集めたイベントや関連本の出版などが相次ぎ、ファストフード店では主人公のフィギュア付きのセットメニュー販売もしている。  キリスト教界でも、ナルニア国物語シリーズや著者であるC・S・ルイスに関する単行本やトラクト、ビデオなどが発行されている。
 そのような中、「ナルニア国物語のブックガイドに」という意図で出版されたのが『早わかりナルニア国物語とC・S・ルイス』(雑賀信行著、フォレストブック発行、定価千円=税別)。
 ナルニア国物語をまだ読んだことのない人にも、物語のストーリーとC・S・ルイスの生涯がわかる本をめざしたという。
 同書は、『ライオンと魔女』に登場するキャラクターの紹介、シリーズ全7巻のあらすじと名場面、著者C・S・ルイスの生涯などがコンパクトにわかりやすくまとめられている。また、キリスト教信仰、聖書がどのような影響を同シリーズに与えているかについても言及されるなど、まさにキリスト教系出版社ならではのナルニア攻略本といった感じだ。
 著者の雑賀さんは、10年前にナルニア国物語全7巻を読んだことがあったが、今回出版社から持ち込まれたこの企画のためにナルニアシリーズを始め、ルイスの著作集を読み直し、改めてその魅力と作品のもつ深さにふれたという。
 「ナルニア国物語は、決して、アスランとイエスを重ね合わせただけのキリスト教的ファンタジーではないんです。第1話の『ライオンと魔女』の設定である冬の世界に閉じこめられたナルニアというのは、まさに今の私たちの世界の現実でもあると思うんです。逆境の中にあって、それでもアスランを信じて待ち続けられるのか、そのことが問われているように思いました。だからこそ、励まされるのだと思います」
 ナルニアのテーマは、不可能と思える道でもアスランそのひとを信じていくことだという雑賀さん。物語の端々にちりばめられた登場人物たちの語ることばが聖書のことばとオーバーラップするとも。
 「ルイスの宗教著作集は内容が難しいために敬遠されがちで、ナルニアシリーズは子ども向けだからと軽視される傾向があるんですよ。ですから、この機会に多くの人に、ナルニアを通してルイスの世界を再発見してもらえれば…。大人に、そう、ぼくみたいなおじさんにぜひ読んでほしいですね。そして子どもたちに、この現実の中で生きていく希望を語ってほしい」と雑賀さんは語る。   【中野晶正】