2006年 4月2日号ヘッドライン

[CSD]2006年 4月2日《ヘッドライン》
 = 1面 =
★J+Passion Tokyo2006閉幕——主が約束を成就される、あふれる「笑い」へ

 = 2 面 ニュース=
◎社会に迎合せず少数派の意義を——クリスチャンアカデミー「戦後60年」シンポ
★平和憲法の支持とさらなる平和への取り組み——第33回NCC総会
★J+Passion Tokyo2006:5人の若手教職者がリレーメッセージ
★イラク:平和つくりメンバー1人遺体で発見——残る3人は無事解放
★<落ち穂>「氷点」9回目のドラマ化

 = 3 面 ニュース・ルポ=
★薬物等依存症患者に効果的プログラム——ティーンチャレンジ関西で初のセミナー
★米国:B・グラハム氏最後の伝道説教
★寄稿:国家斉唱で生徒への指導徹底を求める通達——思想・表現を育む教育の放棄 記・岡田 明

 = 4 面 ビジネスパーソン=
★読者の信頼裏切らず——松居 直さん[下]([株]福音館書店相談役)
★<善久の発想法>[12]エッジのある言葉で強い印象残そう 記・斎藤 善久

 = 5 面 牧会=
★<カルトから真理への道>[6:最終回]苦悩の闇を照らす福音の力こそ 記・林 俊宏
★<オピニオン>感謝の言葉を口にしよう 記・栄 義之
★<恵みのどんでん返し>恵みを教える「ともくん日記」 記・中野 拓哉

 = 6・7面 面 地域特集/埼玉県北部・東部編=
◎さいたま新都心など進展する都市開発——1教会の宣教人口は増加傾向
★衛星教会を生む教会形成めざして——浦和福音自由教会のビジョン
★歴史は物語る:初穂は商人の郷里伝道——小島九右衛門と和戸教会
★県が「荻野吟子賞」制定——平敷淳子さんら第1回授賞式

 = 8 面 関西だより=
★聖神中央教会事件・脱会者への対応と教会カルト化問題——クリスチャンからの迫害にも脱会者ら苦悩
★第26回大阪府民イースター開催

 = 9 面 キリスト教書店特集=
★本屋さんは決してなくならない

 = 10 面 世界=
★<宣教まっただ中>ニュージーランド発[最終回]帰国前 信仰確認しっかり 記・中沢 旨宣
★カッティング・エッジ・リポート[最終回]達成できた会議の目標——子どもへの神の御心を知る 記・内田 みずえ

 = 11 面 教会学校=
★<教会学校教師のひろば>「子育て大変」母親たちの憩いの場——日本福音教会・八尾福音教会:ナースリールーム「ぴよぴよ」
★<先生あつまれ>細くてもつながり続ける——稲垣光児さん
★<CS分級>パズルに挑戦[3] 記・矢吹 博

 = 12 面 神学・社会=
★<講演>「霊性」——福音主義神学会第12回全国研究会議報告[11:最終回]神の民の世界との関わりにおける霊性(下) 記・牧田 吉和
★テンプリトン賞に英国の宇宙学J・バロウ氏
★<書評>『キリスト教諸教会とデモクラシー』A・D・リンゼイ著(聖学院大学出版会、1680円)評・東方敬信

 = 13 面情報 =
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★SHOP:「エインカレム」新装オープン
★SHOP:「Cafe きょうぶんかん」新装オープン
★BOOK:『いつもいっしょにいるよ』写真と文・Hiroji Kazuo(いのちのことば社、1155円)

 = 14 面 教会=
★みことば土台・都市型教会めざし——アッセンブリー・東京メトロチャーチ
★<もりべえのへぇ~>日本ベースボール事始め

 = 15 面 家庭・あかし=
◎余命宣言・難病と闘うクローチ宣教師——治療のため経済的支援募る
★若者中心にライブイベント——出演・伝道 両方の場に
★<暮らしの中の信仰>赤ちゃんの笑み 記・東後 勝明

 = 16 面 ひと=
★小澤 利夫さん(元幸福の科学理事長)——神風特攻隊の生き残りが「本当の神」求め

社会に迎合せず少数派の意義を−−クリスチャンアカデミー「戦後60年」シンポ=0604020201

 3月20日、東京・新宿区の聖公会聖バルナバ教会で、「戦後60年と日本のキリスト教4シンポジウム」(日本クリスチャンアカデミー関東活動センター主催)が開催された。すでに、3回にわたって
1.想起
2.和解
3.協同
をテーマに行われてきたシンポジウムの締めくくり。上中栄氏(ホーリネス・鵠沼教会牧師)、増田琴氏(日基教団・巣鴨ときわ教会牧師)、吉高叶氏(バプ連盟・栗ヶ沢バプテスト教会牧師)の3人のパネリストが、それぞれの立場から戦争責任をめぐる問題に焦点を当て、「これからのキリスト教」を展望した。 教会が教会として
社会に言葉を発信
 上中氏は、ホーリネス教団が97年に戦争責任告白を出した経緯を述べ、天皇制に妥協・融合してしまう教会の体質に言及。「教会がよって立つ信仰告白より日本社会に受け入れられることに迎合してしまう」課題を挙げた。例えば「国旗国歌法」など社会問題にかかわる時、何が教会固有の宣教の課題なのかを吟味すべきだと指摘。「日本の教会が日本の社会で立つために私たちの言葉が届いていない。批判するだけでなく、人を生かす言葉が語られなければならない」とし、「これからの日本社会に教会が教会としてメッセージを発信するには、もっと教派性を深く自覚するべきでは」と問題提起した。
マイノリティーの
意義・意味再考を
 増田氏は、新ガイドライン、有事関連法、国旗国歌法が成立した戦後60年の状況が戦後50年とは大きく異なると指摘。憲法が保障しているのは単なる内心の自由ではなく、国家権力から強制されても不服従を貫く自由であるとし、「現代の教会が自らの権利にはっきりとした自覚を持っているかが問われる。戦後60年たっても教会は自由の制限を乗り越えることができないのではないか」と問題意識を示した。
 「日本のキリスト教は社会においてマイノリティーであることの意味・意義を位置づけていくべき。マジョリティーであることは、天皇制の中に埋没していくことになる」として、キリスト教がボランタリー・アソシエーション(任意共同体)として立てられることの意味を強調した。
トラウマ見つめ直し
主告白の文書を発信
 吉高氏は、日本の教会の戦前・戦中を振り返り、「圧倒的マイノリティーとして100年以上過ごしてきた私たちは、市民権を得たい、日本社会に認められたいというトラウマ、メンタリティーに捕らわれてきたのではないか」と問題提起した。
 「私たちの教会で比較的安易に、吟味になし『地域に愛される教会になろう』『社会に受け入れられる教会になろう』と語られる。しかし、神の宣教に参与しようという意味合いではなく、単に親しみをもたれるという意味合いから使われている場合が多い。イエス様の命令の中に『隣人を愛せよ』『受け入れよ』『信じよ』とはあるが、『汝愛されよ、汝受け入れられよ、汝信じられよ』というものはない。イエス・キリストの福音のみわざではなく、私たちの社会における好感度を証ししようとしてはいないだろうか」と問いかけた。
 その上で、自らの教会の現実を変える運動の必要に触れ、例えば反靖国運動においても聖書を引用し、主告白の文書として声明を発表してきたバプテスト連盟のこだわりを「今後も見せ続けたいと思う」と述べた。
 司会・進行の戒能信生氏(日基教団・東駒形教会牧師)は「それぞれ違った教団・教派でありながら、その問題意識に違いが少なく、むしろ共通している点は興味深い」と締めくくった。
【井上達夫】

さいたま新都心など進展する都市開発−−1教会の宣教人口は増加傾向=0604020601

 埼玉県は山地面積がおよそ3分の1を占め、残りの3分の2の平地が今回取り上げる北部・東部地域(下一覧表参照)に広がっている。東京・神奈川・千葉などとの交通網が発達し、近年は「さいたま新都心」として首都機能の一翼を担う新生埼玉の姿を自治体合併や人口の動きなどの宣教データから追う。  群馬・栃木・茨城・千葉・東京・山梨・長野に隣接する埼玉は少し横長の台形のように東西に伸びる。2003年10月の地域宣教特集では、東武東上線、西武新宿線・池袋線、秩父鉄道などが延びる県西部・南西部の首都ベッドタウンに進展する開拓伝道の様子を現地教会に聞いた。今回の東部・北部では、JR在来線・新幹線やつくばエクスプレスの新線を擁し、自治体合併で100万人都市となったさいたま市や本庄市、深谷市、熊谷市、行田市、鴻巣市、春日部市など都市拡張と地域開発が展開されている。
 この北部・東部地域には、県人口699万6千528人のうち65・2%(455万9千677人)を占め、さいたま市(116万人)、川口市(47万5千人)、所沢市(33万3千人)、川越市(32万7千人)、越谷市(31万3千人)、春日部市(24万人)、草加市(23万2千人)、上尾市(21万9千人)、熊谷市(19万1千人)、狭山市(15万8千人)など人口ベスト10のうち所沢市、川越市、狭山市を除く7都市を擁している。
 少子高齢社会の流れの中でこの3年間の平均年齢が毎年4か月ずつ高齢化しているとはいえ、県民の平均年齢は41・2歳(男40・3歳、女42・1歳=2005年統計)と全国で2番目に若い。人口の多い前述の7都市はいずれも平均値かそれを下回っており、生産年齢人口(15歳~64歳)の割合も70%ラインに近い。
 進展する都市開発の象徴的存在は、旧国鉄大宮操車場跡に00年4月に開業した「さいたま新都心駅」を中心に地域開発が進められている。
 市町村合併で1自治体の人口増とともに、教会未設置市町村が16町5村(05年4月末)から11町1村に減少。東部・北部地域の教会未設置町村は大利根町と鷲宮町だけになった。だが県下394教会で人口を除すると1教会あたりの人口は1万7千758人で、この平均値を大幅に超えるのは蓮田市(6万3千人)、鳩ヶ谷市(5万7千人)、宮代町(3万3千人)など前回の西部・南西部地域よりも今回の東部・北部地域に目立つ。また、人口が集積する地域への教会建設と伝道活動の必要は都市部にも大いに求められている。

余命宣言・難病と闘うクローチ宣教師−−治療のため経済的支援募る=0604021501

 「あなたは奇跡を信じますか? わたしは余命を宣告されました。けれどもこの難病を克服するために戦っています」――。そんなショッキングな言葉でホームページは始まる。突然の発病。余命2年と宣告された宣教師、ジェームズ・クローチさん(49)は、祖国・アメリカを離れた日本で妻里恵さんと共に、難病ALS(用語説明参照)と闘っている。  クローチさんの両親はいつも口論が絶えず、「幸せな家族」とは言えなかった。何もしたいことがなかった高校時代。卒業後、陸軍に入隊した。「ベトナム戦争の最中で、毎晩のようにテレビのニュースを見ていた。何か重要なことがしたかった」
 入隊後すぐにベトナム戦争は終結。コロラド州に配属となったが、友達ができず、アルコール依存に陥る。「人が嫌いで、人からも嫌われていた。軍隊は嫌だったが、社会に出て人とかかわることも嫌だった」
 そんな時、テレビで牧師が刑務所の囚人たちに話をしている番組に出合う。自分を見失い、陸軍に閉じこめられているように感じていた自分と囚人たちの姿が重なり、牧師の「イエス・キリストを親友として受け入れたい人は手を上げてください」という招きに、テレビの前で手を上げていた。「これがイエスと共に歩む冒険に満ちた人生の始まりでした」
 クローチさんが初めて日本を訪れたのは、1983年。除隊後、教会生活を送る中で日本で英会話伝道をする道が開かれた。日本で神学校を卒業したばかりの下田里恵さんに出会い、意気投合。里恵さんの母教会、ナザレン・城陽教会で結婚式を挙げた。その後、「日本で神様のために働くには、きちんと教育を受けるべき」と帰国。ユージーン・バイブルカレッジで宣教学、ウェスターン・エバンジェリカル・セミナリーでキリスト教カウンセリングを学んだ。その後、福祉関係の仕事に就いたが、日本への思いをもち続けていた。
 日本人教会の集会で那覇バプテスト教会の国吉守牧師に出会ったことがきっかけとなり、念願の日本で夫婦でのカウンセリング、英会話教室などを通して伝道。6年後、北九州でのブライダルミニストリーへと移行した。「これからも与えられた場で、神様を伝える働きをしたいと思っていた矢先、病気にかかった」
 体に異変を感じ始めたのは05年1月。右足を引きずるようになり、舌が動かなくなってきた。そして一時帰国したアメリカでALSの診断を受けた。「診断を受け、心はジェットコースターのように動いています。しかし、神様が私を愛し、私の人生に計画をもっておられることを知っています。だからこそ、難病に苦しみながら神様のことを知らない方々のために何かしたいのです」
 現在クローチさんは病気の進行のため声が出せず、筆談でのコミュニケーションとなっているが、手を動かすことも困難。オレゴン州にALSセンターがあり、自然療法などが充実しているため帰国を希望しており、緊急に経済的な援助を必要としている。当面、医療費、安定するまでの生活費など3千万円が必要。「自分で呼吸できなくなる前に帰国したい」とクローチさんは語っている。詳細はホームページhttp://www.eonet.ne.jp/~jimrie/ 
 募金窓口は「ジェームズ・クローチ宣教師を支える会」(古川修二代表=ナザレン・城陽教会牧師)。郵便口座=00940・8・119522
【宮田真実子】
 ALS Amyotrophic Lateral Sclerosisの略称。日本語名は「筋萎縮性側索硬化症」。運動神経が障害されて筋肉が萎縮していく進行性の神経難病。