2006年 4月23日号ヘッドライン

[CSD]2006年 4月23日《ヘッドライン》
 = 1面 ニュース=
★モンゴルのストリートチルドレンにホームを——私費投じ児童養護施設を開設
★福音主義神学会西部部会研究会議をネットで同時中継も——ユダヤ人伝道の神学へ着位置付けを発題
ホームページ=http://aguro.jp/jets_west/jets_west00.htm
 = 2 面 ニュース=
◎高校生伝道充実のため祈りを——hi-b.a.日本伝道55周年「記念集会」
★排除される人たちと共に——「べてるの家」の働きが本に
★日本人の死生観とキリストの復活信仰を検証——日本伝道者協力会公開セミナー
★<召天>棚瀬 多喜雄氏(東京地区メノナイト・方南町キリスト教会牧師、77歳)
★<落ち穂>信徒の路傍伝道

 = 3 面 クリスチャンライフ=
◎トラクト路傍伝道の李永護宣教師、日本伝道中に倒れ逝去——生まれた国に宣教し続けた半生
★<暮らしの中の信仰>頭では分かっていても 記・東後 勝明

 = 4 面 ビジネスパーソン=
★銀行の統合を機にVIPと出合う——沼田 誠さん[下](みずほオフィスマネジメント[株]業務第三部管理チーム参事役)
★<善久の発想法>[13]ラブストーリーなきブランドなし 記・斎藤 善久

 = 5 面 牧会/神学/社会=
★『この事実を…』邦訳刊行の意味[下]——宣教師たちが見た「南京大虐殺」の証言 記・山口陽一
◎<オピニオン>「ダ・ヴィンチ・コード」を福音化する 記・友納 靖史

 = 6・7 面 アーティスト特集=
★教会にクリスチャンアーティストを呼ぼう——人選は教会の雰囲気を考慮して 福音伝道・館林キリスト教会での準備と段取り
★CD情報:「Dancing for the Kingdam-Zawameki10」
★CD情報:「Chain reaction」中上祐子(自主制作、2000円税込)
ホームページ=http://yukonakaue.com/chain_reaction/
★「憎しみ」より「愛」の連鎖広げたい——ゴスペルシンガー中上佑子さん「Chain Reaction」をアルバムリリース
★左手首骨折からの奇跡的回復——韓国を中心に活躍するピアニスト小堀秀郎さん

 = 8 面 教会案内特集=
★初めて教会の門をたたいた日

 = 9 面 全面広告=
☆第53回「こころの友伝道」 ソウル大会
主題「歴史の主による和解の福音」
8月28日(月)—30日(水)
問い合わせ先:Tel.03-3200-5584

 = 10 面 情報/読者の声=
★集会リポート:長岡聖書セミナー——文書伝道の基本「聖書」を学ぶ 記・永井美智代
★集会リポート:2006大阪ジーザスフェスティバル——関西地域最大級のプロテスタント集会
★<なんでもご意見箱>映画「ナルニア」何との闘いか?

 = 11 面 情報=
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★BOOK:『「ベテルの家」から吹く風』向谷地生良著(いのちのことば社、1365円税込)——笑いと涙のエピソードが満載
★BOOK:『人生の危機における人間像』平山正実著(聖学院大学出版会、2310円税込)——死の淵での人間を分析・解明
★CD:ヴァイオリンコレクション「泉のほとり」蜷川いずみ(ミクタムレコード、3000円税込)——初のソロアルバム
★REVIEW:『黙想と祈りの手引き』加藤常昭著(キリスト新聞社、2520円税込)——あくまで「手引き」、大切なのは「実践」 評・福田 崇

 = 12 面 ひと=
★本物のゴスペルを日本で伝えたい——Kaz Katoさん(ゴスペルアーティスト)

高校生伝道充実のため祈りを−−hi-b.a.日本伝道55周年「記念集会」=0604230201

 日本での活動開始55周年を迎えたhi-b.a.(高校生聖書伝道協会)は、今までの歩みに感謝すると共に3月で代表を退いた吉枝隆邦さんを励まそうと4月7日、「吉枝さんに感謝する会および55周年記念集会」を東京・渋谷区のhi-b.a.センターで開いた。当日は創立に携わったケネス・クラーク元宣教師夫妻をはじめ、元スタッフや現役スタッフ、宣教師、卒業生、関係者約300人が一堂に会した。また、今後のhi-b.a.の新機構が発表された。  従来、hi-b.a.はフルタイムの専属スタッフが代表を務めてきた。しかし、今年度からhi-b.a.は宗教法人上のリーダー(代表役員)と現場スタッフのリーダー(代表スタッフ)とを分け、現場の働きを取りまとめる方向で組織を改変。代表役員はフルタイムスタッフではなくなった。
 この新機構のもと、新代表役員に71年から81年までhi-b.a.スタッフだった中台孝雄さん(日本長老教会・西船橋キリスト教会牧師)が、代表スタッフに花里守二さんが就任。また07年度からは荒井恵理也さんが代表スタッフに就く予定だ。
 新代表役員あいさつで中台さんは「25年間hi-b.a.から離れていた私に昨年秋、吉枝さんから『宗教法人高校生聖書伝道協会の代表役員に』との思いがけないお話をいただいた。祈り、考え、引き受けることにした。高校生伝道の充実のため、経済的基盤の確立、キャンプ場の拡大と施設の充実、スタッフの確保、日本の諸教会との橋渡し、支援者とのコンタクトなどしっかりしていきたい。先輩から託された高校生伝道のバトンを次のリーダーに託すまでのしばらくの期間、代表役員としての責任を果たし、仕えていけるよう祈ってほしい」と語った。
 吉枝さんは、「力のない者をあわれみによって用い、今日まで務めさせてくださった主イエス様に感謝します」とあいさつ。スタッフ、同労者、卒業生、支援者など、hi-b.aにかかわるすべての人に感謝の意を表した。
 また、「十分やってきたと思います」と42年間のスタッフとしての歩みを振り返りつつ、「今後は高校生伝道のアフターケアをしていきたい。hi-b.a.の全国展開の夢は今も健在です」と内に秘める思いも語った。参加者には
1.どこででも高校生を見かけたら、その高校生のため、hi-b.a.のために祈ってほしい、
2.あなたの卒業した高校のために祈ってほしい、と訴えた。
 そのほか、元スタッフ、現スタッフが紹介され、元スタッフが現スタッフに手を置き、元代表役員の大竹一行さんが代表して祈る場面も。「日本において高校生伝道が前進していけるよう、スタッフ一人ひとりを豊かに用いてください」と祈りをささげた。
 会場は、いつもユーモアあふれるhi-b.a.の活動そのままに笑いが絶えず、終始なごやかな会となった。

トラクト路傍伝道の李永護宣教師、日本伝道中に倒れ逝去−−生まれた国に宣教し続けた半生=0604230

 毎年1年の半分、自費で日本へやってきては各地の街頭でトラクト(伝道文書)を配り、伝道してきた宣教師・李永護さん(71)が4月13日11時30分、ソウルで逝去。3月29日、いわき市伝道期間中に、脳梗塞(脳溢血)で倒れ、意識不明の重体となり4月7日、意識が回復しないまま空路で韓国に帰国していた。  李さんは、妻の金明鎬さん(67)と共に県庁所在地などの教会を拠点に自炊しながら、07年7月までに全都道府県を踏破する計画で、東北、北海道、沖縄の各地を残すのみとなっていた。
 県庁所在地など主要都市の教会に1週間ずつ滞在。月曜から金曜まで中心街に立ち、路傍伝道をし、道行く人々にトラクトを渡す。教会の依頼で各戸のポストに入れて回ったり、教会で証しもする。苦労したのが滞在教会の手配。自炊が李さんの方針で、「寝泊まりだけでいいので協力を」と呼びかけていた。
 32年、大阪の教会で生まれ、韓国系の大阪西部教会=大阪市此花区四貫島=で執事として会堂管理をしていた両親と、小学校まで大阪で暮らす。空襲のため一家は疎開し、韓国に戻った。
 78年、日本滞在中のある日曜日、横浜でタクシーに乗り「どこか近くの教会へ」と頼んだが、運転手は30分ほど探し回ったあげく結局たどり着けなかった。最初のカトリック宣教師渡来から400年以上たつのに、日本で日曜日に礼拝に出席する人は人口のわずか0・2%程度、20数万人しかいないという事実が、心に重くのしかかった。「500年たってもクリスチャンは増えないのではないか。神様が自分を日本の教会で生まれさせ、日本語を話せるのは、日本で宣教するためではないか」と示され、96年7月、独りで神戸で路傍伝道を始めた。
 01年には、韓国専門人宣教訓練院(GPTI)を卒業、「宣教師」として按手を受けていた。
 李さんを各地の教会に紹介したキリスト教朝顔教会の後藤敏夫牧師は、日本の教会から感謝の気持ちを表すため弔慰金取りまとめの窓口となる。現金書留で〒156- 0043世田谷区松原2ノ29ノ19、同教会あてで「李さん弔意」の旨明記して。

<オピニオン>「ダ・ヴィンチ・コード」を福音化する 記・友納 靖史=0604230502

 今から20年近く前の神学生時代、マグダラのマリアと主イエスとの聖書に記されていない関係を描き話題となった映画『最後の誘惑』の上映反対運動に関わったことがある。熱心なその団体の方々と共に時を過ごしつつ、世界各地でのキリスト者の反対行動が更に一般の人々の関心を煽るニュースとして利用されてしまうというジレンマを経験した。その方々の主への愛ゆえの抗議行動は尊敬に値すると今も信じているが、この時代において主は、私たちに何を望まれているのだろうか?
 5月に、映画『ダビンチ・コード』の上映が全世界規模で予定されている。いつの時代にも様々な偽典やその類いの書物が著されているが、この作品も実に面白くセンセーショナルに人々の興味をそそる、その一つとなっている。ルカはその福音書で、マグダラのマリアのことを、主イエスにより、七つの悪霊を追い出していただき(「七」は完全数で、身体的癒し、魂の救いと赦しを含む全人的に治癒された表現)、十二弟子と共に大勢の女性たちと主に従い、復活の出来事にも寄り添っていたと記している。また、映画『パッション』では、十字架のそばにはマグダラのマリアが立っていたとのヨハネの記述に基づき、メル・ギブソン監督によるカトリックの伝統的解釈が織り込まれる中で、主イエスにより彼女がパリサイ人の裁きから守られ、十字架への歩みにおいて母マリアと共に徹底して主の傍らに寄り添い、多くの他の弟子たちのように主を見捨てることなく、共苦する愛に満ちた女性として描かれた。映画『パッション』を見た者も、また福音書に基づいて彼女を読み解く者にとっても、マグダラのマリアが主イエスに示した愛とは、「エロス(男女間)の愛」からではなく、主イエスが示された「アガペー(無償で与える)の愛」により全人的救いを経験した彼女自身の信仰による応答として、弟子の誰よりも深く主を(アガペーで)愛し、熱心に従い続けたことを、主の愛の衣に触れた現代に生きるキリスト者も含め、より明確に理解できたのではないだろうか。
今、この社会は、「エロス」や「奪い取る」愛だけが多くの人間関係に蔓延し、「七つの悪霊」ならぬ、実に多くの不安や恐れ、憎しみや妬みに満たされ、支配されているように思えてならない。だからこそ、ギリシャ語で使い分けられているアガペーやフィリオを含めた「愛」の違いと豊かさを見分けることができず、神や人間同士の愛の関係を逸脱した視点で解釈するのだろう。このような時代であるからこそ、福音からかけ離れた作品や映画の上映を非難する以上に、「アガペーの愛」の存在を伝え、多くの人に分かち合う機会とすることが必要なのではないだろうか? 真実の愛を示された主に知恵を祈り求めて、上映に備えたい。