2006年 5月14日《ヘッドライン》

[CSD]2006年 5月14日《ヘッドライン》
 = 1面 ニュース=
★日野原重明さん・星野富弘さん「いのちを語る対談」——力支配の日本に「弱さ」の価値を
★横田早紀江さん、米国下院で証言——公聴会に合わせて東京で徹夜祈祷会

 = 2 面 ニュース=
★11月に大阪で近畿宣教会議開催——主講師にエドモンド・チャン氏
◎領土問題はじっくり話し合うべき——ソウルでの国家朝餐祈祷会で土肥衆院議員語る
★木俣参院議員「もう一度やり直す」——国会祈祷会が謝罪
★<落ち穂>日本の救霊に奉仕した李永護さん急逝

 = 3 面 クリスチャンライフ=
◎待つだけでなく出て行こう——教会の賛美バンドがライブハウスデビュー
★<暮らしの中の信仰>少女アシュリーのこと 記・東後 勝明

 = 4 面 ビジネスパーソン=
★音楽普及のためアメリカでヤマハ音楽教室を展開——鈴木 達也さん[中](スタインウェイ・ジャパン[株]代表取締役社長)
★<佐藤綾子のイキイキクリスチャン自己表現法>[11]どこまで許すか

 = 5 面 牧会/神学/社会=
★「戦後60年と日本のキリスト教」シンポより:戦争責任の視点でこれからを展望する2 発題・上中 栄
◎<オピニオン>教育基本法改定の根に「神社非宗教論」 記・根田 祥一

 = 6・7 面 教団教派宣教シリーズ=
★沖縄バプテスト連盟——主が守られた宣教の歩み
★宣教に開かれた教会を目指す——宣教120年を見据え9ヵ年計画
★ネパールのNGOとおして宣教活動進める
★沖縄バプテスト連盟の歩み

 = 8・9 面 放送伝道特集=
★多くの人に福音と出合ってほしい——PBAスタッフ・福田真由美さん
★ニーズを捉えたような番組を——CRCメディア・ミニストリー
★「親切な伝道方法」一度加わって——埼京放送伝道協力会スタッフ・森泉智子さん
★真のゴスペルを幅広く提供——Gospel Radio Revorevorution
★視聴覚からの反応が原動力——「聖書の時間・奥山実アワー」

 = 10 面 情報/読者の声=
★リポート:エセネ06国際宣教会議——未伝地への宣教 日本人に熱視線 記・具志堅 聖
★リポート:第44回東京イースターの集い——詩吟で主の復活の経緯を描写 記・姫井雅夫
★<なんでもご意見箱>映画「ナルニア国物語」を観て

 = 11 面 情報=
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★MOVIE:「グッドナイト&グッドラック」——赤狩りは昔話ではない
★BOOK:『釜ヶ崎と福音—神は貧しく小さくされた者と共に』——もっとも低くされた場所から
★REVIEW:『21世紀の福音派のパラダイムを求めて』——日本の福音派のマイルストーンJEA記録誌編集委員会編(日本福音同盟、1890円税込) 評・橋本昭夫

 = 12 面 ひと=
★南米で35年、日本人伝道に生き——中田智之さん(ブラジル引退宣教師)

領土問題はじっくり話し合うべき−−ソウルでの国家朝餐祈祷会で土肥衆院議員語る=0605140202

 日韓が領有権を主張する竹島(韓国名・独島)周辺の排他的経済水域(EEZ)での日本の測量調査を巡り、緊張が高まった日本と韓国。日韓の外務次官による会談により4月22日、韓国側が6月の国際会議で海底地名の変更を行わない一方、日本側も調査を中止することで合意し、当面の危機は回避された。しかし、この問題は再燃の恐れもある。牧師で衆議院議員、国土交通委員も務める土肥隆一氏は、この緊張の最中の4月21日、ソウルで開催された第38回国家朝餐祈祷会に出席した。土肥氏にその様子と、この問題をどう考えるかについて話を聞いた。
   ◇
 同祈祷会では盧武鉉大統領が出席し、短い演説をした。「大統領は淡々とだが、『今、日本は大変な右傾化で、軍国主義を復活させようとしている。今、この時になっても過去の不当な歴史により取得し、侵略戦争で確保した占領地に対する権利を主張する人たちがいる』と語っていた」。その後の懇談会では、若い記者から「結論は独島なのか竹島なのか」と質問攻めにあった。土肥氏は「『それは言えない。話を聞きたければ喫茶店でしよう』と答えた」。
 土肥氏は講演で、韓国のクリスチャン議員らに向けこう語ったという。「今は、日本人には韓国人に対する蔑視観はないし、韓国人に対して尊敬の念をもっている。韓流を見てご覧なさい。日本の男女は韓流スターに顔を赤くするほど熱中している。差別感はないし日本は二度と戦争もしない」
 そして、韓国側国会議員に「苦情も言った」とも。「みなさんの話を聞いていると、まるっきり政治だけ。クリスチャンなのだから、信仰的な判断を加えなければならない。信仰的に見るならば、あなたがたも私たちも罪人。神様がまず和解をしてくださったという視点が全然ない。政治的価値観を一方的に押し付けるのでなく、祈りつつ話し合うべきではないか」
 「19世紀までは、領土問題は必ず戦争をもたらしてきた。しかし私たちは、代わりに話し合いの原理である民主主義を求めた。話し合えば必ず解決する。領土問題はゆっくり話し合うべきだ。むしろ、一方的な日本攻撃を続けると、かえって悪しき日本人のナショナリズムが頭をもたげてくる。柔らかく、日本人が受け入れやすい訴え方をする必要がある」
 インタビューで「国連の海洋調査の登録、命名は、韓国も日本も出さない、検討中、と言えばいい。要は領土問題だということを忘れず、反発したり突飛な行動に出ず、じっくり話し合いを重ねていくべきだ」と語っていた。衝突が回避されたことに関しては、「まずは一段落」と述べた。

待つだけでなく出て行こう−−教会の賛美バンドがライブハウスデビュー=0605140301

 教会に若者がなかなか来ない。ならば若者がいる場所へ出かけていけばいい||。そんな発想の転換からライブハウスデビューを果たした日本同盟基督教団千葉キリスト教会発の賛美チーム「Sound for Jesus(S・F・J)」。イースターの翌日、「イエス様の復活の喜びに満たされて」ステージに立ったメンバーの顔は、暗いライブハウスのなかで一際光り輝いていた。  「学校で軽音楽部に入っていても、それはそれ。教会は教会」。クリスチャンの母親に「その賜物を神様のために生かしなさい」と言われているが、きっちり普段の生活と教会生活を切り分けている。長田未来さん(ベース・ボーカル)、未央さん(ボーカル)姉妹は、そんな普通のおしゃれな大学生。しかし、この日2人の口から発せられたのは、およそライブハウスでは聞いたこともない言葉。「私たちの口は汚れているけど、私たちの大好きな神様は賛美を与えてくださる。みんなにも神様を知ってもらえたらうれしい」
 会場に集まったのは学校帰りの高校生がほとんど。聞き慣れない「賛美」に聞き入っている。
 「神様のことが大好きなのに、それを伝えることは今までできなかった。大学の真ん前に教会はあるのに、教会に誘うことは難しい。だけど、今日神様のことを伝えられて本当にうれしい」
 一昨年末から若者たちが中心となり、月1回のペースで始まった賛美集会「S・F・J」。しかし、機材は「貧しいもので」、後藤弘牧師が神学生時代に使っていた「ボロボロの」ドラムやリサイクルショップで買ったものだった。見かねた教会員の献金などもあり、最新の電子ドラムを楽器店で購入。ライブハウスで開かれるその楽器店主催のライブに誘われ、いつも奏楽奉仕をするメンバーで、集会の名前で出演することにした。ほかに高校生バンド、アマチュアバンドなど4組が出演。後藤牧師の娘の沙織さんは、同じ学校の友人を誘いたくて高校生伝道のhi-b.a.のスタッフと祈ってきた。自身は誘えなかったが、ほかの出演者を見るために同級生が来ていた。「神様は祈りを聞いてくださる」と牧師夫人でバンドのマネージャーでもある直子さんは語る。
 メンバーのほとんどがライブハウスでの演奏は初めてで、本番前に緊張のあまりお腹が痛くなる場面も。青木義也さんは昨年の秋にギターを始めたばかり。「緊張したが、本番はあっという間だった。賛美と歌は全然違う。賛美には力がある」と語る。リーダーの宮崎望さん(ギター)は「教会に人を呼ぶのは大変。待っていても来ないのなら、僕たちが出ていこうと思った。技術的にはまだまだ磨かなくてはいけないけれど、またやりたい」と言う。
 盛永純子さん(キーボード)や金美成さん(ピアノ)も「(賛美できて)うれしかった」と笑顔。金さんは韓国で音楽教師をしていたが、文部科学省の教員研修生として来日。母国で日本語を学び、韓国人が集まる教会ではなく、あえて普通の日本の教会を探して同教会を訪れた。「私は前に出て伝道するタイプではないが、神様が日本人への伝道の思いをもたせてくださって、今回こんな形で私の賜物を用いてくださった」。林美蘭さん(ボーカル)は「自分の足りなさが痛くささりましたが、あとは、主が受け取ってくださることにゆだねました」と語る。
 たばこの匂いが染みついた控え室が祈りの場となり、ほかの出演者と言葉を交わす中で「今度教会に行ってみようかな」と言われたりも。
 満たされない思いを音楽や喫煙、異性関係などで満たそうとする若者たちを思いながら後藤牧師は語る。「出演者や観客を見ていてとても心が痛みました。本当の喜びを知らないで、虚しさでいっぱいの若者たち。でもイエス様はこの若者たちを愛してくださっているのです。若者たちの葛藤や不安の暗闇の中に主の光を輝かすことができたらと思います」

<オピニオン>教育基本法改定の根に「神社非宗教論」 記・根田 祥一=0605140502

 与党教育基本法改正に関する協議会は4月13日、同法の項目と内容について最終報告をまとめた。本論の編集段階で、政府は28日にも閣議決定し国会に上程、今国会で成立を目指すと伝えられている。注目の「愛国心」については、教育の目標に「道徳心を培い…」「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する…」との表現が盛り込まれた。
 同法は「教育の憲法」といわれ、日本国憲法と並び、戦前この国を支配していた価値体系を根底から変えた戦後日本の原点だ。他の法律と違い、教育基本法の改定は国の理念を根本から覆すことになる。改正案は一部手直しでなく全面改定だと検討会も明言している。
 最終合意案は一見すると、自民党が主張する「国を愛する心」より穏健になったかに見える。だが、これで国粋的な「愛国心」教育に歯止めをかけたと言えるだろうか。楽観論は合意案の「愛する」対象が統治機構としての国家ではなく郷土のことだから心配ないという。しかし、合意案が同時に「伝統と文化を尊重し」と述べていることを見逃してはならない。その内実が問題だ。改定案がいう「郷土」とは、単なる美しい山河のことではない。
 4月23日のテレビ番組で町村信孝元文科相はこの点について、現行教育基本法の下で伊勢神宮に行く学校が減ったことに言及し、「信教の自由の見地から日教組が間違ったことを教えた。そんなバカなことはない。イスラム教や仏教を押し付けようというのとは違う」と批判した。町村氏は、教育基本法「改正」を方向づけた教育改革国民会議の中心メンバー。
 伊勢神宮は皇祖皇霊を祀る天皇家の神社だ。戦前の学校では生徒を参拝させることが当然とされていた。1930年前後、日曜学校の生徒が伊勢神宮や地元神社への参拝を「偶像礼拝」として拒否したことに端を発し、教会への激しい排撃運動が起きた「美濃ミッション事件」を思い出す。50年代後半には自民党が、伊勢神宮は他の宗教法人とは違うとして「国営化」を画策したこともある。
 今回合意案の「宗教教育」の項には、中教審答申などで必要とされていた「宗教的情操の涵養」が、宗教に関する「一般的な教養」という文言で反映された。町村発言と併せてみると、この改定により「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する」ため、児童生徒を伊勢神宮などの神社に参拝させることを当然視する時代が再び来ることが予想される。神社参拝は「伝統と文化」であり「宗教」とは違う、という論理だからだ。
 これは戦前の「神社非宗教論」の再現にほかならない。戦前この国を支配した価値体系そのものであり、当時の教会もこの論理にからめ取られて神社参拝を容認する詭弁の論拠となった。これこそが、国民全体を「天皇教」の狂信者に仕立て上げ、国の行く道を誤らせた罪責の元凶だ。この教育基本法改定を許せば、子どもたちに再び同じ道を歩ませることになる。