ヘッドライン
[CSD]2006年 5月21日号ヘッドライン
[CSD]2006年 5月21日《ヘッドライン》= 1面 ニュース=
★聖書をいかに現代に——3日間の国際聖書フォーラム閉幕
◎JEA総会に公開プログラム——日基教団議長の講演など4つのシンポジウム
= 2 面 ニュース=
◎国際聖書フォーラム:時代を超えて語られる聖書——翻訳めぐるシンポジウム——
★福音主義神学会西部部会春期研究会議:ユダヤ人伝道の視点から終末論を考える
★<教界ニュース>ブライアン・チャペル博士迎え各地で講演(キリスト聖書神学校)
★日韓の和解と交流、協力——こころの友伝道8月にソウルで国際大会を開催
★ロシア:正教がモスクワで世界宗教者会義開催
★<落ち穂>開拓教会へも主の大宣教命令は発せられている
= 3 面 クリスチャンライフ=
★イエス様の傘の中へ——韓国のプロボーカルグループ「ヘオルンヌリ」初来日コンサート
★<私の子育て失敗談>私らしくあるために——「がんばる」ことをやめて… 記・斎藤 望
= 4 面 ビジネスパーソン=
★スタインウェイ普及に力注ぐ——鈴木 達也さん[下](スタインウェイ・ジャパン[株]代表取締役社長)
★<善久のちょっと気になる発想法>くり返しは力なり 記・斎藤 善久
= 5 面 牧会/神学/社会=
★「戦後60年と日本のキリスト教」シンポより:戦争責任の視点でこれからを展望する?——戦責告白の実質化をめざし 発題・増田 琴
★<オピニオン>奴隷以上に、奴隷のように 記・高木 実
= 6・7 面 関西だより=
◎とことん最後まで寄り添って…——ひきこもり・不登校支援の会「りとぼ」
★関西聖書塾が発足
★世の光となる音楽伝えたい——与野ひかり ファーストアルバム完成
★日本に「祈りの塔」築く——世界が共に「祈りの祭典」
★イースターに大凧揚げ親睦会——活けるキリスト大阪一麦教会
★CS教師セミナー2006開催
= 8 面 特集/日本CCC学生センター竣工=
★日本の福音化の拠点に——東京三鷹に学生・スタッフの訓練の場
★短期宣教師の滞在にも対応
http://www.japanccc.org/home.htm
= 10 面 教会学校=
★<いまどき子ども事情>「子育て」から「子づき合い」へ——児童期こそ重要な子育て時期 記・福井 誠
★<CS分級>かんたんステンシル——きれいに見える3つのポイント 記・石橋 えり子
= 11 面 情報=
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★MOVIE:「ガーダ」——あるパレスチナ女性の決心と行動(5月20日から渋谷UPLINK Xほかで公開)
★DVD:「ダ・ヴィンチ・コード・ザ・トゥルース」(<株>トランスフォーマー発売、ライフ・エンターテイメント取扱、3990円)
★REVIEW:『この国に思想・良心・信教の自由はあるのですか』高橋哲哉ほか共著——この時局に必読の一書 評・水草修治(いのちのことば社、1000円)
= 12 面 ちゃちゃチャーチ=
★韓国ドラマ「天国の樹」のロケ地になった教会 単立・サンクゼールチャペル
JEA総会に公開プログラム−−日基教団議長の講演など4つのシンポジウム=0605210102
6月に北海道札幌で開催される日本福音同盟(JEA=小川国光理事長、具志堅聖総主事)の第21回総会期間中に、「21世紀における日本の教会の課題」をテーマに公開シンポジウムと公開講演会が行われる。会場はいずれも札幌プリンスホテル。公開講演会は6日午後6時半から「日本の教会の課題とは」をテーマに日本基督教団の山北宣久議長が講演する。リスポンスには八尋勝(北海道聖書学院院長)、小川国光(JEA理事長)、泉田昭(同元理事長)の3氏を予定している。
公開シンポジウムは同日午後2時から、4つのJEAの常設委員会が主催する4つのシンポジウムを並行して行う。
宣教委員会のテーマは「日本宣教の実態分析」。発題は花園征夫氏(教会インフォメーションサービス代表)、根田祥一氏(百万人の福音編集長)、リスポンスは竿代照夫氏(同委員会委員長)。
神学委員会のテーマは「原理主義と福音主義」。発題は岡山英雄氏(聖書宣教会教師)、関野祐二氏(聖契神学校校長)、リスポンスは渡辺睦夫氏(同盟福音・岩倉キリスト教会牧師)。
女性委員会のテーマは「神の前に女性としてどう生きるか」。発題は神津喜代子氏(同委員会委員長)。発題後、4グループに分かれてシェアリングを行う。
社会委員会のテーマは「憲法と日本宣教」。発題は村瀬俊夫氏(日本長老教会教師)、上中栄氏(ホーリネス・鵠沼教会牧師)荒川雅夫氏(福音伝道・前橋キリスト教会牧師)、金煥氏(同盟基督・足立愛の教会牧師)。
問い合わせ/日本福音同盟TEL:03・3295・1765、FAX:03・3295・1933。
国際聖書フォーラム:時代を超えて語られる聖書−−翻訳めぐるシンポジウム−−=0605210201
国際聖書フォーラム〔(財)日本聖書協会主催〕最終日には、「今、聖書を問う。原典から現代翻訳へ―聖書を現代にどう伝えるか」をテーマに、同フォーラムで講演した国内外の8人の著名な聖書研究者が集まり、シンポジウムを開いた。◇
設問は
1.死海文書と聖書、
2.初期キリスト教における聖書、
3.聖書翻訳。
1.の「死海文書をこれからの聖書として用いていくのか」という点に関してエマニュエル・トーブ氏は、伝承、伝達されてきた聖書(マソラ)を重んじる立場を表明した。
「私は多くの方々に比べクムランの情報を得ている。しかし、神の言葉に近代的な情報を反映させると、世代ごとに神の言葉が違った形で受け取られるとの問題が起こる。学術的な翻訳の場合はいいが、伝統的な聖書原本に基づいた翻訳を大事にしていく必要がある」
アドリアン・シェンカー氏は「シリア教会で使用されていたものや七十人訳ギリシャ語聖書、KJVなどは、世代を超え神の言葉として読まれてきたもの。混合はよくないが、これらが連動していることを知ることは大切だ」と、時代ごとにそれぞれの聖書テキストが読まれることを認める考えを述べた。
2.に関してジェイムズ・M・ロビンソン氏は、「初期のクリスチャンと死海文書にかかわった人々とは、教養の面で大きく違っていた。しかし、並行するところがある。イエスの弟子は耳で覚えて口で伝える人たちだった。それがある時期から文字になっていった」と語った。
ジョン・ドミニク・クロッサン氏は「死海文書によって初期のユダヤ教というものを理解する必要がある。また当時の人々さえも将来に向かって過去を読み返し、新しい解釈を付け加えていた」との見解を述べた。
3.の「何を翻訳するか」に関してクラウス・ヴァハテル氏は、「新約の記者たちが書いたオリジナルテキストは残っていない。しかし、原文を直接翻訳できなくても、それに近いものを見いだしていくことはできる。なるべくオリジナルテキストに近いものを翻訳する必要がある」と述べた。
「翻訳のあり方」に関してローレンス・ド・フリス氏は、「聖書翻訳の主流に固持しなくてもいい」との考えを表した。「信仰的、文学的立場のバランスをもって翻訳することが大切だ」とも。「日本では、格式高い文学が重んじられているので、初期のころから聖書学者とともに文学者を委員会の中に含めることが大事だ。ノンクリスチャンの文学者がかかわっていたケースもフランスではあった」と意見を述べた。
そのほか、山内眞氏(東京神学大学学長)、手島勲矢氏(同志社大学教授)が発題した。
日本聖書協会は、31のセミナー講演をまとめた『国際聖書フォーラム2006講義録』(予価3千500円税込)を7月初旬に発行の予定。問い合わせはTEL:03・3567・1987まで。
とことん最後まで寄り添って…−−ひきこもり・不登校支援の会「りとぼ」=0605210601
「りとぼ」は、ひきこもりや不登校者の自立支援と取り組む団体で、現在NPO法人を申請中だ。名称は「リトル・ボイス=小さな声」を省略してつけた。スタッフ6人はすべてクリスチャンで、みなひきこもりの経験者かその家族だ。 「りとぼ」の働きは、そもそもどのようにして始まったのか。代表者の青木美久さん(43歳=活けるキリスト名古屋一麦教会員)は、以前「星の子どもたち」中部支部の選任スタッフとして、28歳のときから15年間、余命いくばくもない子どもたちとその家族に福音を伝える働きに携わった。その働きが1999年、突然活動停止となる。呆然と立ちすくんでいた彼に、「あなたは続けてやらないの」と所属教会の松原向牧師がしずかに声をかけた。その声に押されるようにして青木さんは活動再開を決心。99年9月に「小さな声の会」を立ち上げ、同年12月から機関紙「ほさな」も発刊した。働きを再開していくなかで、当初は予想していなかった方向へと導かれていく。非行や虐待の問題で苦しむ青年たちだった。そのような人たちへのケアと取り組み、回復していく証が次々と生まれるようになった。すると今度は、「20年間ひきこもっている息子がいます。何とかなりませんか」といった相談が寄せられるようになったのだ。
ひきこもりの問題と取り組み始める中、献金によって支えられる「小さな声の会」の働きと分離させる必要に迫られ、ひきこもりと不登校支援専門の働きとして「りとぼ」を発足、有償でのサポートを本格的に開始することになった。社会的ひきこもりとの取り組み
「社会的ひきこもり」とは何か。青木さんによると、「自宅にひきこもって社会参加をしない状態が6か月以上続いているが、精神障がいが第一の原因とは考えにくいもの」と説明されている。社会参加とは、就学・就労、もしくは家族以外に親密な対人関係のある状態だ。多くは小、中、高校での不登校を引きずる形が多い。もう1つは、「いい高校、いい大学、いい会社に入るという型にはまった価値観に縛られてしまって、身動きが取れなくなってしまう人たち」だ。
社会的ひきこもりの背景は、核家族化と効率優先主義の社会的風潮だと考えられている。「共通しているのは、コミュニケーション能力と自己肯定感が著しく低いこと。これは、幼い頃から均一的な価値観で育てられ、多くの場面で自分の判断が認められなかったため」と、青木さんは分析している。
ひきこもりの問題と取り組む団体が多くある中で、「りとぼ」の働きの特徴は何だろうか。
「相手にプログラムを押し付けるのではなく、徹底して相手のことを理解させてもらうというスタンスです。ある価値観や理論を前提にしない。いわば一人ひとりの状態に合ったオーダーメード」と話す。当然、大変な労力と時間、お金がかかってくる。
「りとぼ」は、かかわった結果を公表している。06年5月時点でのデータだが、かかわったケース39件(男性21人、女性18人)、サポート期間としては最短で1か月から最長4年。回復後の経過としては、就職7人、復学・進学6人、アルバイト3人、結婚1人、ボランティア活動2人、継続中16人、その他5人となっている。データを見る限りでは、かなりの成果が上がっている。
「りとぼ」では、就労支援に力を入れる。一般社会に戻ることが目的だからだ。その場合、スタッフが引きこもりの人と一緒に現場で働く「ジョブ・コーチ」という形をとる。いわば就労現場で盾の役割を担う人のことだ。就労を通して人への信頼を回復させ、自分にもできるということを学ばせる。そのために、とことん最後まで寄り添っていく。
そして、最終的な目標は人生観・価値感の根本的な転換をはかること。青木さんはある非行少女の話を紹介してくれた。
「その女の子と沖縄のホスピスを一緒に訪問したときのことです。難病で苦しんでいる子どものお母さんのお話を聞きました。『娘をかわいそうだと思わないでください。私たちは神様と出会って幸せです』と。その晩彼女は、『私はなんてだめな人間なんだ。私は決心した』と言うんです。何かと思ったら、帰って猛烈に勉強し始めて大検に合格しました。今は教員になるという夢を追いかけています」
メンタル・フレンドの輪を広げたい
親の愛を知らないという人がいっぱいいるから、イエス様がいるのだと言う。「ほんとうの自立はイエス様に出会うこと。キリストに出会ってはじめて、人は根本的に変わります」
「大きな工場を無償で貸してくださった方がいます。単純作業ですが、仕事まで提供してくださった。ある、非行から立ち直った女の子の様子を見ていて、突然その工場を使ってくれって。まったく関係ない人なのに、ほんとに変わったねって驚いて…」。昨年11月から始まったその工場での仕事は、ひきこもりから回復しつつある人たちの就労の場として、事業的にも少しずつ軌道に乗り始めている。
この4月のイースターに「さんび物流サービス」として新たに事業部門を独立させ、登記申請の準備もすすめている。現在、就労者のための宿泊施設も探しているとのこと。
ひきこもりの問題を、まずクリスチャンに正しく認識してほしいと青木さんたちは願っている。
「どこの教会にもひきこもりの問題を抱えた人がいます。牧師先生だけではかかわれない」。信徒がメンタル・フレンドになって、苦しんでいる人たちに寄り添ってほしいと、今後教会向けに訴えていくつもりだ。
青木さん自身も心の病にかかり、20歳のときにひきこもった経験をもつ。絶望のどん底で教会を訪ね、牧師や教会員の愛によって立ち直ることができた。「ことばだけでなく、愛の行動をたくさんもらって救われたんです」。そのような経験が今日の青木さんを支え、情熱となって駆り立てている。
「死んでしまいたいという人がいたら、すぐに行ってじっと話を聞いてあげる、親を殴ったと聞いたらすぐに行って間に入る、そういう行動が何より必要なのです」と青木さんは締めくくった。
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