ヘッドライン
[CSD]2006年 5月28日号ヘッドライン
[CSD]2006年 5月28日《ヘッドライン》= 1面 ニュース=
★ゴシペルで福音の種を——米グラミー賞受賞シンガーのドニー・マクラーキン氏来日
★申賢均氏逝去——日韓でリバイバル運動推進に貢献
= 2 面 ニュース=
★青年らに信仰の決心促す——12年ぶり首都圏キリスト教大会
◎「時代に逆行の改訂」——国会前で教育基本法特別委に抗議集会
★聖公会中部教区:教育基本法改訂に抗議声明
★申賢均氏逝去:「本当に日本を愛する人だった」——滝元 明氏語る
★<落ち穂>教会員が選んだ牧師の説教10篇を出版
= 3 面 クリスチャンライフ=
◎親子関係が福音伝道の根幹——沖縄に家族支援センター「ふーみんぐ」開所
★<暮らしの中の信仰>心を聴く九官鳥 記・東後 勝明
= 4 面 ビジネスパーソン=
★内なる声に導かれ単身イギリスへ——堀ノ内 菊三郎さん[上](森村商事[株]情報システム部技術顧問)
★<ミッションと起業>松谷義範(東邦薬品[株]創業者)[中] 記・宮田矢八郎
= 5 面 牧会/神学/社会=
★「戦後60年と日本のキリスト教」シンポより:戦争責任の視点でこれからを展望する?——日本的キリスト教 克服の基盤 発題・増田 琴
◎<オピニオン>治安維持法の再来を黙過するのか 記・根田 祥一
= 6・7 面 全面広告=
☆ビー・ジャパンは「賜物ネットワーク」を構築します
http://www.bjapan.jp/
= 8・9 面 特集/「カルト」問題=
★「信仰」という名の虐待 その後——何が「虐待」か、そうでないのか 記・パスカル・ズィービー
★統一協会の活動再燃——韓国で日本人学生ら街頭募金
★<書評>『「カルト化」を問い直す』櫻井義秀著(中央公論新社、新書版、780円)——宗教社会学者が解く「カルト化」現象
= 10 面 情報/読者の声=
★リポート:第26回大阪府民イースター——復活の主を仰げる感謝を新たに
★リポート:第72回塩屋聖会——受け継がれる宣教の精神 記・鍋島 猛
★<なんでもご意見箱>「私のプチ伝道」「日常生活で証し人として」
= 11 面 情報=
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★EVENT:「エチオピアの風を感じる集い」——他国の現状に目を向けよう
ホームページ http://www.t-morita.com/
★BOOK:『わたしたちの憲法——前文から第103条まで』西川重則著(いのちのことば社、A5判、1000円税込)
★REVIEW:『生と性——創世記1—3章にみる「男と女」』高木 実著(いのちのことば社、B6判、998円税込) 評・水谷 潔
= 12 面 ひと=
★インドで「子供村」建設を目指す——牧野由紀子さん(元日基教団派遣宣教師)
「時代に逆行の改訂」−−国会前で教育基本法特別委に抗議集会=0605280202
自民・公明の与党は11日の衆院本会議で「教育基本法に関する特別委員会」(以下、特別委員)を野党の反対を押し切って強行設置。これに抗議する緊急集会が国会前で開かれ、「教育への国家・行政権力の介入を許すな!」「教育基本法改悪反対」などのプラカードを持った市民ら約130人が駆けつけた。抗議集会には、共産党から穀田恵二国対委員長、井上哲士参院議員、笠井亮衆院議員、社民党からは保坂展人議員らの国会議員も加わった。
反対派は「特別委員会を設置し、憲法に準ずる教育基本法を一気に改悪しようというのは、歴史的暴挙。憲法に準じる教育基本法を180度転換する内容を、公表してからわずか2か月で押し通そうというのは絶対に許せない。国民の意見も何ら反映されていない」と抗議。穀田氏は、「『なぜ特別委員会なのか』の問いに、与党はまともに答えられない。道理がないことは明らか。早期に改悪法案を通そうというよこしまな企みに対して『ノー』を」と呼びかけた。
与党側は、「与党協議会・検討会」で3年間、71回も議論した結果」と主張したのに対し、反対側は「これはまったく身勝手な言い分。与党協議は非公開で議事録もない完全な密室協議。与党が法案をまとめたから、国会はただちに審議して結論を出せというのでは、穀田恵二国対委員長が言うように『あまりにも議会制民主主義を軽視するものであり、認められない』のは当然」と、抗議の意を表した。
池田香代子氏(翻訳家)は「国際的学力テストでトップのフィンランドは『日本の基本法を徹底的に研究してきた成果が今出てきている』という。日本人の学力が落ちているのは文部科学省の怠惰の結果」とし、「むしろ、教育基本法に戻るべき」と語った。
参加者の中には、処分されたという教員も。「処分されている者が350人もいる。保護者に対して、この問題について『見ない、聞かない、話さない』というのが現状」と、参加したある教師は言う。「このままでは、教師たちが自分の意見を言えないことに。競走社会を強要され、子どもたちも精神的ダメージを受けている。自殺者が年々増加する中で、1人の個人から大切にしていく教育ではなく、国のために、国の目標に添った育成こそ正義とする、戦前のような新自由主義教育といえるものが、すでに始まっている。保護者たちがもっと敏感になって感じとらないと、数年先には徴兵制ということになりかねない。未来が危ない」
親子関係が福音伝道の根幹−−沖縄に家族支援センター「ふーみんぐ」開所=0605280301
離婚率が日本で最も高い沖縄県。その沖縄で10年ほど前から、崩壊する家庭からの相談、個人カウンセリングを中心に家族支援の働きにかかわってきた泉川良道・留美子夫妻。この4月、宿泊施設と研修室をもつセミナーハウス「ふーみんぐ」を建設した。4月16日イースターの午後には、沖縄の中部、読谷村にオープンした家族支援センター「ふーみんぐ」の開所式が行われた。ふーみんぐでは結婚準備のセミナーや家族に関するセミナーなどを企画している。 「私は主のために働きたいという思いがあったけれど、私のためにこそ主が必要だということがわからなかった」。そう語る泉川良道さんは、神学校卒業後赴任した教会での挫折経験を振り返る。しかし、この挫折からふーみんぐが生まれることになる。沖縄の開拓教会に遣わされた泉川夫妻は、とにかく「がんばって」教会の働きに邁進した。小さな教会だったが、若者が多く活気にあふれた教会だった。求道者も多く信者も熱心だった。
しかし、小さなすれ違いが重なり、全体がぎくしゃくするようになる。経済的に弱い教会のため、妻の留美子さんは、朝は新聞配達、昼は別の仕事と、良道さんの働きを助けた。しかし、子育て、家事、教会の雑務、牧師の助け手という無理がたたり過労で倒れてしまう。
「よりによってこんな時にと、妻を責める心でいっぱいでした。牧者の心どころか、夫としても父親としても失格でした。沖縄で中心となる教会、日本宣教の壁を打ち破る教会を自分の中で思い描いていたけれど、すべては『自分のための教会』だったのです」と。
教会がうまくいかない、家庭の中もうまくいかない。献身者である自分の中に問題があるのではと悩み、祈った。
その時信仰をもって以来初めて「主よ助けてください」と自分の内からでてくる本当の叫びがあった。その心をもった瞬間から、神が共にいるという実感は今日まで変わらない。
「自己中心な心が砕かれ、イエス・キリストを通して父なる神との関係を回復したのです」と良道さん。その結果、夫婦関係、親子関係が回復していった。
献身者としての召命は確かだが、必要な備えの足りなさを感じ、3年目に牧会を退いた。全く自信を失っていたが、押し出されて聖書の学びを始めた。その聖書の学び会は口コミで広がり、集まった人たちのニードに対応してきた。
多くの人の悩みは家族問題だった。聖書を通して家族ということを伝えていくと、そういう問題を抱えている人が集まってきた。家庭の問題に対処しながら、聖書の神様を伝えた。聖書を語ることで自分に起こったのと同じことが周りの人にも起こったことで、この働きへの確信を得た。
「イエスは、神は永遠の父、私たちは永遠の子であると教えたのですけれど、律法学者たちは、神が父であるということがわかりませんでした。私たちも兄妹である、家族であると言っても、そのことがどういうことなのかがわからないと、おかしくなっていくんです」
人間に家族関係があるから「永遠の家族」という概念で伝えられてきたと指摘する良道さんは、家族関係の大元の親の心が失われ、親子関係が失われたら神を伝えることができないと言う。
「どの社会でも家族という関係は保たれてきました。しかし現在、家庭そのものが崩れてきています。家庭崩壊はみことばがみことばとして働くことを妨げるのです。親子仲良くしましょうというレベルではないのです」
ふーみんぐはそんな家族の回復の場と、これから家庭をもつ人たちのための教育と訓練の場を提供したいという。もともとは教育型集合住宅「新婚館」を建てて、聖書的家庭観と生活技術を身につけてもらおうと考えた。そのために、主が与えられた土地を活用してセミナーハウスという形からスタートした。
ふーみんぐでは結婚準備セミナー、新婚セミナー、子育てセミナー、親子セミナー、夫婦のんびりセミナー、家族セミナーを定期的に開催するほか、出張セミナーの要請にも応えるという。
「家族セミナーに価値を見いだしてコミットしてくる人は多くないかもしれません。だからこそ使命感をもって進まなければならないと思うのです」
ふーみんぐ=〒904-0316沖縄県中頭郡読谷村字大木66ノ1、TEL:090・1943・8371(泉川)。
<オピニオン>治安維持法の再来を黙過するのか 記・根田 祥一=0605280502
国会で政府与党が強硬に審議を進める「共謀罪」が、「現代の治安維持法」と指摘されている。戦前の治安維持法は当時の国体にとって危険と見なされた思想や言動が処罰され、教会からも逮捕者が出た。市民団体や日本弁護士連合会、日本ジャーナリスト会議、日本ペンクラブ、新聞・マスコミ労組などは共謀罪の危険性を指摘し反対意見を表明しているが、キリスト教界の反応は今ひとつ鈍い。「対岸の火事」でいいのだろうか。1942年6月26日、日本基督教団第6部と第9部に属する全国のホーリネス系教会の牧師が一斉検挙された。罪状は治安維持法違反。同派の再臨信仰が危険思想と見なされた。検事は「お前たちはイエス・キリストが王の王、主の主として来ると教えているが、では天皇陛下とキリストとどちらが偉いのか」と牧師たちを尋問した。神以外の何ものをも神としない神の主権性というキリスト信仰の根幹が、天皇が現人神で世界の王になるとする八紘一宇の天皇主権と衝突したのだ。
国家転覆を企てたわけではない。説教でキリスト再臨を語っただけだ。行為ではなく思想・言動が裁かれたのである。共謀罪が懸念されるのもまさに、法に背くことを話し合っただけで罪に問われる同じ構造だからだ。これは日本国憲法が保障する思想・良心・信教・言論・表現の自由を真っ向から否定し、思想弾圧につながる重大な転換である。行為以前の考えが裁かれる構造は、罪刑法定主義に基づく現行刑法と全く相いれない。しかも、言動を摘発するため盗聴や密告は必至だ。
それでも「福音的」な信仰なら取り締まられはしないとタカをくくるのだろうか。非政治的な戦時中のホーリネスの牧師たちも、まさか治安維持法で自分たちが逮捕されるとは思いもよらなかったと証言している。特高警察は求道者に紛れて礼拝説教を傍聴していた。
衆議院法務委員会で政府は、共謀罪は麻薬やテロを防止する「国連越境組織犯罪条約」を批准するために必要な国内法の整備であり、市民団体などは対象にしないと答弁している。だが政府は、審議過程で「強要はしない」と明言した「国旗・国歌法」が99年に成立するや、学校教職員に「日の丸・君が代」の実施と指導を強制し、拒否者を処分するに至っている。この前歴を見れば、いったん法律ができてしまえば解釈や適用はどうとも変容されうることは火を見るより明らかである。
共謀罪が適用される刑の上限が4年以上の法律は619の広範囲に及び、その中には自衛隊、日米地位協定、日米相互防衛援助協定、破壊活動防止、武力攻撃事態など、キリスト教界でも懸念の強い法律が含まれる。共謀罪「先進国」の米国では反戦運動にまで同法が適用された事例がある。日本でもすでに、自衛隊官舎にイラク派兵反対のビラを配った市民運動家が狙い打ちで逮捕される時代だ。「平和をつくる者」としてのキリスト者の言動が監視され、密告される社会が来ないと、だれが言い切れるだろうか。