ヘッドライン
[CSD]2006年 7月16日《ヘッドライン》
[CSD]2006年 7月16日《ヘッドライン》= 1面 ニュース=
◎被害者も加害者も癒され和解——「修復的司法」提唱者ハワード・ゼア氏来日講演
★日本の青年たちにも参加呼びかけ——宣教韓国2006第10回青年学生宣教大会
= 2 面 ニュース=
★「べてるの家」のキーワードは「信じる」——作家・田口ランディさんらゲストに出版記念トーク
◎自民党憲法草案は「クーデター的内容」——西川重則氏が比較・検証を講演
★死海文書テーマにトーヴ教授講演——鍋谷堯爾氏出版記念会
★アジアでのキリスト教共同体の責任を再考——東京基督教学園世界宣教講座
★<落ち穂>ブラジルW杯代表・カカ選手の大切なもの
= 3 面 クリスチャンライフ=
◎障がいもつ子らの賜物に合わせて分業——東京・武蔵小金井のパン屋さん「ノアノア」
★<私の子育て失敗談>[7]不完全でいいから全力投球で 記・斎藤 望
= 4 面 ビジネスパーソン=
★限界状況で恩師と出会う——是久 昌信さん[中]([有]グレイス代表取締役)
★<佐藤綾子のイキイキクリスチャン自己表現法>[14]「にもかかわらず」のスマイル
= 5 面 牧会/神学/社会=
★講演:国際聖書フォーラム2006より[2]理解できる訳語、心に感じられる訳語 講演:ミン・ヨンジン
★<オピニオン>結婚の地盤沈下、恋愛と性の相対的浮上 記・水谷 潔
= 6・7 面 全面広告=
☆第38回 日本伝道の幻を語る会 8月21日(月)—23日(木)
会場:市川サンシティ 主催:日本キリスト伝道会
事務局:Tel.03-3804-1765 Fax.03-3869-5262
= 8 面 読書特集=
★<書評>『断絶世代とつながるために』ジョシュ・マクドウェル著、伊藤真澄訳(CS成長センター、1,470円税込) 評・東條優子
★<書評>『キリスト教のスピリチュアリティ』ゴードン・マーセル監修、青山学院大学総合研究所訳(新教出版社、7,350円税込=7月31日まで特価期間・6,825円税込)
★<書評>『TAKE FIRE——火を取れ』エリック・ゴスデン著、清原 修訳(日本伝道隊、1,000円税込)
★<書籍紹介>『生きる勇気と聖書の力』高原剛一郎著(イーグレープ、1050円税込)
★<書籍紹介>『祈れないほど忙しい?』ビル・ハイベルズ著、宮本安基監訳・島田穂波訳(福音社、1,575円税込)
= 9 面 関西だより=
★追悼:ただ「伝道したい」——朴昌煥牧師 生涯現役貫く
★国・教派を超え霊的一致を——盛会だったミラクル in Japan
★月岡正暁氏が新編集のバッハ「前奏曲とフーガ ニ長調」——パックスアーレンから新譜発刊
★神戸ウィナーズクラブ新体制
★スイスの宣教団からチーム来日
= 10 面 情報/ご意見=
★レポート:ドイツでワールドカップ伝道——開催地でトラクト配布 記・姫井 雅夫
★レポート:目的主導型教会カンファレンス——「健康な」教会形成の秘訣は 記・小坂 圭吾
★ご意見箱:教会に心病む方が来られたとき
= 11 面 情報=
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★SHOP:長野・サンクゼール軽井沢——自然あふれるレストランで欧風料理を
★BOOK:『がん哲学から人生を読み解く』樋野興夫著(ハーベスト・タイム・ミニストリーズ出版部、700円税込)
★REVIEW:『キリスト教学校の形成とチャレンジ』学校伝道研究会編(聖学院大学出版会、3990円税込) 評・水口 洋
= 12 面 教会=
★地域・全国に開かれたガーデン教会堂へ——単立・岡山御津キリスト教会
被害者も加害者も癒され和解−−「修復的司法」提唱者ハワード・ゼア氏来日講演=0607160101
犯罪加害者に刑罰を科すだけでは被害者が取り残され、加害者も更正されない実態が問われている。そうした中で、被害者と加害者、両者を取り巻く社会をも造り変える「修復的司法(Restorative Justice)」が世界で注目されている。その主唱者で米国初の被害者・加害者和解プログラムを創設した神学者ハワード・ゼア氏(東部メノナイト大学教授)が東京ミッション研究所(金本悟所長)の招きで初来日、東京聖書学院と共催の牧師研修会で講義した。来日は広く注目され、日本弁護士連合会、早稲田大学、東洋大学、「死刑を止めよう」宗教者ネットワーク、日本宣教学会も講演会を主催。被害者と加害者に和解と癒しをもたらす聖書に基づく具体策が、法曹界や学界でも高い関心を呼んだ。 6月末の牧師研修会は「『新しい社会』を形成する教会~包括的贖罪理解による共同体の変革~」がテーマ。ゼア氏は犯罪被害者・家族や服役中の加害者から聞き取った声などを交え、従来の刑事司法の概念を覆す「修復的司法」の理念と実践、背景にある聖書の理解などを話した。1週間前、山口母子殺害事件で最高裁小法廷が、犯行当時18歳だった被告を無期懲役とした高裁判決を差し戻す決定をし、被害者の夫が加害者に会うこともできない不満を訴え死刑を望む発言が報道されていた折から、現実の問題に関連して参加者も活発な質疑や討論に参加した。犯罪者は刑務所に閉じ込めることが社会の安全に最善というのが刑事司法の発想。しかしゼア氏によると、米国は刑務所の収監率が世界一だが、それが再犯の低減にはつながらず、犯罪者の処罰だけでは社会の安全に効果はない。むしろ刑務所で囚人は毎日「人間として失敗した」「もうチャンスがない」と確認させられる。社会の責任ある一員として更正することを求めつつ、現実には自分で問題を解決するより強い者に従属するよう方向づけ、否定的な感情と恐れが増長されて犯罪を繰り返す結果を招く。犯罪者を共同体に戻すより、ますます遠ざけてしまうという。
一方被害者は、加害者が刑事罰を受けてもその過程にかかわれない。刑事罰は犯罪者と国家の間でバランスをとるものであり、被害者の怒りや嘆きは置き去り。癒しのためには、その感情が受け止められ、心の内の悲しみを語る必要があるが、加害者がそれを聞く機会はない。なぜ悲劇が起きたのかと問い続ける被害者のトラウマに、答えが与えられることもない。
「修復的司法」の被害者・加害者和解プログラムでは、訓練を受けた者が双方の話をよく聴き、被害者が望めば加害者と会って話し合う場を設けることもする。加害者は被害者の気持ちを知って初めて自分のしたことの重大さや意味を実感し、説明責任を果たし、真実な謝罪や悔い改めに導かれる。被害者は抑え込んでいた感情を加害者に伝えることで心の重荷から解放され、なぜ事件が起きたのか真実を加害者から聞くことで、人生の意味を取り戻す。正義が回復される結果、癒しと赦しと和解が「ギフト」として与えられるという。
ゼア氏は、西洋の刑事司法制度が応報的色彩が強い背景には、11世紀以降キリスト教神学の救済論が神とのたての関係に重点を置きすぎたことの投影があると指摘する。「修復的司法は関係性を大切にする聖書的方法。根底には神が造られた世界のシャローム(充足した平和)を回復するという概念がある。神と人との正しい関係をつくり、被害者と加害者の間の壁を取り除くことによって人の内にある壁も除かれていくという、関係回復のビジョンなのです」
自民党憲法草案は「クーデター的内容」−−西川重則氏が比較・検証を講演=0607160202
東京・千代田区のお茶の水クリスチャンセンターで6月30日、靖国神社国営化反対福音主義キリスト者の集い(=靖国の集い・西川重則代表)が公開学習会(同主催)を開催した。宮崎弥男氏(改革派・筑波みことば教会牧師)の礼拝説教による第1部の後、西川氏が「日本国憲法と自民党新憲法草案第9条と第20条を比較・検証する」と題して講演した。◇
1969年の同日、靖国神社を宗教法人から外して国家が管理するなどの内容を盛り込んだ靖国神社法案が初めて国会に提出された。その際西川氏らは抗議の集会を開き、以来、熱心に靖国神社問題にこだわり続け、今日に至っている。初めての法案提出から37年。今また、国会で憲法「改正」のための国民投票法案、教育基本法「改正」、「共謀罪」といった法案が審議の対象となるなど、歴史を変えようとする動きが見られる。
このような状況の中で西川氏は、それらの問題の根幹として憲法「改正」に注目。「自民党の新憲法草案の最たる目的は9条と20条」であるとして、その内容を「クーデター的」と批判した。9条に関しては「草案では、第2章のタイトルが『戦争放棄』から『安全保障』へと書き換えられている。これは、『武力によって日本を安全にする』という意味での『安全保障』であり、アメリカとの関係が深く影響している」。また20条に関しては「『社会的儀礼』ということばを盛り込み、国にその範囲を超える宗教活動等を禁じているが、これはどうとでも解釈できる。『社会的通念、つまり社会通念ならば(国の宗教活動も)ゆるされる』という雰囲気をつくり出しかねない」と危機感を募らせた。また講演の中で「闘い続けるということの重要性を忘れてはいけない。そのためには、歴史の事実に深く学ぶことが必要」と呼びかけた。
集会の最後には、参加者らは講演を受け、「この国の為政者が、主の御心にかなった政治を行うことができるように」と、真剣に祈り合った。
障がいもつ子らの賜物に合わせて分業−−東京・武蔵小金井のパン屋さん「ノアノア」=0607160301
障がい者が働くパン屋「ノアノア」は、昨年11月で営業5周年を迎えた。自らも障がいのある子どもをもつ店長の榎本恵子さん(新生連合・キリストの栄光教会員)は「息子がいたから、こういう仕事ができ、信仰の世界にも入れたと思います。祈ってくださる人がいたお陰で、これまで守られ、地域にも根付くようになれました」と語る。現在、常勤3人に加え、6人の障がい者と8人のパートが勤務する。 榎本さんは、子どもが生まれる以前から喫茶店など飲食店の働きに興味をもっていた。「以前、『百万人の福音』で『福音喫茶』というものがあることを知りました。自分でもやりたいと思っていましたが、喫茶店は難しいと聞いていました。それでも、『福音喫茶』を経営している方のところを訪ねたり、クリスチャンの知人たちに祈っていただいたりしていました」20年目にしてようやく夢が実現し、パン作りの学びの場で知り合った高島法子さんと2人で「ノアノア」を立ち上げた。「始めてみると、朝は早いし休みがとれません。朝が苦手で、サラリーマンの家庭に育った私には大変なこともたくさんありました」。オープン当初は、パンの生地を仕込む作業から、すべて手作業で行っていた。「最初はどうなることかと思いましたが、神様は必要な時に必要な人材を与え、志を立てさせ、その時その時の必要を与えてくださいました」 忙しい日々の中で、榎本さんは障がい者たちの隠れた才能・能力に気が付き始めた。「自分に与えられた仕事が好きな子どもは、どんどん仕事を覚えていきます。計量をさせるとドンピシャ、ピッタリ同じ分量で計量してくれる子、シールをきちんと貼ってくれる子、形作りが出来る子など、それぞれの賜物に合わせて分業ができるんです」。人付き合いがよく、一度道や人の名前を聞くと絶対に忘れないという息子の秀雄さんは配達の担当だ。
「『できない』というマイナス思考では、彼らの可能性が削られてしまいますが、必ず、できることがあります。人と接するのが好きな子は接客を、人と接するのが苦手な子は、奥で黙々とパンを作ってくれています。平和な子が多いことも幸いです」
アイディア満載の創作パンの数々にはファンも多く、今では近隣の幼稚園、警察、病院、コンビニ、大学の生協や購買部からも注文が入る。
2004年には、高島さんを中心にNPO法人「チャレンジャー支援機構」を立ち上げ、障がいのある子の就労の場の確保、自立支援、地域の福祉向上を目指す。職業能力開発事業として、土曜にはパン屋を休みにし、パン教室を開いている。「パン教室の実習に参加していた子が、今はスタッフになっているケースもあります」
「どの子も必要とされ、神様に生かされているんだと思うと、感謝の気持ちでいっぱいです。『成長させてくださったのは神様』だと、本当に強く思わされます。子どもたちの成長をこれからも見守っていきたいです。親がいなくなっても、人の助けを得ながら生活できる場をつくって、子どもたちそれぞれに力が与えられていること、皆必然的に造られた存在なんだということを伝えていきたいです」。将来的には障がい者だけでなく、高齢者へのアプローチも考えているという。「障がいをもつ子どもと一緒に」という思いから始めた「ノアノア」は、次なるステップへと踏み出している。
「ノアノア」〒184- 0004東京都小金井市本町1ノ6ノ17、TEL&FAX:042・388・4020。