[CSD]2007年3月25日《ヘッドライン》

[CSD]2007年3月25日《ヘッドライン》
 = 1面 ニュース=
★パプアニューギニア・フォロパ語訳新約聖書を献書——訳出したN・アンダーソン宣教師が自著日本語版出版で来日
◎迫害下の教会のためのネットワーク結成——オランダ「信教の自由パートナーシップ」  = 2 面 ニュース=
◎「愛国心」監視国家の始まり——卒業式・入学式が焦点
★沖縄にティーンチャレンジ・センターがオープン——薬物・アルコール依存者の更正リハビリ施設
★<逝去>樋口信平氏(東京基督教短期大学元学長、JECA・横浜キリスト福音教会名誉牧師、83歳)
★<落ち穂>  = 3 面 クリスチャンライフ=
★心に病持つ人たちの憩いの場に——製パン・製菓で(株)メルヘン
★<私の子育て失敗談>健康だといい加減になる? 記・斎藤 望  = 4 面 ビジネスパーソン=
★よきサマリヤ人のように——新垣 幸吉さん[下](新垣工務店社長)
★<池田守男に聞くサーバントリーダーシップ>[9]「経済の時代」から「文化中心の時代」へ  = 5 面 牧会/神学/社会=
★対抗的社会構造としての教会——平和とは何か・聖書が現代に問う課題5 講演・石田 学
★<オピニオン>過敏な反応か、正しい反応か 記・永井敏夫
★米国:奴隷制度の謝罪決議案を可決——バージニア州議会  = 6・7 面 高齢者特集=
★1つのファミリーとして主を語り合う——グループホーム「マリア」
★木の家に暮らす「大家族」——グループホーム「ぼだいじ」
★「お金」より「人」が大事——グループホーム「樫合むくもりの里」  = 8・9 面 特集/教会形成=
★責任と共に権限も委ねよう——ゲーリー・スネイブリー
★神様は時間をかけて人と教会を建てあげる——バーナード・ブレッシング
★教会を建て上げる説教の目的とは——ゲーリー・スネイブリー
★弟子訓練の指導者がまずサンプルに——金 明皓  = 10 面 教会学校=
◎教界全体が若者の救いに関心をもつこと——第40回CSK中学科教師研修会から
★<CS分級アイデア>体験後の「振り返り」が自立を生み出す 記・篠田真宏  = 11 面 情報=
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★FOODS:「聖書サブレ」(<株>メルヘン、Tel.042-474-3573)
★BOOK:『真理の源を求めて』ニール・アンダーソン&ハイヤット・ムーア著(日本聖書翻訳協会訳・発行、800円税込)
★REVIEW:『田中恒夫・遺稿集 キリストにおいて満たされています』田中恒夫著(アユラムセンター刊、1,680円税込) 評・鵜丹谷三千代  = 12 面 ひと=
★「神様に引っ張られ」パプアへ——ニール・アンダーソンさん(米ウィクリフ聖書翻訳宣教師)



◎迫害下の教会のためのネットワーク結成−−オランダ「信教の自由パートナーシップ」=070325010

 3月8日、オランダ・アムステルダムで迫害下にある教会のための働きをしている15の団体が会合をもち「信教の自由パートナーシップ」というネットワークを結成した。議長はクリスチャン・ソリダリティ・ワールドワイドのメルウィン・トーマス氏。
 ネットワークの狙いは迫害下の教会の情報や各組織の働きについての情報交換と、お互いに祈り合うこととしている。
 関係者らはネットワークを通して困難の中にある教会がより適切な援助を受けることができるようになると期待している。ネットワークに参加した団体は、オープン・ドアーズ、殉教者の声、クリスチャン・ソリダリティ・ワールドワイド、世界福音同盟信教の自由委員会など。
 世界福音同盟のヨハン・キャンデリン氏は「これは歴史的なニュース。本当の勝者は苦しみの中にある私たちの兄弟姉妹です。ネットワークの進展は世界の教会が一つであるとの肯定的なシグナルとなる」と語った。

◎「愛国心」監視国家の始まり−−卒業式・入学式が焦点=0703250201

 卒業式・入学式のシーズンただ中。99年に「国旗・国歌法」が成立して以来、そうした学校行事で「日の丸・君が代」強要が加速度的に進んだ。それに従うのは自分の良心が許さないというクリスチャンなどの教職員は、起立・斉唱・伴奏を拒めば処分という厳しい苦境に立たされてきた。
 とりわけ東京都は、卒業式・入学式などでは壇上正面に国旗と都旗を掲げ、教職員は国旗に向かって起立し、国歌を斉唱することなどを定めた通達が03年に都教委から出され、式では都教委職員が教職員の誰が起立・斉唱をしなかったか監視し、服従しない者には再教育や処分を命じるという異常事態の下にある。東京地裁は昨年9月、そうした都教委の通達は違憲・違法だと認定する判決を言い渡し、今年に入って日弁連は都教委に対し、処分を取り消すよう「警告」を発した。だが2月には最高裁が、「君が代」ピアノ伴奏を拒否した日野市の音楽専科教員に対する懲戒処分に「合憲」の判決を出し、司法判断は揺れ動いている。
 しかしさらに怖いのは、そうした行政=公権力による強制にまさって、一般の国民大衆が、互いに「国を愛する態度」を監視し合う社会になることだ。すでにそれは現実になっている。
 「神奈川教育正常化連絡協議会」という民間団体が3年前から、県内の小・中・高校での卒業式・入学式における国旗・国歌の実施状況について調査を行っている。今年も実施状況を調査し「一層の改善につなげてゆきたい」と、先ごろ協力を呼びかけた。「開かれた学校」を利用して一般市民が地域の学校の卒業式に参列し、国旗掲揚は実施されたか、掲揚された場所はどこか、国歌斉唱の状況(声の大きさは?)、先生は歌っていたか、伴奏はピアノで行われたか、指揮者が指揮をしたか、起立の指示があったか、全員起立したか、国歌斉唱が式次第に位置づけられていたか、式の形式・雰囲気は厳粛だったか、送辞・答辞は代表による朗読か、式の司会者は教職員か生徒か、卒業証書授与は男女別か混合か、卒業証書の年号表記は元号か、などを事細かに調査票に書き込み、マスコミに発表するとともに、自治体の首長・議会・教育委員会・学校などに改善要請をするという。息が詰まるほどの表現・形式の画一化で教育現場を一つの方向へ向かわせようという発想だ。
 見過ごせないのは、その協力呼びかけ文の中で、教育基本法が「改正された」ことにより、「一部教職員が国旗掲揚・国歌斉唱を拒否してきた根拠がなくなり、完全実施への道が開けた」ととらえていること。そして「知り合いに呼びかけて、できるだけ多くの学校で調査を」と卒業式・入学式の「監視行動」を一般市民に広げようとしていることである。
 国民相互が、だれが「非国民」かを監視し、行政に圧力をかけて「国旗・国歌」を完全実施させる。まるで戦前か、と錯覚させるようなことが現実に起きているのだ。新・教育基本法が目指す「国を愛する態度を養う教育」とは、こんな情けない国になることなのだろうか。

◎教界全体が若者の救いに関心をもつこと−−第40回CSK中学科教師研修会から=0703251001

 「教会学校(CS)になかなか子どもが集まらない」というのは多くの教会がもつ課題だが、その傾向は特に中高生に顕著だ。思春期特有の反発や、クラブ活動や塾など、教会から離れやすい時期にある彼らにどのように伝道をしていけばよいのだろうか。聖書同盟(小山田格総主事)の中にあって、中学生伝道に重荷をもって取り組んでいる中学生聖書クラブ協力会(CSK)では毎年、中高科の教師らを対象に研修会を行っている。今年は東京・世田谷区のJECA・宣教教会で3月3日、「21世紀の中学生伝道~ここから、これから~」をテーマに開催。中高科のスタッフを中心に約40人が集まり、課題を共有し知恵を出し合った。

 午前は小山田氏が「青少年伝道、これからの課題」と題して基調講演。「かつては多くの若者が教会に集まっていたが、今はせいぜい3、4人。まったくいないという教会もあり、『CSをお休みしています』というところすらあります。中高科のスタッフがいるということは、今日ここに来られているみなさんは恵まれている」と現状を顧みた。しかし、「悲観する必要はない」とも。「キリスト教の2千年の歴史の中で起こったリバイバルは、教会が衰退していた時期に多い。それは衰退の時期に気落ちせず、信じて祈り続けた人がいたから。私たちは、むしろこの時代に選ばれている、特権なのだと思うべきでは。聖霊の働きに期待し、祈り求め続けることが何よりも必要」と訴えた。さらに必要なこととして、若者を愛し、理解する心をもつこと。CS関係者だけでなく、教会、そして日本のキリスト教界全体が若者の救いと教育に関心をもつこと。若者伝道に重荷をもつ教師やスタッフを育てていくことや、クリスチャンホームにおける家庭教育などについても語った。
 また最近の傾向として、「心の弱い中高生が激増している」とも。対策として「ただ批判したり励ましたりするのでなく、そのままの彼らを受け入れることが必要。しかし、若いCS教師も実は心の病を負っていることが多い。指導者は、教師としての信仰の成長を急に求めるより、まず教師が主にあって自分に自信をもてるよう、みことばによって心を強めてあげる必要がある」と語った。
 基調講演の後にはグループに分かれて各教会の現状や課題について話し合った。クリスチャン家庭に育ち、昨年洗礼を受けたという女性は、「今回はCSで教える立場というより、クリスチャンホームに育った者として中高生の気持ちに共感できた。私も自分の意思で教会に行こうと思えるようになったのはつい最近。親の子どもに対する方向付けは非常に大切だと感じた」。また、2児の母親という女性は「今の中高生が何を考えているのかよくわからない。同じ目線というより、ついつい母親的に接してしまう」など、参加者らは葛藤や感謝なことなどを真剣に話し合っていた。
 午後からはパネルディスカッションが開かれ、稲垣博史氏(JECA・岩井キリスト教会牧師)、松原智氏(CSK委員)、土屋くによ氏(私立中学高校教師)、小山田氏がパネリストとして参加。中学生伝道について語り合うひとときをもった。